オーディオのプロが推薦!2022 SUMMER SALE 必聴盤!

2022/07/22

現在、絶賛実施中のe-onkyo musicハイレゾSUMMER SALE作品から、オーディオ的に優れた必聴ハイレゾ作品をジャンルごとに厳選してご紹介!e-onkyo musicでお馴染みのオーディオのプロによるセレクトをお楽しみください。
第3弾として岩井喬氏のセレクトを追加しました。

【インデックス】
▶️岩井喬セレクト 「HR/HM」必聴盤!
▶️生形三郎セレクト「クラシック」必聴盤!
▶️小原由夫セレクト「ジャズ」必聴盤!
▶️高橋敦セレクト 「アニメ」必聴盤!
▶️西野正和セレクト「J-POP/邦楽」必聴盤!
▶️土方久明セレクト「ジャズ」必聴盤!
▶️山之内正セレクト「クラシック」必聴盤!
▶️SUMMER SALEメインページ

※50音順


岩井 喬がセレクトする「ハードロック/ヘヴィメタル」必聴盤!

 

 普段から良く聴く音楽を高音質で楽しみたい。これが自分自身のオーディオへのこだわりの原点です。その良く聴くジャンルとしては、洋楽の中でもHM/HRに分類されるハードロックです。ハイレゾ配信という音にこだわった高音質なものを選ぶという前提があるとはいえ、HM/HR分野ではオーディオ的な高音質に耐えうるソフトはそう多くはありません。しかしながらハイレゾという大きな器の中であるからこそ、CDでは埋もれてしまっていた奥行き感、音像の周囲に感じられるエアー感など、空間情報が掴みやすくなるのもまた事実です。一般的な音の良さとは多少ベクトルの異なる、優れた演奏をどうダイレクトに収録しているのか。その楽器の音色や演奏にまつわる歪み感、荒っぽい質感ながら加工のないナチュラルな収録を行ったものを“良録音”として捉える向きもあるでしょう。筆者としてはオーディオ的高音質にも軸足を置きつつも、この演奏上、収録上での良録音を達成している物であれば選定する価値があると考えています。これに加え、純粋にメロディアス・ハードロックの範疇で作品として優れているもの、長い期間ともにあり続けられるエヴァーグリーンな作品を選びました。今回のテーマとしては“暑い夏でも涼しげに楽しめるハードロック”です。一部該当しないタイトルもあるかもしれませんが、そこは愛嬌として捉えていただけると幸いです。(岩井 喬)



¥3259 ⇒ ¥2421

Permanent Vacation』
Aerosmith

 AEROSMITH第二の快進撃の火ぶたを切った、ゲフィン・レコード時代2作目となる1987年発表の名盤です。プロデューサーはLOVERBOYやBON JOVIを成功に導き、名声を得ていたブルース・フェアバーンです。ブルースはこの後『PUMP』『GET A GRIP』のプロデュースも担当し、ヒットを連発しました。「Dude」や「Angel」といったヒット曲も本作から誕生。アナログ録音時代ならではの密度の高いベース&キックドラムの厚みも心地よく、スティーヴン・タイラーの独特なシャウトや唯一無二のハスキートーンをヌケ良くスッキリと聴かせてくれます。ブルースはかつてトランペット奏者だったそうで、「Dude」のホーンセクション導入もお手の物だったのかもしれません。96kHz/24bitハイレゾ版では個々のパートの分離も鮮やかで重厚なバンドサウンドを楽しめます。

¥4481 ⇒ ¥3259

『New Jersey[Deluxe Edition]』
Bon Jovi

 1988年に発売されたBON JOVI、4作目のアルバムで、全米・全英ともに1位を獲得し、世界的な成功を確実なものとした名盤です。プロデューサーのブルース・フェアバーンは大ヒットを記録した前作『Slippery When Wet』から継続登板。「Bad Medicine」「I’ll Be There For You」といった全米1位シングルも誕生しました。本作は2014年に登場したデラックス・エディションの96kHz/24bitリマスター版です。本来2枚組として制作をスタートしていたそうで、そのもう一枚である『Sons of Beaches』のデモマテリアルも収録したファンには嬉しい仕様といえましょう。バンドの持つ主張を上手に引き出すブルースのプロデュースワークも冴えており、メロディのキャッチーさと一体感のあるバンドのグルーヴのケミストリーが生かされた作品です。少し粗っぽさが残るジョン・ボン・ジョヴィの声質も鮮明に際立ち、リッチー・サンボラのツボを押さえたギターワークもスタジオのエアー感を含めた響きとして捉えることができます。

 

¥3748 ⇒ ¥2577

『Appetite For Destruction』
GUNS N’ ROSES

 泣く子も黙るGN’Rのデビューアルバムです。発売された1987年はLAメタルの終焉が近づいていたころですが、それまでの煌びやかでゴージャスなサウンドプロダクションを避け、数回のテイクでレコーディングを終えるライブな作品作りが逆に新鮮に感じられたという側面もあるかもしれません。他にはないビジュアル性も話題となりましたが、アクセル・ローズのナイーブで荒々しい高域から渋い低域までカバーする独特なボーカルと、分厚く深みのあるディストーションを轟かせるスラッシュのギターワークにノックアウトされた方も少なくないでしょう。チョイスしたのは2018年にリリースされたオリジナル・アナログ・マスターからの192kHz/24bitリマスターです。オープニングを飾る名曲「Welcome to the Jungle」、“空耳アワー”で有名な「Mr.Brownstone」、GN’Rの代名詞的なヒット曲「Paradise City」、全米1位の「Sweet Child o’ Mine」など、名曲揃い。アナログらしい中低域の厚みに支えられたリズム隊と、ボーカルのリアリティ、コシのあるエレキギターの歪み感が高音質に楽しめます。

¥3158 ¥2343

『Ⅳ』
TOTO

 1982年に発表されたロックの殿堂的な一枚。第25回グラミー賞で主要6部門を受賞した、TOTOの飛躍するきっかけを作った作品でもあります。今年は発売から40周年となり、その記念となるデラックス・エディションでSACDも発売されました。このハイレゾ版はデビュー40周年の折に制作された、バンドとエリオット・シャイナーによるオリジナル・アナログ・マスターからの192kHz/24bitリマスターと推察されます。スタジオミュージシャンの集合体で構成された豪華な布陣と、洗練された演奏を堪能できる永遠のリファレンス音源といえるでしょう。鮮やかで艶のあるボビー・キンボールのボーカルや、クリアでキレのあるスティーヴ・ルカサーのギターワーク、何より正確なビートを刻むジェフ・ポーカロのドラムワークも分離良く浮き立っています。「Rosanna」のドラムとコンガの対比、ボーカルの鮮度とリヴァーブの質感も見事に再現。「I Won’t Hold You Back」のピアノのハーモニクスの美しさ、ストリングスの純度感も秀逸。余韻の階調性の高さにも改めて驚かされます。全米1位を獲得した「Africa」冒頭のパーカッションとシンセのふくよかさ、リリースの滑らかなタッチも実に鮮やかで40年の時間を感じさせません。

 

¥3143 ¥1572

『Mood Swings Ⅱ』
Harem Scarem

 Harem Scaremは1988年、ボーカル&ベースを担当するハリー・ヘスらによってカナダで結成されたハードロックバンドです。1993年に発売された日本デビューアルバム『Mood Swings』を発売20周年記念でリメイク・レコーディングしたのが本作です。90年代、日本でのHM/HRシーンにおいて常に人気が高かったバンドでしたが2008年に解散。本作は2013年、再結成のタイミングに併せて制作されました。『Mood Swings』は彼らの人気を決定づけた90年代のシーンを代表する一枚でもあり、DEF LEPPARDのような分厚いコーラスワークとハード&キャッチーな楽曲、卓越したピート・レスペランスによるギターテクニックが特徴となっています。本作では現在のテクノロジーやテクニックで当時納得できなかった部分を修正しつつ、基本に忠実なリメイクを実施。オリジナルメンバーのダレン・スミス(Dr、Vo)が歌う「Sentimental BLVD.」も本人が再び歌唱を担当するなど、当時からのファンには嬉しい内容となっています。96kHz/24bitハイレゾ版では現在のシーンに合わせた音圧感と、ベースラインやコーラスワークを重厚に押し出す中低域のリッチさに主眼を置いたサウンドが展開。密度良くパワフルなギターパートも綿密に作り込まれています。

