あなたは普段どんな環境でハイレゾ音源を聴いていますか?本稿はふだんスピーカーでハイレゾ音源を聴いている方にこそ読んでいただきたいポータブル・オーディオの特集です。「日頃から本格スピーカー再生に親しんでいる方こそ、それとの対比によってポータブルならではの魅力もより深く楽しめるはず(本文より)」なのです!今回は人気DAPブランド「Astell&Kern」にご協力いただき、オーディオライター高橋敦氏にポータブル・オーディオの魅力について語っていただきました。
文・選盤・写真:高橋 敦
写真・構成:竹田泰教(e-onkyo music)
提供: 株式会社アユート
【INDEX】
・ポータブルならではの聴こえ方で楽曲の新たな魅力を発見
・e-onkyoで購入した曲をAstell&Kern DAPで再生するまでの手順
・A&norma SR25 MKII × ハイレゾ音源
・KANN MAX × ハイレゾ音源
・A&ultima SP3000 × ハイレゾ音源
・豪華プレゼントが当たる!Twitterフォロー&RTキャンペーン詳細

ポータブルならではの聴こえ方で楽曲の新たな魅力を発見
DAP(デジタルオーディオプレーヤー)とイヤホンやヘッドホンによるポータブル・オーディオは、本格的なスピーカー再生システムを導入できない際の代替でしかないのでしょうか?
いえいえポータブルにはそれならではの魅力があります。日頃から本格スピーカー再生に親しんでいる方こそ、それとの対比によってポータブルならではの魅力もより深く楽しめるはずです。
場所に縛られない「ポータビリティ」はもちろん最大の魅力。退屈な移動時間を豊かなリスニング・タイムに変えられるだけではありません。いつものあの曲を公園で緑に包まれて聴いたら?旅先の夜に聴いたら?いつもとは違って聴こえることでしょう。

そしてもうひとつの大きな魅力は「イヤホンやヘッドホンならではの音や空間の表現」。耳の中や耳元で音が鳴る異質さこそが、現実の空間では得られない、オーディオならではの体験を生み出してくれます。演奏者の手元をアップで映すかのようにマクロな距離感。左右の分離が完全だからこそ映えるエフェクティブな定位。スピーカー再生では気づけなかった要素を発見できるかもしれません。
ポータブル・オーディオには、本格据え置きシステムを揃えているほどのオーディオ・ファンにこそ紹介したい、特別な魅力があるのです。
さてそのポータブル環境でハイレゾ音源を生かすには、圧縮伝送による音質ロスがあるワイヤレスではなく、有線のイヤホン&ヘッドホンとDAPの組み合わせが必要になります。特にDAPは据え置きにおけるプレイヤーとアンプの役割を1台で担うわけですから、それが音にもたらす違いは気になりますよね。
そこで今回は、
の3×3でその魅力を深掘り。
DAPの性能を十分に引き出せるハイエンドイヤホン、qdc「TIGER」と組み合わせてのバランス駆動にて、各モデルのポテンシャルとキャラクターをチェックしました。これを通してポータブルの魅力と奥深さを感じていただけると嬉しいです。
<リファレンス楽曲>
<Astell&Kern ラインナップ>
A&norma SR25 MKII
A&norma SR25 MKII
同社エントリーモデルであり同時に最小モデルでもあるので、ポータビリティ重視の場合も有力候補になります。
(直販価格:税込110,980円)
KANN MAX
KANN MAX
持ち心地もよいずんぐりフォルムに似つかわしく、大型ヘッドホンも余裕で駆動のハイパワーアンプを搭載のモデルです。
(直販価格:税込199,980円)
A&ultima SP3000
A&ultima SP3000
圧倒的パフォーマンスを発揮するフラッグシップ機。現時点でのポータブル・オーディオの最高到達点を体感できるモデルです。
(直販価格:税込659,980円)
e-onkyoで購入した曲をAstell&Kern DAPで再生するまでの手順
まずはe-onkyo musicで購入したハイレゾ音源をAstell&KernのDAPで聴くまでの手順を確認。
今回は「e-onkyoダウンローダー」アプリを使う場合の流れを見ていきます。
STEP 1:ハイレゾ音源を購入
e-onkyo musicにて楽曲の購入までの手続きを済ませます。

