連載 『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』特別編 神保彰スペシャル・インタヴュー!

2021/12/22

西野正和氏による人気連載『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』特別編として12月22日にアルバム『SORA』と『アメアガリ』の2作を同時リリースする神保彰氏へのスペシャル・インタヴューを掲載!超豪華ゲスト陣を迎えたAORフィーリングな『SORA』と、ドラムソロにフォーカスした『アメアガリ』の魅力を、ハイレゾに関して絶対的な審美眼を持つ西野氏ならではの観点から解き明かします。

取材・文◎西野正和 / 写真(スタジオ)◎遠藤慶太郎

 

★AORフィーリングな新作『SORA』

SORA』/神保彰

ニューアルバム『SORA』は、AORフィーリング溢れる新作。M-2のマイケル・フランクス“アントニオの歌(AntoniosSong)”(77年)では、今までにジョージ・ハリスン、フィル・コリンズ、スティーヴィー・ワンダー、エリック・クラプトンら多数の著名アーティストと共演経験のあるベーシストのネイザン・イーストがベース&ボーカルとして参加。(M-4,M-9でもベースのみで参加)M-5のパトリース・ラッシェン“Forget Me Nots”(82年)のカバーをパトリース・ラッシェン本人がピアノ&ヴォーカルで参加。(M-3、M-6、M-9でもピアノのみで参加)この作品の聴きどころとなっている。

<参加ミュージシャン>
Akira Jimbo (Drums)
Jeff Lorber (Piano, Keyboards) on tracks 1,2,4,7 & 9
Patrice Rushen (Piano) on tracks 3,5,6 & 8 (Vocal) on track 5
Nathan East (Electric bass) on tracks 2,4 & 9 (Vocal) on track 2
Freddie Washington (Electric bass) on tracks 5&6 (Background vocals) on track 5

★ドラムソロにフォーカスした新作『アメアガリ』

アメアガリ』/神保彰

ドラム・ソロ・アルバムの『アメアガリ』は自身のドラムとプログラミングによるソロアルバム。テクノミュージック志向の名曲揃いの書き下ろし11曲収録。神保彰のライフワークともいうべきドラムという楽器の可能性に多角的に革新的にチャレンジした求道的作品となっている。

All songs are produced, written, arranged & programmed by Akira Jimbo
Akira Jimbo (Drums)




ライナーノーツ


 2021年もコロナに振り回された1年でした。予定されていたツアーは大半が延期もしくは中止となり、例年であれば旅先で書いていた曲も、自宅で腰を据えて取り組むスタイルに変化しました。1月に3枚のオリジナルアルバムを発表しているので、新作は年が明けてからと思っていましたが、少し前倒しして、クリスマスに間に合うようにお届けするのも楽しいのではないかという事になり、なんと一年に5枚のソロアルバムが出るという異例の事態?となりました。どうもすいません。林家三平風。
 ここ数作は、「ラテン」と「ファンク」がサウンドの大きな柱になっていました。この2つは自分の音楽性の根幹にかかわる要素なので、作品の中に何だかの形で顔を出します。新作の楽曲にも、もちろん反映されていますが、新しいキーワードとして、「AOR」と「テクノ」という2つの要素を設定しました。
 「AOR」は、70年代後半から80年代前半にかけて大きな波のあったジャンルで、Adult Oriented Rockの名が示すように、都会的で洗練された大人の音楽として市民権を獲得しました。エアプレイ、ジェイ・グレイドン、デビッド・フォスター、スティーリーダン、ドナルド・フェイゲン、マイケル・フランクス、ペイジス、TOTO、ボズ・スキャッグス、ボビー・コールドウェル、ビル・ラバウンティ、ネッド・ドヒニー、などなど、ヘビロテだったアーティスト名をあげるときりがありません。丁度自分が学生からプロの音楽家になる過渡期と重なっており、直接的間接的に大きな影響を受けた音楽です。
 「テクノ」に関しては様々な定義がなされていますが、自分がまず洗礼を受けたのが、AORの隆盛とほぼ時期的に重なる、クラフトワークやYMOの創り出した音楽です。電子音楽をポップスのフィールドに持ち込み、「テクノポップ」と呼ばれる斬新なサウンドで一般的認知を獲得しました。パソコンが音楽制作の中心的役割を担うようになる未来を予感させるムーブメントでした。90年代に登場したブレイクビーツやドラムンベースにも、リズム楽器奏者である自分の感性を大いに刺激されました。
 「AOR」をキーワードとして「SORA」が、「テクノ」をキーワードとして「アメアガリ」が出来上がりました。是非両作品をお聴きいただき、神保彰の今を感じていただけたら嬉しく思います。




