【最大44%オフ】麻倉怜士セレクト 設立95周年デッカ・レコードの「世界遺産級の名演奏・名録音」

2024/04/19

1929年に、元株式仲買人のエドワード・ルイスによって設立された「デッカ・レコード」。ドイツ・グラモフォンと並び、クラシック音楽の世界最高峰レーベルとして知られ、そのサウンド・クオリティの高さからオーディオファンからも絶大な支持を得る老舗レーベルだ。その「デッカ・レコード」が今年2024年に設立95周年を迎える。そこでe-onkyo musicでは、オーディオ評論家の麻倉怜士氏をセレクターに迎え、同レーベルの珠玉の作品群をテーマ別にご紹介。第1回となる今回は、デッカ・レーベルの膨大なカタログ群より、世界遺産級の名演奏・名録音31作品をピックアップ。

また、当特集の公開を記念して2024年6月2日までの期間限定で、ご紹介の作品を期間限定プライスオフ。

是非この機会にクラシックの世界最高峰レーベル「デッカ・レコード」の名録音の数々をハイレゾでお楽しみください。

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●はじめに


 アナログ時代から名録音・高音質レーベルとしてクラシックシーンに君臨したDECCAの最高傑作を選んだ。筆者は日頃からDECCA録音の素晴らしさに感服しており、そのブリリアントで色彩感が豊か、解像度が高く、音場が濃い音調・・・を愛でている。本特集でDECCA録音の凄さを改めて認識した。
 DECCAは1929年に株式仲買人、エドワード・ルイスが設立。1930年代には急成長し、EMIと並ぶ、イギリスの2大レコード会社となった。その令名を高めたのが、敵潜水艦の音を聞き分けるソナー技術から発展した画期的なハイファイ録音方式、ffrr (Full Frequency Range Recording、全周波数帯域録音)。1945年に高域を12KHzまで伸ばしたffrrSP盤、1950年にffrrLP盤を発売し、DECCA=高音質のイメージは、LP時代に完全に確立。ステレオ開発にも熱心で、1953年に自社スタジオで、ステレオ録音の実験を開始。1954年にはエルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団の演奏を、アンペックス社のステレオ・テープ・レコーダーで収録したところ、あまりの高音質にアンセルメが驚嘆したというエピソードも。
 1958年、初のステレオレコードが発売。そのネーミングとしてFFSS(Full Frequency Stereophonic Sound、全周波数ステレオ音響)が与えられた。従来からのハイファイにステレオ音場が加わり、向かうところ敵無しの圧倒的高音質で突っ走った。その象徴がステレオ初期のワーグナーの楽劇《ニーベルングの指輪》全4部作のスタジオ録音。
 1958年9月、ウィーンのゾフィエンザールにて、サー・ゲオルグ・ショルティ指揮、ウィーン・フィルほかによる第1作《ラインの黄金》録音が始まり、1965年の《ヴァルキューレ》まで続いた。名演奏、名録音のまさに世界遺産的な記念碑だが、その録音には、当時のDECCAの最新テクノロジーが惜しみなく使われた。マイクセッティングはDECCAサウンドの基本のDECCAツリー(指揮者の上にある左、右、センターのマイクと左右のアウトリガーの組み合わせ)。当時、オペラ録音では無指向性マイクが一般的に使われていたが、エンジニアのゴードン・ペリーは単一指向性マイクをデッカツリーに取り付け、指向性パターンを細かく調整し、オーケストラのバランスを崩すことなく声楽音量をコントロールした。「ディティールと輝きを同時に求めるなら、無指向性では無理だ」(ゴードン・ペリー)から、単一指向性マイクロホンを使ったのだ。その結果、会場のゾフィエンザールの自然な輝きと、ピンポイントの正確な音場を結びつけることに見事に成功した。
 会社的には1980年にポリグラムによって買収され、現在はユニバーサル ミュージック内のユニバーサル クラシックスの一部門という位置づけだ。2007年にフィリップス・レコードのクラシック部門を買収。フィリップス原盤もDECCAの名の元に販売されている。しかし、筆者に言わせると、DECCAとフィリップスは真反対の音調であり、本セレクションでもフィリップス原盤はその旨を併記している。
 本特集でご紹介するハイレゾ音源のアーティストは以下の通り。
①指揮者はエーリヒ・クライバー、ヨーゼフ・クリップス、イシュトヴァン・ケルテス、ルドルフ・ケンペ、アタウルフォ・アルヘンタ、サー・ゲオルグ・ショルティ、エルネスト・アンセルメ、ロリン・マゼール、イルジー・ビエロフラーヴェク、リッカルド・シャイー、ケント・ナガノ、サー・ジョン・エリオット・ガーディナー、アントニオ・パッパーノ、クラウス・マケラ。
②オーケストラはロンドン交響楽団、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団、パリ管弦楽団、スイス・ロマンド管弦楽団、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティク、シカゴ交響楽団、クリーヴランド管弦楽団、モントリオール交響楽団。
③ピアニストは内田光子、ヴラディーミル・アシュケナージ、ベンジャミン・グローヴナー、ヴァレンティーナ・リシッツァ、ユジャ・ワン。
④ヴァイオリニストはチョン・キョン・ファ、ヴィクトリア・ムローヴァ、ジャニーヌ・ヤンセン、レオニダス・カヴァコス、ヒラリー・ハーン、マーク・スタインバーグ。ギタリストの村治佳織。
⑤声楽・オペラではルネ・フレミング、フレディ・デ・トマーゾ、ドロテア・レシュマン,ロイヤル・ホロウェイ合唱団、ウィーン国立歌劇場・・・。DECCAの名録音はハイレゾになり、より輝きを増し、真価を発揮している。当代超一流、そして世界遺産級の名演奏、名録音をぜひ堪能しよう。

麻倉怜士

 


 

【最大44%オフ】麻倉怜士セレクト デッカ・レコードの「世界遺産級の名演奏・名録音」


■対象作品:以下で紹介の31アイテム
■実施期間:~2024年6月2日(日)

