山之内正厳選!コロムビアクラシック優良録音作品30作プライスオフセール開催!!

2022/05/21

日本屈指の歴史と伝統を誇る日本コロムビア。名盤の宝庫としてカタログ作品愛好家から厚い支持を得る一方、創業以来常に最新のレコーディング技術を開拓してきたノウハウは、新録のクラシック作品でも突出したクオリティを保ち続けている。

今回、オーディオビジュアル評論家の山之内正が、日本コロムビアの豊富なクラシック作品群から5つのテーマに分けて良質作品をセレクト&期間限定でプライスオフを実施!この機会に日本コロムビアの真髄をご堪能ください!

◆◇◆




屈指の歴史と伝統を誇る日本コロムビアは、蓄音機時代の創業以来、音楽メディアの最先端を切り開く重要な役割を担い続けてきた。特にアナログからデジタルへの移行期にいち早くPCM録音を手がけ、充実したラインナップを構築した功績は大きく、現代に至るデジタル録音への潮流を牽引したレーベルとして高い評価を得ている。
また、現在は互いに独立した関係になったものの、1970年代以降のオーディオ全盛期にはDENONとの間でハードとソフトの事業を統合し、共同歩調で音楽産業の発展に寄与した。PCM録音の分野で世界をリードする存在になったことや、音楽製作の知見をホームオーディオの開発に活かすなど、その成果は多岐にわたっている。

日本コロムビア全体では幅広い分野の音源を手がけているが、今回はクラシックに絞って定番の優秀録音と注目の最新録音を紹介しよう。長い歴史を誇るレーベルだけに録音技術の変遷と進化が著しく、時代によって録音の仕様にも変化がある。
たとえば1970年代から1980年代にかけての初期デジタル録音は、現在の基準で見るとハイレゾ録音には該当せず、数字上はCD相当の音源が主流を占める。しかし、この時期の録音の価値を再評価する気運が高まるなかで独自技術を駆使した音質改善に取り組み、ハイレゾ相当の音を蘇らせる「ORT(Overtone Reconstruction Technology)」を独自に開発した。

ORTは、デジタルマスターを解析して演奏に本来含まれていたはずの高域成分を蘇らせる技術である。CD規格での録音ではアナログ信号をデジタル変換する際に超高域成分を遮断するため、微妙な音色の違いや空間情報などが失われてしまうおそれがある。低音の倍音から高域成分を予測することによってその失われた超高域成分を再構築し、補間することがORTの基本的な動作原理だ。ただし、機械的な演算処理を行うのではなく、マスタリングエンジニアが複数のパラメーターを使い分けて最適な音に仕上げることに意味がある。録音現場での豊富な経験を持つエンジニアのノウハウを活かしながら、楽器の音色の吟味や余韻の広がり具合の調整を行い、演奏と録音の特長を引き出しながら原音に近付けていくのだ。

ORTでハイレゾ化した音源とともに重要な位置を占めるのが、現在の同レーベルの中心をなすハイレゾ録音の充実したラインナップだ。技術の進化に呼応して録音フォーマットの見直しを進め、現在では24bit/96kHzや24bit/192kHzなどCDを大きく上回る規格での録音を積極的に進めている。器楽や室内楽からフル編成のオーケストラやオペラまで、レーベル主導で手がける録音の規模は広範囲に及ぶが、その大半をハイレゾで収録しており、優れた演奏を高音質で提供する姿勢にゆらぎはない。近年は若手演奏家に注目して活動をサポートするOpus Oneを立ち上げるなど、意欲的な独自企画も好評だ。

執筆・選盤:山之内正





山之内正厳選!コロムビアクラシック優良録音作品30作プライスオフセール


■実施期間:〜2022年6月30日(木)
■対象作品:本ページで紹介の30作品  >>作品一覧ページはこちら

※プライスオフ後の価格が、各ページに表示されています。
※アルバム販売のみプライスオフが適用されます。


 


 

