ハイレゾ・リリースが本格始動するDo As Infinity、大渡 亮さんインタビュー

2016/02/17
2月17日にDo As Infinityのベスト・アルバム『The Best of Do As Infinity (Hi-Res Edition)』のハイレゾ音源が発売されました。このアルバムはCDとして2014年に発売されていますが、今回は新たにマスタリングを行いハイレゾ音源化されています。
さらに同日、デビュー以来のレパートリーを再アレンジしてレコーディングしたアルバム『2 of Us [RED] -14 Re:SINGLES-』と『2 of Us [BLUE] -14 Re:SINGLES』も2枚同時発売。
ハイレゾによるリリースが本格始動するDo As Infinity。東京・池尻大橋にあるマスタリングスタジオ「form THE MASTER」で作業中の大渡 亮さんへ伺ったインタビューをご紹介いたします。

取材・文◎美馬亜貴子

『The Best of Do As Infinity (Hi-Res Edition)』
/Do As Infinity


『2 of Us [BLUE] -14 Re:SINGLES-』
/Do As Infinity


『2 of Us [RED] -14 Re:SINGLES-』
/Do As Infinity


 1999年のデビュー以来、チャートの首位に輝いた『NEW WORLD』『DEEP FOREST』(2001年)やミリオン・セラーとなった『Do the Best』(2002年)など次々に大ヒット作を連発し、常にフロントランナーとしてJ-POP界をリードしてきたDo As Infinity。2006年に一旦解散するも、その後再始動を経て、現在も意欲的な活動を続けている彼らが、今回ベスト・アルバム『The Best of Do As Infinity』をはじめ、過去の作品をハイレゾでリリースする。自身の作品と音、そして時代との関係性を大渡 亮氏が語ってくれた。


■ 作品がより良い環境で聴かれるチャンス

−− いよいよハイレゾ配信が始まりますね。

ええ、そういう挑戦ができるというのは好ましいことだと思ってます。自分たちの作品がよりよい環境で再生されて聴かれるというのは願ってもないチャンスですから。

−− これまで、ハイレゾにはどのようなイメージをお持ちでしたか?

 僕はギターを弾くんですけど、弾いた音は自分の指先を離れ、いろんな機械を通していくとどんどんフィルターをかけられて変わっていく。それは避けられないことだと、これまでは、ある意味割り切っていたんですけど、ハイレゾによって、自分がスタジオで聴いてる音を同じ状態で聴く人に届けられるということですね。

−− 今回のベスト盤『The Best of Do As Infinity』はハイレゾで聴いてどうでした?

 16年前の音源も入ってるベスト盤なので、時代性というか、そのときのレコーディングの流行りみたいなのもあって。初期の作品に関しては、同じレンジをぶつけて音を濁らせる、グランジっぽいのが流行ってた。そういう作品を解像度をよくして、どんな効果が生まれるのかな?って当初は思ったんですけどね。でも、混沌を目指して作ったサウンドも、解像度を上げてみたら、僕の今の音楽の趣味としてはアリな感じでした。濁りは少なくなるんですけど、音楽的には聴きやすくなったんです。特に僕が感じているのは楽器間の分離がよくなったこと。セパレートされているので、個々の楽器がより立体的に聞こえるようになったと思います。元々は“ちょっと中低域が分厚過ぎるかな?”と思ってたものでも、ボトムがタイトになったりとか。


■ 試行錯誤の上で手に入れたサウンド

−− 「音の良さ」と「その音楽の良さ」というのは、また別の話ですから、バランスが難しいですよね。

 ええ。僕が担当しているギターで言いますと、ギター単体でのいい音がアンサンブルの中で必ずしも良い効果をもたらすとは限らないというのが、この16年の中で学んだことです。レンジの広いサウンドを追究しても、アンサンブルの中では、ギターがスポイルされてしまう。だから逆に、ギターでいうところの上と下をスパッと切って真ん中にうまいこと収まるサウンド作りを心がけていますね。
 昔はそういうことがわからなくて、自分のギターが素晴らしく聞こえるよう、上も下もリッチな音、リッチな音ってどんどんレンジが広いサウンドばかりを目指していたんですけど、逆にオケの中に入るとベースに負けてしまったり。で、ハイにしてみたらハイハットに負けてしまうとか。“そんな広げて聞こえなかったらしょうがないじゃん”みたいなことを繰り返して学んできたといいますか……。

−− ご自身では、どんなものをハイレゾで愉しみたいですか?

 70年代初頭から82年までのアメリカの音楽ですね。“AOR”ってカテゴライズされているサウンドは、ハイレゾがとてもマッチすると思います。スティーリー・ダンとかジェイムス・テイラーとか良いかもしれませんね。アコースティック・ギターの響きが凄くよくなるんですよ。特に高音の伸び。まあ、そういう音がよく聞こえるようになって嬉しい反面、これからは慎重に弾かんといかんな、とも(笑)。

−− Do As Infinityのような音楽の場合、熱心に聴き込んでくれるファンもいる反面、コンビニみたいな音響設備のよくないところでもよく掛けられるわけじゃないですか。そういう、実際の「聴かれ方」と、作り手の「こだわり」とのバランスというのは、どのように取ってらっしゃいますか?

 いやいやもうね、コンビニだろうがどこだろうが、作ったものが流れるだけで大歓迎なんですよ、僕は。常に深く聴いてもらいたいなんて滅相もない(笑)。僕自身が気軽に音楽を聴くんでね。じっくり聴くときはそうするけど、ただ流したいときもあります。音楽なんてアイテムは、それぐらい軽いものであってしかるべきだと思うんですよ。生活の中で、常に側にあるものだと思うので、それぞれの環境で愉しめばいいと思います。今回のハイレゾに関しては、マニアックな方が最初に情報をキャッチして反応してくれるんでしょう。

■ 16年間で広がった音楽の可能性

−− 音楽を取りまく状況は変わりましたが、大渡さんご自身は、一番変わったところはどこだと感じていますか?

 この16年、成長しながらここまで来たと実感してますね。それはテクノロジーの発達によってあれができるようになった、これができるようになった、ということよりも、むしろ、自分の音楽を聴く耳とか、音楽の捉え方に関する成長の方が大きいですね。そのおかげで可能性が広がった部分はあります。

−− この16年、一度解散も経験し、それから再結成して現在に至るわけですが、Do As Infinityは現在、大渡さんにとってどのような意味を持つものになっているでしょうか?

僕が28歳のときにこのグループが始まって、6年後の34歳のときに一度解散してるんですけど、デビュー~解散~再結成と来ると、自分の人生からは切っても切れない。ちょっと音楽家らしからぬ夢のないフレーズかもしれませんが、『生活』って感じです。16年の間には、子供が生まれましたしね。ミュージシャンとしても、自分が成長していく中で、そこで得たこと、学んだことを反映させられるユニットです。最高だなと思います。

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