STEP 2:購入音源のダウンロード
「e-onkyoDownloader」を起動。[追加]ボタンを押すと上側の[購入履歴」にある曲を下側の[ダウンロードタスク]に追加できます。そして[すべてダウンロード開始]ボタンでDL開始です。

STEP 3:ダウンロードされた音源ファイルを確認
アプリでダウンロード完了になったらPCの[ミュージック]フォルダ内に作成される[e-onkyo]フォルダで音源ファイルを確認。

STEP 4:DAPに音源を転送
Windowsでは、PCとAstell&KernのDAPをUSBケーブルで接続するとPC側にDAPがUSBメモリーのようにマウントされるので、音源ファイル/フォルダをDAPの[Music]フォルダにドラッグ&ドロップしてコピーします。

Macでは、DAPをマウントするのに[Android File Transfer]アプリを使用。[Finder]に表示されている音源ファイル/フォルダを[Android File Transfer]内のDAPの[Music]フォルダにドラッグ&ドロップします。

STEP 5:DAPで確認して再生
転送された音源はAstell&KernのDAPのライブラリに登録され、アーティストごとやアルバムごと、フォルダごとなどの表示形式でブラウジングして再生できます。

A&norma SR25 MKII × ハイレゾ音源

モデル概要とおすすめポイント
A&norma SR25 MKII/直販価格:税込110,980円 Astell&Kern公式webサイト(外部リンク)
Astell&KernのDAPラインナップのエントリークラス。ですがDACチップ「CS43198」をL/R独立で1基ずつ搭載のデュアルDAC構成など、そのスペックはエントリーの枠にとどまるものではありません。というDAC周りの仕様は初代「SR25」から継承しつつ、アンプ回路等の進化によって音質はさらにブラッシュアップ。2.5mmに加えて4.4mmのバランス駆動端子が増設されたのも大きなポイントです。加えてシリーズ最小のコンパクトな筐体でありながら連続再生はシリーズ最長の20時間を確保。DAPに機動性を求める方にも有力な選択肢となることでしょう。大好評モデルのアップデート版ですから完成度も折り紙つき。初DAPとして間違いない1台です。

音質の総合的な印象とおすすめポイント
帯域も空間も十分に広げつつ、その広がりの中でのミドルレンジ帯域&センター定位の音像、つまりボーカルへのフォーカス感がポイント。雰囲気のよいポートレイト写真のように、何よりもまずシンガーの姿に自然と意識が向く感じです。でありつつ背景に意識を移せばその美しさも堪能できます。エントリークラスにおいてはコストの制約も強いですから、何もかも完璧な音作りを目指すと結局、何もかも中途半端な音作りに終わってしまいがちです。ユーザーとしてエントリー機を選ぶ場合も同じことが言えます。その点このモデルは「ボーカル重視(その上で他の要素も必要十分)」という個性や重点がはっきりしており、ユーザーとしても選びやすいのではないでしょうか。
A&norma SR25 MKIIで聴く!各曲の聴こえ方
「水の星へ愛をこめて / with 寺井尚子」
森口博子
声の滑らかさが抜群!質感を潰した滑らかさではなく、滑らかさという質感を豊かに描き出してくれます。歌自体の描写の素晴らしさに加えて歌と演奏の存在感の調整も巧み。空間を広げすぎずボーカル中心の音場でありつつ、センターに音が密集しすぎる窮屈さはなし。個々の音の濃淡や奥行の配置を分けることで、主役の歌をしっかりといちばん前に、それぞれの音の存在感が確保されています。
「bad guy」
ビリー・アイリッシュ
エレクトリックなサウンドと声の生々しさが交錯するこの曲の、声の生々しさの方が際立ちます。超ヘヴィで大柄なベースとバスドラムはその濃さや厚みが少し薄くなる印象です。またボーカルだけに注目しても、センター定位のメインボーカルに左右に振り切ったハーモニーを重ねてのエフェクティブな表現よりも、つぶやくように歌うメインボーカルの生々しさの方をより強く届けてくれます。
『Jazz at the Pawnshop』より「Barbados」
音の重みや厚み、演奏者との距離感の近さ、空気感の濃厚さといった要素は、上の価格帯のモデルと比べると少し薄味になる印象ではあります。中盤のドラムスのソロのあたりを聴くとそれを感じやすいのではないでしょうか。ですがそれを薄さではなく「軽妙さ」と捉えると、ジャズ・パブでの演奏の表現、解釈としてはこれもありかも?とも思えます。結局お好み次第ということですね。
KANN MAX × ハイレゾ音源