スペシャル・インタヴュー with 神保彰


毎年元旦に届けられる神保彰さんの新譜は、もはやお正月の風物詩。ですが今回は発売を早め、クリスマス前に新作×2が届きました。あれれ? そうすると、2021年は1月に3枚のアルバムを発表済みですので、なんと神保さんは年間5枚のオリジナル・アルバムを出すという世界記録級の快挙! (更に今年の夏はJIMSAKU名義でも新作1枚ありですから、5枚+1枚?) 

全国津々浦々をドラムひとつで回る恒例のワンマンオーケストラ・ツアーは、計画していたものの、ほぼ全部キャンセルになってしまったとのこと。そんなご時世をも吹き飛ばすかのごとく、神保さんの創作意欲は燃え上がっているのです。神保ファン目線の、なおかつオーディオ好き目線で、神保さんへの新作のインタビューを行ってきました。末尾にハイレゾ試聴レビューもありますので、ぜひお楽しみください。



――レコーディングについて教えてください。

神保彰(以下、神保):前作3枚の日本でのドラム録音と、そのうちの1枚 『30 Tokyo Yellow』 のミックスが加納尚樹さんでした。『30 Tokyo Yellow』 でのダブ的な手法といいますか、いろんな音を出し入れして凄くイイ感じにミックスしていただけたので、今回の 『SORA』 と 『アメアガリ』 の日本でのドラム録音、そして両方のミックスを加納さんにお願いしたんです。

ドラムの録音のときには、リモート録音での海外ミュージシャンの歌も演奏も全部が完成しており、最後に関口台スタジオでドラムだけをレコーディングしました。ドラムのレコーディングは、かなり凝ったマイクのアレンジだったと思います。ドラムのオンのマイクはもちろんですけど、アンビエント的なマイクが中くらいの距離や部屋の隅と、いろんなところに立てられていて、エンジニアの加納さんの耳で絶妙にブレンドされて仕上がりました。


――ドラムレコーディングのときのモニターはヘッドホンですか?

神保:自分のイヤホンでモニターしました。イヤホンからの音漏れがしていたとしても、ドラム自体の元々の音がドデカいので、あんまり関係ないんです。

――神保さんのドラム録音は最後ですか? リズムが引っかかるようなドラム・プレイが多く聴けたのが印象的でした。

神保:ドラム録音は最後です。ずっこけるようなリズムは、せーので演奏したら、慣れていないと、みんなでずっこけちゃうといことになりがちです。ですから、ああいうリズムもリモート録音ならではのアプローチなのかなと思います。

――あのリズムは譜面化できるのものなのでしょうか?

神保:譜面になりますし、ちゃんとリズムにハマっていますので、打ち込もうと思えば打ち込めますね。1拍を4分割するのと6分割するのとのズレを利用して、ずっこけ感をだしているんです。ドランク・ビートと呼ばれていて、酔っ払って千鳥足になるようなリズムです。僕はお酒を飲まないので、ずっこけビートと自分で呼んでいます(笑)。このリズムは、2000年代に入ってから出てきたアプローチです。僕も最初に聴いたときは 「どうやっているんだろう?」 と思ったんですけど、分析していくと2で割れる音符と3で割れる音符を共存させていて、凄く理論的なんです。

――ミックスダウンについて教えてください。

神保:今回は特にドラム録音に関してのリクエストは出さなかったんです。ミックスに関して強いてリクエストを出したとするなら 『SORA』 は “AOR” というのがキーワードとしてありましたので、エンジニアの加納さんにもそのことをお伝えしていました。ですので、加納さんもなんとなく “NEO80年代” を意識してミックスしてくれたんだろうなという仕上がりになっています。『アメアガリ』 は加納さんに 「攻めてください」 とお願いしたので、攻めのミックスになっています。

ミックスは加納さんのプライベートスタジオで行いましたので、ミックスのチェックはリモートです。ミックスされた音源がバージョン2,バージョン3というふうに送られてきて、それに対しメールでやりとりしました。最近はProTools (※パソコンを核とした音楽制作機材) の中でミックスするのが一般的ですけど、加納さんはアナログ機材マニアで、ミキサー卓に全部立ち上げてミックスします。ですので、1曲ごとにミキサー卓のセッティングをバラさないといけないので、1曲のOKが出ないと次の曲に進めないんですよ。それは便利か不便かというと、ちょっと不便かなと思いましたけど(笑)。あとから 「あのときやっぱり・・・」 というのもできなくて、「これでOKです」 と言った時点で、そこからは後戻りはできません(笑)。

