世界を魅了したデビューから20年『ノラ・ジョーンズ』最新リマスターを土方久明が試聴レヴュー!

2022/04/29

2002年にリリースされて以降、約3,000万枚のセールスを記録。グラミー賞では、アルバム・オブ・ザ・イヤーを含む8部門を全て受賞するなど「史上最高のデビュー・アルバムのひとつ」(ローリング・ストーン誌)と称されたノラ・ジョーンズのデビュー・アルバム『ノラ・ジョーンズ』(原題:Come Away with Me)。アニバーサリー・イヤーを迎える今年、名エンジニア、テッド・ジェンセンによる最新リマスター・バージョンが最新リマスター・エディションで登場!そこでe-onkyo musicでは、オーディオ評論家、土方久明氏による先行試聴を敢行。そのサウンドがどのように進化したかを語っていただいた。


テッド・ジェンセンによる
アナログ・テープからの最新リマスター!

Come Away With Me[Remastered 2022]
Norah Jones


世界を魅了したデビュー・アルバムから20年。アニバーサリー・イヤーを飾る最新リマスター

2002年にリリースされて以降20ヵ国でアルバム・チャート1位を獲得し、これまでに約3,000万枚のセールスを記録。ノミネートされたグラミー賞では、アルバム・オブ・ザ・イヤーを含む8部門を全て受賞するなど「史上最高のデビュー・アルバムのひとつ」(ローリング・ストーン誌)と称されたノラ・ジョーンズのデビュー・アルバム『ノラ・ジョーンズ』(原題:Come Away with Me)。リリース&デビューから20周年というアニバーサリー・イヤーにふさわしいリマスター版が登場。当時マスタリングを手掛けたテッド・ジェンセンによるオリジナル・アルバムの最新リマスター。

■マスタリング・エンジニア:テッド・ジェンセン
■マスタリング・スタジオ:スターリング・サウンド




オーディオ評論家・土方久明が最新リマスター版を試聴レヴュー!


 2002年2月、ジャズの名門レーベル、ブルーノート・レコードから一人の女性アーティストがデビューした。そのアルバムは20ヵ国でアルバム・チャート1位になり、グラミー賞ではアルバム・オブ・ザ・イヤーを含む8部門を全て受賞するなど、当時の音楽界を席巻した。彼女の名前はノラ・ジョーンズ、アルバム名は「Come Away with Me」である。

 …と、少々カッコよく書き出してみたが、なんとこのたび、彼女のデビュー20周年記念タイトルの1枚として、徹底したリマスタリングを実施した「Come Away with Me」最新リマスター・エディションがリリースされることになった。

 このニュースを聞いて楽しみに思った人は多いだろう。というのも、僕も含めたオーディオファイルにとってノラ・ジョーンズの楽曲は、メロディアスな音楽感とともに、「音の良い1枚」として絶対的なタイトルになっている。しかも「Come Away with Me」は、2022年の今でも多くのメーカーが製品開発の際に音決めのリファレンスの1枚として使う定番。オーディオショーなどでも、彼女の歌声を耳にした方も多いことと思う。




 さて気になるのは、リマスタリングの内容と最終的な音の仕上がりだ。
 僕たちオーディオファイルは高品位な再生機材を使っているから、リマスタリングの音質にはうるさい人種だ。単純に音圧を上げただけだったり、高域と低域を持ち上げたようなタイトルはいらないと強く思っている(はず)。

 そのような中、まず資料に目を通して最初にホッとしたのは、今回のリマスター盤のマスターとして使用された音源がアナログ・テープだということだった。個人的にアナログマスターからのリマスタリングは、音質が向上する余地が大きいと思っている。
 そして嬉しかったのは、本タイトル発売当時のマスタリングを手掛けたテッド・ジェンセンが改めてリマスタリングを担当しているということ。さらにリマスタリング作業が行われたスタジオは、彼がチーフエンジニアを務め、世界的な名作の多くを音楽界に送り出しているスターリング・サウンドで実施されている。これは期待できそうである。

 いよいよここからは、新旧タイトルの比較試聴に入りたい。試聴用に提供されたファイルは96kHz/24bitのFLAC形式だったので、従来のタイトルも、そのレゾリューションに合わせて試聴した。

 試聴はネットワークオーディオ環境で実施。再生システムとして、楽曲ファイルはfidataのNAS/ミュージックサーバー「HFAS1-XS20」に保存。その上で、ソース機器にルーミンのネットワークプレーヤー「X1」を用い、X1のボリューム機能を有効化して、パワーアンプのファーストワット「F7」に直結する。スピーカーはJBLの「L100 Classic 75」を組み合わせた。








 まずは、新旧タイトル全体を通して感じた音質差について解説したい。結論からいえば、リマスタリングによる音質変化は本質的なものだった。音圧については、聴感上リマスター盤の方がわずかに高い。高域から低域までの帯域バランスは両者はほぼ変わらないが、ピアノ、ベースなどの楽器の質感はリマスター盤が大きく上回っている。
 つまるところ、音色をドラスティックに変えるのではなく、ボーカルや各楽器のリアリティや抑揚表現を根本的に高めた良質なマスタリングが施されており、おおいに感心した次第だ。

