リコの思いに自らの思いも重ねて莉子が歌う!「メイドインアビス 烈日の黄金郷」OPテーマ 安月名莉子『かたち』インタビュー

2022/08/24

アニメ「やがて君になる」のOPテーマ「君にふれて」でのデビュー以降、様々なアニメのテーマ曲や劇中歌を担当してきた安月名莉子さん。しかし今回OPテーマを担当する「メイドインアビス 烈日の黄金郷」の世界観は特に強烈!安月名さんはその世界と物語にどのように踏み込み、「かたち」という楽曲に向かい合ったのだろうか?

文・取材:高橋 敦
写真:e-onkyo music




「メイドインアビス」の「二期」というプレッシャー


──「メイドインアビス」の世界観や物語は、数あるアニメ作品の中でも特に強烈です。その主題歌というオファーが来たとき、難しさを感じたりはしませんでしたか?

安月名:わたしも「メイドインアビス」が大好きだったので、その主題歌というプレッシャーは大きかったです。お話をいただいて改めて、一期のOP曲「Deep in Abyss」を聴き直してみたんですよ。そうしたらリコとレグが歌うキャラソンだからこその可愛らしさもありつつ残酷なことも歌っていて、「メイドインアビス」の世界観を完璧に表現してるんです。それで、これに負けない歌をわたしが歌えるのか?って不安になってしまったり(笑)。

──そもそもアニメシリーズのいわゆる「二期」からのテーマ曲を担当することが初めてですよね。

安月名:そうなんですよ。「メイドインアビス」は原作もアニメも大好評で劇場版も作られていて、既にとてもたくさんの方に愛されている作品じゃないですか。その二期を、というプレッシャーもたしかにありました。しかも一期はOPもEDもキャラクターソングだったので、わたしに代わっても受け入れてもらえるのかな?みたいなところもあって。

──「メイドインアビス」ファンにもそういう不安が当初はあったかもしれません。でも実際「かたち」が公開されてからはポジティブな反応が多くを占めている印象です。

安月名:嬉しいです!あと、みなさんの反応は自分でもチェックしたんですけど、その中に「かたち」でのわたしの歌声がリコとレグの歌声に似てるという感想もいくつかあって。わたし自身には二人の声に寄せようという意識はなかったので、自然とそうなったんでしょうかね?不思議な感じです。

──それ僕も思いました。特に「リコっぽい!」と。

安月名:リコとはリコ/莉子仲間ですからね(笑)。

──登場人物ではやはりリコがお好きですか?

安月名 ですねー。リコって、そこは一人で進んじゃダメだよ危ないよ!みたいな場面でもどんどん進んでいったりするじゃないですか?それって一人のときでもレグやナナチの存在を常に感じて、信じていて、自分が無茶しても何とかなる何とかしてくれるというのが無意識にあると思うんですよ。わたしも一人で突き進んじゃってスタッフさんたちに怒られつつ助けられつつ今日までやってこれているので、そういうリコに共感できちゃうんです。あとリコは、どんな悲しいこと辛いことがあっても、それでも前に進んでいくのが本当にすごい。実はわたし「メイドインアビス」の一期を二周視聴してるんですけど、二周目ではその瞬間ごとのリコの気持ちをより深く感じられて、共感もリスペクトもより深まりました。

──二周目突入とはかなりハマってますね。

安月名:二周目ではKevin Penkinさんのサウンドトラックのスケール感にも改めて驚かされて。この世界にわたしも参加させていただけるんだ!という嬉しさが高まりました。


歌詞はいつも、作詞のタナカさんから手紙をいただくような感覚


──ではいよいよ「かたち」についてですが、楽曲を最初に受け取ったときの印象はどうでしたか?

安月名:最初に聴かせていただいたデモ音源の時点で歌詞もできていて仮歌も入っていて、とにかくかっこよかった!その強烈なメロディーと歌詞が、さっきの「大好きなアビスのオープニング、わたしでだいじょうぶかな……」みたいなプレッシャーや不安を吹き飛ばしてくれたんです。デモを聴いた瞬間からは「早く歌いたい!」っていうワクワクモードでした(笑)。

──作詞は安月名さん楽曲ではおなじみのタナカ零さん。メイドインアビスの過酷な物語に寄り添いつつ、この世界の僕たち私たちのことでもあるような歌詞と感じました。

安月名:タナカさんの歌詞はもう毎回毎回、一言目からわたしの心に刺さるんです。いつも一言目に、わたしの大事にしているところを持ってきてくれている気がするんです。今回だって「歌声の止むときは運命の終わり」ですからね!本当にわたし、歌が終わったら人生も終わりとか思っているくらいなので。

──しかも「歌声の止むときは運命の終わり」から始まって「響かせよう」ですから、歌に人生をかけている安月名さんには特に響く歌詞なのでは?

