20世紀半ばに生まれた2人のアメリカ人作曲家による協奏曲集。一人はロックバンドのオインゴ・ボインゴの元リーダーで、『バットマン』や『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』など数多くの映画音楽で知られるダニー・エルフマン。このヴァイオリン協奏曲は、作曲中に知り合ったヴァイオリニスト、サンディ・キャメロンのために書かれており、彼の作品の中で初めて古典的な様式に沿って作曲されたものです。「イレヴン・イレヴン」というタイトルは、全曲がちょうど1,111小節で構成されていることによるもので、またエルフマンの苗字の中にはドイツ語の11(elf)も隠されているという偶然もありました。ショスタコーヴィチやプロコフィエフを思わせる雰囲気も持ちながら、極めて個性的な作風が楽しい作品です。対するヘイルストークの作品は、アフリカ系アメリカ人としてのルーツとジャズへの愛が感じられるとともに、グレゴリオ聖歌などの西洋の古典的な伝統に対する畏敬の念も込められており、ブルースの豊かな伝統を反映したエネルギーと高揚感にあふれた協奏曲に仕上がっています。この作品でピアノを演奏しているのはカナダの中堅、スチュワート・グッドイヤー。卓越した技術と切れの良いリズム感が楽しめます。
【エルフマン: ヴァイオリン協奏曲/ヘイルストーク: ピアノ協奏曲/ジョアン・ファレッタ(指揮), サンディ・キャメロン(ヴァイオリン), スチュワート・グッドイヤー(ピアノ), バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団/ハイレゾ】