¥3300 ⇒ ¥1650

『Renaissance』
Rob Moratti

 カナダのハードロックシンガーとしてキャリアを積んできたロブ・モラッティが2019年に発表した作品です。ロブは90年代にはデビューを果たしていましたが、2002年に結成されたFINAL FRONTIERのボーカリストとしてマニアから注目されました。ロブはJOURNEYのボーカリストだったスティーヴ・ペリーに似たハイトーンボイスが特徴で、FINAL FRONTIERではまさにJOURNEY的なメロディアスなハードロックを展開。本作もその延長線上にありますが、FINAL FRONTIER時代はスティーヴ・ペリーにかなり寄せた声作りをしていたのが、こちらでは肩の力を抜いてロブ本来の声の帯域、持ち味を生かした楽曲と歌い方に終始している印象を受けます。取り立てて高音質ではありませんが、どの楽曲もキャッチーかつメロディアスで耳馴染み良く、バックを支えるバンドメンバーも手練れで安定感のあるハードロックを聴かせてくれます。どことなくJOURNEYっぽさは漂いますが、現ラインナップのJOURNEYでは一味足りないという、筆者のような凝り性のJOURNEY好きな方には一聴いただきたい作品です。

 

¥3300 ¥1650

『Renegade』
Nitrate

 イギリス・ノッティンガム出身のベーシスト、ニック・ホッグが結成したNitrateが2021年に発表したサード・アルバムです。現在のメロディアス・ハードロック・シーンの本流ともいえる音作りで、クリーントーンギターやシンセサイザーのフレーズは80年代的なフックを作り出しています。Art Nationのアレクサンダー・ストランデルがボーカルを担当していますが、彼の声質とキャッチーな楽曲の組み合わせはどことなくBON JOVI的。しかし英国出身のニックらによる曲作りはヨーロッパらしい哀愁味が強く爽やかな余韻を持つものばかり。この猛暑続きの夏の昼下がりに涼しい部屋で聴いていたい、清涼さに溢れたサウンドです。マスタリングはファギー・フレデリクセンやジョー・リン・ターナーらの作品でも参加しているアレッサンドロ・デル・ヴェッキオが担当。スッキリとした空間性を引き出す、芯のあるクリアなバンドサウンドと、キレ良くクールなボーカルが融合した透明度の高い音作りです。#4「Big City Lights」、#6「Children Of The Lost Brigade」あたりは特に出色の出来。

¥3300¥1650

『H.E.A.T II [Japan Edition]』
H.E.A.T

 H.E.A.T.は2008年に結成された若きスウェーデンのハードロックバンド。ピリッとスパイスの利いた、キレ良いメロディアスなハードロックが持ち味です。本国ではデビュー当時から話題となっていましたが、日本には2009年の『LOUD PARK 09』に出演するため初来日を果たし、新人らしからぬ堂々としたパフォーマンスを見せてくれました。2ndアルバムリリース直後にケニー・レクレモ(Vo)が脱退。その後を受けて加入した新ボーカリスト、エリック・グロンウォールとなってから本国での人気もさらに高まり、バンドとして熟成の時を迎えます。2020年に発表された本作でエリックはバンドを離れ、現在はSKID ROWに加入したとのこと。H.E.A.T.はケニーが復帰し、今後の活動も気になるところです。本作はデビューから10年経ち、改めて初心に還ることを目指したといい、セルフプロデュースのもとで完成させた渾身の一作。実力派ボーカルであるエリックの面目躍如たるパフォーマンスが全面に渡って楽しめます。ソリッドなギターリフとクリアで広がり良いリズム隊とが絶妙な距離感を保ち、芯のある逞しいボーカルをヌケ良く描写。北欧らしい哀愁感ある煌びやかなシンセのフレーズもフックとなっています。#7「One By One」のキャッチーさ、続く#8のバラード「Nothing To Say」は聴き処。

 

¥3300 ⇒ ¥1650

『Autonomy [Japan Edition]』
Bad Habit

 H.E.A.T.が現在のスウェーデンにおけるメロディアス・ハードロック・シーンの代表格であるのに対し、このBAD HABITは80年代EUROPEやTNT、ALIENらがシーンを広げた北欧メタルの流れを汲む、同じスウェーデン出身の“いぶし銀”ベテラン・ハードロックバンドといえるでしょう。彼らは1989年にデビュー。2ndアルバム辺りまではメロディアスな北欧メタル然とした作品をリリースしていましたが、1998年発表の傑作『ADULT ORIENTATION』からAOR的なサウンドに転換しました。本作も『ADULT ORIENTATION』の延長線上にある穏やかで優しいメロディと力強いロックのビートを融合させた作品となっています。後半3曲のボーナストラックは音質的には良いとは言えませんが、ライブにおける彼らのパフォーマンスを楽しめる貴重な音源です。#3「A Place In Your Heart」や#6「Lost In You」といった美しいメロディが映える楽曲が彼らの持ち味。デビュー以来変わらない、しわがれた声質が特徴的なバックス・フェリングのボーカルも良いコントラストを生んでいます。

¥4400 ⇒ ¥2200

『Defrosted 2』
Gotthard

 スイスの国民的ハードロックバンドGOTTHARDの高い演奏力を垣間見ることができる、2018年に収録されたアコースティック・ライブです。彼らのキャリアにおいて大きなステップアップを果たすきっかけとなった、1997年発売のアンプラグド・ライブ盤『D-Frosted』の再来といえる作品でもあります。2010年に不慮の事故で他界したスティーヴ・リー(Vo)はWHITESNAKEのデヴィッド・カヴァーデール似のソウルフルな声質が特徴でした。オーディションの末、新たに加入したニック・メーダーも驚くほどスティーヴの声質に似たパフォーマンスを見せてくれますが、ただ真似ているのではない、豊かな表現力を持っていることを実感できるライブなっています。コーラスやストリングスも含めた編成の大きなアンプラグド形式を基本としており、DEEP PURPLEのカバーなど、バラエティに富んだライブを展開。バンド結成からのメンバーであるレオ・レオーニのギターワークも秀逸です。あまり加工されていない、臨場感溢れるステージの様子が非常にリアルで、ハイレゾだからこそ映える作品といえるでしょう。アコースティックをベースとしたスタジオ収録曲「What I Wouldn’t Give」も必聴の名曲。a



 

岩井 喬(いわいたかし)
1977年長野県生まれ。オーディオに興味を持った中学生の頃からアンプの自作もはじめ、高校は電気科に進学。スピーカーや真空管アンプも自作するなど、よりオーディオに深くはまっていったものの、徐々に音楽そのものに興味が湧き、レコーディングエンジニアを目指すことに。音響系専門学校を卒業後、都内のレコーディングスタジオに勤務。数々のセッションを生で体験し、録音の過程で音が変わっていく様を肌で感じることができた。その後紆余曲折を経てオーディオ雑誌で記事を執筆する機会を得て現在に至る。元々趣味であったアニメ・漫画・ゲームの世界とオーディオの世界を融合させた『SoundGirl Duo~音響少女』などを執筆。学生時代からHM/HRも大好きであり(特にメロディアスなハードロック・JOURNEY、TOTO、ASIA、BOSTONなど)、2008~2011年まで『BURRN!』誌の中でコラム連載も担当。




生形三郎がセレクトする「クラシック」必聴盤!

 

 「今回の選出にあたっては、セール対象商品の中からなるべくバラエティ豊かなジャンルと編成のものをセレクトするように努めた。基準としては、演奏の魅力や楽器の音色や響きの妙が味わえるハイレゾ品質の情報量を持ったものを選んでいる。
 ハイレゾでの作品収録及びリリースは、収録時のマスタークオリティを保ったまま聴き手に届けられることが魅力だが、それだけに、制作や演奏側にとっても、よりごまかしや妥協が効かないものともいえる。楽器の音色をいかにそれらしく録音するか(補正も含め)、マルチマイク音源でも違和感のないミキシング、直接音と間接音の割合やその混じり具合、作品の全体像を加味した演奏テイクの自然な接合など、再生システムの能力が優れるほどそれらの粗が見えやすくなってくるからだ。
 それだけに、クオリティの高い音源と出会ったときの喜びも格別だ。今回選んだ音源は、その意味で、作品ごとに異なる制作アプローチではあるが、それぞれにおいてハイレゾならではの魅力が楽しめるものを注意深く吟味したつもりだ。また、作品の内容面からも、普段クラシックに馴染みが薄い方々にとっても関心を引くような楽曲やアレンジの作品を選んだので、ぜひともご堪能頂ければ幸いだ。」(生形三郎)



¥2750 ⇒ ¥1980

『France Romance』
福間洸太朗



 ピアノの高音部から低音部までの響きが自然にこちらへと届いてくるそのサウンドは、まさにハイレゾならではの写実性を伴う。ピアノの姿はスピーカー後方へと浮かび上がり、福間氏の華麗かつ繊細なタッチと美しい音色が立ち上がってくる。儚げな色香を漂わすドビュッシーやフォーレ、繊細な美しさのプーランク、遠近の音程を巧みに重ね独特の音色のグラデーションを描くようなワイセンベルクなど、絶妙な色彩感の数々を堪能させてくれる。福間氏自身によるアレンジ作品も秀逸で 、凛々しくもファンタジックな福間ワールドに惹き込まれる名作となっている。