安月名:歌詞を読むときはいつも、タナカさんから手紙をいただいたような感覚になるんです。特に今回はいつもより大きいプレッシャーに加えて、伝えたい思いがうまく伝わってくれないことに悩んでいた時期でもあって。そこにこの歌詞を届けていただいてそれに向き合ったことで、壁を乗り越えられた気がします。タナカさんは今回に限らず毎回の歌詞ごとに、そのときのわたしに必要なテーマを投げかけてくださるんです。もう頭が上がらない存在ですね。


リコが冒険に向けるワクワク感を歌い方や声色でも表現したい


──その歌詞とそれを表現する歌い方について、聴いてほしいポイントなどはありますか?

安月名:1番のサビから2番以降では強めの言葉もけっこう出てくるんですね。「痛み」「呪い」「燃やせ」「もがく」とか。その強い言葉がリスナーさんにどう聞こえるように届けるのか、そのためにはどう歌えばいいのか、ということをすごく大事にしてレコーディングしました。

──暗いニュアンスの言葉も歌として聴くと言葉の意味に引っ張られすぎていないというか、明るく前向きな響きにも聞こえる印象でした。

安月名:リコだって心のどこかには暗い部分を秘めているかもしれないですけど、不安や恐怖なんかよりも、ただ旅をしたい!と前に進んでいくのがリコなんですよね。リコがアビスの冒険に向けるワクワク感みたいなものは、歌い方や声色でも表現したいと工夫しました。

──歌詞の言葉選びも安月名さんの歌い方も、語尾の母音を明るく上に向けて響かせているように感じたのですが、そういう意図だったのですね。

安月名:先ほど、自分の思いを伝えるのがうまくいかない、なんで伝わらないんだろうと悩んだ時期があったとお話しさせていただいたじゃないですか?そのときにも思ったんです。苦しいときにその苦しさをそのまま伝えるよりも、重苦しくせずポジティブに、感情をぶつけるのではなく落ち着いた表現で、そうした方が伝わるのかもって。そうして悩んで考え込んだ時期もあったからこそ、「かたち」ではそういう届け方をできたのかもしれません。

──この曲はサビ終わりの「ランランラーランランラン」というフレーズも印象的ですよね。歌詞がない部分だからこそ、どう歌うかの選択肢は広かったのでは?

安月名:実はあそこ、レコーディング時に特に明確なディレクションがあった部分なんです。ここはしっかりスタッカートして区切ってリズムを立てた方が伝わるよ、というような。フルバージョンでもオープニングで使われるショートバージョンでも、曲の最後を絞める大切なブロックですから。

──安月名さんのYouTubeチャンネルで公開されている弾き語りバージョンでは、逆に曲の頭のイントロに持ってきていますよね。あれもハマってます!

安月名:ありがとうございます。元のイントロのあの雰囲気をアコギ一本で表現するのはもう無理じゃないですか(笑)
なのでそれに負けないインパクトのある、あのブロックを頭に持ってきてみたんです。



──ナイスアイデアです!ボーカル録音時に受けたディレクションで他に印象的なものはありましたか?

安月名:歌としての表現の仕方についてよりも、その歌詞の意味についてのディレクションが多かったです。抑揚を大きくとかビブラートを抑えてのような具体的な歌い方の話ではなく、ここの歌詞はこういうイメージで捉えてそれを表現するように歌ってほしいというような。音楽というより演劇のディレクションに近かったかもしれません。


イントロ一発で世界観を表現するオープニングを劇場先行上映で体験!