※プライスオフ後の価格が各ページに表示されています。
※アルバム販売のみプライスオフが適用されます。



■交響曲

¥4,451 ¥2,577

『Schubert: Great C Major Symphony』
London Symphony Orchestra, Josef Krips


 名演、名録音が蝟集するシューベルト:交響曲第9番 ハ長調 D 944 《ザ・グレイト》のなかで私は、ウィーンの名指揮者、ヨーゼフ・クリップス(1902-1974)とロンドン交響楽団による本演奏をもっとも愛している。ロンドン交響楽団から典雅で情緒てんめんの音を引きだし、強い前進力と素敵な洒落が同居する名演だ。トゥッティの華やぎと弦のみずみずしさ、木管の上質さなどはまるでウィーンスタイル。第1楽章の導入部の悠々としたテンポ感と主部の躍動的な快スピードの対比が鮮やか。
 さすがのDECCAの名音だ。オーケストラサウンドとしてのスケールの大きさと明晰さと同時に細部へのキメの細かい眼差しが同時に聴け、空間感がたいへん豊かだ。奥方向に深く、音場が緻密な空気感に充たされている。第2楽章の倍音をたっぷり放出する弦の濡れた情緒感と色彩感は刮目。第4楽章の毅然とした堂々たる進行も、音響的な快感だ。1958年9月、ロンドンで録音。


¥14,259  ¥8,148

『ドヴォルザーク:交響曲全集、他』
ロンドン交響楽団イシュトヴァン・ケルテス


 43歳で亡くなった天才指揮者、イシュトヴァン・ケルテス(昔は日本では「ケルテッシュ」と発音していた)のドヴォルザークは、1961年のウィーン・フィル版《新世界より》が決定的定番演奏として有名だが、このロンドン交響楽団との全集も素晴らしい。9曲の交響曲に加え、レクイエム、セレナード、スケルッオ・カプチリオーソ、交響的変奏曲、序曲、交響詩が11曲も収録されている。1963年から1970年に掛けての長期に渡るレコーディングだが、最新盤ではないかと錯覚するほどの鮮明さ、尖鋭さ。交響曲第8番第三楽章のト短調のむせび泣き旋律が情緒たっぷりと奏され、第9番第3楽章の生命力溢れる進行感…まさに若さと躍動感、そして歌心が横溢する。DECCAらしい華麗で情報量の多いサウンドも注目。腰がしっかりとした安定した土台の上にカラフルな音色が載る。伸びも心地良い。1963~1970年、ロンドンのキングズウェイ・ホールでセッション録音。


¥3,871  ¥2,241

『マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》』
シカゴ交響楽団サー・ゲオルグ・ショルティ, 他


 冒頭、地を這う雄大、偉容なオルガンの強奏和音に乗って、大合唱が「来たれ、創造主たる聖霊よ」と発する。感動だ。最新録音なら、もっと細密に解像するところだが、1971年のアナログ録音は、微視的な再現ではなく、巨視を基調にし、スコアを構成する各部分が有機的にひとつの「響きの共同体」となるというマーラーの狙いを、そのまま聴かせてくれている。音像定位は確実だが、音がその楽器から直接出てくるという運びではなく、まずは空気を震わせ、その伝播にて耳に伝えられるという現場的な音場感。それこそが、本作品の偉大さを物語っている。1971年8月、9月、ショルティ&シカゴ響のヨーロッパ公演の際にウィーン・ゾフィエンザールで録音。


¥9,167  ¥5,500

『Sibelius: Symphonies 1-7; Tapiola; 3 Late Fragments』
Oslo Philharmonic OrchestraKlaus Mäkelä


 フィンランドは世界的な指揮者輩出国だ。エサ=ペッカ・サロネン、ミッコ・フランク、サカリ・オラモ、スザンナ・マルッキ、オスモ・ヴァンスカ、ハンヌ・リントゥ、ピエタリ・インキネン、サントゥ=マティアス・ロウヴァリ・・・と、世界で活躍するフィンランド出身指揮者は枚挙に暇が無い。本アルバムの1996年生まれのクラウス・マケラは2022/2023年シーズンからパリ管弦楽団音楽監督に就任。2027年からロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者とシカゴ交響楽団音楽監督を兼ねるという、ヨーロッパとアメリカを制覇する次世代の大スターだ。さすがのカラヤンもヨーロッパのオーケストラ中心で、アメリカオケのシェフはなかった。
 本作はオスロ・フィルハーモニー管弦楽団を振ったシベリウスの交響曲全集(第1-7番)と未完の第8番の楽章、最後の交響詩《タピオラ》という陣容だ。交響曲第2番。第1楽章冒頭のニ長調和音の上行旋律から、たいへん新鮮でヴィヴッドなシベリウスが聴ける。弦の歌わせ方、低減のピッチカートの歯切れ感、トゥッティのクリアで伸びやかな響き・・・と、この指揮者は只者ではない。第4楽章の英雄的な凱旋、息の長い熱きクレッシェンドや、低弦アルペジォと木管の対比と融合にも昂奮だ。音質も透明度が高く、オーケストラの細部にまで、描写の照明が的確に当てられている。2021年3月、5月に録音。


 

■管弦楽曲

¥4,451 ¥2,577

『España』
London Symphony OrchestraAtaúlfo Argenta


 鮮烈で、カラフル、溢れる熱気・・・とまさにタイトルの「スペイン」の魅力が爆発した、LP時代からDECCAの代表的作品として、演奏も録音もたいへん高く評価されてきた名アルバム。もっともDECCAらしい絢爛豪華な名録音だ。1957年録音だからステレオ草創期の収録だが、ハイレゾではまるで昨日録音したような鮮明さ。オーケストラの隅々に強烈なライトが当たり、その七色の反射が輝かしい。「スペイン奇想曲」は、オーケストレーションの名人、リムスキー・コルサコフの代表作だが、その音作りの綾と華麗な世界観をこれほど鮮明に表した演奏、録音は他に、ない。弦、木管、打楽器などのソロ・フィーチャーがたいへん多い作品だが、その空間感、定位感は素晴らしい。空間の一点から、ソロの音が発するのである。カスタネット、トライアングルの小音打楽器も明晰。1957年1月、ロンドン、キングズウェイ・ホールで、ロンドン交響楽団と、1957年5月、ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホールでスイス・ロマンド管弦楽団と録音。


