【5/21更新】 印南敦史の名盤はハイレゾで聴く

2021/05/21
月間50本以上の書評を執筆する書評家であり、ベストセラー『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』の作家としても知られ、更にヒップホップなどのブラック・ミュージックからクラシックまでを幅広くフォローする異色の音楽評論家としての顔を持つ印南敦史による連載「印南敦史の名盤はハイレゾで聴く」。
ラムゼイ・ルイス『Sun Goddess』
「やっとたどり着いたあの曲」を聴くたびに思い出すのは、夕暮れの高円寺の空

中学1年生のころ、高円寺の学習塾に通っていました。

北口の、「JIROKICHI」という有名なライヴハウスが入っているビルの3階。上の階には、某有名俳優が住んでいるとの噂もあったなー。

なぜ、その塾に通うことになったのかについてはまったく覚えていません。そもそも僕は、ちっとも学業に熱心な子どもではありませんでしたし。

そんなこともあり、電車で2駅先のその塾に通うたび、気持ちはまったく別の方向、「JIROKICHI」よりも西側にある「高円寺純情商店街」の方向に向いていたのでした。

なお、いまではあまり知られていませんが、「純情商店街」の名がついたのは、この商店街に縁の深い作家のねじめ正一さんが平成元年に『高円寺純情商店街』で直木賞を受賞してから。それ以前は、「高円寺銀座商店街」という名称だったと記憶しています。

それはともかく、塾のある日はいつもこの商店街を入って右側、いまハードオフがあるあたりにあった電器店に立ち寄っていたのです。なぜってそこには、最新のラジカセやステレオがたくさん並んでいたから。

まだ自分のラジカセを持っていなかった僕にとって、その店は新宿小田急ハルクの上階にあったナショナル(パナソニック)のショールーム「テクニ7」と並ぶ重要なスポットだったんですよね。

店を訪れていたのはいつも18時ちょうどくらいだったのですが、あれは塾が終わったあとだったのかな? それとも始まる前だったのかな?

そのあたりは定かではありませんが、にもかかわらず「18時ちょうどくらい」と覚えているのは、店に入るといつも、18時から始まるFM東京(現・東京FM)の番組が聞こえてきたから。

最初にシャープなギター・カッティングでスタートする軽快なインストゥルメンタル・ナンバーが聞こえてきて、そこに大人っぽい感じの女性の声が重なるのでした。

「赤いカードのクレジット、丸井がお送りする『丸井ミュージック&モア 夜と呼ぶには早過ぎて』」

そう、それは「丸井ミュージック&モア」という番組だったのでした。

こうして文字に起こしてみると、なんだかとってもクサイ台詞ですなぁ。しかし、その声とテーマ曲は僕にとって、空が赤く染まっていく夕方の高円寺そのものだったのです。

ただ、その時点では、めちゃめちゃかっこいいその曲が誰のものだったのか、まったくわかりませんでした。だから、気になって仕方なかったんですよね。

さて、それから数ヶ月後、僕はお年玉を貯めてようやく自分のラジカセを(高円寺のそことは別の店で)買いました。

FM番組で組まれたアース・ウィンド・ファイアのライヴ・アルバム『Gratitude(邦題:灼熱の狂宴)』の特集を聴いたのは、その直後のこと。アースが「ファンタジー」などで大ブレイクするより前の話ですが、オープニングのメドレー「アフリカーノ/パワー」を耳にした時点で、グルーヴ感に圧倒されたものです。

で、聴き進めていったら、やがて高円寺で慣れ親しんでいたあの曲が流れてきたのです。それが「Sun Goddess」。ライヴ・ヴァージョンなので“高円寺版(かよ)”とは少し質感が違ったものの、間違いなく同じ曲です。