<オーケストラ(交響曲)>

「時代の最先端を切り開いた交響曲の名録音を聴く」

日本コロムビアの交響曲録音は輝かしい歴史に彩られている。統一前の東西ドイツを中心にヨーロッパでオーケストラ録音を数多く手がけ、海外レーベルの原盤から日本でアルバムを製作したり、録音チームを送り込んで現地録音を行うなど、積極的な活動を継続してきた。なかでも1980年代半ばに収録したインバル指揮フランクフルト放送交響楽団によるマーラー交響曲全集の録音はマーラーの録音史に一時代を築く重要な成果を上げ、いまもファンが多い。立体的なステージ再現と見通しの良い空間表現は現代のデジタル録音の潮流にも大きな影響を与えた。

2000年代以降は読売日本交響楽団を中心に日本国内のオーケストラで交響曲の重要な録音が相次いでいる。特に注目すべき成果は同オーケストラの常任指揮者をつとめたスクロヴァチェフスキ時代の録音で、ブルックナーの後期作品のほか、ベートーヴェンやブラームスの交響曲にも優れたライヴ録音を残している。いずれも24bit/96kHzなどハイレゾ収録のポテンシャルを活かし、広大な音場空間のなかでダイナミックレンジの大きなサウンドをとらえている。


 

¥2,750¥1,925

『マーラー:交響曲第4番 【ORT】』エリアフ・インバル指揮, フランクフルト放送交響楽団


フランクフルトのアルテオーパーでワンポイントステレオで収録した録音。マーラーをワンポイントマイクで録ることは意欲的な挑戦とされていたが、見通しの良い音場のなかに各楽器の音像が立体的に並ぶ情景は他の録音とは一線を画すもので、その透明感と開放的な低音はオーディオファンの間でも大きな話題になった。1985年録音。ORT音源。

¥3,056¥2,139

『ブルックナー:交響曲第8番』スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ, 読売日本交響楽団


晩年のスクロヴァチェフスキは読売日本交響楽団の常任指揮者として日本のファンにも絶大な人気を博していた。彼が常任時代最後に振った第8番の演奏はいまも語り継がれる名演で、オペラシティ・コンサートホールを満たした高揚感は当日のライヴ録音にそのまま刻まれている。細部の精緻な表現とパワフルなトゥッティが見事に両立した優秀録音だ。2010年録音。

 

¥1,800¥1,260

『マーラー:交響曲第1番 ニ長調 「巨人」/花の章』山田和樹, 読売日本交響楽団


重量感のある低弦をはじめ、彫りが深く力強いサウンドに特長がある。すべての楽器を鮮明に描き出し、マーラーの精緻なスコアを目の前に広げたようなクリアな光景が展開。オーディオファンは第4楽章の力強いティンパニやホルンに注目してほしい。冒頭に配置した《花の章》は当初は第2楽章として構想されながら実際には作曲家によって削除された曲。第1番の着想の原点とも言うべき作品なのであえて冒頭に置いたものと思われる。2020年ライヴ録音。

¥2,750¥1,925

『ブルックナー:交響曲第4番 【ORT】』
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮&ドレスデン・シュターツカペレ


ブロムシュテットはドイツを中心に複数のオーケストラで《ロマンティック》を振っているが、なかでもルカ教会で行われたこの録音は名演として歴史に刻まれている。東独時代のシュターツカペレ・ドレスデンの響きを忠実に記録した貴重な録音の一つである。1981年録音。ORT音源。

 

¥3,056¥2,139

『ブラームス:交響曲第2番 (2.8MHz DSD)』
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ, 読売日本交響楽団


スクロヴァチェフスキが読売日本交響楽団の常任指揮者に就任した記念コンサートのライヴ録音である。落ち着いたテンポのなか、瑞々しい音色で表情豊かに歌うヴァイオリンとチェロの音色が息を呑むほど美しい。ホールを満たすホルンの伸びやかな広がりを自然にとらえた録音だ。2007年録音。DSD収録。

 