 具体的に言うと、オープニングタイトルの「ドント・ノー・ホワイ」は、センター定位するボーカルの口元の大きさやバックミュージックとのバランスには大きな変化がないものの音像はより立体的になり、リー・アレキサンダーが弾くベースの音像もよりステージ上に浮かび出てくる。また、弦を弾く力の強弱のコントラストが強くなるのも印象的だ。

 トラック2.「セヴン・イヤーズ」は、イントロで聞こえるケヴィン・ブレイトのギターの質感が聞きどころだが、低域方向のレンジと沈み込みが増して楽曲の音楽的な凄みが向上しているのが嬉しい。オンマイク気味に収録されたノラ・ジョーンズのボーカルは、口元の動きがわかるリアルな表現だ。

 トラック3の「コールド・コールド・ハート」は、リアルなアコースティックベースから始まる低域のリアリティチェックにもってこいのタイトルだが、リマスタリング盤は、そのベースが立体的かつ重量のある表現で、何よりも胴鳴りがリアル。オーディオマニア的な快楽を味わえる1曲である。

 トラック5はアルバムの表題曲。視聴者を包み込むような音楽性を持つイントロのピアノは色彩感豊かで、センターに定位するベースは立体的だが、あくまでも主人公である彼女をサポートする適度な量感に抑えられている。もしこのベースが彼女を差し置いて主人公に聞こえてしまうなら、低域の量感をアキュレイトに調整したいところ。スローテンポの楽曲なので、じっくりと音質チェックに利用できる。

 トラック7の「ターン・ミー・オン」は、ノラ・ジョーンズのピアノとサム・ヤエルのハモンドオルガンB-3が、左右のスピーカーに幅広く録音されており、それと対照的にピンポイントに定位するボーカルという、いわゆるジャズらしいステージ表現が聴きどころ。リマスタリング盤は空間表現が増しており、ボーカルはよりシャープに定位し存在感が強い。上手にサウンドステージが表現できるシステムであれば、目の前にノラを中心としたグループが描き出せる。

 トラック9の「アイヴ・ガッタ・シー・ユー・アゲイン」は、ジャズのバイオリニストの才女、ジェニー・シャインマンが参加している。ということで、聞きどころは、イントロから聞こえる彼女のヴァイオリン。センターからやや右寄りに定位する音像と、アコースティックかつ滑らかな質感表現が、リマスタリング盤だとよく聞き取れる。ノラ・ジョーンズのボーカルも口元のコンパクトなリアルな表情を聴かせてくれる。

 トラック11.「ワン・フライト・ダウン」は、ノラ・ジョーンズのボーカルとピアノのほかに、ベース、アコースティックギター、エレクトリックギター、オルガン、ヴァイオリン、ドラムなど、多くの楽器が登場する。リマスタリング盤では、イントロのピアノのトランジェント(聴感上の立ち上がり表現)が良く、左右から彼女をバックアップする楽器が多彩な表情を聞かせてくれる。




 いかがだったろうか?オーディオファイル定番タイトル待望のリマスターとなった本作品だが、初版と同じエンジニアがリマスタリングしたこともあり、奇を衒うようなドラスティックな音色変化ではなく、元々の音源が持っていたナチュラルな音質を引き延ばしたことが大きな魅力だ。
 これぞ僕たちオーディオファイルが求めているリマスタリングの形ではないだろうか。そのような意味でも、本タイトルの価値は高いと思う。

 最後となるが、聴き慣れた音源が良い音に変貌する瞬間はオーディオ趣味の醍醐味でもあるが、本作を聴くとソースレベルでの音質の重要さを改めて感じたし、器の大きいハイレゾファイルの優位性も再認識した次第だ。多くのオーディオファイルに自信を持ってお勧めできる、待望のリマスター盤である。




土方久明 プロフィール



土方久明(ひじかた・ひさあき)
ハイレゾやストリーミングなど、デジタルオーディオ界の第一人者。テクノロジスト集団・チームラボのコンピューター/ネットワークエンジニアを経て、ハイエンドオーディオやカーオーディオの評論家として活躍中。元々一人のオーディオマニアだけあり、購入者の視点で製品をレビューする事を信条とする。別冊ステレオサウンド ハイレゾの教科書 ハイレゾストリーミング対応版  監修




ノラ・ジョーンズ 期間限定カタログ・プライスオフ


e-onkyo musicでは、『Come Away With Me[Remastered 2022]』のリリースを記念して、2022年5月28日(土)までの期間限定でノラ・ジョーンズ カタログ・プライスオフを絶賛実施中!是非この機会に、世界を魅了する歌声、ノラ・ジョーンズの魅力をハイレゾでお楽しみください。
※『Come Away With Me[Remastered 2022]』はプライスオフ対象ではございません。予めご了承ください。


対象アイテム一覧➡


 

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