¥3056 ⇒ ¥2140

『[BEYOND THE STANDARD] ベートーヴェン:
交響曲第5番「運命」/吉松隆:サイバーバード協奏曲』

アンドレア・バッティストーニ,
東京フィルハーモニー交響楽団上野耕平山中惇史石若駿


 歯切れ良いアタックとコントラスト豊かな強弱表現を要に、明瞭で迫力豊かな音像表現で作り上げられた音世界が秀逸で、まさにオーディオ的な愉悦が存分に堪能できる作品。ベートーヴェンのストイックな作曲姿勢を体現するかのようなシンフォニー5番に加えて、吉松隆の名作サクソフォン・コンチェルト「サイバーバード協奏曲 」がカップリングされていることも嬉しい。ポピュラー音楽的なメロディセンスを含む聴き馴染み良い音楽性とともに、注目を集める若手パーカッショニストの石若駿が参加し、存在感あるパフォーマンスを展開している点も聴きどころの一つ。

 

¥3900 ⇒ ¥3120

『和樂』
平野公崇田中拓也西本淳大石将紀,
 ブルーオーロラ・サクソフォン・カルテット


 和をテーマにしたサクソフォン・カルテットというと凡庸に思われがちかもしれないが、その予想の遥か上をいく斬新かつクリエイティブなアプローチが光るタイトル。多彩な表現力とアイデアの数々はまさに必聴もの。冒頭の津軽じょんがら節では、三味線のバチの表現を模すスラップ・タンギングのサウンドに圧倒される。続く、タイトル曲でもある「和樂」は、篳篥と聴きまごうほどの節回しと音色による表現と、ハーモニクスによる笙の音程を模した空虚な和音表現にただただ驚嘆するしかない。文字通りエスプリの効きまくった「エスプリ・ドュ・ジャポン 」の3曲も、まさに邦人音楽家ならではの魅力が詰まった名作。カルテットとは到底思えないふくよかなサウンドも、本作の魅力を際立たせている。

¥1466¥990

『レスピーギ: ローマ三部作』
ジョアン・ファレッタ
バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団


 ローマ三部作は、多彩なオーケストレーションやオーケストラならではの迫力を堪能できる楽曲のひとつだが、楽器の音色を巧みに組み合わせて煌びやかな響きを作り出す様が実に面白い。深々としたグランカッサから、金管楽器と管楽器、そして弦楽器が折り重なることで立ち上がる独自の音色を聴いているだけでも楽しい作品だ。今回選んだこのジョアン・ファレッタ指揮によるバッファロー・フィルハーモニー管弦楽団の音源は、繊細さやダイナミクスの広さも十分あり、再生装置やそれが再生される部屋環境を選んでしまうところも多分にありそうだが、それだけに非常に鳴らし甲斐のあるソースとなっている。

 

¥3143¥2514

『ブルックナー・イン・カテドラル ― 天上の音楽 ―』
ラデク・バボラークチェコ・ホルン・コーラス

 まさにタイトル通り天上的な音楽を楽しめる作品。空想の無限大空間に広がるかのようなホルン・アンサンブルと深々としたオルガンに包まれる至福の時間が堪能できる。音の濃さ、密度の高さが随一だ。ホルンとオルガンというサイズも音の大きさも全く異なる楽器が、見事に等価な存在感で描き出されるとともに互いが巧みに融和する。とりわけ、約25分にも及ぶ終曲、ブルックナー交響曲第7番第2楽章「アダージョ」は圧巻。極上のハーモニーで、聴き手を果てしのない耽美的イマジネーションの世界へと誘う。

¥3300 ⇒ ¥2640

『超絶サウンド!芸劇オルガン』
川越聡子小林英之平井靖子新山恵理

 東京芸術劇場とキングレコードのコラボレーション企画によるオルガン作品。e-onkyo musicでも大きく取りあげられており、筆者も実際に収録現場を取材させて頂いた。フランスのマルク・ガルニエ社製オルガンが回転式のリバーシブルで設置されており、表と裏で、ルネサンス、バロック、現代と、3つの様式のオルガンを奏でることが可能となっている。それを、ホールの音響担当者が長年の記録録音をもとに熟考し決定したマイクアレンジを用いて、キングレコードが持ち込んだPyramixシステムで収録。演奏は、会場のオルガンを知り尽くした専属のオルガニストによる。ワイドレンジかつ立体的なオルガンサウンドを堪能できる作品だ。特典として、オーディオチェックのお約束、最低音階と最高音階の単音も収録されている。

 

¥3871¥2445

『John Williams in Vienna』
Anne-Sophie MutterWiener Philharmoniker
John Williams

 オーケストラサウンドを華麗に操る映画音楽界の巨匠、ジョン・ウィリアムスがウィーンフィルを指揮したお馴染みの注目作。多角的に切り取られた楽器それぞれの音色が整然とミキシングされ、オーディオ的にリッチなサウンドに仕上げられており聴きごたえ十二分な内容となっている。再生システムを選ばない絢爛豪華なサウンドが秀逸。ライブならではの熱気あふれる臨場感も本作の醍醐味の一つ。

¥5093¥3055

『Brahms: Piano Concertos』
András Schiff
Orchestra of the Age of Enlightenment


 古楽オーケストラのエイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団を弾き振りしての録音。録音で使用したピアノは、ブリュートナー社により1859年頃に制作された、つまり、ブラームスがピアノ協奏曲第1番をまさに作曲した時代に作られたオリジナル楽器。独特の熱量や情感のようなものを感じさせる演奏や、シフが奏でるオリジナル楽器の独特な芳しさに満ちた音色が印象的。描写としては、楽器の姿は遠めで楽器の位置情報やディティールが明瞭なほうではないものの、それがピアノの音色感と合わさり独特な世界観を生み出しているほか、充分な広がりを感じさせるものである。それだけに、しっかりと音場を再現できるシステムでの再生が要求されそうだ。

 

¥2079 ⇒ ¥1460

『無伴奏フルートの世界 ~パンの笛 400年の旅~』
有田正広


 1998年にリリースされた同氏の代表作「パンの笛」の続編となる作品で、ルネサンスから自作を含む現代までの作品を、作曲された当時の楽器(レプリカを含む合計17本のフルートを使用)で演奏する意欲作。全曲を無伴奏曲で構成というシンプルだからこそ音楽や音の魅力が伝わる作品で、楽器の音色はもちろんのこと、息の吹き込み加減を繊細に操って微妙な音程をコントロールする卓越した演奏に聴き入る。幾重にも連なる様々な時代の作品に耳を傾けていると、次第に想像の彼方へと連れ去られてしまう。

¥1466 ⇒ ¥990

『C.P.E. バッハ/ハイドン: チェロ協奏曲集』
アンドレアス・ブランテリド, ラース・ウルリク・モルテンセンコンチェルト・コペンハーゲン

 大バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハとハイドンのチェロ協奏曲が収められたタイトル。両者の明朗快活な作風がまさに体現されたものとなっている。楽器同士の十分な間合いや抜けの良い残響を感じさせる開放感溢れる表現と、そこへ重なる柔らかい特長的なソロチェロの弦の音色が印象深い。ソリストのものと思しきブレスをはじめ、チェンバロなども明瞭な姿で収録されており、繊細かつ巧みな表情の演奏を楽しむことができる。



 

生形三郎(うぶかたさぶろう)
音楽家/録音エンジニア/オーディオ評論家。東京都世田谷区出身。東京藝術大学大学院修了。洗足学園音楽大学音楽・音響デザインコース講師。在学中より国内外の作曲賞を受賞するほか、協同作品が文化庁メディア芸術祭審査委員推薦作品に選定される。各種専門誌への執筆やTV/ラジオ媒体等への出演をはじめ、フルレンジからマルチウェイ・スピーカーの製作もライフワークにしている。著作に『クラシック演奏家のための デジタル録音入門』(音楽之友社)がある。音楽と音に関して多方面から取り組む。

オフィシャル・サイト




小原由夫がセレクトする「ジャズ」必聴盤!