¥4,451 ¥2,577

『Venice』
Orchestra of the Royal Opera House, Covent GardenSir Georg Solti


 サー・ゲオルグ・ジョルティ/コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団によるイタリアオペラの前奏曲、間奏曲、挿入曲集、もともとRCAレーベルで発売されていたアルバムだ。ジェームス・ウォーカーのプロデュース、ケネス・ウィルキンソンのエンジニアのDECCAチームが担当。
 コヴェント・ガーデンのオーケストラは、オペラのそれだから、まさに日常的に演奏しているレパートリー。ヴェルディ:歌劇《椿姫》第一幕への前奏曲では弦の倍音放出が尋常の値ではない。チェロのメロディ、それに被るヴァイオリンのオブリガードも豊潤な倍音で彩られる。まさにDECCAの絢爛サウンドだ。ロッシーニ:歌劇《アルジェのイタリア女》序曲、《セミラーミデ》序曲は、ショルティの爽快なドライブテクを堪能。ヴェルディ:歌劇《椿姫》第三幕への前奏曲はまるでヴィオレッタのアリアのように悲しみが深い。オッフェンバック:歌劇《ホフマン物語》の〈舟歌〉は情緒てんめん。ポンキエッリ:歌劇《ラ・ジョコンダ》から〈時の踊り〉の生命力溢れるハイスピードな躍動。録音は細部まで解像し、ステージの臨場感が際立つ。音色の華麗さ、溌剌とした進行感、濃密でクリアな音場感は、まさにDECCAのワン・アンド・オンリーの魅力だ。ステレオ黎明期の1958年1月18-20日、ロンドンはキングズウェイ・ホールで録音。


¥4,451 ¥2,577

『Falla: The Three Cornered Hat』
Teresa BerganzaOrchestre de la Suisse RomandeErnest Ansermet


 エルネスト・アンセルメはファリャ:バレエ《三角帽子》を1919年、ロンドンで初演した当の指揮者であり、1952年のモノ録音以来の3度目の1961年録音の本アルバムは、アナログ時代から決定盤とされていた。63年前の録音とは信じられない、もの凄く新鮮な音だ。冒頭の左に位置するティンパニの連打、続くセンターやや右の金管の躍動。センター位置のテレサ・ベルガンサの「奥さん、閂をかけなさい」と歌う、しっとりとした輝き。左右に拡がる男性コーラスの野性味。最後のティンパニの一撃。皮がしなり、音程が少し低くなった途端に、ホールいっぱいに響きが拡がる。鮮明、鮮鋭、そして極彩色だ。まさに、ブリリアントでカラフルなDECCAサウンドの極致、輝かしい油彩だ。ソノリティの豊かさ、色彩感の鮮やかさ、そして雰囲気感の暖かさ・・・で、特段の魅力を持つ。1961年2月、ジュネーヴのヴィクトリア・ホールで録音。カップリングは、1955年10月に同じヴィクトリア・ホールで収録された歌劇《はかなき人生》より〈間奏曲と舞曲〉、バレエ組曲《恋は魔術師》。


¥5,856  ¥3,515

『The Royal Ballet; Gala Performances』
Orchestra of the Royal Opera House, Covent GardenErnest Ansermet


 DECCAといえば本作品で決まり!と言われるほど、人口に膾炙した「THE BEST OF DECCA SOUND」だ。アナログ時代から、DECCAならこれを聴け!と喝破された定番である。これまでもLP、CD、SACD……とたくさんのメディアでリリースされている。天下のバレエ指揮者がバレエのプロフェッショナル・オーケストラから闊達で華麗なカラフルサウンドを引き出す。レコード評論家の嶋護氏は「オーケストラの描写は全景からその一員にいたるまで一点の揺るぎもない。弦楽器はステージの前面を豊穣に埋め尽くし、金管は彼方から重厚に風圧を煽る。木管楽器でさえステージの空気を揺るがしてスウィートに響き渡る」。(ステレオサウンド「クラシック名録音・究極ガイド」より引用)と述べている。音場が深い。手前に楽器群がせり出すのではなく、反対に奥行き方向に深い音像が形成されている。キングズウェイ・ホールのソノリティがたいへん素晴らしく、オーケストラの華麗な煌めきに美しい響きを加えている。
 ドリーブ:バレエ《コッペリア》の〈前奏曲とマズルカ〉では、弦と木管の濡れたアンサンブルが美的だ。アダン:バレエ《ジゼル》の〈導入とワルツ〉の大胆な弦のアゴーギクや、チャイコフスキー:バレエ《くるみ割り人形》より〈花のワルツ〉のフィナーレのなんだと思うぐらいの猛烈な追い込みには、びっくり。バレエ《白鳥の湖》の〈情景〉は悠々たるテンポで深い情緒を表出している。バレエ《眠りの森の美女》の〈序奏〉の爆発的な躍動、〈バラのアダージョ〉のたいへん濃いエモーション、〈ワルツ〉のきらびやかな健康的な色気も素晴らしい。1959年1月13-16日、ロンドンはキングズウェイ・ホールで録音。


¥3,259  ¥1,833

『スカラ座の序曲・前奏曲・間奏曲集』
スカラ座フィルハーモニー管弦楽団リッカルド・シャイー


 ミラノ・スカラ座音楽監督就任を記念して、過去にスカラ座で初演されたイタリアオペラ作品の序曲・前奏曲・間奏曲を集めたアルバムだ。あまり有名でない曲を集めたのが、いかにも職人指揮者っぽい。どこまでも明るく、華麗なカンタービレに溢れた、躍動的なイタリア的情感がたっぷり堪能。シャイーはロイヤル・コンセルトヘボウやライプツィヒ・ゲヴァントハウスを明晰でクリア、そして高輝度な音色に変えたが、始めからカラフルな本場スカラ座オーケストラは、一点の曇りもないイタリア的青空の音色だ。歌心も豊潤。序曲、前奏曲、間奏曲にはこれから始まる幕開けを待ち望ませる機能があるが、オペラの本体は収録されていなくても、それをぜひ聴きたいと思わせる演奏の躍動はさすがだ。ハイレゾは細部までの見渡しがひじょうにクリアで、しっとりとした潤い感と緻密な階調感があり、音色が多彩。2016年6月23-27日、ミラノのアルチンボルディ劇場で録音。