「そうかー、アース・ウィンド&ファイアの曲だったのかー」と腑に落ちたので、アースのどのアルバムに入っているのか、さっそくレコード店へ確認しに行きました。

ところが、どのアルバムにも入っていないのです。いまなら検索すればすぐにわかりますが、インターネットなんてない時代でしたから、結局はもやもやした思いを抱えたまま過ごすしかなかったのでした。

実はジャズ・ピアニストのラムゼイ・ルイスの曲だとわかったのは、それからかなりの時間が経ったあと。「Sun Goddess」ともう一曲のバックをアース・ウィンド&ファイアが手がけていると知り、すべての線がつながったように感じたものです。

そういえばアースのモーリス・ホワイトは、もともとラムゼイ・ルイス・トリオのメンバーでしたもんね。

ただ、その時点ではまだそのアルバム『Sun Goddess』を聴けなかったのです(サブスクなんかなかったし)。結局は音楽雑誌に載っていたどこかの中古レコード店の在庫リスト広告にそれを発見し、通販で買ったのだったと思います。

ちなみにその後、同作のCDを入手したので、苦労して手に入れたアナログはどこかのタイミングで一度手放しました。でも、「やっぱりアナログも持っていたいなあ」と感じたため、改めてネットオークションで買いなおしたという無駄。

その結果、現在は「ハイレゾで聴きながらアナログ盤のジャケットを眺める」という、なんだかよくわからない最終地点にたどりついたのでした。

でも、このアルバムって音がいいので、やはりハイレゾで聴きたいんですよねー。たとえば死ぬほど聴いていたタイトル曲も、まるで目の前で演奏しているかのように聞こえるし。

他にも、アースの成功に大きく貢献したチャールズ・ステップニーとモーリス・ホワイトとのペンによる重量級ファンク「Hot Dawgit」、スティーヴィー・ワンダーの名曲をカヴァーした「Living for the City」など、収録された全7曲はどれもが魅力的。

サウンドにも全体的に“ギッチリ”した印象があり、それがとても心地よいのです。

でも、やはり個人的には「Sun Goddess」が最高。

それに、このアルバムを聴いていると、いまでもあの高円寺の夕陽を思い出してしまうのです。そしてそのたび、「音楽に対して貪欲だったあのころの気持ちは、絶対に忘れたくないな」とも感じるのです。



『Sun Goddess』
Ramsey Lewis



『Gratitude』
EARTH,WIND & FIRE



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【8/13更新】ボビー・コールドウェル『イヴニング・スキャンダル』
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【7/20更新】エア・サプライ『Live in Hong Kong』
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【7/13更新】アース・ウィンド&ファイア『The Best Of Earth, Wind & Fire Vol. 1』
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バラードとは違うライオネル・リッチーの姿を確認できる、グルーヴ感満点のファンク・アルバム

【6/8更新】デレク・アンド・ザ・ドミノス『いとしのレイラ』
エリック・クラプトンが在籍したブルース・ロック・バンドが残した唯一のアルバム

【6/1更新】クイーン『Sheer Heart Attack』
大ヒット「キラー・クイーン」を生み、世界的な成功へのきっかけともなったサード・アルバム。

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「レゲエ」という音楽を世界的に知らしめることになった、鮮度抜群のライヴ・アルバム

【5/18更新】イーグルス『One of These Nights』
名曲「Take It To The Limit」を収録した、『Hotel California』前年発表の名作

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印南敦史 プロフィール

 

印南敦史(いんなみ・あつし)
作家、書評家。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家として月間50本以上の書評を執筆。ベストセラー『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)を筆頭に、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書に学んだライフハック――「仕事」「生活」「心」人生の質を高める25の習慣』(サンガ)ほか著書多数。12月14日発売の最新刊は『それはきっと必要ない: 年間500本書評を書く人の「捨てる」技術』(誠文堂新光社)。6月8日「書評執筆本数日本一」に認定。音楽評論家としては、ヒップホップなどのブラック・ミュージックからクラシックまでを幅広くフォローする異色の存在。


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