 

 「ジャズの一番の醍醐味は、即興演奏とそれが伝える熱いエネルギーに相違ない。しかし私は、ここでは音質を第一義とし、とりわけ音の個性を尊重したいと思う。それは声の個性であり、楽器の音色の個性だ。そうした個性は優れた録音によって導き出される部分もあるし、楽曲のスタイルやアレンジに依る側面もあるだろう。いずれにせよ私が重きを置いたのは、演奏家の音、録音された音の“サウンド・キャラクター”である。
 もう1点は、保守的なジャズ愛好家にもっと和ジャズに目を向けて頂きたく、高音質の国内録音アルバムを半数入れたこと。威勢のいい邦人アーティストの熱気をもっと身近に感じてほしいのだ。
 今回は50年代~60年代の音源は敢えて選ばず、70年代以降の録音作を選出した。それはアナログ録音が熟成した後、今日のデジタル編集に至る中で音に優れた作品を推したかったから。60年代以前のアルバムはもはや語り尽くされ、他の媒体でも散々紹介されてきただろうから、それら情報は別途収集してほしい。」(小原由夫)



¥3056 ⇒ ¥2139

『Ub-X』
橋本一子 Ub-X


 アヴァンギャルドな一面と、リリカルで清楚な部分とが絶妙に折り重なった橋本一子のジャズ。ピアノトリオという最小単位のコンボは、透明かつクールなモノクロームの世界に鋭い楔を打ち込んでいくかのような緊張感漂う演奏だ。3つの楽器が濃密に会話するようでいて、時として強引に突き放す。その媒介となるのが、独特の浮遊感を漂わせる橋本のパーカッシブなヴォイス。こんなピアノトリオは世界中どこを見渡してもない。できればオリジナルフォーマットに近いDSF5.6MHzで聴いてほしい。

¥3000 ⇒ ¥2100

『Wonderful World』
宮本貴奈

 7年ぶりのリーダー作は、曲毎にさまざまなゲストミュージシャンを迎えて完成させたバラエティに富んだ作品。楽器のクリアネスと音色のナチュラルさに耳を奪われる好録音盤だ。次代を担う邦人ドラマー石若駿を迎えたピアノトリオ形式のスリリングな展開もいいが、「シング・ライク・トーキング」のヴォーカル佐藤竹善を迎えてデュエットも披露した、グローバー・ワシントン・Jr&ビル・ ウィザースの「ジャスト・ザ・トゥ・オブ・アス」が、夢見心地の素敵な演奏。ちなみに本作は、音楽評論家が選ぶ2020年度第33回ミュージックペンクラブ音楽賞の全ポピュラー部門の最優秀作品を受賞している。



¥4400 ⇒ ¥3520

『ザ・ダイアログ』
猪俣猛, 荒川康男, 有賀誠門, 増田一郎
横田年昭, 横内章次, 西条孝之助, 向井滋春

 オーディオ評論の第一人者/菅野沖彦氏が主宰したAudio Laboレコーズは、通常ならばスタジオで収録されるジャズであっても、アンビエンスやプレゼンス感を重視して敢えてホール録音を敢行。その独特の立体感がオーディオマニアに支持された。それら70年代のオリジナル・アナログ・マスターテープを、オクタヴィアレコード主宰の録音/マスタリングエンジア江崎氏が新たにリマスタリングしたことで、この丁丁発止のスリリングなサウンドが一層迫真的なハイテンションで蘇った。サックス、トロンボーン、ヴィブラフォン等、デュオの相手が代わっても、クローズアップされたドラムのリアリズムは何ら変わらない。

¥3520 ⇒ ¥2816

『MIXER'S LAB SOUND SERIES VOL.1』
角田健一ビッグバンド



  ビッグバンドシリーズのDSD音源をアナロ グ用に再ミックスし、そのスタジオミックスマスター音源をそのまま配信用に変換したのが本作。日本の歌謡曲やジャズ等、アナログからデジタルに至るこの何十年間に多数の高音質盤を手掛けた巨匠/内沼映二(ミキサーズ・ラボ)の手腕が如何なく発揮された高音質盤だ。演奏自体は奇を衒わないオーソドックスなものだが、個々の楽器のニュアンスが明晰で、テーマとアンサンブルの対比が見えるよう。リズムセクションの低い重心がもたらす安定感も圧巻。中でも「オール・オブ・ミー」は、今回の配信用に改めてミックスし直した、ここだけでしか聴けないスペシャル版だ。



¥3056 ⇒ ¥2140

『SHANTI sings BALLADS (96kHz/24bit)』
SHANTI


 人気ヴォーカリストであり、プロの録音家が選ぶ年間アワードで何度も優秀録音賞を獲得しているのがSHANTIだ。それだけ制作スタッフに恵まれているということもあるが、過去6枚のアルバムから選りすぐったこのカバー集も、見事に音の質感統一が図られている。ヴォーカル音像は鮮明なフォルム、クリアーで見通しのよい伴奏は音場感が素晴らしい。E.ジョンの「Your Song」の優しさもいいが、実父T.スナイダー(元ゴダイゴ)とのデュエット「Time After Time」の慈愛に満ちた表現もいい。

¥2515 ⇒ ¥1761

『Haunted Heart』
エディ・ヒギンズ, レイ・ドラモンド, ベン・ライリー


 燻し銀的なフレージングと音色が素敵なベテラン・ピアニスト/エディ・ヒギンズの90年代末のヒット作。ヴィーナスレコードの音は、個人的には、90年代~00年頃までの誇張感のないサウンドの方が最新録音よりもずっと好き。本作もピアノの響きの自然さと繊細さがいい。「ラッシュ・ライフ」でのピアノが奏でるテーマの後ろで響くアルコ奏法によるベースの豊かな胴鳴り、「アイ・シュッド・ケア」のドラムが醸し出す軽やかなスウィング感がたいそう心地よい。



¥3300 ⇒ ¥2640

『ウッド』
ブライアン・ブロンバーグ


 キングレコードが銘打った「低音」シリーズを代表する名盤。米西海岸で活躍するB.ブロンバーグは、アコースティック/エレクトリック双方のベースを超絶テクニックで聴かせる名手。アコースティックベースに専念した本作では、トリオ形式での演奏よりもベースソロのナンバーでその圧倒的に深く伸びる驚異的な低音が堪能できる。ここまでベースににじり寄った生々しい響きが堪能できる作品はなく、まるでベースの胴の中に首を突っ込んだかの如く鮮烈な音が聴ける。一方でこれは、オーディオシステムの低音再生能力の限界に挑戦するアルバムともいえよう。

¥3464 ⇒ ¥2036

『Live from Studio 2』
GoGo Penguin


 アコースティックなピアノトリオに鋭利なエレクトロニクスのエフェクトを持ち込むと、斯くもハイスピードかつワイドレンジなサウンドが齎らされるのかと驚かされたトリオのライヴ盤だ。これまでゴー・ゴー・ペンギンの音楽スタイルはスタジオで入念に音を重ねて作られたものかと思っていたが、こうしてライブでもその真価が発揮されていると知って感銘した次第。いわゆるモダンジャズのオーソドックスなピアノトリオ好きの人にとって、果たして彼らはどう受け取られるのか、興味は尽きない。ちなみに私は、諸手を上げて大歓迎!

 

¥4481 ⇒ ¥2445

Love For Sale[Deluxe]
Tony Bennett, Lady Gaga


 御年90歳超えのT.ベネットが、楽しかった7年前を思い出し、L.ガガと再び組んだヴォーカル・デュオ作。ここではアメリカが生んだヒットメーカー/コール・ポーターの楽曲を採り上げ、古き良き時代のショウビジネス的ジャズの世界観を再現したかのようだ。曲によってメイン・ヴォーカルが入れ替わるが、総じて瑞々しくもダイナミックな歌唱のガガに対して、ベネットはいささか擦れ声。それでも表現力はさすがで、オールドタイマーなジャズコンボ演奏を引っ張っている感がする。ダイナミックレンジが滅法広く、ヴォーカル音像のセンターイメージはハッキリくっきり克明だ。

¥3871 ⇒ ¥2445

『Sunset In The Blue』
Melody Gardot


 ウィスパーヴォイスと言うには明瞭過ぎるし、チャーミングと称するには色艶があり過ぎる。なかなかにユニークな立ち位置に居るメロディー・ガルドー。そのヴォーカルスタイルは、「しつこくない粘気」と私は感じている。すなわち、サラッとした質感ながらも、心地よい後味が残るといったところ。世界中のミュージシャンとのリモート共演によって作られた2020年発表の本作は、その辺りの按配が絶妙で、ガルドーの少しアンニュイな声がセンターに適度な厚みを伴って浮かび上がる。シングルカットもされた「リトル・サムシング」は、スティングとのデュエット曲。湿り気のあるガルド―の声に対して、スティングのかすれ声が対照的だ。この辺りが克明に再現されるのもハイレゾならではかもしれない。



 

小原由夫(おばらよしお)
理工系大学卒業後、測定器エンジニア、雑誌編集者を経て、92年よりオーディオ&ヴィジュアル評論家として独立。
自宅には30帖の視聴室に200インチのスクリーンを設置。
サラウンド再生を実践する一方で、6000枚以上のレコードを所持し、超弩級プレーヤーでアナログオーディオ再生にもこだわる。
ハイレゾ音源再生にも積極的に取り組んでおり、よりよいネットワーク環境整備に余念がない。

著書は「ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事」(DU BOOKS)。
主な執筆雑誌は、「HiVi」「ステレオサウンド」(以上、ステレオサウンド)、
「オーディオアクセサリー」「Analog」(以上、音元出版)、など。
Web系は「NIKKEI STYLE/AVフラッシュ」(日経電子版)に連載を持つ。




高橋敦がセレクトする「アニメ」必聴盤!