¥3,871  ¥2,241

『Musa Italiana』
Filarmonica della ScalaRiccardo Chailly


 モーツァルト、シューベルト、メンデルスゾーンのドイツ・オーストリア系作曲家による、イタリアを謳歌した名曲集。ブライト、愉悦的、前向きで、元気・・・シャイーのイタリア音楽は、まさにエンターテイメント。メンデルスゾーン:交響曲第4番《イタリア》の第1楽章の躍進の第1テーマを聴くだけで、その愉しさに感動。弦からも、木管からも、金管からもイタリアの躍動が伝わってくる。第2楽章のマイナーも悲劇的でなく叙情的。聴き慣れた楽譜のエディションと違う1834年改訂版は新鮮だ。第3楽章も大いに違っている。古典派的な響きといえようか。スカラ座の豊かなソノリティに捉えられたオーケストラの響きが美しく、マッシブですべらかなテクスチャーだ。2021年6月1-6日、ミラノのスカラ座で録音。


¥5,093  ¥3,055

『ストラヴィンスキー:バレエ《春の祭典》《火の鳥》』
パリ管弦楽団クラウス・マケラ


 クラウス・マケラは1996年フィンランド生まれの27歳。12歳からシベリウス・アカデミーにてチェロと指揮を学び、2020年、24歳の若さでノルウェーのオスロ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任。2022/2023年シーズンからパリ管弦楽団音楽監督に就任。2027年からロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者とシカゴ交響楽団音楽監督を兼ねる。大注目の指揮者だ。冒頭から、フルート、オーボエ、クラリネットなどの木管の饗宴が緻密でカラフル。パリ管弦楽団の木管は本当に素晴らしい。全弦強奏も剛性が強く、コントラストが強烈だ。マケラが繰り出すリズムは俊敏で小気味良い。第2部「生贄の儀式」での、切れ味と量感、色彩感はさすがのパリ管だ。「生け贄の踊り」の大地を切り裂くような金管の尖鋭な咆吼は、まさに新時代の指揮者登場を象徴している。録音はたいへん優秀。ディティールまで見事に解像し、トゥッティの迫力もスケールが大きい。特にグランカッサの大地を揺るがす轟きは凄い。2022年10月5-7日、フィルハーモニ・ド・パリで録音。


¥3,259  ¥1,833

『死の舞踏~魔物たちの真夜中のパーティ』
モントリオール交響楽団ケント・ナガノ


 ハロウィーンをテーマに魔女、魔物を描いた名曲を編んだ。交響詩《魔法使いの弟子》、《真昼の魔女》、《はげ山の一夜》、《タマーラ》、《死の舞踏》、《3つの屋外の情景》と、まさに魔法、魔女、悪魔の饗宴だ。
 1曲目はポール・デュカスの交響詩《魔法使いの弟子》。モントリオールの土地柄のフランス的なソノリティと透明感と色彩感の三重ミックスが素晴らしい。ファゴットのテーマもコケティッシュで、俊敏なもたもたさ(?)が、この物語の世界観にぴったり。弦も金管もカラフルで、きらきらしている。といっても音の質感としては過度にメタリックに傾かずに、しなやかで、上質感を保ちながら、同時にブリリアントさと色彩感を演出するという、なかなかの名技、名録音だ。3曲目はムソルグスキー:交響詩《はげ山の一夜》。この曲では、いかにもロシア的な野蛮風のキャラクターが立った演奏が多いが、ナガノとモントリオール交響楽団は、実にエレガントで、上質だ。音の進行がダイナミックで、快適。 
  しかし、要らぬ心配をしてしまうが、季節モノって、季節が過ぎても売れるのだろうか。例年、クリスマスシーズンまではクリスマス・ソングが大モテだが、過ぎるとまったく演奏されない。ハロウィーン関連はどうなのだろう。2015年10月29-30日、モントリオールのメゾン・シンフォニークで録音。


■協奏曲

¥3,259  ¥1,833

『モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番&第25番[2016年 ライヴ・イン・クリーヴランド]』
内田光子クリーヴランド管弦楽団



 内田光子/クリーヴランド管弦楽団のコンビによるモーツァルト・ピアノ協奏曲シリーズ第5弾。かつてのジェフリー・テイト指揮のイギリス室内管弦楽団との録音も名盤だった。その第17番は1986年、第25番は1988年だったから、久方振りの再録音だ。
 秋晴れの透明な空気に覆われた朝の、すがすがしい雰囲気にぴったりのピアノ協奏曲17番。内田光子のピアノがラブリー。左手のスタッカートの暖かく、俊敏な味わい。右手の旋律の麗しさ。速いパッセージでの燦めき、一音一音から発する音の神々しさ、倍音感、響きの透明感……と、すべてが素晴らしく上質だ。クリーヴランド管弦楽団の弦と管の優秀さも、ひしひしと伝わってくる。モーツァルトが、かつて予約演奏会で行ったであろう、音楽的感興とソノリティが目の前で聴けた。
 録音は実にナチュラル。木管の暖かい質感、弦の稠密さが愉しい。活発でヴィヴット、そして優しげな音が耳を心地良く撫でる。眼前にて微視的に虫メガネで覗くようなものではなく、会場の響きも加わって少し離れた位置で聴く、濃密な空気感。オーケストラとの好適なバランスの中で、密度の高いソノリティが語られる。文字通り、天晴れなモーツァルトだ。2016年2月11日-13日、クリーヴランドのセヴェランスホールで録音。


¥3,871  ¥2,241

『ベートーヴェン、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲』
ヴィクトリア・ムローヴァオルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティクジョン・エリオット・ガーディナー


