人気のヴォーカリスト、井筒香奈江の作品を「Eilex HD Remaster」で配信スタート

2016/07/01
ヴォーカリスト・井筒香奈江さんの諸作は、これまでオーディオファンを中心に、非常に良質なヴォーカル作品として知られ、マスター音源である96kHz/24bit音源が多くの方々に支持をされてきましたが、今回、この96kHz/24bitマスターをもとに「Eilex HD Remaster」という技術を用いた192kHz/24bit音源があらたにリリースされました。 「Eilex HD Remaster」とは何なのか?その実力に驚いたという、プロデューサーの堀部氏のコメントとともに、その詳細をご紹介いたします。

『時のまにまにV』/井筒香奈江

『時のまにまにIV 時代』/井筒香奈江



『時のまにまにIII ひこうき雲』/井筒香奈江

『時のまにまにII 春夏秋冬』/井筒香奈江



『時のまにまに』/井筒香奈江



【アップサンプリング・データの配信にあたり ~ プロデューサー堀部公史氏コメント】

2016 年の春、旧知のオーディオ機器輸入商社『アイレックス株式会社』の代表から連絡がありました。会って話がしたいとの事。それもわざわざ当方地元までお越しいただけると。
昔からこういう「ちょっと会って話がしたい」というお誘いは少なからず頂いていましたが、実際にお話しを伺って、なにか建設的な事案に発展するという機会はほとんどありませんでした。井筒香奈江ともども、アイレックスの代表取締役であるA 氏とは随分と仲良くさせて頂いていましたし、何度も美味しい食事をご馳走になったりしていた事もあって、今回の「ちょっと会って話したい」を無下にお断りすることができず、接見に至りました。
そこで『eilex HD Remaster』なるアップサンプリング技術を紹介され、意見を求められた私は、パソコンを駆使したプレゼンテーションを拝聴している段階で「嗚呼、今回も建設的発展は見込めないな」と思ったのでした。熱弁を振るうA 社長にタジロギながらも、まぁそこまで言うのならという懐疑的な気持ちで、井筒香奈江の音源データを数曲手渡し、そして後日、192kHz/24bit にアップサンプリングされた『お試し音源』を返送して頂いたワケですが。
驚きました。
サンプリングレートやビット数が大きくなれば、デジタルデータ音源としての解像度が向上するのは間違いありません。しかし録音現場の環境と音源再生機器(オーディオ機器)とのバランスを鑑み、井筒香奈江の音源は『96kHz/24bit が今は最適』と判断し、これまで5 タイトルをリリースしてきたワケです。
詳細な解説は別紙に譲りますが、このアップサンプリング技術にはアイレックス独自のノウハウが満載で、正直、私には未体験ゾーンでした。これなら井筒の音源をより良い形で皆さまにお楽しみ頂けると思い、施術(?)に踏み切った次第です。
今後、『eilex HD Remaster』技術は、各方面で認知採用されていくでしょう。
当方の音源を、加工素材としていち早くピックアップして頂いたアイレックス株式会社のA 社長には感謝を申し上げます。
96kHz/24bit バージョンの音源データも継続販売します。録音フォーマットは96kHz/24bitですから。どちらも井筒香奈江の作品である事には変わりありませんが、せっかく出会った技術の進歩には便乗してゆこうと思っております。
皆さまにお楽しみ頂けますと幸いです。

SCHOP☆RECORDS 代表
堀部公史



■「Eilex HD Remaster」について ~ アイレックス株式会社による解説

「本物のハイレゾ技術とは何か?」
「既存の音源をアップコンバートした際、新たに出来る超高域にどの様な音声信号を補完すべきか?」弊社では長年研究を重ねてきました。
ただアップコンバートしただけでは全く意味がありません。
そこにいかに「意味のある正しい音声情報」を補完するか、それが最も重要なポイントです。
ベンチマークは我々が日常聞いている「自然界の音」。自然界の音は超高域に向かって音の倍音成分が綺麗に減衰しながら伸びていきます。これこそが音に表情を与え、艶やかさや生々しさを与えます。

残念ながらこの「自然界の音」の超高域倍音成分は録音時のマイクの収音限界や、サンプリングレート等によって情報が失われてしまいます。
例え96kHz/24bit レコーディングを行ったとしても、48kHz 以上の音声信号は残念ながら録る事が出来ず、また多くのレコーディング用マイクの収音限界は30~40kHz 程度である為、それ以上の帯域の音は収音出来ません。
一方で自然界の音が48kHz で突然無くなるのかというと、もちろんそうではありません。60kHz, 70kHzといった超高域に向かって音は伸びています。

「レコーディング時の生音にはあったはずの超高域倍音成分」を独自の研究に基づくアルゴリズムで算出し、自然界の生音に限りなく近くなる様に補完する、これがEilex HD Remaster 技術です。

実際に今回Eilex HD Remaster 処理をさせて頂いた井筒香奈江さんの「時のまにまにIII」に収録されている「時代」を例に解説します。

まず、図1と図2が「時代」のオリジナル音源(96kHz/24bit レコーディング)の波形です。

〈図1:96kHz/24bit オリジナル音源周波数分析〉

これらを分析すると、96kHz/24bit 録音ですので音声情報はもちろん48kHz で終わっており、多くの情報は約35kHz で終わっています。これは恐らくマイクの収音限界かと思われます。
現在の96/24 ハイレゾ録音は基本的に全てこの様な特性になっています。

〈図2:96kHz/24bit オリジナル音源スペクトル〉

しかし、冒頭でも説明しました通り自然界の音は48kHz で突然終わる事は無く、更なる超高域に向かっても音が存在します。その帯域をいかに正しく再現するかが非常に重要となります。
ではその96kHz/24bit 録音を192kHz/24bit にアップコンバートし、Eilex HD Remaster 処理を行うとどの様になるのか?

図3 と4 が「時代」を192kHz/24bit 化し、Eilex HD Remaster 処理を行った波形です。

〈図3:Eilex HD Remaster 周波数分析〉

Eilex HD Remaster のアルゴリズムにより、96kHz まで超高域倍音成分が綺麗な減衰を保ちながら伸びているのが分かります。
また、同様にスペクトルも超高域方向に綺麗なグラデーションを描きながら倍音成分が伸びています。

〈図4:Eilex HD Remaster スペクトラル〉

Eilex HD Remaster が補完する倍音成分は-90~100dB 以下という超微細信号領域です。
一見、人間が到底聴こえない超音波帯域の微細信号を埋めても何ら再生音に影響しないと思われがちですが、自然の法則に則り正しい超音波成分を復活させると驚く程の違いが現れます。
また、再生側が例え20kHz までしか再生できないスピーカだとしても、同様に驚く程の違いが現れます。

これがオーディオの奥の深さ
これがオーディオの面白さです。

※Eilex HD Remaster は96kHz/24bit レコーディングを192kHz/24bit 化する際はもちろんの事、CD(44.1kHz/16bit)を88.2kHz/24bit や176.4kHz/24bit 化する際の高域補完にも有効です。

2016年6月
アイレックス株式会社

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