<オーケストラ(管弦楽作品)>

「管弦楽の常識を覆す強靭なサウンドを体感しよう」

正統的な進化をたどる交響曲録音と並行して管弦楽作品でもオーケストラ録音の新時代を築きつつある。特に首席指揮者にアンドレア・バッティストーニが就任してからの東京フィルハーモニー交響楽団の一連の録音は要注目だ。演奏表現のダイナミクスが一気に強化され、音そのものが活性化されていくプロセスはクラシックファンを強く刺激し、管弦楽への関心を高める役割も担うほどのポテンシャルを持つ。そのダイナミックな演奏の真価をライヴ録音を中心に忠実にとらえたBeyond The Standardシリーズやストラヴィンスキー《春の祭典》の演奏は管弦楽の入門にも好適だ。バッティストーニの地元イタリアで収録したオペラの管弦楽曲集も含め、必聴のタイトルが並ぶ。

日本ならではの独自企画にも注目作品が多い。「タルカス」や「サンダーバード」などクラシック以外の作品を素材として色彩感豊かな管弦楽作品が誕生。それぞれ作品の特長を最大限に引き出す録音アプローチを駆使することで、これまで聴いたことのない刺激的なサウンドをとらえることに成功した。


 

¥3,056¥2,139

『ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》/バーンスタイン:《ウエスト・サイド物語》よりシンフォニック・ダンス』アンドレア・バッティストーニ, 東京フィルハーモニー交響楽団


《春の祭典》と《ウェスト・サイド・ストーリー》を組み合わせた意欲的なプログラムが目を引くが、特に前者の斬新な解釈はいま聴いても新鮮だ。鋭角的なリズムと鋭いアタック、起伏の激しさを際立たせるクレッシェンド&デクレッシェンドの表現など、レスポンスの良い再生システムで聴くと音響的な面白さが浮かび上がる。2017年録音(ストラヴィンスキー)。

¥3,000 ⇒ ¥2,100

『[BEYOND THE STANDARD] オーケストラ名曲集』アンドレア・バッティストーニ, 東京フィルハーモニー交響楽団



バッティストーニはオーケストラのポテンシャルを最大限に引き出す指揮者である。特にBeyond The Standardシリーズの録音はその実力が如実に現れている。完結編となる本作は選曲のバリエーションが広いだけでなく、音響的なパースペクティブの広さが際立つ作品を集めていることが特長だ。オーディオファンにお薦めのアルバムだ。

 

¥3,056¥2,139

『タルカス ~クラシック meets ロック(吉松隆)』
財団法人 東京フィルハーモニー交響楽団, 藤岡幸夫


ELPの「タルカス」が吉松隆の華麗なオーケストレーションで新しい世界観を獲得。特に金管楽器と打楽器を駆使した変拍子のテンションの高さは、クラシックファンはもちろんのこと、ロック好きにも衝撃を与えるものだ。すべての楽器が立体的に交錯する緻密なオーケストレーションを鮮明にとらえたライヴ録音。2010年録音。

¥2,547 ⇒ ¥1,783

『イタリア・オペラ管弦楽・合唱名曲集』
アンドレア・バッティストーニ, カルロ・フェリーチェ劇場管弦楽団・合唱団


バッティストーニが振るヴェルディやプッチーニはオペラファンの期待を裏切らない。ジェノヴァのオーケストラと合唱団を見事に掌握したこの録音を聴いて、オペラファンは強い刺激を受けた。おなじみの曲がここまで生き生きとした姿で生まれ変わるのは驚くばかりだ。《運命の力》の勇壮な金管、《椿姫》の消え入るようなヴァイオリンの旋律など、聴きどころ満載の名演である。2014年録音。

 

¥2,841 ⇒ ¥1,989

『サンダーバード音楽集~オリジナル・スコアによる』広上淳一指揮, 東京ガーデン・オーケストラ


1960年代半ばに人気を博したTV番組「サンダーバード」の音楽をオリジナルスコア通りに再現したオーケストラ録音である。当時のテレビで見ていたときはこんなハイファイサウンドで聴いていないので最初は違和感があったが、サンダーバード6号の音楽で劇場版の記憶が蘇った。各パートのセパレーションが高く、クリアなサウンドをとらえている。2015年録音。