 ロマン派を拓いたベートーヴェンで始まり、ロマンティック真っ只中のメンデルスゾーンで閉めるという明確なコンセプトの選曲だ。ベートーヴェンはピリオドスタイルの剛毅な古楽器オーケストラに乗って、ヴィクトリア・ムローヴァのヴァイオリンが中央に確固たる音像を持って登場。明晰なアーティキュレーションのムローヴァが、きわめて尖鋭でダイナミックなオルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティクと、丁々発止の競奏を繰り広げる。特に第3楽章はキレ味が鋭く、スリリングだ。まさに「尖鋭×尖鋭」だ。
 メンデルスゾーンでも躍動するオーケストラと硬質なヴァイオリンが、繊細で鮮明なロマンの世界を繰り広げる。ピリオド的な小気味よさと、楷書的なシャープネスは、このロマンティックな作品でも変わらない。第2楽章でも、感情の深さに耽溺することなく、スクウェアに徹している。音調は低音がしっかりと安定して再生されるピラミッド型だ。2002年6月5-7日、イギリスのイングランド地方の東部のワトフォード市コロッセウムで録音。フィリップス音源。


¥3,871  ¥2,241

『Tchaikovsky: Piano Concerto No. 1 in B-Flat Minor, Op. 23』
Vladimir AshkenazyLondon Symphony OrchestraLorin Maazel


 ヴラディーミル・アシュケナージのチャイコフスキー協奏曲は、ステレオでは本作だけ。1962年にチャイコフスキー国際コンクールで最高位をジョン・オグドンと共に獲得し、翌年の1963年に演奏活動の自由を求めてロンドンへ移住。英DECCAと契約し、DECCA録音第2弾としてロリン・マゼール/ロンドン交響楽団と協演した。アシュケナージはチャイコフスキーの協奏曲に関しては"外面的な楽曲"として、その後はレパートリーから外しているが、しかし、覇気と生命力に溢れたアシュケナージ26歳のチャイコフスキーは、30代前半のマゼールと華々しい火花を散らす。冒頭のホルンの雄渾さ、トゥッティの勢い、エネルギー感、そしてピアノの和音連打とアルペジォの強奏は、まさに若さの象徴だ。旋律に輪郭を明確に与え、その切れ味が音楽を疾走させる。その後の「模範演奏のアシュケナージ」と違い、エネルギーの発露は圧倒的だ。
  この頃のオーケストラ録音はホールトーンよりも、明からに直接音主体であり、それだけアシュケナージとマゼールの音楽づくりが明瞭に、手に取るように分かる。センターのピアノ音像が大きく、音調はひじょうに明確。ピアノの切れ味が鋭く、オーケストラの実存感と存在感も格段だ。音場の空気も澄む。まさにDECCA的な名録音だ。2004年作成のDSDマスターからflac 96kHz/24bitに変換。1963年4月、ロンドン郊外のウォルサムストウ・アッセンブリー・ホールで録音。


¥3,259  ¥1,833

『ブラームス:ヴァイオリン協奏曲/バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第1番』
ジャニーヌ・ヤンセンロンドン交響楽団サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団アントニオ・パッパーノ


 オランダ生まれ(1978年-)のジャニーヌ・ヤンセンは、いまや世界的にもっとも人気を集めるヴァイオリニストのひとり。悠々とした音の運びこそまさにブラームスだが、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団との協演は決して重苦しくなく、躍動的な進行にて、弦の美しさ、グロッシーさが愉しい。ヴァイオリンの解像感が高く、全体としてのまとまりも良い。ヴァイオリンはセンターに過大な音像ではなく、適切なサイズ感で定位している。バックのオーケストラとのバランスも良好だ。第3楽章ではヤンセンの情熱、パッパーノの熱き音楽づくりが、互いに点火し、火花を散らす。それにしてもイタリアのオーケストラの音色の何と軽やかなこと。まるでヴィヴァルディの四季的な爽やかさと清涼さではないか。ブラームスは2015年2月21-24日 ローマ、サンタ・チェチーリアで、バルトークは2014年8月26日、ロンドンはウォルサムストウ、アセンブリー・ホールで録音。


¥2,852  ¥1,629

『Bruch: Violin Concerto No.1; Scottish Fantasia』
Kyung Wha ChungRoyal Philharmonic OrchestraRudolf Kempe


 チョン・キョン・ファは東京文化会館で、ライヴに接した。圧倒的だった。まったく力まず、自然に自発的に音符が発せられる。フランクのソナタの出だしの一音一音が微細な山と谷を持つような精細フレージングは、他では聴いたことがなかった。放物線を描き自由落下するような自然体の音であった。さてブルッフのヴァイオリン協奏曲は後年、クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィルで再録音しているが、本ルドルフ・ケンペ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団版は1972年5月、24歳の時の初録音だ。揺るぎなく安定した進行の上に剛性の高い中高域が乗る。レンジ感がひじょうに広く、ヌケが良い。レトリックではなく、まさにアナログの素晴らしさをデジタルで伝えている。ヴァイオリンの音の深さからは精神性まで感じさせる。ロマンティックの極みの第2楽章も、耽溺過ぎずしっかりとした構成感で聴ける。1972年5月、ロンドンで録音。


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■室内作品

¥3,871  ¥2,241

『J.S.バッハ:イギリス組曲 第1番~第3番』
ヴラディーミル・アシュケナージ


 引退を表明した以後に録音された、アシュケナージのバッハ。アシュケナージは「スクウェアな教科書演奏家」と言われ続けてきたが、人生の黄昏の時期にバッハに取り組む、真摯な姿勢が痛感される。バッハを真正面から捉え、何の衒いも気負いもなく、自然体で取り組む、まことに誠実なバッハだ。音色は華やかで、センターに安定的に定位し、キラキラとした音の粒が勢いよく放出される。響きは豊かだが、ピアノ音はタッチが明確に捉えられている。対位法の録音で重要な各声部の独立性、明瞭性も明確に聴ける。2019年4月5日~7日、イギリスはサフォークのポットンホールで録音。