モデル概要とおすすめポイント
KANN MAX/直販価格:税込199,980円 Astell&Kern公式webサイト(外部リンク)
Astell&Kernの特徴である高S/Nを維持したまま、大型ヘッドホンにも対応できるパワフルなアンプ出力も備えたモデルです。高感度&高遮音なイヤーモニターとの組みわせなど、アンプの出力が大きすぎると扱いにくい場合にも4段階のゲイン調整で対応。DAC周りは「ES9038Q2M」をL/Rに2基ずつ搭載のクアッドDAC構成。もちろん4.4mm/2.5mmのバランス駆動端子も装備。ずんぐりとした筐体が意外にも手に馴染んで持ちやすいのもポイントです。幅広いイヤホン&ヘッドホンに対応できるオールラウンダーですので、イヤホン&ヘッドホン沼にハマって複数モデルを使い分けていくことになりそうな予感のあるマニア気質の方にもぴったりです。

音質の総合的な印象とおすすめポイント
SR25 MKIIの音の印象を水彩的な軽やかさと表現するなら、こちらは油彩的な濃厚さという表現になるかもしれません。音像にも音場にも濃さや厚みがあり、筆運びにも力を感じます。ローミッドからローにかけての力感や密度感は特に心地よく、楽曲全体の重心も下がり重みが増す印象です。もちろん高域側の解像感も高められており、ベースとバスドラムによるヘヴィなリズムもギターやシンバルによる細かなリズムもバランスよくプッシュされてきて、演奏やエディットのノリや意図を存分に味わうことができます。ボーカルや演奏の細部描写もハイレベルですが、音楽の命はグルーヴでしょ!という方には特にフィットするのではないでしょうか。
KANN MAXで聴く!各曲の聴こえ方
「水の星へ愛をこめて / with 寺井尚子」
森口博子
ウッドベースなどの音の重みが増し、高域側でもシンバルワークの細やかさや音像の立体感などがぐっと強まることで、リスナーの意識がボーカルに固定されずアンサンブル全体に向くような音作りです。しかし声の質感も好感触ですし、ウッドベースなど低音楽器の重心が下がることで、その上のボーカル帯域には主役のためのスペースが大きく確保されています。歌中心に聴いても大満足です。
「bad guy」
ビリー・アイリッシュ
バスドラムと異様なまでのベースの重厚さ、存在感が存分に再現されます。スピーカー再生ではスピーカーにもアンプにも相当な予算と設置面積を投じないと再現できないであろう低音表現です。アーティスト側もファンにそこまでは求めないでしょうから、こういった音作りの楽曲ってそもそもイヤホンでの再生を想定しているのでは?そんな想像が膨らむほどに圧倒的な低音を味わえます。
『Jazz at the Pawnshop』より「Barbados」
ドラムスのソロの迫力や空間表現がすごい!映像がドラマー専用カメラのものにパッと切り替えられたかのように、ソロが眼前で繰り広げられ始めます。耳元からこれが聴こえてきたらエンジニアも大興奮だったのでは?比べるとSR25 MKIIは定位置から視線のみをドラマーに動かした感じです。現実のライブ感としてはそちらが自然かもですが、オーディオならではの熱さを味わえるのはこちら!
A&ultima SP3000 × ハイレゾ音源

モデル概要とおすすめポイント
A&ultima SP3000/直販価格:税込659,980円 Astell&Kern公式webサイト(外部リンク)
現時点での最新モデルにしてフラッグシップモデル。最大の特徴はデジタル信号処理とアナログ信号処理を完全分離した「HEXAオーディオ回路構造」です。従来のDACチップはその両処理を1チップ内で行いますが、本機はデジタル処理チップ「AK4191EQ」2基とアナログDACチップ「AK4499EX」4基を搭載し、両処理をそれぞれに割り振って完全分離。さらに圧倒的なS/Nを獲得しています。加えてシングルエンド/バランス駆動回路の完全独立も実現。筐体材にはステンレスの中でも特に耐久・耐食性に優れ美しい代わりに加工が難しい904Lをあえて採用。何もかも特別な一台です。最初からいきなり頂点を体感したい?だったらこれしかありません。