 

 


<室内楽&器楽>

「進化を続ける録音技術のショーケース」

日本コロムビアのクラシック音源はPCM録音の歴史とシンクロしており、室内楽や器楽の分野はその重要な一角を占めてきた。欧州を中心にした室内楽録音ではスメタナ四重奏団やカルミナ四重奏団のカタログが充実しており、鮮度の高い弦楽四重奏の響きは日本の室内楽ファンに強い衝撃を与えた。当時のレコードを聴くとその瑞々しい音色に驚かされるが、ORTでハイレゾ化したハイレゾ音源はその鮮度の高さに柔らかさが加わり、良い意味でアナログ的な質感が蘇っている。

古楽専門レーベルとしてスタートしたアリアーレにも充実した作品が揃っている。今回は有田正広の無伴奏フルート作品を推薦するが、それ以外にも寺神戸亮のコレッリなど重要な音源がORTとハイレゾ録音で入手できる。これらの録音を通してピリオド演奏の面白さに開眼したというファンも少なくないはずだ。

現代の若手演奏家の作品にも注目すべき高音質録音が揃っている。上野耕平と朴葵姫の録音はサックスとギターそれぞれの楽器の新たな可能性を感じさせる意欲的なチャレンジで、音へのこだわりの強さも半端ではない。


 

¥2,750¥1,925

『モーツァルト:弦楽五重奏曲第3&4番 【ORT】』
スメタナ四重奏団, ヨゼフ・スーク



日本コロムビアの初期のPCM録音は室内楽のライブラリが充実している。スメタナ四重奏団にヨゼフ・スークが加わって収録したモーツァルトの弦楽五重奏曲もその一つで、すべての音符が目の前に浮かぶような鮮明なサウンドは当時大きな話題を集めた。ORTによって本来の柔らかい音色と豊かなハーモニーが蘇っている。1976年録音。ORT音源。

¥2,750¥1,925

『シューベルト:弦楽四重奏曲第14番《死と少女》/13番《ロザムンデ》 【ORT】』
カルミナ四重奏団


現代的なアプローチで疾走感のあるシューベルトを描き出すカルミナ四重奏団の演奏が聴きどころ。優れた録音会場の一つとして知られるラ・ショー・ド・フォンのホールで自然な余韻とともに一体感のあるステージをとらえている。各楽器の関係を対等のバランスで描写していることも見逃せない。2000年録音。ORT音源。

 

¥2,970 ⇒ ¥2,079

『無伴奏フルートの世界 ~パンの笛 400年の旅~』
有田正広

1998年に発売された記念碑的アルバムに続く第二弾。ルネサンスから現代までの多彩な無伴奏フルート作品をのべ17本の楽器を使い分けて演奏している。楽器ごとに奏法や音色、ピッチのコントロールなど難度の高い演奏技術が必要だが、演奏からはその難しさは微塵も感じられず、自然なフレージングと音色の美しさが浮かび上がる。静謐な空間に柔らかい空気が漂う優秀録音。2020年録音。

¥3,056¥2,139

『BREATH - J.S.Bach × Kohei Ueno』
上野耕平


J.S.バッハの無伴奏作品にサクソフォンで挑戦した意欲的な作品だが、フレージングがなめらかすぎて「挑戦」という言葉は似つかわしくない。特にソプラノサックスで演奏した無伴奏フルートのためのパルティータはブレス(息継ぎ)の存在に気付かないほど流れが自然だ。聴き手に強い印象を与える長い余韻はドイツのメッシンゲン、聖ペーター&パウル教会の響きをとらえたもの。

 

¥3,056¥2,139

『Harmonia - ハルモニア』
朴葵姫


クラシックギターの録音は音色と距離感の再現がカギを握る。ギタリストが書いた作品というテーマで朴葵姫が演奏した本作はこの楽器本来の多様な音色を忠実に再現し、やや近めの距離感で実に鮮度の高い音をとらえている。ハイレゾで聴くと極上の柔らかいタッチと鋭く立ち上がる激しい音のコントラストが鮮やかだ。2017年、2018年録音。




