『A Story Of Wind And Clouds』
Tomonao Hara Group
日本を代表するジャズ・トランペット奏者で作曲家の原朋直さんの新たなリーダー作『A Story Of Wind And Clouds』のレコーディングは、前作『Circle Round』と同じく、エンジニアのMick沢口さんが惚れ込んだ「Studio Tanta」で敢行されました。メンバーも前作と同様に、原朋直(Tp)、鈴木央紹(Sax)、宮川純(Pf・E.Pf)、朝田拓馬(E.Gt)、池尻洋史(Ba)、デニス・フレーゼ(Drs)の6人編成。高い評価を獲得した『Circle Round』からさらに進化したグループのグルーヴを、ハイレゾならではの解像度でお楽しみいただけます。
「タイトルが深い意味を持つ楽曲による作品集」
2020年夏、6月にリリースした『Circle Round』についての一連の活動も落ち着いた頃、私の頭の中では次のアルバム制作への構想が練り始められていた。本作『A Story Of Wind And Clouds』のアルバムコンセプトは「タイトルが深い意味を持つ楽曲による作品集」である。これまで私は、読んだ本や観た映画、インターネットなどによって触れることのできる識者や賢者の考えや思いを自分なりに取り込み深化させてきた。今回それらを素にいくつかのタイトルを生み出し、そのタイトルの持つイメージを音楽的な想像力で膨らませ作曲に繋げた。
それらの楽曲はジャズの即興演奏によって更に世界を広げ、やがて聴く人たちそれぞれの感性に沿ってその内面に降りていくだろう……私はそんな想いを抱きながらバンドにその成長を託した。
レコーディングではそれぞれのミュージシャンの個性が一段と際立つ演奏となり、各ストーリーテラー(ミュージシャンたち)の語る「お話」がコラボレーションしてやがて大きな流れを生み出し、壮大な世界が構築されていった。終始リラックスしたムードの中、いつものライブとは違うサイズで演奏した"E.O."を除き他9曲は全てワンテイクで収録。あっという間の5時間だった。(「原朋直セルフ・ライナーノーツ」より抜粋)
ここに、本作のエンジニアであり、UNAMASレーベルを主宰するMick沢口さん、そして原朋直さんからのコメントをご紹介します。
Mick沢口さん(左)と原朋直さん
「UNAMASレーベルからリリースする原朋直さんのオリジナルアルバム(リーダー作)は、『Color As It Is』(2015年)、『Time In Delight』(2017年)、『Circle Round』(2020年)に次いで、本作で4枚目になります。スポンサーやレーベルの意向でなく自分が本当に表現したいと思った音楽を、お気に入りのメンバーと制作してきた彼の姿勢は、日本の音楽制作にとって大変貴重な姿勢です。私は、最初のアルバム制作からエンジニアを担当してきましたが、今回はあらかじめ5.1chサラウンドミックスが成立するようなマイキングを前提に進めたのが今回の大きな特徴です。ジャズは、音像を絞るという性質上、なかなか広がり感やサラウンド感を表現できにくいジャンルです。メンバーは前作同様6人編成ですが、今回はメインフロアにサックスとトランペットを、そして各ブースにピアノとローズ、ギター、ベース、ドラムを配置し、それぞれがL-C-Rで成立できるマイキングを行っています」(Mick沢口)
「沢口さんとの作業はいつも、自分にとって大きな恵みをもたらしてくれるものであり、それは回を重ねるごとに増しています。今回もバンドのサウンドの最良な状態を作り出していただきました。感謝と尊敬しかありません」(原朋直)
「Studio Tanta」で行われたレコーディングのマイクセッティング
◎アルバム情報
Tomonao Hara Group:
原朋直 Tomonao Hara(Trumpet)
鈴木央紹 Hisatsugu Suzuki(Tenor & Soprano Saxophone)
宮川純 Jun Miyakawa(Piano & Rhodes)
朝田拓馬 Takuma Asada(Guitar)
池尻洋史 Hiroshi Ikejiri(Double Bass & Electric Bass & Ukulele Bass)
デニス・フレーゼ Dennis Frehse(Drums)
Recorded on March 7th, 2023 at Studio Tanta, Tokyo
Produced by Tomonao Hara(原朋直)
Recorded by Mick Sawaguchi(Mick沢口)
Mixed by Mick Sawaguchi(Mick沢口)
Mastered by Mick Sawaguchi(Mick沢口)
Assistant Engineer: Kenta Suzuki, Taiyo Takeuchi(鈴木健太、武内太洋)
Video production: SAKAMOTOgraph.
今回も素晴らしいグルーヴを披露した原朋直グループの皆さん
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