連載 『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』第97回

2022/04/29

ALFA MUSICレーベル 『THE WORLD ON A SLIDE』 ほか

~総勢19人ものトロンボーンの洪水!~

■ 旅先の写真はなぜ美しい?

私は製品の開発拠点を移動して、新たなインスピレーションを受けるようにしています。東京を離れ、数年前までは軽井沢で、現在は海の街である葉山で暮らし製品開発を行う日々です。葉山はかなりのお気に入りですので引っ越しはしばらくなさそう。その代わり、最近は新鮮な刺激を得るべく大型バイクに乗り始めました。

そんなリゾート地で暮らした経験から気がついたのですが、スマホ写真ですら軽井沢や葉山で撮ると画像の色合いが違うということ。軽井沢で撮った写真は、なんともいえない軽井沢っぽい画質(笑)。海で撮る写真は、やはり開放的な色彩の画質で撮れるので不思議です。試しに東京で同じような画角で撮ってみたのですが、やはり軽井沢や葉山とは異なる都会的な印象の画質でした。

どちらが優れているかという比較ではなく、違いがあるということが重要。皆さんも経験があるのではないでしょうか? 例えばハワイや沖縄などで撮った写真は、どうしてあんなに色濃く鮮やかに撮れるのでしょう。

写真でそれだけ違いが出るのですから、音質にも大きな影響があるのでは? 今回の太鼓判ハイレゾで取り上げる音源はイタリア作品。聴いていて、そんな土地と音質の関連性を妄想してみました。


■ ALFA MUSICレーベルは期待を裏切らない 

4月23日に新しく登録されたALFA MUSICレーベルの5作品を聴いてみました。どれも素晴らしい音質ではないですか! しかも価格がお手頃ですので、5作品全部を購入しても後悔させません。それか試聴して好みの作品を選んで問題なしです。ALFA MUSICレーベルは概要欄のアルバム紹介が充実しているのも素晴らしいので、参照しながら選んでみてください。

一番おもしろかったのはメインで取り上げる 『THE WORLD ON A SLIDE』 ですが、その他4作品もご紹介しておきます。最後まで悩んだ 『HOLD FAST』 も超オススメです。



■ これでもかと迫ってくるトロンボーンの超大盛り中低域!

今回のALFA MUSICレーベル5作品は、どれも超がつくほどの高音質ハイレゾ音源であり、優劣をつけるのは困難です。そんな中、再生していて一番楽しく、そしてオーディオ的に再現が難しいと思われたのがコレ。


なんと、総勢19人ものトロンボーン奏者によるビッグバンド作品。聴いているとトロンボーンの洪水で、もうお腹いっぱい。

これだけまとめてトロンボーンを聴くと、独特な音像に気づきました。例えるなら、トランペットは上空へと飛び立っていくジェット機のような音像で、トロンボーンの中低域はボーカルの高さで飛んできて目の前で落ちるフォークボール?いや、落ちるカーブのような音像。脇役の多いトロンボーンを、これだけ楽しめる作品は希少です。

しかもトロンボーンたちの鳴りっぷりの良いこと。バリバリと鳴りブリブリと咆哮するアタック音と、広く見通しの良い音像はハイレゾ音源ならではの楽しみです。

トロンボーンだけでなく、5曲目ではピアノとギターのサウンドも抜群。トロンボーンのアンサンブルとパーカッションの共演という6曲目も超楽しい。ボトムを支えるベースとドラムが全体にガッシリしているし、シンバルの突き抜ける高域とハイハットの切れ味も最高。トロンボーンがお腹いっぱいと言いつつも、だんだんと癖になってくるから不思議です。

オーディオ的な再生チェック・ポイントは、この中低域の洪水をどれだけセパレートしながら鳴らせるかどうか。バスレフ型スピーカーで低音がボスボス鳴っているシステムなら相当に苦戦すると思いますので、ぜひ挑戦してみてください。 

ALFA MUSICレーベル全般に共通するこの音の良さは、いったい何なのでしょう? イタリアの電源? 空気? 機材? それともエンジニアの技術? 何にせよ、日本やアメリカが忘れている音を、ALFA MUSICのハイレゾ音源に感じます。まとめて太鼓判です!






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<第88回>『On A Friday Evening[Live]』 Bill Evans Trio ~ハイレゾは1975年へのタイムトラベルを実現する!~
<第89回>JIMSAKU スペシャル・インタヴュー!
<第90回>『ハバナ・キャンディ』 パティ・オースティン  ~ボーカルのチェックに必須なハイレゾ音源はこれだ!~
<第91回>『Silver Lining Suite』上原ひろみ ~逆境が生んだオーディオ必聴盤!~
<第92回>『Another Answer』  井筒香奈江~日本が世界に誇れる高音質ハイレゾ音源!~
<第93回>特別編 神保彰スペシャル・インタヴュー!
<第94回>『J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(全曲)』 諏訪内晶子~オーディオ確認音源としても、この音色は超魅力的!~
<第95回>『Jazz at the Pawnshop』 Arne Domnerus ほか~オーディオ名盤と愛され続ける、流石のサウンド!~
<第96回>『安藤正容 Farewell Tour』 と 『大瀧詠一』~アナログ録音とデジタル録音、甲乙つけがたいハイレゾ!~


 

筆者プロフィール:


西野 正和(にしの まさかず)3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー 株式会社レクスト代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセレクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』をプロデュース。



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