──それにしても作曲・編曲ebaさんによるこの曲、頭の謎めいたギターリフ、リズム表現の複雑さ、展開の面白さなど、ひねりの効いた楽曲なのに、これぞアニソン!的なストレート感もありますよね。

安月名:ですよね。わたしいつもどの曲についても「フルで聴いてほしい!」と言ってるんですけど、今回こそほんとに!って感じです(笑)。リズムは言われてみれば複雑ですけど、そこは特に意識しなくても自然に歌えました。でもそのリズムや様々なアレンジがあってこそ、サビで一気に解放されたときのあの壮大なパワー感が出るんだなと思います。サビの音作り、すごいですよね。思い切ったディレイも効かされていて。奈落の底から響かせて地上のみんなにまで届かせるんだ!みたいな気持ちを、音楽でこんなに表現できるんだってびっくりさせられました。イントロのガシャガシャしたギターリフも、あれ一発で成れ果ての村の雰囲気が表現されている気がします。オープニング映像と合わさったのを見たときは鳥肌が立ちました!

──そういえば安月名さんは先行上映イベントに参加して、映画館の大画面と音響でオープニングを体験できたんですよね。

安月名:そうなんです!大画面の一番前のど真ん中で!しかも原作のつくしあきひと先生と、アビスファンではじめの一歩の作者の森川ジョージ先生に挟まれた席で!意味がわからないもう明日死んでもいいという感じでした(笑)。忘れられない瞬間ですね。そんな環境であの素晴らしいオープニングを見て、この作品を見届けねば!というファンとしての思いも高まりましたし、楽曲を担当させていただいた身として、わたしも負けられない!この熱量を受け取ってライブにぶつける!とも思わされました。




ワンマンライブ「はいてすう」には学割&V I Pチケットも用意


──9月19日(月・祝)開催のワンマンライブ「はいてはすう」ですね。会場のHEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3には僕も何度か訪れたことがありますが、ライブハウスらしい一体感やエネルギーを感じられる会場です。

安月名:そうですね!わたしもすごく楽しみで、下見にも行ってきました!

──今回のチケットには面白い試みもありますよね。まずは税込3000円とお手頃な「学割」チケットが用意されています(ドリンク代別)。

安月名:学割を用意できたのはとっても嬉しいんです!学生世代の方々に「行ってみたいな」と思ってもらうきっかけになったらいいなって。

──もうひとつはVIP指定席チケット。基本スタンディング開催の中で特別に椅子席、しかも会場前方のポジションを確保できるだけでもプレミアムな上に、グッズ全種類が付属、当日本番前リハーサルの見学までセットという豪華さです。

安月名:リハーサルなのにお客さんがいるという不思議な空間、わたしどうしたらいいんでしょう(笑)。あ、もちろんリハで本番の内容が全バレみたいなことにはならないようにしますよ!リハ見学を楽しんでいただいた上で本番はもっと楽しい!となってもらえる形やセットリストを考えています。

安月名莉子ワンマンライブ「はいてはすう」
公演日:2022年9月19日(月・祝)
OPEN 16:00 / START 16:30
会場:HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
詳細はこちら!→https://azuna-riko.com/idx_topics.php?kind=news&s=305


「灯火」では聴いてくれる方の背中をそっと押すような歌い方を意識


──さて、「かたち」と同時収録で、作詞タナカ零さん/作曲・編曲MANYOさんによる楽曲「灯火」もリリースされます。


安月名:「灯火」は9月1日発売予定のゲーム「メイドインアビス 闇を目指した連星」のエンディングテーマです。アビスの深層に潜るって、もう二度と会えない別れを繰り返して、それでも進んでいくということですよね。その悲しみの先に見える希望の灯火をイメージしたバラードです。実はお話をいただいたのはこちらが先で、アニメ二期のオープニングはこの後に決まりました。

──安月名さんの声の美しさが際立つ楽曲ですが、四拍子の曲でありながらサビのメロディにはワルツのように三拍子的な揺らぎもあったりと、歌いこなすのは難しそうとも感じました。子音を強く出すか優しく出すかのコントロールやファルセット成分の入れ方なども印象に残ります。メロディの魅力と歌詞の意味を強める、繊細な歌い回しですね。

安月名:メロディの動きは……やっぱり難しいですね。ですがバラードということもあり、ミュージカル出身の自分としては、ステージから客席に届けるような感覚で歌うことができました。あとわたしのこれまでの曲は、物語の登場人物に寄り添って、物語の中から力強く思いを届ける、そういう立ち位置で歌う曲が多かったと思うんです。でもこの「灯火」では、物語の中ではなく少し離れたところから物語を見守って、歌を聴いてくれる方の背中をそっと押すような、そういう歌い方を意識しています。


憧れを共有してくれるファンの皆さんと一緒に前に進んでいこう!