加納さんから1曲のミックスが完成するとファイルが送られてきて、それに対して 「もうちょっと、ここをこうしてほしい」 と要望を出すと、次にバージョン2が送られてくるという流れです。なるべく早く返事しないと、その間のミックス作業が止まってしまうので、ミックス当日は常に加納さんからのメールをチェックするようにしていました。

――ミックスへのリクエストは、どのようなポイントだったのでしょう?

神保:最初の段階で良いミックス・バランスが取れていたので、バランスをどうしてほしいといったリクエストは、ほとんどしなかったと思います。僕はパッと聴いた印象でリクエストするので、いろいろ何回も聴いてというのではなく、サラッと聴いて感じたことをそのままメールするという感じですから、あまり何回も聴かないです。何回も聴くとだんだんそれが馴染んできてしまいますので、せいぜい2回くらい。最初に聴いたときに 「おや?」 と思ったポイントを直してもらいます。例えば 『SORA』 の場合はシンセベースと生演奏のベースが混在しています。低域が曲の中で支配する感じが生ベースとシンセベースで微妙に変わってきますので、なるべく通してスムーズに聴けるようなバランスにしたいという思いがあり、シンセベースの音色に関してはリクエストしました。自分でシンセベースを打ち込んでいるときは、そんなに低域まで出ていないようなイメージで作ったものが、実際にミックス時に大型スピーカーで聴いたときに自分のイメージと違ってすごく下の音域まで出ていたということもあったので、そこはで削ってもらったりしています。

――マスタリングについて教えてください。

神保:マスタリングは吉越晋治さんで、JIMSAKUのダイレクトカッティングでお世話になったエンジニアさんです。今回ニューヨークでミックスやマスタリングを行わなかったのは、海外ミュージシャンのリモート録音先がロサンゼルスだったためです。ロサンゼルスのミュージシャンとコラボしてニューヨークでミックスするというのは、どうなんだろうなという思いが自分の中にあって、それが上手く作用する場合もあるのでしょうけど、ロスとニューヨークの音というのは極端に違うと僕は感じています。自分の中のイメージですが、ニューヨークで作る音というのは少し硬質なサウンドという印象です。ロスでレコーディングすると音自体も柔らかくなるので、ニューヨークでミックスしてもらうと、お互いの良さがバッティングしてしまう危険性もあるなと思いました。それで前作 『30 Tokyo Yellow』 のミックスがとても良かったことから、日本のドラム録音とミックスを加納さんに、マスタリングを吉越さんに、今回の2枚両方をお願いするという形になりました。吉越さんのマスタリングも凄く良かったです。ミックスの音の良い印象を変えないで、コンプ感を出さずにレベルを上げるというのが今回のマスタリングの一番のテーマだったんですけど、とても上手く仕上げていただいたと思います。




『SORA』 ──────────────

――ジェフ・ローバーさんのピアノがキラキラしていて、神保さんの楽曲に素晴らしくマッチングしていると感じました。

神保:僕は、ジェフ・ローバーさんは日本のフュージョン、いわゆるJフュージョンの雛形を作った人だと思っているんです。Jフュージョンというのは独自に進化していきましたけれど、その元を辿るとジェフ・ローバー・フュージョンに行き着くんじゃないかと常々思っています。70年代後半にジェフ・ローバー・フュージョンがデビューして、僕が聴いていたのがちょうどそのころですけど、サックスにケニーGがいて、そのあとにデヴィッド・コーズが入ってと、サックスのスタープレイヤーを次々と発掘していったんです。ファンキーなリズムにカッコいいコード進行がついて、メロディーがすごくポップ。それって、その後のTスクエアやカシオペアが、まさにそういうサウンドですよね。そういう音楽をいち早く作っていたのがジェフ・ローバーさんだと思っていて、自分にとっては先生なんです。『SORA』 では先生と共演するという感じでした。

――ネイザン・イーストさんの練りに練られたベースソロが最高です。

神保:リモート・レコーディングの良さですよね。せーので一緒に演奏する良さと、リモートで録音する良さというのは、それぞれ違った良さがあります。せーので演る感じをリモートで出そうとするような方向には行っちゃいけないというか、それぞれ別の方法論があるんだと、前作を海外リモート録音で作ってみて感じました。