<協奏曲>

「ソリストの個性を記憶に刻み込む力強いサウンドに注目」

クラシック音楽のなかでも特に華やかで話題性のある協奏曲の分野にも重要な録音が並んでいる。ピアノやヴァイオリンなどソロ楽器の魅力と演奏の特長を最大限に引き出すのはもちろんのこと、独奏をサポートするオーケストラの多様な表現と色彩豊かなサウンドを再現することにも気を配る必要があり、他のジャンル以上に録音アプローチに工夫が要求される。そうした課題をクリアした上で、ソリストの個性を忠実に引き出した優秀録音を5タイトル選んだ。

この5作品はピアノ、ヴァイオリン、フルート、チェロ、箏という具合に共通するソロ楽器がない。一方、それぞれのソリストの演奏の個性や音の特長を忠実に聴き取れるという点はすべてのタイトルに共通し、聴き終えた後にソリストの存在感が確実に記憶に刻まれる。しかも、オーケストラがサポートすることで表現の幅が広がり、演奏のダイナミックレンジが強化されるなど、協奏曲ならではの作用もはっきりと聴き取れる。


 

¥3,056¥2,139

『ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番/ピアノ・ソナタ第2番』反田恭平


協奏曲第3番はモスクワでの録音。力強く雄弁に歌うオーケストラと対峙しつつ、音楽の流れには両者の一体感がある。難度の高いパッセージを完璧にこなしているが、難しく感じさせないところに余裕を感じる。ピアノは切れが良く鮮度の高い音をとらえている。ソナタ第2番は日本で収録。2018年録音。

¥2,750¥1,925

『モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第7番/第6番 【ORT】』ジャン=ジャック・カントロフ, レオポルト・ハーガー, オランダ室内管弦楽団

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲に第6番、第7番が存在するかどうかは、いまとなっては謎に包まれている。つまり偽作の疑いが濃い作品群なのだ。そう思って聴くと陰影が足りない印象を受けたりするが、モーツァルトが書いたとしか思えない斬新な旋律も多く、悩みは尽きない。いずれにしても表情豊かなカントロフの独奏が素晴らしい。一度は聴いておくべき演奏だ。柔らかく上質な余韻が漂う録音。1986年録音。ORT音源。

 

¥2,750¥1,925

『ヴィヴァルディ:フルート協奏曲集(作品10) 【ORT】』有田正広, 東京バッハ・モーツァルト・アンサンブル



立体的なピリオドオーケストラと複雑な倍音を含むフラウト・トラヴェルソが柔らかく溶け合うなか、両者の掛け合いや躍動する通奏低音の動きが鮮明に浮かび上がる。ヴィヴァルディの斬新な和声感覚にハッとさせられる瑞々しい演奏だ。1990年録音。ORT音源。

¥3,056¥2,139


『エルガー:チェロ協奏曲/ヴォーン=ウィリアムズ:暗愁のパストラル』宮田大, トーマス・ダウスゴー, BBCスコティッシュ交響楽団


落ち着いたテンポ運びやダイナミクスの余裕に大家の片鱗をうかがわせ、数え切れないほど多くの舞台と録音を重ねてきたように感じてしまうが、宮田大はこのアルバムで協奏曲の録音に初めて挑戦したのだという。チェロとオーケストラどちらもサウンドのスケールが大きく、クレッシェンドを駆け上る勢いの強さはCDの規格では収まらないものだ。2019年録音。

 

¥3,290 ⇒ ¥2,303

『藤倉大:箏協奏曲』
LEO, 鈴木優人, 読売日本交響楽団

箏とオーケストラがここまで鮮やかな対比を見せるのは予想外だった。藤倉大の作品はダイナミックレンジの大きいシステムで聴くほど真価が伝わるのだが、この作品は箏の立ち上がりに超高域成分が含まれており、周波数レンジの伸びも求められる。まさにハイレゾで聴くべき作品だ。無観客公演をライヴで収録した2021年4月の録音。