 

 「サマーキャンペーンのプライスオフにはもちろん、アニメ・ゲームといったジャンルの名作もたくさん含まれています。ここではその中から、オーディオの観点からも楽しめる作品を「オーディオ評論家セレクト」としてピックアップ。
 セレクトにおいてはまず「音楽ファン&アニメ声優ファンとして同じ趣味のみなさんにおすすめしたくなる作品」が前提条件。それを満たす作品の中から「オーディオ的な聴きごたえや聴きどころもある作品」を選び出しました。言い換えるなら、「サブスクとかでもいいからとにかく聴いてほしい作品」の中から「ハイレゾ音源&よいオーディオシステムで聴いてほしい作品」を選び出した、ということです。なのでみなさんにも例えば、まずは純粋に音楽作品として聴き、そこから今度はオーディオ観点で聴き込んでみると……のように、様々な視点や気分、オーディオシステムで楽しんでいただければと思います。
 また選者の嗜好によってアニソンの中でも女性ボーカル曲が多くを占めるセレクトとなっていますが、何でもありなアニソンというジャンルにおいてはボーカルの声質や歌い回しも多種多様。「オーディオ的にも面白い、様々なスタイルの女性ボーカル作品」のセレクトとしても楽しんでいただけるかもしれません。」(高橋敦)



¥2547 ⇒ ¥1783

『Pure AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS』
AQUAPLUS


 アニソンやゲーム音楽をアコースティックやジャズのスタイルでカバーし、超高音質パッケージで提供。そういった企画が定着するきっかけのひとつはこの作品だったかもしれません。「ToHeart」「うたわれるもの」などで知られるゲームメーカーのアクアプラスが、それら自社作品の音楽を一流のアレンジ、演奏、録音で仕上げ直し、SACDでリリースした作品です。元がSACDだからハイレゾ配信にもDSDが含まれているわけですね。
 Suaraさん歌唱のボーカル曲「夢想歌」は、歌を主役としながらの楽器の描き込み、その両立の見事さに感心させれます。ミックスにおいては、効果音的に多用されている鈴の音などパーカッション系の楽器の空間配置の美しさにも注目。空間表現は他の曲でも絶品ですので、ぜひ空間再現に優れるスピーカーシステムで聴いてみてほしい作品です。

¥1320 ⇒ ¥880

『New Stranger』
sora tob sakana


 ポストロック的なサウンドで人気を博していたアイドルグループがアニメ「ハイスコアガール」OPテーマとして発表したシングルです。物語に合わせたゲームサウンド要素もぶち込まれたことで、アイドル+ポストロック+チップチューンというハイブリッドなサウンドに。アーティストの個性と物語の個性の融合で新しいサウンドが生み出されるとは、これぞアニソン!です。なおサウンドプロデューサーの照井順政氏は、現在では「呪術廻戦」などアニメ関連の仕事も多く任されるようになっています。
 イントロの変態超絶ギターフレーズに象徴されるように、アタックやエッジを立てた鋭い音色がポイントな曲。再生システムにはその鋭さを損ねることも耳障りに強めてしまうこともない、ナチュラルなレスポンスが求められます。イヤホンやヘッドホンはアタックの癖が目立ちやすいので、その試聴音源としても活躍してくれそうです。



¥4180 ⇒ ¥2926

『STEREO DIVE』
STEREO DIVE FOUNDATION




 個人としての幅広い楽曲提供、そして(K)NoW_NAMEとしての活動でも知られるR・O・N氏のソロプロジェクトの、2020年発売の1stアルバムです。「GANGSTA.」「Dimension W」といった名作のOPテーマを筆頭に、エレクトリックなダンスビートを土台としたアグレッシブなサウンドが炸裂。しかしそこに乗るメロディとR・O・Nさん自身の歌声の甘さのおかげで、ハードタッチになりすぎずポップ感も溢れる仕上がりになっています。
 音数を抜いてスペースを作って音を分離させる……なんて甘っちょろさは全くない、攻撃的な感触かつ大柄な音像を高密度に配置したエレクトリックサウンドを次々と展開。それでいてゴチャゴチャゴテゴテにはならず、十分なセパレーションですべての音がちゃんと機能しているのですから見事なミックスです。モニター系の再生システムなどでその絶妙さとアグレッシブさを共に最大限に引き出して聴くと気持ちいい!

¥1834¥1200

『TVアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!2』
エンディング・テーマ「おうちに帰りたい」【ORT】』
アクア(CV:雨宮天), めぐみん(CV:高橋李依),
ダクネス(CV:茅野愛衣)


 アニソンにハンバート ハンバートの佐藤良成さんを起用、ましてやああいう雰囲気の「このすば!」でそれを仕掛けるという超発想に驚かされた「ちいさな冒険者」に続く、アニメ第2期のEDテーマがこちら。もちろん前作と同じく、ハンバート印の素朴で高純度なアコースティックサウンドです。アメリカンカントリー、ヨーロピアンフォーク的なサウンドに、日本人にもなじむ童謡的なメロディが乗る心地よさよ。
 オーディオ的には、まるで目の前で演奏されているように生々しい高音質!とは異なるタイプの好録音。目の前ではなく心の中に情景が浮かぶような音、と表現すればそのニュアンスが伝わるでしょうか。そして3人それぞれのソロ歌唱バージョンも収録されていますので、その「キャラクターとしての歌唱」の見事さに耳を傾けるのもよし。その際はイヤホンやヘッドホンもフィットします。



¥3056 ⇒ ¥1500

『Period』
佐々木恵梨


 佐々木恵梨さんの2017年発売1stアルバムです。ゆるキャン曲からプログレ曲までが混在する2ndアルバムと比べると、こちらはエレクトリックなポップスを中心としたサウンドにまとめられている印象。そしてだからこそ際立つのが「GATE OF STEINER (acoustic ver.)」。「STEINS;GATE」シリーズのメインテーマであり、アニメ「Steins;Gate0」のエンディングも盛り上げまくってくれた、あの曲のアコースティックアレンジです。
 そこでの佐々木恵梨さんの歌唱がとにかく素晴らしい!例えばAメロから一節ごとの最後の子音、まさに一言目の「”Time” is」の「s」とかですね、その完璧にコントロールされた美しさたるや。声量やパワーをぶつけないでもよいアコースティックアレンジだからこそできる、より細やかな表現。その繊細さを生かしてくれる再生システムで聴いてほしい1曲です。

¥3850 ⇒ ¥3080

『嘘つきアリスとくじら号をめぐる冒険』
堀江由衣


 堀江由衣さん作品からは、前回年末年始のセレクト企画では2nd「黒猫と月気球をめぐる冒険」をセレクトさせていただいたので、今回はその番外編的なイメージで制作されたという5thアルバムをセレクト。「グルグル回る例の曲」も収録されています。それにしても堀江さん、1stからここまで平均しておおよそ1年に1アルバムをリリース!当時は業界的にそれが普通のペースだったことが恐ろしい……
 さて、この時期のキングレコードの声優作品には独特の音の好さがあるように感じます。同時期の田村ゆかりさんのアルバム「琥珀の詩、ひとひら」などを聴いても、堀江さんの初期作から本作あたりと近しい感触があるのです。楽器の音がやや強めのコンプなどでコンパクトに整えられているなど細部の共通点もありますが、アレンジも含めた「雰囲気」と曖昧に表現しておくのが適当な気もします。みなさんはどう感じますか?



¥3666 ⇒ ¥2500

『全部、君のせいだ。』
山崎エリイ


 2016年リリースの山崎エリイさんソロデビューアルバム。デビュー作にしてこの表現力!語尾の操作、息やファルセットの入れ方の巧みさなど、歌謡ポップスの系譜を受け継ぐ歌い回しの豊かさには本当に驚かされました。松田聖子さんや田村ゆかりさんを敬愛とのことですから、そのあたりを聴き込むことで身についたものなのかもしれません。
 ご本人の好みも反映したというゴシックな雰囲気の曲は特に音数多めのサウンドですが、それが歌を邪魔しないミックスの巧みさもオーディオ的な聴きどころ。楽器の輪郭をくっきりさせすぎず丸みや滑らかさを生かした音色作り、中心に置かれる歌を浮き上がらせるように全方位的な楽器の配置などによって、歌の存在感が際立たされています。そのアレンジやミックスの妙義も再現できるオーディオで聴いてみてほしいです。

¥3666¥2500

『夜明けのシンデレラ 』
山崎エリイ


 山崎エリイさんのこちら2018年リリースの2ndアルバムでは終盤の2曲に注目!実質的なタイトルトラック「シンデレラの朝」は、少女時代という夢の終わり、現実に目を向け始める瞬間を、「シンデレラにならなくていい」と歌う曲。歌詞にもサウンドにも、TM NETWORK「Still Love Her (失われた風景)」を思わせるノスタルジックな雰囲気を感じられます。
 オーディオ的に最注目なのはラストを飾る9分弱の大曲「ラズベリー・パーク」。基本の歌メロを丁寧に繰り返し盛り上げてきての終盤、そこまでに登場したメロディがコラージュ的に重ねられる場面は、あっちからもこっちからもエリイさんの歌声が!という、ファンにとっては夢のような音響空間。その声を脳直的に響かせてくれて、それでいて頭の中に広い空間を生み出してくれる、ハイエンドのカナル型イヤホンで聴くと最高です。