¥3,871  ¥2,241

『Liszt』
Benjamin Grosvenor


 1992年、イギリス生まれの若手ピアニスト、ベンジャミン・グローヴナー。2004年に史上最年少11歳でBBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤーのピアノ部門で優勝、13歳で協奏曲デビュー、2012年1月にDECCA・レーベルから『グローヴナー・デビュー』を発表、その後CDを多数リリース・・・と嚇々たる成果を上げている。本作リスト集は、目の覚めるような鮮烈な演奏、録音だ。リストの超絶技巧曲をこれほどの高解像度と尖鋭度で弾きこなされると、感覚的に音楽的な快感に痺れてしまう。そんな唖然とする楽しみがベンジャミン・グローヴナーのリストにある。
 それを介けるのが、きわめて鮮明で、音の立ち上がり/立ち下がりが鋭い音。和音の構成音そのものが一音一音、聞き分けられるようなハイレゾだ。切れ味は、まさに研ぎすまされたナイフだ。リストの複雑でハイテクを要求されるスコアは、こんな音を目指していたのではと想像できる鮮鋭音調。聴き手とピアノの間に何の介在物がないようなハイテンションなダイレクトサウンドの曲が続いた後で、シューベルトの《アヴェ・マリア》(かなりリスト的だが)を聴くと、まるで清涼剤のよう。2020年10月19-22日、ロンドン、クイーン・エリザベス・ホールで録音。


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『Scriabin - Nuances』
Valentina Lisitsa


 スクリャービンの没後100周年の2015年にリリースされた、ウクライナのピアニスト、ヴァレンティーナ・リシッツァ(Valentina Lisitsa 1973-)のピアノ独奏曲集『ニュアンス』。冒頭の「ワルツ ヘ短調 作品1」。音の粒がブリリアントに、カラフルに輝き、濃密なロマンティックな香りが漂ってくる。音場に直接音と響きが適度にブレンドされ、明瞭度が高く、豊潤な味わいを演出している。スクリャービンならではの官能性と感情性もハイレゾの刻明な表現力で芳しく聴ける。リリックな曲想にふさわしい美しさと透明感にあふれた録音だ。2014年12月15-17日、イギリス・サフォークス州、オールドバラ・スネイプ・モルティングスのBritten Studioで録音。


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『ヒラリー・ハーン・プレイズ・バッハ』
ヒラリー・ハーン


 ヒラリー・ハーンのCDデビュー(ソニー・ミュージック)は1997年、バッハの無伴奏作品(ソナタ第3番、パルティータ第2番&第3番)だった。それから20年後にDECCAレーベルにて「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」全曲を再録音。素晴らしい。透明度が高く、輪郭が明晰。音的、もしくは音楽的内実がきわめて緻密に描かれる。一音一音にもの凄く強い意志が漲り、細かく音場空間に飛び散る音の粒子がリジッドな体積感を持ち、そのひとつひとつに強靭な音楽的信念が籠もっている。無伴奏だからこそ、ヒラリー・ハーンの凄さが、何の虚飾なしに、ダイレクトに体験できるのである。
 音質も素晴らしい。直接音と間接音のバランスが絶妙。明瞭でクリアにして、ソノリティも豊か。小さなホールの最前列で聴いているような、鮮明なレゾリューションと臨場感が聴ける--というより、体験できる。センターに美しく定位したヴァイオリンの響きが剛毅だ。まさにヒラリー・ハーンの畢生の名演であり、ハイレゾ録音の凄さを確認できる名録音だ。2017年6月、ニューヨーク州バート大学リチャード・B・フィッシャーセンターで録音。


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『Mozart: Sonatas For Piano & Violin』
Mitsuko UchidaMark Steinberg


 内田光子とマーク・スタインバーグ(ブレンターノ・カルテットのヴァイオリニスト)のコンビの名アルバムとして名高い作品だ。筆者もCDを所有し一時は、オーディオ・イベントでのヘビロテだった。典雅で優雅なだけでなく、深い精神性と峻厳な音楽性が色濃い。モーツァルトのヴァイオリンソナタの主体はピアノで、ヴァイオリンが花を添える構造だが、フラット気味に進むスタインバーグと、歌いが濃い内田のピアノというふたりの違いとバランスは絶妙だ。二つの楽器の間の旋律と伴奏の入れ替わりの案配も精妙。2004年、ロンドンのウィグモア・ホールで行われ全曲演奏会に続いて収録されたので、ステージでの高揚がそのまま伝わってくるようだ。
 特にハイレゾになり、CDでは聴けなかったピアノとヴァイオリンのそれぞれの倍音感、響きの透明感、濃密な空気感が堪能できた。内田光子の鍵盤の速いパッセージでの燦めき、そして一音一音から発する神々しさは、本録音の白眉だ。フィリップス原盤。2004年6月28日-7月1日、イギリスのサフォーク州オールドバラのスネイプ・モルティングス・ホールで録音。


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『Brahms: The Violin Sonatas』
Leonidas KavakosYuja Wang


 ギリシャ出身で、世界的にも人気の高いレオニダス・カヴァコスと、これまたスター街道をまっしぐらに進んでいる、飛ぶ鳥を落とす勢いの中国のユジャ・ワンの共演になるブラームスだ。カヴァコスは2013年5月にはリッカルド・シャイー指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団と協奏曲を録音。ソナタ録音は2013年12月にハンブルクにて行われた。この前後に、カヴァコス+ユジャ・ワンで、ヨーロッパ各地でリサイタルを持っている。細身に引き締まり、尖鋭なカヴァコスのヴァイオリンに対し、響きをたっぷり持つボディ感が大きなユジャ・ワンの豊潤ピアノという、アンビバレントな組みあわせがスリリングだ。ユジャ・ワンの方が音楽の体積感で勝っている印象。ヴァイオリンとピアノの大きな音像が二つのスピーカーの間に、安定的に定位する。ヴァイオリンの音の質感は鮮烈だ。研ぎすまされたエッジが、ダイレクトに空気を振るわせる。2013年12月27-30日、ハンブルクのフリードリヒ・エバート・ハレで録音。


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『12のストラディヴァリウス』
ジャニーヌ・ヤンセンアントニオ・パッパーノ


