連載『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』 第28回

2015/11/04
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【バックナンバー】
<第1回>『メモリーズ・オブ・ビル・エヴァンス』 ~アナログマスターの音が、いよいよ我が家にやってきた!~
<第2回>『アイシテルの言葉/中嶋ユキノwith向谷倶楽部』 ~レコーディングの時間的制約がもたらした鮮度の高いサウンド~
<第3回>『ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」(1986)』 NHK交響楽団, 朝比奈隆 ~ハイレゾのタイムマシーンに乗って、アナログマスターが記憶する音楽の旅へ~
<第4回>『<COLEZO!>麻丘 めぐみ』 麻丘 めぐみ ~2013年度 太鼓判ハイレゾ音源の大賞はこれだ!~
<第5回>『ハンガリアン・ラプソディー』 ガボール・ザボ ~CTIレーベルのハイレゾ音源は、宝の山~
<第6回> 『Crossover The World』神保 彰 ~44.1kHz/24bitもハイレゾだ!~
<第7回>『そして太陽の光を』 笹川美和 ~アナログ一発録音&海外マスタリングによる心地よい質感~  スペシャル・インタビュー前編
<第8回>『そして太陽の光を』 笹川美和 ~アナログ一発録音&海外マスタリングによる心地よい質感~  スペシャル・インタビュー後編
<第9回>『MOVE』 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト ~圧倒的ダイナミクスで記録された音楽エネルギー~
<第10回>『機動戦士ガンダムUC オリジナルサウンドトラック』 3作品 ~巨大モビルスーツを感じさせる、重厚ハイレゾサウンド~
<第12回>【前編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第13回>【後編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第14回>『ALFA MUSICレーベル』 ~ジャズのハイレゾなら、まずコレから。レーベルまるごと太鼓判!~
<第15回>『リー・リトナー・イン・リオ』 ~血沸き肉躍る、大御所たちの若き日のプレイ~
<第16回>『This Is Chris』ほか、一挙6タイトル ~音展イベントで鳴らした新選・太鼓判ハイレゾ音源~
<第17回>『yours ; Gift』 溝口肇 ~チェロが目の前に出現するような、リスナーとの絶妙な距離感~
<第18回>『天使のハープ』 西山まりえ ~音のひとつひとつが美しく磨き抜かれた匠の技に脱帽~
<第19回>『Groove Of Life』 神保彰 ~ロサンゼルス制作ハイレゾが再現する、神業ドラムのグルーヴ~
<第20回>『Carmen-Fantasie』 アンネ=ゾフィー・ムター ~女王ムターの妖艶なバイオリンの歌声に酔う~
<第21回>『アフロディジア』 マーカス・ミラー ~グルーヴと低音のチェックに最適な新リファレンス~
<第22回>『19 -Road to AMAZING WORLD-』 EXILE ~1dBを奥行再現に割いたマスタリングの成果~
<第23回>『マブイウタ』 宮良牧子 ~音楽の神様が微笑んだ、ミックスマスターそのものを聴く~
<第24回>『Nothin' but the Bass』櫻井哲夫 ~低音好き必聴!最小楽器編成が生む究極のリアル・ハイレゾ~
<第25回>『はじめてのやのあきこ』矢野顕子 ~名匠・吉野金次氏によるピアノ弾き語り一発録りをハイレゾで聴く!~
<第26回>『リスト/反田恭平』、『We Get Requests』ほか、一挙5タイトル ~イイ音のハイレゾ音源が、今月は大漁ですよ!~
<第27回>『岩崎宏美、全53シングル ハイレゾ化』 ~ビクターの本気が、音となって届いたハイレゾ音源!~
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『A Twist Of Rit』 Lee Ritenour
~これを超えるハイレゾがあったら教えてほしい、超高音質音源!


■ 音展イベント、満員御礼!

イベント『“厳選 太鼓判ハイレゾ音源”を聴く!in音展2015』は、立ち見が出るほどの大盛況でした。本当にありがとうございます!


