異彩放つ女性作曲家、未知瑠のデビュー作『WORLD’S END VILLAGE -世界の果ての村-』待望のハイレゾ・バージョンを独占配信!

2015/12/04

『WORLD’S END VILLAGE -世界の果ての村-』
/未知瑠


2009年12月、0年代の暮れにひっそりと発売された未知瑠の自主制作によるデビュー作、1stアルバム『WORLD’S END VILLAGE -世界の果ての村-』は、あらゆるジャンルの音楽を取り込みながら独自に昇華された世界観、聴く者を捉えて離さない強力なパワー、緻密に編みあげられたアレンジによる不思議な磁場、バラエティーに富んだ参加ミュージシャンなどから、音楽愛好家を中心に話題を呼び、音楽関係者やアーティストをはじめ、他ジャンルのクリエイターや作家達、また同人音楽界にまで連鎖的な広がりを見せた。宅録やボカロ等個人ベースでの音楽クリエイションが大きく発展を遂げる10年代に先駆けた、まさに0年代を締め括るに相応しい作品と言える。

オリジナル発売から6年を経てなお、聴く者を惹きつけ異彩を放つこのアルバムが、ハイレゾ・バージョンへと再ミックスされハイレゾ配信された。1st-2ndアルバムに渡って未知瑠の創作を支えてきたエンジニア松岡義昭氏の手により、再ミックスとハイレゾ版制作が行われた。松岡氏によると「CDとの最も大きな違いは何か?と訊かれるとしたら、それはハイレゾ・ファイルはスタジオで私達が聴いている音とほぼ同じということでしょう。ステレオイメージやダイナミックレンジの広さはすぐに感じて頂けると思います。尚、このハイレゾファイルはオリジナルCDに比べて平均音量が 4~6dB位小さく作られています。」とのこと。

未知瑠が様々な「女性ヴォイス」からインスピレーションを得て制作したというこのアルバムには、極上のポップスを奏でる日本の寺尾紗穂、ポーランドから気鋭のシンガーJulia Marcell、ロンドンで活躍する岡北有由、等、様々な女性ヴォーカリストが参加。

詳細な参加ミュージシャンクレジットはこちらを参照
オフィシャルサイト:http://michiru.jp/

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【ハイレゾ版 試聴レビュー】

 何度聞いても新たな発見がある。2009年12月に未知瑠のデビュー作『World's End Village』に初めて接して以来、そう強く感じてきた。1970年代中盤から音楽に浸る生活を過ごしてきたが、こんな印象を抱くアーティストには正直なところめったにお目にかかれない。そんな風に感じるのは、未知瑠の音楽に確固たる世界観がありながら、聞き手の想像力を無限に刺激してくれる何かがあるのだろう。圧倒的な構成力に打ちのめされるいっぽう、浮かび上がる情景の数々。同時に独特の気品が香り立つ。これまで彼女が培ってきた音楽の素養は当方には計り知れず、到底理解はできない。しかし、曲によって喚起される情景は確かにあるので、少なからず当方の五感は刺激を受けているはずだ。「Tin Soldier」の根底に流れている映画音楽の如きひらめき。ダニー・エルフマンのスコアに触れた時にも通じる悲壮感が貫かれている。ヴァイオリンとパーカッションが織り成す「The Thief-Nasubito-」は、ダイナミズムにあふれ聞き手を異次元へと誘う。音響的にも抜きん出て、ひときわ快音の得られる曲が中盤の「Shrink」で、聞き手はめくるめくような音の洪水に包み込まれる。
 ハイレゾ用に丁寧に制作された新たな音源は、CDで感じられた未知瑠の音楽観がいっそう静寂感を伴って迫ってくる。ミックスは細部が巧妙に練り上げられ、大型スピーカーで聞くと左右チャンネルのみならず中央にも音が蠢いている様子がおのずと伝わってくる。静謐でありながら音楽に内包されている狂気が随所で垣間見られる点が、CDでは得られないハイレゾならではの優位性だと感じる。ハイレゾで提示される本作も、やはり何度聞いても驚くほどに新たな発見がある。

(デジファイ編集部・武田昭彦)

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 ファースト・ソロが初めて世に出たのはもう6年前のこと。あらゆる音楽を陰りのある色彩で編み上げたつづれ織りのような未知瑠の音楽に初めて接したときの、自分の脳に音で直接触られたような不思議なざわめきをまだ憶えている。そしてこのざわめきを他の人とも共有したくなり、ミステリアスな音楽を好む知り合いたちに「聴いてみろ」と触れ回った憶えがある。
 今回、複雑な奥行きを持ったサウンドがハイレゾの精密な音となったことでより稠密さを増し、耳にフレンドリーなまろやかさも獲得した。時にCDの高音がきつく感じられるようになった自分の年齢相応の耳にも無理なく全音像を送り込んでくれる。例を挙げれば「世界の果ての村/はじまりの祭礼」の出だしで微かに鳴るノイズの奥行き感や「鉛の兵隊」の1分22秒目あたりでオーケストラが登場する一瞬前の息づかい。耳を澄まさずともディティールまでが自然に聞こえてくる楽曲群を、山道の峠を超えて一気に広がった眺望を目の前にしたような感覚で聴き直しているところだ。どこまでも浸りたくなるような音質でもう一度このアルバムの世界を巡れば、6年前に作られた音楽が別の姿を見せてくれるはずだ。

(音楽ライター・田山三樹)

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未知瑠 profile


東京芸術大学作曲科を主席卒業後、活動を開始。映像音楽では宮﨑駿監督のスタジオジブリ短編『たからさがし』(2011)、連続TVドラマ『恋愛時代』(2015),『たべるダケ』(2013)等のサントラを始め、横浜開国博にてパビリオンの楽曲や様々なCM,CF音楽を手掛ける。アレンジワークとしては山下智久から石川さゆり、声優の高垣彩陽、等幅広く起用されている。数々の映像作品やアーティストを裏で支える音楽家である一方、ソロ名義でも2枚のアルバムをリリース。2009年のデビュー作『WORLD'S END VILLAGE-世界の果ての村-』、そして2015年には、彼女が母となった時期に書き溜めていた楽曲をまとめた2ndアルバム『空話集 アレゴリア・インフィニータ』を発表。2作に共通し、混沌としつつも強いエネルギーを秘め構築された未知瑠独自の壮大な音楽世界が繰り広げられている。

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