 

¥3300 ⇒ ¥2310

『ボイスサンプル』
悠木碧


 悠木碧さんの音楽活動再開後としては最初のアルバムという位置付けでもある2ndアルバム。「ボイスサンプル」というタイトル&コンセプト通りに、曲調も悠木さんの声や歌も一曲ごとに別のアニメ作品のキャラソンであるかのように目まぐるしく変わっていく面白さは、アニメ好き声優好きにはたまらないものでしょう。「バナナチョモランマの乱 (無修正版)」から「Logicania distance」という混沌を極めまくった流れよ……
 オーディオ的にも「各種詰め合わせサンプル」的な面白さがあります。楽曲のサウンドも、それに合わせて悠木さんの声も、一人の歌い手のひとつのアルバムとしては最大級にバリエーション豊か。そのために「このイヤホンはこの曲には合うんだけどこっちの曲には……」みたいな相性の良し悪しがこのひとつのアルバムの中で発生してくるのも面白いところです。


¥2530 ⇒ ¥1771

『Indigo』
駒形友梨


 「91年度組の女性声優さんたち歌うますぎ」という印象になる理由のおひとりでもある、駒形友梨さんの2020年発売2ndミニアルバム。この時期には声優アーティストの世界で素晴らしいミニアルバムが多くリリースされた記憶があります。実際「しっかりとした流れのある30分」って音楽体験として絶妙にいい感じですよね。駒形さんの本作も、全曲を通しての流れの良さとそれぞれの曲のバリエーションのバランスが秀逸です。
 さて駒形さんの歌声や歌い回しは癖が少なく、歌の世界の中で強く「駒形友梨!」と主張してくるようなタイプではありません。だからこそ歌の世界の物語や登場人物の方に自然と引き込まれる。そんな魅力があります。ですからオーディオの方も特に大きな癖のない「普通に音がいい」というタイプのシステムでさえあればそれで十分。それだけでこの作品、駒形さんの歌の魅力はしっかり届いてきます。そんな基本に立ち返らせてくれる作品です。



 

高橋敦(たかはしあつし)
ポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に活動するライター。音元出版主催アワード「VGP」においてはライフスタイル分科会審査員を務める。そのほか、アーティストインタビュー、ギター関連製品や家電などの分野も少々。




西野正和がセレクトする「J-POP/邦楽」必聴盤!

 

 「ハイレゾで聴く意味とは? ほとんどの音源がサブスクなどで聴けるこの時代です。改めてハイレゾ規格の価値を考えたとき、私がオーディオを始めたきっかけを思い出しました。大好きな曲を、少しでも良い音で聴きたい。そう、ほんの少しでも楽曲に近づきたいという欲求がオーディオの本質とするならば、やはり大好きな曲は現代最高峰のデータ量であるハイレゾ音源で楽しみたいものです。もちろん、ハイレゾだったら全部が最高音質なのか? という問題もあります。そこはレビュアーとしての腕の見せどころ。今回のセレクトにあたり、実際のハイレゾ音源を聴いて音質をチェックし、最高峰規格のハイレゾで聴いてほしい名曲の数々を選出しました。もし、今回のセレクト作品に大好きな曲がありましたら、ぜひ贅沢にハイレゾで聴いてみてください。」(西野正和)



¥3259¥2445

『X Singles(2014 Remaster)』
X JAPAN

 今回のセレクトでのイチオシ音源。一曲目の 「紅」 のギターが鳴り始めた瞬間、ただごとでない高音質に度肝を抜かれました。高い音圧を求められるロックというジャンルにありながら、この美音はいったい!混沌とせず高解像度、音が割れずにパワフル、低音のガツンとくるパワー感、際立つボーカル、細かなドラミングの全てが見えるようなサウンド。それら全てが、ロック系ハイレゾのお手本にしたいくらいのサウンドです。「ENDLESS RAIN」 のスネアは一聴の価値あり。試聴後に 「マスタリング・エンジニアは誰?」 と調べたら、納得の巨匠ボブ・ラドウィック氏でした。流石すぎます!

¥3361¥1681

『15YEARS -BEST HIT SELECTION』
globe


 リアルタイムで聴いていたころは、高域と低域を強調した、いわゆるドンシャリのサウンドだと思っていました。改めてハイレゾで聴き直してみても、そのドンシャリは健在。しかし、この特徴ある音質こそglobeサウンドなのです。ハイレゾっぽく聴かせようと高域を持ち上げるマスタリングが多い昨今、ある意味で当時そのままの忠実なハイレゾ化なのかもしれません。同時期に流行った他の楽曲達のドンシャリとは一線を画すくらい、小室サウンド本家の音色は群を抜いて魅力があったのだと再認識しました。



¥5348 ⇒ ¥4074

『雪の華15周年記念ベスト盤 BIBLE』 
中島 美嘉


 M1 「雪の華」 では現代デジタル録音の良さが存分に発揮され、リアルな実物大の音像で鳴るピアノ、息遣いやビブラートの隅々まで感じられる歌声がハイレゾで楽しめます。低音パートも予想以上に強烈で、低域過多のシステムでは再現に苦戦するかもしれません。名曲を高音質なハイレゾで味わいつくしながら、合わせてオーディオ・システムの再現チェックも楽しんでみてください。

¥3565 ⇒ ¥2852

『シングル ベスト コレクション』 
森口博子


 誰しも胸がキュンとなる楽曲があると思います。私にとって 「水の星へ愛をこめて」 は、そんなキュン曲のひとつ。あのイントロが始まるだけで、なんだかワクワクしてきます。M7のRemix Versionや最近の森口さんの歌唱のほうが圧倒的に上手いのはもちろん理解しているのですが、なぜかM1のデビュー当時の初々しい歌声のほうに心奪われます。流石の老舗キングレコードさんのハイレゾ化、安定の高音質で楽しめました。

 

 

¥3300 ⇒ ¥2640

『ザ・ピーナッツ ハイレゾ・ベストコレクション』 
ザ・ピーナッツ


 アナログ録音作品の魅力その1。このアナログ録音独特の、柔らかく分厚く聴き疲れしないサウンドは、ハイレゾ化してもやはり魅力にあふれています。ザ・ピーナッツ作品群は、これぞアナログ録音という感じで、懐かしいというより逆に刺激的。レコーディングで音程補正もリズム修正も無かった時代に、人力だけでここまでパーフェクトなハーモニーが実現できるとは・・・まさに溜め息が出ちゃいます。M11 「恋のフーガ」 冒頭のオーケストラ・ヒットは、もちろんサンプラーなど誕生していない時代の音ですから、全て生楽器によるもの。いや~素晴らしいサウンドです。

¥3080 ⇒ ¥1540

『TULIP BEST 心の旅』
TULIP


 アナログ録音作品の魅力その2。“オリジナル・アナログマスターより、当時のプロデューサー新田和長氏の立会のもとハイレゾ化” とのこと、アーティスト愛を感じるサウンドがハイレゾで楽しめました。柔らかく良質なピラミッド・バランスの音色が魅力。マスターテープのダメージからなのか、多少は音が揺らぐのも聞き取れますが、そんな些細なことくらい一蹴しても良いと思える、堂々たるサウンドです。




¥3080 ⇒ ¥1540

『この広い野原いっぱい
/森山良子フォーク・アルバムNo.1』
森山良子


 アナログ録音作品の魅力その3。音楽の教科書レベルの名曲、M1 「この広い野原いっぱい」 に圧倒されました。森山さんのデビュー作であり、19歳の1967年作品って・・・もはや天才としか。ヒスノイズ? そんな多少のノイズくらい、お友達と思えばすぐに気にならなくなります。半世紀以上も前に記録した歌が、こうして最新ハイレゾで楽しめるなんて、なんて素晴らしいことでしょう。

¥4278 ⇒ ¥2852

『大傑作撰』
森山直太朗



 お母様の良子さんに続き、直太朗さんのハイレゾも選出しました。M7 「愛し君へ」 の圧倒的なボーカルが素晴らしい。隅々までコントロールされたビブラートから伝わってくる、丁寧でエモーショナルなボーカルをハイレゾで感じてみてください。歌のフォルテシモ部分が若干飽和気味なところは気になるところですが、私は魅力ある歌唱のほうを積極的に着目して楽しみました。

 

¥3259 ⇒ ¥2445

『SOMEDAY』
佐野元春


 レコード時代の愛聴盤でした。久しぶりにハイレゾ版で聴き直してみると、あの頃は気付かなかった音がたくさん見えてくることに感動。過激なマスタリングではなく、レコード盤そのままのイメージで、作品の魅力を更に引き出しているハイレゾ化を高く評価します。多重録音の美学である本作なので、当時はレコード内周の音質劣化に泣かされたものです。ハイレゾ化で、そんな悩みもスッキリ解消。また 『SOMEDAY』 と出会い直せて幸せです。

¥3300 ⇒ ¥1650

『Dear Friends VIII 筒美京平トリビュート』
岩崎宏美


 いよいよ岩崎宏美さんの歌声にも、オートチューンをかける日がきたとは・・・とショックを受けたのですが、全曲ではなく一安心。なんといっても良美さんとの姉妹デュオ M8
 「にがい涙」 が秀逸の出来。皆さん、どちらが宏美さんで良美さんか聞き分けられますでしょうか?