TEAC/S-300NEOという13㎝同軸2ウェイユニットの小型スピーカーを、高精度セッティングや特殊テクニックを駆使し、バリバリ鳴らすことに大成功!「まさかサブウーファー無しで、こんな小さなスピーカー単体で鳴っているとは!」と、驚いてお客さんがたくさん入ってくださったようです。噂では、もれ聴こえるサウンドがあまりに豪快だったため、高級オーディオ・メーカーの担当者が偵察に来たとか来ないとか。

このTEAC小型システムでの音展パフォーマンスが大好評でしたので、次回の太鼓判ハイレゾ音源イベントでは再登場してほしいところです。またギブソン・ショールームでのイベントを企画中ですので、ぜひ遊びに来てくださいね!

■ このハイレゾ音源には、CD規格では絶対に敵わない

音展イベントで鳴らして大好評だったのが本作。イベント後に購入いただいた方も多く、「家で聴いても凄かった!」とご感想メールがたくさん届きました。

『A Twist Of Rit』 (96kHz/24bit)
/Lee Ritenour




リー・リトナー作品としては、第15回『リー・リトナー・イン・リオ』に続いて2作目の太鼓判ハイレゾ音源ですが、こちらの『A Twist Of Rit』は最新作。アナログ録音全盛のころの旧作ではなく、コンピュータ録音時代になって、まさかのこの超絶サウンド。そこが凄いんです。

サウンド傾向としては、巨大な器に記録された無尽蔵の音楽エネルギーという感じで、楽器がうなりを上げて迫ってくるエネルギッシュな音。サウンドステージも広大です。

私はCD規格44.1kHz/16bitでも、「再生テクニックを駆使すれば信じられないようなサウンドで鳴る」と日々主張しています。しかし、流石にこの『A Twist Of Rit』には完敗。どうあがいても、CD規格ではこの音は出せません。仮にCD規格でここまで鳴らせるシステムが完成したとしても、このハイレゾ音源を鳴らせば軽くその上を行くことでしょう。

ハイレゾ音源というひとくくりにできないほどの鳴りっぷりを本作に感じます。個人的には、超ハイレゾと呼んで分類してもいいと思えるくらいです。

実はリー・リトナー氏の前作『Rhythm Sessions』も素晴らしい音質でした。『Rhythm Sessions』のハイレゾ音源は日本未発売で、私は仕方なく海外サイトで購入したのですが、これがまた絶品!2013年に聴いた中でベスト・ハイレゾに選出しましたし、未だに機器やケーブル開発のリファレンスとして使用している音源です。

その『Rhythm Sessions』続く新作『A Twist Of Rit』は、無事にe-onkyoで発売されたのですが、話題作としてピックアップされるわけでもなく、いつの間にか出ていたという感じ。私も実はリコメンド・コーナーで見つけたのでした。その『A Twist Of Rit』が、ここまで大当たりの高音質だったとは!これだからお宝ハイレゾ探しは止められません。

2作品連続で超高音質だったことを考えると、音の魔法使いが居るとしか考えられません。同時期に発表されているフュージョン系新作と『A Twist Of Rit』を比較すると、あまりに音質的にかけ離れているため、そう思わずにはいられないのです。音の魔法使いはリー・リトナー氏本人か、エンジニアなのか、それとも機材開発者なのか・・・。そんなことはどうでもよく、ぜひこの調子で超高音質ハイレゾ音源を連発してほしいものです。

こんな感じのハイレゾ音源が、日本でも制作できないものでしょうか?誰が聴いても、どんなシステムで聴いても素晴らしいのではないか?そう実感できるほど、『A Twist Of Rit』は私の周りでは絶賛です。単に音圧が高いとか、低音のレベルが大きいとか、そういうことではなく、音楽のエネルギーが濃い。これからの高音質化ポイントだと感じる、太鼓判ハイレゾ音源です!

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筆者プロフィール:

西野 正和(にしの まさかず)
3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。音楽専門衛星デジタルラジオ“ミュージックバード”にて『西野正和のいい音って何だろう?』が放送中。

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