ネイザンさんにはベースを弾いてもらうというより、最初は 「アントニオの歌」 を歌ってもらえないかということでオファーしたんです。OKをもらえたので、ベースも何曲か弾いてよという流れです。「アントニオの歌」 をやろうと決まったときに、原曲のマイケル・フランクスさんがささやき系のボーカリストなので、自分のまわりで歌ってくれそうな人で、ちょっとハスキーな声の人は誰かいるかなと考えたときに、ネイザンさんが頭に浮かんでオファーしました。

――「アントニオの歌」 と 「Forget Me Nots」 という、2曲のカバー曲について教えてください。

神保:最初3月にキングレコードの制作陣とミーティングがありました。前作で30枚までオリジナル・アルバムを作ったので、少しシフトを変えてみようということもあり、AORというキーワードが出てきたんです。そのときに自分の中でAOR代表曲というと、やっぱり 「アントニオの歌」 なので、カバーしようというアイデアが、その3月のミーティングの時点で出ました。

アルバムの中にボーカル曲が1曲だけだとバランスが悪いので、ピアノで参加してもらったパトリース・ラッシェンさんに、彼女の代表曲である 「Forget Me Nots」 を歌ってもらいました。前々から歌ってほしいとは思っていたんですけど、彼女のヒット曲を僕のアルバムでカバーするというのもどうなんだろうということもあって、なかなか言い出せずにいたんです。自分のアルバムで代表曲をセルフカバーして録り直すというのはよくありますけど、本人が歌って他人のアルバムでカバーするというのは、あんまり聞いたことがないですから。パトリースさんにダメ元でお願いしたら、意外にあっさり快諾してもらえたんです。パトリースさんとは何作も一緒に演ってますし、リー・リトナーのライブでも一緒にツアーしていますから、そういう今までの流れがあってOKしてくれたんだと思います。パトリースさんが歌って 「Forget Me Nots」 をやるんだったら、やっぱりオリジナル・ベーシストで楽曲の共作者でもあるフレディー・ワシントンさんにベースを弾いてもらいたいという流れで、ベースの人選が決まったという感じです。

――ベース好きにとっては 「Forget Me Nots」 のフレディー・ワシントンさんのベースプレイは見逃せません。

神保:原曲ではスラップでしたが、今回は指弾きなんです。フレディーさんにはオリジナルのフレーズを忠実に打ち込んでデモ音源を送ったんですけど、「新しいアイデアがあったら、どんどん付け加えてください」 とメールに書いておいたんです。やっぱり同じにはしたくなかったので、スラップではなく指弾きになったのでしょう。『SORA』 は、ネイザンさんとフレディーさんという、ロサンゼルスのスタジオシーンを代表するお二人のベースプレイが楽しめる、ベース好きの皆さんにとってはとても贅沢な内容です。



『アメアガリ』 ──────────────

――多彩なゲスト・ミュージシャンがリモート録音で参加する 『SORA』 と異なり、『アメアガリ』 はまさに神保さんお一人で完結する作品と言えるのではないでしょうか?

神保:自分の中の位置付けとしては、前作の 『30 Tokyo Yellow』 の続編です。『30 Tokyo Yellow』 を含む今年の1月に出た3枚というのは、『28』と『29』の2枚はそれまでの流れの延長線上にあるんですけど、『30 Tokyo Yellow』 で全く別の新機軸。自分のプログラミングとドラムだけで全て成立する音楽というのを作ってみて、手応えがあったんです。これはさらに面白いことができるんじゃないかと感じて、その続編の 『アメアガリ』 では今できる精一杯の面白いことを詰め込んで作りました。このラインは今後も続けていって、いろんなミュージシャンとのコラボレーションするラインと合わせて2軸にしてやっていきたいと思っています。

――『SORA』 はシンプルなドラミングですけど、『アメアガリ』 は崇高に思えるほどドラム技術の高みを感じました。

神保:若い頃というのは、自分もそうでしたけれど、どれだけ早いかというような割と力技的な方向に突き進んでいくものだと思います。ある程度の年齢というか、僕はもう相当な年齢ですけど(笑)、このくらいの歳になってくると、力技というのは最近の若い人たちは本当にみんな上手で凄いですから、たぶん自分はそういう土俵に上がるよりも、違う土俵を作ったほうがいいんだろうなって思っています。力技じゃないんだけれども、アレ?って思うような引っ掛かりあるようなアプローチで、これからもっと面白いことができるなって感じています。

――プログラミングのデモ音源のときから、ずっこけビートは想定されているのでしょうか?