 

西野 正和(にしの まさかず)
3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー 株式会社レクスト代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセレクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』をプロデュース。




土方久明がセレクトする「ジャズ」必聴盤!

 

 「僕はハイレゾ再生を長年探求してきたわけだが、今やスタジオマスタークォリティの音源をホームオーディオによるスピーカー再生やDAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)とヘッドフォン、イヤフォンで楽しめる素晴らしい時代が到来している。今回は僕の愛するジャズから10枚選んだのだが、どれもが至極の名演奏で音質も良好だ。ジャズ再生の場合は、アーティストがしっかりと前へ出て、迫力と楽器やヴォーカルのリアリティを両立させたいところだが、それを担保するのが小レベルの音をありのままに内封できるハイレゾのアドバンテージだ。アーティストの熱気、楽器の細かいニュアンス、スタジオの響きをハイレゾは伝えてくれる。」(土方久明)



¥2200 ⇒ ¥1540

『ベスト・オブ・渡辺 貞夫・ハイレゾサウンド』
渡辺 貞夫

 日本のJazzシーンを語る上で渡辺貞夫の功績に異論を挟む人はいないだろう。僕が小学生の時に近所のジャズ好きのお兄さんが「ナベサダを聞かせてやるよ!」なんてカッコつけてたのを思い出すが、そんなナベサダがリリースした「バード・オブ・パラダイス」「カリフォルニア・シャワー」など1970年代の名アルバムから2000年代に発売された「オウトラ・ヴェス~ふたたび~」、新旧のアルバムから幅広くチョイスされている。彼の楽曲がハイレゾで聴けるなんて本当に良い時代になった。

¥2200 ⇒ ¥1540

『ベスト・オブ・ジャズ・ハイレゾサウンド』
VARIOUS

 ビクターレーベルは数多くの一流ミュージシャンによる高音質ジャズアルバムをリリースしている。そんな至極の楽曲をオムニバス形式で収録したのが本タイトルだ。カーメン・マクレエ、ヘレン・メリルの女性ボーカルは、口元の大きさがわかるリアリティを出しながらスピーカーセンターに定位するし、マッコイ・タイナーのピアノやアート・ペッパーのサックスは楽器の色艶と超絶な技巧を聞き取れる。サウンド・プロデューサーは、日本が誇るレコーディング・エンジニアで、近年も高音質タイトルを数々生み出してきた高田英男というのも嬉しい。



¥3300 ⇒ ¥2310

『ZIPANG 弐nd』
SANOVA

 現代のジャパンジャズシーンは才能のあるアーティストが沢山出てきたと僕は思っている。その中でもSANOVAは、Appleの「iTuneジャズチャートアルバム」1位を1ヶ月以上も獲得し続け、ソングランキングとアルバムランキングそれぞれで1位?3位を独占する快挙を成し遂げた。そんな注目アーティストの楽曲がハイレゾで聴ける。トラック1の表題曲は躍動的な表現、立体的でハイスピードなピアノが聞きどころ。トラック2のピアノのアンビエントは音の粒子が空間に放出され、音数が多い現代ジャズにおけるハイレゾの優位性を聞き取れる。ジャズとオーディオを知っていてよかった!

¥2852 ⇒ ¥1900

『矢野沙織BEST~ジャズ回帰~』
矢野沙織

 日本を代表する女性ジャズ・アルト・サックス・プレイヤー、矢野沙織の通算6枚目にして初となったベスト・アルバム。彼女は、ビ・バップなどのストレート・アヘッドなジャズを追求してきたがその魅力を存分に聞き取ることができる。スピードのある演奏だけど、スウィング感も抜群で、奇を衒うようなアレンジはしていないのでオールドジャズファンにも聞きやすいはずだ。アルトサックスの音色や細かい演奏のニュアンスなど彼女の演奏力の高さがよく表現される名盤である。



¥4481 ⇒ ¥2648

『Opera』
桑原あい

 2010年代に衝撃的なデビューを飾った、ジャズピアニスト桑原あい。彼女が2020年に発売した初のソロ・ピアノ・アルバム。録音場所は、クラシック・コンサート専用ホール「東京オペラシティ リサイタルホール」ということで、ピアノの響き方や良質なホールトーンも録音されており、小レベルの音の再現力に優れるハイレゾの優位性を確認できる優秀録音版だ。収録された楽曲は幅広いジャンルから集められた名曲のカヴァーが中心なので耳馴染みも良い。

¥5907 ⇒ ¥3464

『OZONE 60』
小曽根 真

 最近では国内外の著名なクラシック・オーケストラとの共演も多く、的にも高く評価されるジャズピアニスト小曽根 真の60歳を記念したソロ・ピアノ・アルバム。録音は、音の響きの良い、クラシック・ホール「水戸芸術館 コンサートホールATM」で実施。
「スタインウェイD型」と「ヤマハCFX」という2台のグランドピアノを曲により弾き分けており、オーディオ的な聞きどころも多い。2代のピアノの音色や質感表現の違いをいかに表現できるのかチャレンジして欲しい。



¥2000 ⇒ ¥1000

『Supreme Jazz - Count Basie』
Count Basie


 ドイツのmembran musicより2006年にリリースされたSACD「Supreme Jazzシリーズ」がハイレゾファイルで入手できるようになった。しかも本タイトルは、名門中の名門「カウント・ベイシー・ヒズ・オーケストラ」による演奏で、ニュー・ベイシー時代の50年代中期頃の作品から17曲がピックアップされている。録音された時代は古いが、ビックバンドの魅力ある演奏は如実に聞き取ることが可能で、大所帯によって構成された大人数編成によるジャズはスケールが雄大だ。

¥4400 ⇒ ¥3520

『Passionate Songs」Super High-Resolution Audio [Selected by MIXER'S LAB]』
H ZETTRIO

 テクニカルなピアノとキレのあるリズムセクションで日本のトップジャズトリオに上り詰めたH ZETTRIO。そんな彼らの名曲から、「情熱的」な音楽性を持つ楽曲をチョイスして全てをリミックスした企画盤だ。オーディオファイルにとって注目したいのは、近年高音質タイトルの制作で名高いMIXER'S LABの三浦 瑞生氏が関わっていること。しかもPCM384kHz/24bitとDSD11.2MHzという、より高いレゾリューションで配信されており、高音質ソースによるオーディオ的ロマンがある。(Seleced & Mixed By Mizuo Miura)



¥4400 ⇒ ¥3520

『MIXER'S LAB SOUND SERIES VOL.3』
角田健一ビッグバンド

 オーディオファイルの超人気盤である「MIXER'S LAB SOUND SERIES」はVol1からVol4まで発売されているが、Vol3はジャズの名曲やTV/映画で使用されたテーマ曲をチョイスしており耳馴染みが良い。音質については徹底しており、384kHz/32bitのレゾリューションを持つスタジオミックスファイルからストレートに配信用ファイルを作成している。つまりスタジオマスタークォリティの音源をそのまま自分のシステムで再生できるのだ。鮮度が高く抑揚表現も豊か、自身のシステムの音質が上がったように聞こえてしまう、オーディオ的名盤である。また、5.0チャンネルのサラウンドバージョンも用意されている。

¥6500 ⇒ ¥5200

『ザ・ダイアログ』
猪俣猛荒川康男,他

 オーディオ評論の巨匠、菅野沖彦氏が主宰したAudio Laboレコーズを代表するタイトルで、僕の周りのベテランオーディオファイルで本作を持っていない人はいない、といっても良いほどの名盤でもある。本作がハイレゾファイルとして配信された時、僕は「ついにこのタイトルがデジタルファイルで聴けるのか」と衝撃を受けた。しかも今回は、オリジナルのアナログ・マスターテープを、オクタヴィアレコードの録音/マスタリングエンジア江崎友淑氏がリマスタリングしており、既にLPやSACD/CDを持っている方も楽しんでいただけると思う。



 

土方久明(ひじかた・ひさあき)
ハイレゾやストリーミングなど、デジタルオーディオ界の第一人者。テクノロジスト集団・チームラボのコンピューター/ネットワークエンジニアを経て、ハイエンドオーディオやカーオーディオの評論家として活躍中。元々一人のオーディオマニアだけあり、購入者の視点で製品をレビューする事を信条とする。別冊ステレオサウンド ハイレゾの教科書 ハイレゾストリーミング対応版  監修




山之内正がセレクトする「クラシック」必聴盤!