 オランダの世界的ヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセンが指揮界の風雲児、アントニオ・パッパーノのピアノ伴奏と共に、12のストラディヴァリウスを弾き分ける、世にも貴重なヴァイオリンアルバムだ。2020年11月30日~12月2日に、ロンドンのカドガンホールで録音。英Sky ArtsのTV番組とのタイアップ企画だ。演奏するストラディヴァリウスは12挺。クライスラー33、クライスラー34、アラード、サン・ロレンツォ、キャプテン・サヴィル、ヴュータン、シュムスキー、イダ・ヘンデル、De Chaponay、タイレル、ミルシテイン、ティツィアーノ---だ。では、全曲のインプレッションを述べよう。
1.ファリャ/クライスラー編:スペイン舞曲(ストラディヴァリはクライスラー34)「華麗でカラフル。伸びがよく、ダイナミック」。
2.スーク/愛の歌 作品7の1(アラード)「馥郁とし、色気がたっぷり。チャーミングな音色」。
3.C.シューマン:3つのロマンス 作品22 第1番(サン・ロレンツォ)「麗しく、秘められた感情が顔を覗かせる。潤いに満ちる」。
4.R.シューマン:幻想小曲集 作品73(キャプテン・サヴィル)「ニュアンス表現の語り口が多い。ロマン派ならではの感情の大きさ、深さが聴ける」。
5.ヴュータン:3つの無言歌 作品7 第3曲:失望(ヴュータン)「伸びやかで、テンションの高い歌いが麗しい。激しく揺れ動く感情を巧みに表現」。
6.チャイコフスキー/アウアー編:歌劇「エフゲニー・オネーギン」から「レンスキーのアリア」(シュムスキー)「冷気に吹かれるなかに、燃える情熱を湛える、ロシア的な憂愁」。
7.シマノフスキ:「神話」作品30第1曲:アレトゥーサの泉(イダ・ヘンデル)「不条理と不可思議に揺れ動く感情を見事に表現するヴァイオリンだ」。
8.ラヴェル:ハバネラ形式の小品(De Chaponay)「色彩的、カラフルなテンション感。キラキラする」。
9.エルガー:ため息 作品70(タイレル)「優しさと、包容。かそけき歌いの美しさ」。
10.ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 作品19から 第3楽章(ミルシテイン)「中域を主体にした歌の世界」。
11.チャイコフスキー:メロディ 作品42の3(ティツィアーノ)「ワイドレンジになり、高域まで、すうっと伸びる、心地の良いクリアさ」。
12.ホイベルガー/クライスラー編:真夜中の鐘(クライスラー33)「煌びやかに派手に、描く舞踏会。ウィーン風の色気がたっぷり」。
13.クライスラー:シンコペーション(クライスラー34)「典雅で古典的なサウンド。チャーミングで可愛い」。
14.クライスラー:愛の悲しみ(クライスラー33)「色気と美しさ」。
15.ジェローム・カーン/「ロバータ」からイエスタデイ(シュムスキー)「不思議な柔らかさ。しっとりと心に染みいる」。
 2020年11月30日-12月2日、ロンドンはカドガンホールで録音。


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『ラプソディー・ジャパン』
村治佳織


 村治奏一とのデュエットによる2台ギターとソロギターで奏でる日本の名歌集。透明感の高いジェントルな音色が、日本の叙情を高らかに歌う。メロディを歌う佳織のギターは太く、音色もカラフルで、音の到達力が強い。奏一のギターは細身で優しい。2つのギターの音色の違いとその融合がハイレゾで鮮明に再現される。《花は咲く》は佳織の独奏。撥音に込めた優しく、深い思いが、ひじょうにクリアに伝わってくる。ハイレゾの表現力にてこの曲の情感がさらに深い部分まで到達したといえよう。映画『ディア・ハンター』テーマ曲の《カヴァティーナ》(スタンリー・マイヤーズ作曲)は深い感情と限りなき優しさを湛えた名演だ。2016年8月22日-25日、松本市音楽文化ホールで録音。


■声楽

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『Il Tenore』
Freddie De TommasoPhilharmonia OrchestraPaolo Arrivabeni


 イギリスのスター・テノール、フレディ・デ・トマーゾ初のオペラ・アリア集。DECCAはデル・モナコ、ベルゴンツィ、ディ・ステファーノ、パヴァロッティ・・・と、錚々たるスター・テノールが蝟集するレーベルだ。デ・トマーゾは2021年にDECCAと契約。〈誰も寝てはならぬ〉〈星は光りぬ〉、〈花の歌〉など、プッチーニとビゼーによるテノールの人気曲と歌劇《トスカ》、《蝶々夫人》、《カルメン》の最後のシーンの有名な愛のデュエットをソプラノ、メッゾ・ソプラノと協演している。音場センターに大きな音像を持ち、少し奥まった位置のオーケストラを従えて、朗々ためテノールを披露する。「14.Bizet: Carmen, Act 4 - Viva! Viva! La course est belle!」は《カルメン》第四幕のフィナーレ。オーケストラと合唱、そしてメッゾ・ソプラノ、テノールという複数の音像を、ひじょうにクリアで、音の立ちが俊敏な描写で、見事に高解像度に描いている。色彩感豊かな音色が、《カルメン》に見事に合致する。2021年11月24-26日、ロンドン、St.Jude-On-The-Hillで録音。


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『シューマン:《リーダークライス》《女の愛と生涯》/ベルク:初期の7つの歌』
ドロテア・レシュマン内田光子


 第59回グラミー賞「最優秀クラシック・ヴォーカル・アルバム(ソロ)」を受賞した、シューマン、ベルクの愛をテーマにしたアルバムのハイレゾ版。内田光子の伴奏アルバムとしては、かつてイギリスのテノール、イアン・ボストリッジとのシューベルト《美しき水車小屋》
の娘録音が名盤の誉れ高い。歌曲伴奏はそれ以来、12年ぶりだ。2015年5月、ロンドンのウィグモア・ホールでのリサイタルのライブ収録だが、歌唱とピアノは、音場センターに慎ましく定位。透明感の高い、すっきりと伸びるレシュマンの歌唱に、しなやかに、そして情感豊かに添う内田のピアノは音響的に好適なバランスを聴かせる。レシュマンのヴィブラートが空間にすがすがしい輝きと色彩感を与え、美しく消え行く響きが上質だ。内田のビアノは伴奏の域を超え、シューマンの深遠な精神世界を投影し、聴く者をその世界に誘う。録音会場の上質な響きの中で、しかし、歌とピアノの音像はひじょうにクリアだ。ライヴにしては珍しいほどの高音質。2015年5月2日、5日、ロンドンはウィグモア・ホールでライヴ録音。


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『Winter Songs』
Ola GjeiloThe Choir of Royal Holloway12 ensemble


