“猫みたいにただ一緒にいられる音楽”を──前作が世界150カ国で大反響!Shiori Sugayaの新作ピアノ・ソロ・アルバム『Phase』

2023/08/04

わかりやすくいえば、“チル”あるいは“リラックス”。けれど単なる “癒し系”にとどまらず、わずか3~4分のトラックのなかに、静かな詩情が漂うメロディや繊細なハーモニーの変化を織り込んだソロ・ピアノ──。

昨年2月に自主レーベル「Panomated Records」からリリースした1stアルバム『Shade』が、世界150カ国で反響を呼び、ストリーミングサービスでは累計200万回再生を突破。
今後ますますの活躍が期待されるソロ・アーティスト、Shiori Sugayaの2ndアルバム『Phase』がリリースされました。

■Shiori Sugaya 2ndアルバム『Phase』 Panomated Records
1.  Coincidence
2.  Tender
3.  Flow
4.  Dolls
5.  金木犀(Fragrant Olive)
6.  Candles
7.  Fog
8.  Lost
9.  Confusion
10. Reminiscence
11. Sprout
*3, 4, 5, 6, 10 は新録音

 

「菅谷詩織」として、ピアノや鍵盤ハーモニカの演奏者、作曲家、編曲家として活動してきた彼女は、なぜ、新名義「Shiori Sugaya」でのデジタルアルバム制作という新しい取り組みを始めたのでしょうか。
『Phase』の制作を終えたばかりの6月中旬、本人にインタビューを行いました。

 

 

──ソロ活動を新たに始めたきっかけを教えてください。

Shiori Sugaya :
きっかけは、ナクソス・ジャパンの長門裕幸さんからデジタルアルバム制作の提案を受けたことです。 長門さんが教えてくれたトイポップやアヴァンポップといったジャンルの作品はとても魅力的で、ソロ・アーティストとしての創作意欲を刺激されました。

その後、1stアルバム『Shade』の前身になるデモトラックを制作したところ、こうしたタイプの曲はストリーミング・サービスで好んで聴かれると教えていただき、ナクソス・ジャパンにディストリビューションをお願いすることになりました。
私は基本的に、自分で主体的に何かを見つけるよりも、他の人から刺激を受けて自分の方向性を決めていくことが多いです。3人組の音楽ユニット「おんがくしつトリオ」で私が担当している鍵盤ハーモニカも、高校時代に恩師からすすめられて始めました。

「おんがくしつトリオ」は「菅谷詩織」名義で活動するあんさんぶる。
鍵盤ハーモニカの演奏に加え、「Moon River」(トラック7)ほか4曲の編曲を担当している。




──Shiori Sugayaさんの作品は、どれも3~5分前後で、「チル」や「リラックス」というワードが似合いそうなテイストです。しかしよく聴くと、決して耳あたりが良いだけではなく、繊細さや複雑さを兼ね備えた音楽であると感じます。

Shiori Sugaya : そうした作風は、ひょっとしたら私自身の生まれ持った性格によるものかもしれません(笑)。
でも、努力してそういう曲を創っているという側面もあります。これまでの演奏活動によって身につけた作曲技法や、これまでに聴いた音楽からの影響をなるべく反映させずに、とらえどころがないものをあえて作ろうといつも意識しています。

Panomated Recordsを設立したときに、「猫みたいにただ一緒にいられる音楽」というステートメントを提示したのですが、そのポリシーは1年半を経たいま現在も変わっていないと思います。

1stアルバム『Shade』が提示するイメージは「陽が当たれば落ちる淡い陰(shade)」。
ゆっくりと姿かたちを変えながら静かに鳴り続けるピアノが、多くのリスナーの支持を集めた。




──ニュー・アルバム『Phase』のコンセプトを教えてください。

Shiori Sugaya : 1stアルバムをリリースしたあと、身近な人の死と新しい命との出会いを経験しました。このアルバムの収録曲のうち、新作(トラック1、2、7、8、9、10)は、その2つの出来事をもとに創っています。たとえばトラック9の「Confusion」は、タイトルのとおり、身辺の変化による自分自身の戸惑い(Confusion)がイメージの元になっています。

新作以外の曲(トラック3、4、5、6、11)は、昨年から今年のはじめにかけてシングルとしてリリースし、このたび再録音を行った作品です。幼少期のクリスマス(トラック6/Candles)や、祖母との交流(トラック11/Reminiscence)など、過去や過去に対する想いをベースにしている作品が多いです。

過去はすでに記憶や思い出として形になっていますが、現在の心情は移ろい変化し続けているので、曲にするのが難しいと感じることもありました。ただ私の曲は、出来事や感情や思い出そのものを音楽によって描いているわけではありません。音楽とテーマとの間にはかなり距離があると思います。

またこのアルバムでは、新しい工夫として、音のピッチをこれまでよりも下げました。自分が作曲のときに頭で鳴らしている音が、一般的なピアノのピッチと合わないとずっと感じていました。もっときらびやかではない、落ちついた音にしたいと願っていたので、それが実現できてよかったです。


経験したことそのものが、音楽のテーマではない。
ゆるやかなようで芯のある作品づくりが、奥のリスナーの心をとらえる。




──今後の夢を教えてください。たとえばライブ活動などに興味はありませんか?

Shiori Sugaya :普段の音楽活動のなかではライブ活動をたくさん行っているのですが、Shiori Sugayaとしてライブをするのは、正直なかなか想像ができないですね……。自宅のスタジオでひとりきりで作ってきた音楽ですし、聴く方も、ひとりでこっそりと家のなかで聴いてほしいなと思ったりもします(笑)。

ただ、私と同じような「引きこもり」的な側面を持っているアーティストさんは実は多いのではないでしょうか。アーティストは聴衆に対して何かを与える大きな存在でもありますが、等身大の自分として音楽を奏でたいという想いもあります。Shiori Sugayaとしての活動を通じて、私が持つ後者の側面に共感してもらえたらと思います。

一方で、音楽以外のアーティストとのコラボレーションにはとても興味があります。特に映像作家とコラボレーションすることは夢のひとつです。この新しいアルバムがたくさんの人に聴かれて、その結果、未知のアーティストと出会うことができたらうれしいです。

──ニュー・アルバム『Phase』が、Shiori Sugayaさんとリスナーとの新たな出会いを作ることを楽しみにしています。

 

 

Shiori Sugayaの活動は、現代に生きるアーティストの活動の新たな可能性を示すものでもあります。ぜひ、2ndアルバム『Phase』の静謐な世界をお楽しみください。
また、現在開催中の「e-onkyo music FINAL SUMMER SALE」にて、1stアルバム『Shade』20%オフで展開中です。ぜひニュー・アルバムとあわせてチェックしてください。

 

■Shiori Sugaya プロフィール
ピアニスト、鍵盤ハーモニカ奏者、作編曲家。アンサンブルへの参加からサウンドトラックの編曲まで多彩な活動を行う。2022年、“Shiori Sugaya”名義でプライベート・レーベル「Panomated Records」を設立。2022年2月リリースの1stアルバム『Shade』は、全世界150ヶ国以上で再生され、累計200万回再生を突破した。2023年8月、2ndアルバム『Phase』を新たにリリース。

-InstagramほかSNS:@_panomated/
-YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCG26b08c610PGsWe9cKQrMA



Shiori Sugaya ハイレゾ・カタログ一覧


 | 

 |   |