 

 「今回のセレクションは、ハイレゾ音源から伝わる演奏家の個性や表現の工夫に注目して10作品を選んだ。クラシック作品をオーディオ的視点から選ぶ場合、ダイナミックレンジの大きさや低音の量感に注目しがちだが、今回はそこではなく、良い音で聴くことで初めてわかる繊細な表現やハイレゾの情報量の余裕が伝える表現の深さ、音色の豊かなどこだわってセレクションを進めた。そのコンセプトを意識しながら楽器の種類や編成のバリエーションを広げ、無伴奏ヴァイオリンやピアノ独奏から合唱を含む大編成のオペラ作品まで、ハイレゾ録音の真価が伝わる音源を幅広く選んでいる。それぞれの作品の推薦コメントでも触れた通り、楽器の直接音だけでなく余韻の振る舞いや質感も演奏の印象を大きく左右する。弱音のなかに含まれる豊かな情報を聴き取ることはクラシックならではの楽しみであり、精度の高い再生システムで聴くと、CDからは伝わり切らない微妙な表情や空間情報が浮かび上がってくる。」(山之内正)



¥3871 ⇒ ¥2445

『John Williams in Vienna』
Anne-Sophie Mutter,
Wiener Philharmoniker, John Williams


 ジョン・ウィリアムズと著名オーケストラの協演は各地で絶大な人気を誇る。なかでもムジークフェラインで行われた2年前のウィーンフィル公演は特に注目度が高く、「悪魔のダンス」で華麗な独奏を披露したムターとの息の合った演奏も話題を集めた。この録音の注目すべきもう一つのポイントはホール全体が鳴り響くムジークフェラインならではの音響を忠実にとらえていること。ウィーンフィルのアンサンブルの底力を感じさせる分厚いサウンドをたっぷり味わいたい。2020年1月ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ録音。

¥1783 ⇒ ¥1248

『イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集』
アンドレア・バッティストーニ,
カルロ・フェリーチェ劇場管弦楽団・合唱団


 バッティストーニが振るとオーケストラの音量が大きくなったように感じるのはなぜだろう。すべての楽器のアタックがピタリと揃うことで音圧が上がることがその理由の一つかもしれない。イタリアオペラの管弦楽曲と合唱曲を集めたこのアルバムではジェノヴァのカルロ・フェリーチェ劇場のオーケストラがバッティストーニの棒に応えて活き活きとした音を繰り出している。歌劇場のオーケストラは他のパートや歌をとてもよく聴いているので、テンポの僅かなゆらぎにも一瞬で反応する。音量のダイナミックな変化を生々しくとらえた優秀録音である。



¥3520 ⇒ ¥2816

『モーツァルト:ピアノ協奏曲 第 25番 K. 503、
ピアノ・ソナタ 第 10番 K. 330』
田部京子, 飯森範親, 山形交響楽団


 一枚のアルバムに協奏曲とソナタを1曲ずつ収録する田部京子のモーツァルト録音は2夜のコンサートに出かけるような楽しみがあり、ハ長調の作品を組み合わせて響きの統一感を生み出すなどプログラミングの工夫も興味深い。協奏曲は山形交響楽団とのライヴ録音で、ピアノ独奏も含め澄み切った見通しの良い響きが聴きどころ。ソナタは稲城iプラザの密度の高い余韻のなか、弱音の精妙な音色と繊細な表情を忠実にとらえている。いずれも2017年の録音である。

¥3143 ⇒ ¥2514

『プログレッシブ・デュオ』
デュオ・ディ・バッソ



 チェロとコントラバスという低音楽器だけの二重奏が生む響きは極上の柔らかさがあり、聴き手の身体を包み込む豊かな包容力がある。教会を満たす豊かな余韻のなかに、低音楽器ならではの複雑で厚みのある倍音が広がり、浸透していく様子がたとえようもなく美しい。コントラバスが歌う高音の表情の豊かさ、チェロの艷やかで潤いをたたえた旋律の動きなど、このデュオの演奏ならではの聴きどころを聴き逃さないようにしたい。プラハの聖ミヒャエル教会で2002年にDSD収録した名録音である。



¥2515 ⇒ ¥2012

『SOLO』
渡辺玲子


 無伴奏作品の演奏にはヴァイオリニスト本人の意志や志向が克明に刻まれる。音色や強弱の微妙な変化のなかから作品への共感やエモーショナルな心の動きが浮かび上がり、聴き手の耳にまっすぐ届くのだ。聴き手も思わず真剣勝負という身構えがちだが、強い緊張だけでなく、穏やかな時間が流れる瞬間もあり、選曲と曲の配置のうまさに感心させられる。長い残響に頼ることなく演奏のディテールを鮮明にとらえた録音によって、作品ごとに音色や響きを鮮やかに描き分ける渡辺玲子の名技が際立つ。

¥2515 ⇒ ¥2012

『夜の肖像』
北村朋幹


 形式にとらわれず幻想曲風とベートーヴェン自ら名付けた2つのソナタを中心に据え、その間を北村朋幹が選んだ個性的な作品でつなぐことで「夜」のイメージで統一する。吟味し尽くした音色と陰影豊かな響きが聴き手の想像力を強く刺激し、ベートーヴェンの連作ソナタがこれまでと違った表情を見せるのが面白い。ピアニストがアルバムに込めた密かな狙いを聴き取るためには、音が消える瞬間の精妙な響きに耳を傾け、僅かな空気のゆらぎも聴き逃さないことが肝心だ。音へのたしかな審美眼が伝わる優秀録音。



¥1996 ⇒ ¥1390

『水の反映 ~ドビュッシーピアノ作品集』 
福間洸太朗


 欧州でも活発な演奏活動を繰り広げる福間洸太朗のピアノは音色への感性の鋭さを感じさせ、微妙な色合いを描き分ける能力の高さが伝わる。光を受けて輝く水の姿にインスピレーションを受けたという本人の話が強い説得力を持つのは、このアルバムのために選び抜いたドビュッシーの作品に共通する「水」の光と動きをていねいに描き出しているからだろう。ダイナミックな演奏のなかに姿を現す繊細な表情を漏らさず聴き取ることが求められる。録音会場の自然な余韻の広がりも見事にとらえている。

¥2640 ⇒ ¥1800

『Travelogue』
宮田大, 大萩康司


 二重奏の醍醐味は、互いに相手の演奏を聴き合うことで生まれる音楽的な共鳴やシンクロする動きの面白さにある。チェロとギターというあまり例のない組み合わせでもそんな共鳴が生まれるのか、興味津々で聴き始めるが、その疑問はすぐに消え去る。音量バランスにもなんら違和感はないし、ギターもチェロもそれぞれの楽器の魅力が存分に伝わってくる。音楽で旅を続けるというコンセプトの選曲も秀逸で、変化に富んだ曲調から生まれる豊かな起伏が耳に心地よい。それぞれの楽器の発音の違いを正確に鳴らし分けることが真価を引き出す秘訣だ。



¥2303 ⇒ ¥1610

『藤倉大:箏協奏曲』
LEO, 鈴木優人, 読売日本交響楽団



 コンサートホールで聴く琴の音は鋭さと厚く深い響きが強い対比を見せ、これまで聴いたことのない刺激を聴き手にもたらす。LEOの独奏はオーケストラと対等またはそれ以上の存在感を発揮し、さまざまな楽器との組み合わせで生まれる表情豊かなハーモニーがとても新鮮だ。琴の強いいアタックは超高域成分をたっぷり含んでいるので、倍音領域まで素直に伸びた再生システムで聴くとハイレゾ録音の真価が伝わる。2021年4月無観客公演のライヴ収録。

¥3143 ⇒ ¥2514

『マーラー:交響曲 第9番 
~ワンポイント・レコーディング・ヴァージョン~』
 エリアフ・インバル, 東京都交響楽団


 都響のマーラー演奏史に鋭く刻み込まれた2014年3月の公演をワンポイントステレオ方式で収録した貴重な録音である。マルチマイクで収録した通常バージョンと聴き比べると、ステージの立体感やホールトーンの広がりなどにワンポイント録音ならではの良さが聴き取れる。細部の描写はマルチマイクの方が鮮明だが、空間性を重視したマーラーの作品ではワンポイント収録を選ぶことにも深い意味があることがわかる。楽器間のバランスは適切かつ立体的で、ステージの楽器配置がそのまま眼前に広がる。



 

山之内 正(やまのうち ただし)
神奈川県横浜市出身。オーディオ専門誌編集を経て1990年以降オーディオ、AV、ホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。大学在学中よりコントラバス演奏を始め、現在も演奏活動を継続。年に数回オペラやコンサート鑑賞のために欧州を訪れ、海外の見本市やオーディオショウの取材も積極的に行っている。近著:「ネットオーディオ入門」(講談社、ブルーバックス)、「目指せ!耳の達人」(音楽之友社、共著)など。

◆Phile Web連載:山之内正のデジタルオーディオ最前線
https://www.phileweb.com/magazine/digital-audio/




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