神保:プログラミング自体は全くずっこけていないんです。ずっこけているのは生演奏のドラムだけで、バックの音はビシビシビシッと縦線がそろっているんです。僕の演奏するドラムが一人でずっこけていて、それによって全く無機質なサウンドが有機的になるという作り方をしています。

――例えば、この曲はスカのビートでとか、倍速のリズムにしようといったような基本的なアイデアはプログラミング時からの発想でしょうか?

神保:そういうざっくりとしたアイデアは、曲を作った段階で頭にあります。

――『アメアガリ』 はテクノがモチーフということですが?

神保:『アメアガリ』 は、いわゆるテクノという言葉からイメージするサウンドからは、だいぶかけ離れていると思うんですけど、コンピューターとシンセサイザーで音楽が出来上がっているという意味で、広いくくりではテクノと呼んでもいいのかな、というくらいのニュアンスです。『アメアガリ』 では、エレクトリック・ピアノといった既存の楽器の音色をなるべく使わないようにしました。電子音というか、シンセサイザー的な音というか、無機的な音で固めて、そこにドラムだけが生演奏という、前作をもう一歩推し進めて、よりバックとドラムの対比を明確にしました。


――最後に、e-onkyo musicのリスナーの皆さんへメッセージをお願いします。

神保:音楽の制作過程は、最初は24bitの96kHzというフォーマットでレコーディングが進んでいって、最終的にCD規格の形に落とし込まれるわけです。その原音、つまり自分たちが制作環境で聴いているそのままの音を、お家で聴いていただけるというのは、本当に制作者冥利に尽きます。サンプリング周波数の差というのは、僕は耳がハイ落ちしているのでそんなに感じていないかもしれないですけど、ビット数の違いは如実に分かるんです。特に打楽器というのは複雑な響きをしますし、できれば元のフォーマットで聴いていただきたいなと常に感じているところです。ですので、ハイレゾのファンの方には、本当に感謝しかないです。これからも世の中にハイレゾのリスナーが広がっていくといいなと、いつも思っています。

――貴重なお話、大変ありがとうございました。





実際に聴いてみた! 『SORA』 と 『アメアガリ』 のハイレゾ音源レビュー


確かに、従来の海外レコーディング&マスタリングで作られた神保作品とは違った音の感触です。分厚く、そしてボトムがガッチリしたのは、おそらくアナログ卓に立ち上げてのミックスダウンの成果だと思います。コンピューター内部で完結させるミックスでは、こういった野太いサウンドを構築するのは困難でしょう。そのミックスを活かすようなガツガツしていないマスタリングが好印象。といっても音圧は高めと言える仕上がりですので、スピーカーだけでなく、イヤホンやヘッドホンでのリスニングでも迫力あるドラムサウンドが大いに楽しめると思います。

『SORA』 は歌もののバックのように比較的シンプルで自由なドラミングであるのに対し、『アメアガリ』 はコピー演奏不可能と思える複雑かつ不思議なビートが楽しめます。多彩で豪華な海外ミュージシャンとの共演を楽しむか、よりシンプルでディープな未来のドラムワールドを垣間見るか・・・いえいえ、両方とも聴くのが正解。良い意味でのMade in Japan クオリティーを感じるサウンドがオススメの太鼓判ハイレゾ音源です!


――西野正和




神保彰 プロフィール



1980年、カシオペアでプロデビューして以来、40年以上、長きにわたって常に音楽シーンの最先端を走り続けるトップ・ドラマー。
2007年、ニューズウィーク誌の特集「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。メロディーやアンサンブルを1人でたたき出すワンマンオーケストラというスタイルは唯一無二。世界のトップドラマー500人を紹介するサイトDRUMMERWORLDに載っている日本人2人のうちの1人。米ドラム誌ModernDrummerMagazineの表紙を飾った唯一のアジア人でもある。2011年、国立音楽大学ジャズ専修客員教授に就任。
カシオペアのサポート等の国内でのバンド活動に加えて、ワンマンオーケストラ名義のパフォーマンスやセミナーで世界中をツアーし、多忙な日々を送っている。

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筆者プロフィール:


西野 正和(にしの まさかず)3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー 株式会社レクスト代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセレクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』をプロデュース。


 

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