──先ほど少し話に出ましたが、安月名さんはミュージカルなどの舞台から芸能キャリアをスタートしているんでしたね。安月名さんはアニメ「ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜」のOP曲「知らなきゃ」も担当しましたが、同作でメインキャラクターを務めた声優の石川由依さんとはそのミュージカル時代からの間柄だとか。

安月名:由依ちゃんは、私が小学生の頃から入っていた劇団が一緒で、舞台での共演が沢山あって憧れのお姉ちゃんみたいな存在でした!それが年月を経て役者ではなくシンガーという形で同じ作品に携われるなんて、奇跡みたいでしたね。

──「ハコヅメ」の話も出ましたけど、これまでに多くの作品のテーマ曲を歌ってきた中で、ご自身として役作りや背伸びをあまりせず、自分自身に近い感覚で歌えた曲ってありますか?

安月名:う〜ん、いや、ないかもしれないです。どの曲も、さっきの話と繋がるんですけど、そのときのわたしに必要なテーマ、その時点でのわたしには足りない何かに挑戦している感じなんです。なので毎回が戦いというか。だから「かたち」も「メイドインアビス 烈日の黄金郷」のテーマでありつつ、わたしの人生、音楽人生においてのテーマでもあるんです。失うことを恐れずに、自分の憧れをしっかり見据えて、その憧れを共有してくれるスタッフさんやファンの皆さんと一緒に前に進んでいこう!という。

──そんな「かたち」をオーディオ的にもこだわった環境で聴いてもらえるならここを特に聴いてみてほしい!というようなポイントがあれば教えてください。

安月名:語尾のニュアンスだったり、呼吸音の入れ方だったり、最後わざと息を吸うように歌ったところもあったり、そういう細かなところまでよりくっきりと耳に届くようなオーディオで聴いてもらえるなら、歌のエモーショナルな部分をもっと強く感じてもらえるかなって思います。あ、そういえばマスタリングのときスタジオのスピーカーで聴いた「かたち」は最高でした!毎日この環境で聴きたいって思いましたもん。オーディオファンの方々ならおうちのオーディオであの音を楽しめるんですか?

──いえ、スタジオの音を目指して、しかし道半ばで倒れることがほとんどです……オーディオはアビスなんです……

安月名:スタジオの音を聴けるわたしは幸せ者ですね……とはいえ、みなさんそれぞれの環境で「かたち/灯火」を受け取っていただければそれ以上の喜びはないです!


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■対象者:安月名莉子『かたち』をアルバム購入いただいた方
■応募方法:こちらのお問い合わせフォームよりご応募ください。
お問い合わせの種類に「その他」を選択の上、メールアドレス、氏名、レシートメールに掲載されているご注文番号を記載して頂き、お問い合わせ内容の欄に「安月名莉子サイン入りチェキ」と明記の上、送信して下さい。

■応募期間:2022年8月24日~2022年8月31日
※当選された方には、2022年9月1日以降にメールにてお知らせいたします。



安月名莉子 プロフィール




安月名莉子(あづな りこ)
幼少よりミュージカルやTVへの出演を通し、役者としての表現を学ぶ。

大学進学と同時に自身の思いを形に残すためシンガーソングライターとしての活動を開始。 2018年10月放送TVアニメ『やがて君になる』のOPテーマ「君にふれて」でメジャーデビュー。同時に『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』の挿入歌「Memories」の歌唱に抜擢される。

以降も『ブギーポップは笑わない』『彼方のアストラ』『慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~』『蜘蛛ですが、なにか?』『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』と人気アニメのテーマソングを歌う。

さらにゲーム『夢現Re:Master』では「ニエ」役として声優としてもデビューを果たしている。

その才能はアニソンシンガーにとどまらず、シンガーソングライターとしてもギターテクニック、繊細な歌唱力が認められオーストラリアのギターメーカー Cole Clarkとエンドース契約。2019年12月にはCole Clark 安月名莉子シグネチャーモデルが発売された。

卓越したギター演奏と寄り添う声で、こころを歌い上げる。

◆オフィシャルサイト:https://azuna-riko.com
◆安月名莉子 Twitterアカウント:@azuna_riko
◆安月名莉子スタッフTwitterアカウント:@azunarikostaff

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