 

 


<ピアノ>

「古典から現代まで名録音が連なる」

ピアノは録音点数の多さや作品の多様性が際立つ分野である。毎月大量の新譜がリリースされるが、そのなかで長く聴き継がれる名演として残っていく録音はそれほど多くないのが現実だ。演奏頻度の高くない作品は別として、おなじみの人気作品で他のピアニストでは真似のできない演奏をすることは至難の業と言っていい。ここで選んだ5枚のアルバムは、どれも演奏家の個性が際立ち、他では置き換えられない価値を持つ録音である。

作品が作られた時代や背景は千差万別であり、録音もそれぞれ最適な手法で手がけているが、どの録音からも演奏家の個性を明瞭に聴き取ることができる。特にORTやハイレゾ録音はピアニストのタッチの違いだけでなく使用している楽器の特長まで引き出すポテンシャルがあり、録音年代を問わず響きの違いを聴き分ける楽しみがある。


 

¥2,750¥1,925

『吉松隆:ブレイアデズ舞曲集 【ORT】』
田部京子


舞曲集というタイトルだが激しい躍動とは対極の静謐な時間が流れる。最小限の音符のなかから旋律の美しさや響きの陰影を引き出す田部京子の演奏は見事というしかない。一曲一曲の雰囲気や響きをていねいに描き分けており、音色のパレットも大きい。ORT音源。

¥2,852 ⇒ ¥1,996

『水の反映 ~ドビュッシーピアノ作品集』
福間洸太朗


旋律とリズムの対比だけでなく、全体の強弱のコントロールが繊細で、まさに水面のきらめきを音楽にしたような美しい情景が浮かび上がる。相模湖交流センターの自然な余韻をバランス良く採り入れた録音で、音色と響きをとらえる福間の感性の鋭さが素直に伝わってきた。2012年録音。

 

¥3,056¥2,139

『悲愴/月光/熱情~リサイタル・ピース第2集』
反田恭平

デビュー数年後の反田恭平はすでに当時から演奏会と録音の両方で精力的な活動を展開していた。ベートーヴェンの重要なソナタ群を収めたこのアルバムはリサイタルと連動した企画として当時も話題を呼んだが、精度の高い演奏はいま聴いてもまったく色褪せることがない。2018年録音。

¥2,852 ⇒ ¥1,996

『エリック・サティ:新・ピアノ作品集』
高橋悠治


高橋悠治がサティを集中的に録音したのは約40年ぶりのこと。聴き比べればテンポやフレージングに新旧の違いを聴き取れるが、どちらもサティへの強い共感を感じさせ、唯一無二の吸引力がある。弱音の豊かな階調をとらえた優秀録音。リズムの揺らぎや絶妙な間のとり方など、演奏の個性を細部まで聴き取ることができる。2017年録音。

 

¥2,750¥1,925

『モーツァルト:ピアノ・ソナタ集 【ORT】』
イングリッド・ヘブラー


60歳間近のヘブラーがDENONレーベルで録音したモーツァルトのソナタ集は時代を超えて聴き継がれる名演奏で、音色への配慮の深さなど、いまも他のピアニストには真似のできない長所がたくさんある。ノイブロンナー率いるドイツの録音会社「トリトナス」が録音を手がけている。1986〜87年録音。ORT音源。

 

 


<声楽・オペラ>

「録音の難しさを乗り越えた声楽の名録音をハイレゾで堪能しよう」

人間の声の表現力はどんな楽器にもまさるものがある。訓練された声楽家の声は消え入るような弱音からホール全体を満たす強靭なフォルテシモまで音量の幅がほぼ無限大で、音色のパレットも信じられないほど大きい。しかも、他のどの楽器とも比べられないほど、それぞれの歌手の声に明確な個性があり、1フレーズ聴いただけで誰が歌っているのかすぐにわかる。素材となる声の表現そのものに奥の深い世界が広がるだけに、声楽の分野で優れた録音を残すのは意外にハードルが高い。ピアノ伴奏の歌曲は息遣いも含め演奏のすべてが見えてしまうし、オーケストラ伴奏のアリアやオペラは大編成ならではの難しさがつきまとう。長く愛される名録音を残すことは、アーティストにとってもまれなチャンスなのだ。歌曲とオペラの両方で根強いファンが存在する幸田浩子はレーベルを代表するソプラノであり、録音のクオリティも安定しているので、ここに挙げていない作品もすべて推薦に値する。