音質の総合的な印象とおすすめポイント
音質という言葉に含まれる要素には「良し悪しではなく好み」というものも多いですが、低S/Nを良しとする論は滅多にありません。高S/N、すなわち雑音を混じらせない高純度な再生能力は、オーディオにおける数少ない絶対的価値観のひとつと言えるでしょう。そして耳の中で音を鳴らすイヤホン・リスニングでは、S/Nの良し悪しはさらに特に大きな影響力を持ちます。そのS/Nが凄まじいのがこのSP3000。一聴して違いをわからされるレベルの静けさは圧巻です。もちろん他の要素も、サブベース帯域までビシッと揺るがないローエンドから耳そして心に気持ちよく刺さるという極みに至った高域まで、全てが超ハイレベル。実際これこそ頂点です。
A&ultima SP3000で聴く!各曲の聴こえ方
「水の星へ愛をこめて / with 寺井尚子」
森口博子
全て最高ですが特に挙げるならまずは高域の煌めき。ピアノやシンバル、ウィンドチャイムなどの澄んだ輝きからは、耳に痛い成分が全く感じられません。これぞ楽器の音色!という美しさです。またパーカッションの全景に意識を向けるとわかりやすいですが、空間表現の立体感も見事。全ての楽器の美点が際立ち、曲の展開ごとにその瞬間の主役に順々に耳を奪われていくのも心地よい体験です。
「bad guy」
ビリー・アイリッシュ
背景の静かさが別格なおかげでそこに配置される音像とのコントラストが際立ち、音の配置もさらに明瞭に。するとエレクトリック・ミュージックとしての構築感、エフェクティブなサウンドの印象がぐっと強まってきます。もちろん声の生々しさなども損なわれてはいないのですが、相対的にそちらの印象はやや薄まるかも。この楽曲の表現におけるクールな面を強く引き出してくれます。
『Jazz at the Pawnshop』より「Barbados」
ドラムスのソロの場面について、SR25 MKIIは定位置から視線のみドラマーに向ける感じ、KANN MAXはカメラが切り替わってドラマーがアップになる感じと表現しました。対してSP3000は、定位置から視線を向けただけなのにドラマーの手元までくっきり見えてきます!会場全体の空気を感じるリアルな距離感とリアルにはありえない肉薄感が共存する、オーディオならではの超体験です。
Twitter フォロー&RTキャンペーン詳細(募集は終了しました)


【プレゼント内容】
1名様 ポータブルオーディオプレーヤー KANN MAX
& e-onkyo musicポイント 1,000 ポイント
30名様 e-onkyo musicポイント 1,000 ポイント
【キャンペーン参加方法】
1. Twitterでe-onkyo music 公式アカウント(@eonkyoMusic)をフォロー
2. 対象のツイートをRT(リツイート)して応募完了
3. プレゼントの当選者にはe-onkyo musicからTwitterのダイレクトメッセージをお送りさせて頂きます
【キャンペーン期間】
2022年12月22日(木)~ 2023年1月4日(水)23:59まで
※ e-onkyo musicポイント付与にはe-onkyo musicの会員登録が必要です。
会員登録がお済みでない方は2023年1月4日(水)23:59までに登録をお願いいたします。
【当選発表】
厳正な抽選のうえ、当選者を決定いたします。
当選者にはe-onkyo music公式アカウント(@eonkyoMusic)から、応募時に使用されたTwitterアカウントへのダイレクトメッセージにて、1月中旬までに当選通知と登録フォームURLを送信させていただきます。
【注意事項】
申込者は以下のすべての事項に同意した上で、本キャンペーンに申し込むものとします。
・本キャンペーンへの参加はTwitterからのみとなります。
・Twitterアカウントを非公開にしている場合、リツイートを確認することができないため、抽選の候補対象外となります。
・ダイレクトメッセージを受信拒否設定している場合、当選連絡をすることができないため、抽選の候補対象外となります。
・ダイレクトメッセージ送信後一週間経過しても必要事項をご連絡いただけなかった場合、当選資格は取り消しとなります。
・当選者の権利を他の人へ譲渡することはできません。発送先登録フォームを第三者に共有した場合、当選が無効となります。
・本キャンペーンの参加は日本国内在住の方に限らせていただきます。

著者プロフィール

高橋 敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。
【連載】
PhileWeb 「高橋敦のオーディオ絶対領域」
https://www.phileweb.com/magazine/a-territory/
【Official Twitter】
https://twitter.com/ats5F2A
【制作協力:Astell&Kern国内正規代理店 株式会社アユート】