「不屈の民」変奏曲ばかりではない、ジェフスキー後期作品を所縁のピアニストが収録。フレデリック・ジェフスキーは、20世紀から21世紀にかけて活躍したポーランド系アメリカ人の作曲家・ピアニストで、1975年作曲の「不屈の民」変奏曲が代表作。このアルバムには彼と親交のあったボビー・ミッチェルの演奏で後期の作品を収録しています。「戦争の歌」は中世フランスの流行歌「ロム・アルメ(武装した人)」から20世紀に至るフランス、イギリス、アイルランド、ドイツ、アメリカの反戦歌と戦争に関わる歌計6曲を素材に編み上げた作品で、ジェフスキーらしいメッセージ性の高い作品。一方、他の作品ではテーマはより抽象的・一般的となり、音符の密度も減って瞑想的な傾向が見られるようになります。アルバム最後に置かれた「聖者と罪人」は、ジェフスキーの親族から葬儀に招かれたミッチェルが葬儀の後で演奏した曲。ミッチェルが自ら書いたライナー(英語のみ)によれば、ジェフスキーは彼に自分の葬儀ではブラームスの間奏曲作品118の第2番を弾いて欲しいと繰り返し言っていたそうで(ミッチェルはこの曲も演奏したそうです)、ジェフスキーのロマンティックな一面を伝えるエピソードと言えるでしょう。
【ジェフスキー: 後期ピアノ作品集/ボビー・ミッチェル(ピアノ)/ハイレゾ】