若手演奏家の活動をサポートするOpusOneシリーズの注目作として声楽分野から2つのタイトルを選んだ。黒田祐貴、高野百合絵いずれも独自の表現力がそなわり、すぐに舞台で通用する実力の持ち主だ。


 

¥3,565 ⇒ ¥2,496

『プッチーニ:歌劇『トゥーランドット』(演奏会形式)』アンドレア・バッティストーニ, 東京フィルハーモニー交響楽団

オペラシティ・コンサートホールで演奏会形式で公演のライヴ録音。オーケストラはステージに上がり、独唱陣も大きく動かないため、録音で聴いてもじっくり演奏に集中できる良さがある。この日はいまだに語り継がれるほどの名演となり、その高揚したステージの様子が生々しく伝わってくる。オーケストラの音圧の大きさは驚くばかりだ。2015年録音。

¥3,056¥2,139

『モーツァルト・アリア集』
幸田浩子, ヤクブ・フルーシャ, プラハ・フィルハーモニア


世界有数の響きを持つホールで収録しており、独唱を包み込む柔らかい余韻の広がりが美しい。繊細さと優しさをたたえた歌唱をオーケストラが自然にサポートし、力みのない自然な歌唱に好感を持つ。コンスタンツェや夜の女王の高音に硬さがなく、極端な悲壮感や過度に攻撃的にならないところが良い。2007年8月プラハ・ルドルフィヌムで録音。

 

¥2,400 ⇒ ¥1,680

【Opus One】 Meine Lieder』
黒田祐貴

バリトンの黒田祐貴の表現力の幅の広さが伝わるアルバムだ。オペラの舞台で映えそうなスケールの大きな歌唱からリサイタルでじっくり体験したくなるリートの繊細な表情まで、深みのある声の魅力とともに聴き手を魅了する要素がたくさんある。ハイレゾで聴くと和音の変化で空気が一変する様子まで手にとるようにわかる。2020年録音。

¥3,056¥2,139

『このみち ~日本のうたII~』
幸田浩子

2013年に発売された「ふるさと〜日本のうた〜」に続く第二弾。声量豊かなオペラ歌手が全開で歌うと別の曲になってしまいそうだが、幸田浩子はやさしく自然な発声で一曲一曲をていねいに歌っているため、とても親しみやすい。声をピタリとフォーカスが合った自然なステレオ録音で、ピアノの響きも透明感が高い。2019年録音。

 

¥2,852 ⇒ ¥1,996

『【Opus One】CANTARES 』
高野百合絵


OpusOne第2期生の高野百合絵がスペイン歌曲を中心としたアルバム。冒頭に収録されたカルメンのハバネラを聴くとしっとりしたなめらかな声の持ち主であることがわかるが、思いがけず大きな感情の起伏を見せる瞬間があり、スペイン民謡ではパッションの強さも垣間見せる。混濁のない澄んだピアノの響きも聴きどころだ。2019年録音。

 


 

【著者プロフィール】




山之内 正(やまのうち ただし)
神奈川県横浜市出身。オーディオ専門誌編集を経て1990年以降オーディオ、AV、ホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。大学在学中よりコントラバス演奏を始め、現在も演奏活動を継続。年に数回オペラやコンサート鑑賞のために欧州を訪れ、海外の見本市やオーディオショウの取材も積極的に行っている。近著:「ネットオーディオ入門」(講談社、ブルーバックス)、「目指せ!耳の達人」(音楽之友社、共著)など。

◆Phile Web連載:山之内正のデジタルオーディオ最前線
https://www.phileweb.com/magazine/digital-audio/

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