 1978年、ノルウェー生まれの作曲家/ピアニスト、オラ・イェイロの作品は多くの合唱団で広く歌われている。彼のアルバムは、これまではもっぱらノルウェーの高音質レーベル2LやイギリスのCHANDOSからリリースされていたが、本作はDECCAからリリース。格が一段上がった格好だ。本アルバムを貫く基調的な優しさは、北欧のまったりとしたライフスタイル「ヒュッゲ=Hygge」(デンマーク語で「温かな居心地がいい時間や空間」という意味)をオマージュして生まれた音楽だからだ。特に、よく知られたクリスマス・キャロルがHyggeしている。
 1曲目の「Gjeilo: The Rose」はコーラスとピアノのコラボ。混声コーラスが厚く、音色がカラフルで、テンションが高い。弦の重層感と相俟って、感情的な高揚を感じる。2つのスピーカーの間の深い音場から分厚いサウンドが浮かびあがり、聴き手に迫り来る。10曲目、「AWAY IN A MANGER」(邦題「飼葉桶の中で」))は有名なクリスマス・ソング。ハミングコーラスを背景に、透明感の高いソプラノが静謐に歌う場面は、2Lのデジャヴのようだ。15曲目の締めのROSE2は、朗々と奏でられるチェロとピアノが分厚いサウンドと共にファンタジーの世界に誘う。録音は重層感を明瞭に伝える。パート・ゴフ(合唱指揮)ロイヤル・ホロウェイ合唱団、2017年6月9‐11日、イギリス、セント・ジュード・オン・ザ・ヒルで録音。


¥3,871  ¥2,241

『Voice of Nature: The Anthropocene』
Renée FlemingYannick Nézet-Séguin


 「気候変動危機」をテーマにしたルネ・フレミングのコンセプトアルバム。といっても声高にそれをストレートに訴えるのではなく、『Voice of Nature: The Anthropocene』のタイトルが表しているように、The Anthropocene(人類の時代)に、自然の声に耳を傾けて作曲された古今の楽曲を集めた。
 「5.フォーレ:ひそやかに(5つのヴェネツィアの歌 作品58より 第2曲)」、「7.リスト:美しい芝生が広がるところ」、「14.グリーグ:6つの歌作品48より 第5曲:ばらの季節に」・・・というロマン派の曲に加え、現代のケヴィン・プッツ(1972年生まれのアメリカの作曲家。交響曲やオペラなど大規模作品から独奏楽器のための作品まで、多作)とキャロライン・ショウ(1982年生まれのアメリカの作曲家/ヴァイオリン奏者/歌手)に委嘱した最新作品が収められている。
 そのプッツ「1. Evening」は素敵にロマンティックな楽曲。ルネ・フレミングの艶と優しさと、高貴な音調にまことにふさわしい。ヤニック・ネゼ=セガンのピアノ伴奏も繊細で、とても感情が豊かだ。「2.Faure: 2 Songs, Op. 83 - No. 1, Prison」も美的で静謐だ。ピアノとヴォーカルのバランスが好適で、響きは豊かだが、どちらもとても明瞭。ヴォーカルの音像はタイトにまとまり、その背後にピアノが佳き伴侶を演じている。2021年4月27日-5月1日に、フィラデルフィア、キンメル・センター、ヴェライゾン・ホールで録音。


¥8,148  ¥4,685

『モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》』
リーザ・デラ・カーザヒルデ・ギューデンアルフレート・ペルチェーザレ・シエピウィーン・フィルハーモニー管弦楽団エーリヒ・クライバー



 リーザ・デラ・カーザ、ヒルデ・ギューデンなど往年の名歌手と、エーリヒ・クライバー・ウィーン・フィルによる極上の伝説的名演奏。クライバー最晩年(逝去の半年前)で、ステレオ初期、1955年6月のたいへん貴重なセッション録音だ。当然アナログ録音だが、経年を考えると意外なほど鮮烈で、クリアだ。当時のウィーン・フィルのまさに馥郁というしか表現できない芳しい音色が最大の魅力。ヴァイオリン群の高域の音色のチャーミングなこと。旋律のトップをちょっとしゃくりあげる様が色気たっぷりだ。名歌手の声質にはさすがに歴史を感じるが、最近のセッションのようにオーケストラとの調和する行き方ではなく、歌手の声をくっきりと隈取りする音像感から50年代の雰囲気、匂いが伝わってくる。1955年6月21-27日、ウィーンのレドゥーテンザールで録音。


¥4,685  ¥2,648

『Dvořák: Requiem, Biblical Songs, Te Deum』
Czech PhilharmonicJakub HrůšaJiří BělohlávekPrague Philharmonic ChoirJan MartiníkAilyn PérezChristianne StotijnMichael SpyresSvatopluk Sem


 最強のチェコ音楽体験とは、チェコの音楽家によるドヴォルザーク作品演奏を聴くことだ。民族性をベースに書かれた作品をその民族が演奏する正統性は誰も否定できない。その意味で本アルバムは最強だ。ドヴォルザークの「レクイエム」と「テ・デウム」をフルシャ&チェコ・フィル、同「聖書の歌」をビエロフラーヴェク&チェコ・フィル・・・とドヴォルザーク作品をチェコ指揮者、チェコオーケストラが演奏する、まさに正しいチェコ体験だ。
 ライヴ・レコーディングだが、会場の響きとオーケストラや独唱、合唱とのバランスがすこぶる好適だ。会場で眼前に聴いているハイソノリティ。明瞭度も高い。「2.レクイエムGradual昇階曲」では、ソプラノ独唱が会場に広く拡散する様子が生々しい。「3.レクイエム・ Dies Irae怒りの日」は全合唱とオーケストラのスケールの雄大さ、フォルテの突き上げ感。「テ・デウム」は合唱とオーケストラという録音に難しい演目だが、空気感が透明で、響きのクリア度も高い。ソプラノ独唱が暖かい響き。「レクイエム」は2017年9月11-14日、「聖書の歌」は2017年2月27-28日、「テ・デウム」は、2018年12月17-21日に、プラハのルドルフィヌム・ドボルザークホールで、ライヴ収録。




 

 

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