Chima ミニアルバム『nest』スペシャルインタヴュー公開!

2021/10/27

大阪出身、北海道在住のシンガーソングライターChima。TV アニメ主題歌やTV・ラジオCM 曲の歌唱、アーティストへの楽曲提供などで活躍中の彼女がランティスでは初となるミニアルバムをリリース。これまでのタイアップ曲はもちろん、今期放送中のTVアニメ『月とライカと吸血姫』のエンディング主題歌「ありふれたいつか」を含む新曲を2曲収録した注目のミニアルバムだ。上田麗奈氏に提供した楽曲「たより」のセルフカヴァーとなる「たより (弾き語りVer.)」は、ギター弾き語り同時収録のアレンジバージョンとあって、サウンド面の興味も尽きない。Chima自身の音楽活動や、アルバムに込めた思い、ハイレゾ版のこだわりについても伺った。

◎取材・文:橋爪徹
写真:e-onkyo music(文中)




―― ミニアルバム『nest』の完成おめでとうございます。ランティスからのリリースとしてはデジタルシングル『lien(リアン)』(2019/6/26)、CDとしては『urar(ウラ―)』(2018/1/24)ぶりですが、発売を控えた今の心境はいかがですか?

Chima ありがとうございます。このあいだ帰省で大阪にいたときに『月とライカと吸血姫』のアニメ放送を見られたんです。自分の歌ったEDが流れてるのを見ると、マスタリングが終わったときと違って、別の感動がありました。「あ!こんな風になったのか!そろそろアルバムのリリースだなぁ」って実感できて嬉しかったですね。

―― 「nest」は作品タイアップ曲が中心なこともあり、各楽曲アレンジの方向性は多彩です。その中で、核であるChimaさんの歌声やギターそのものの像は一貫してブレていないと思いました。Chimaさんの中にいつも通底するサウンドコンセプトがあればお聞かせください。

Chima ちょっと抽象的なのですが、いつも映像が思い浮かぶ音になればいいなと思っています。タイアップに限ったことではないのですが、理数的に作るって言うよりは、最初ちょっと文系というか、まず景色を思い浮かべて、アニメならビジュアルをとにかくよく見ながら音を重ねていくことが多いですね。



―― ランティスでのデビューをきっかけにアニメソングのお仕事も増えました。アニメやゲームの音楽を作るのは、普段の音楽活動と比べてどんな違いがありますか。

Chima アニメ音楽のお仕事をいただく場合は、「アニメだ!」というくくりで取り組むというよりは、作品とのコラボ感覚で作ります。原作の小説やマンガはもちろん、アニメなら色使いからもインスピレーションをいただいて、自分から出ないものを出すようにしてますね。lienとかは特にそうですが、作るたびに自分でも新しい発見が多いです。タイアップの作品作りは独特の楽しさはありますが、ソロと違ってなんでもOKではありませんので、当然難しさもあります。

―― Chimaさん自身は、アニメ音楽に対して親しみなどはありましたか。

Chima 自分は、アニソンだから聴くということはなくて、なんでも気になった曲はまず聴いてみるって感じですね。普段、自分がアニメを見るときはOP/EDを飛ばさずに見るんです。それで気になったら検索してCD買いに行ったりしますし、CMソングとかもそうなんですが、気になったらどんなジャンルの音楽でも触れてみたいんですよ。でも、小学校の時は踊ると言えばいつもアニメソングで踊ってました(笑)

―― 大阪から移住されたきっかけは音楽では無いと伺っています(北海道では大学の獣医学部へ進学)。在学中に同級生とバンド活動をやり始めてから、現在ではメジャーデビューまでされている訳ですが、今も北海道をホームグラウンドにする理由はなんでしょうか。

Chima 北海道は、子供の頃に引っ越しばっかりしてた自分にとって、初めて住みたいと思った場所でした。北海道に移り住んだ当時、ゆくゆくは大阪に帰ろうとかは特に決めずに日々を過ごしていたら、年々北海道が好きになっていったんです。ここが自分の帰る場所だなって実感できたのは、実は音楽活動の中で分かったことでした。10年くらい前、ツアーで初めて道外(本州)に行くことがありました。ツアーではいろんな土地を知って、いろんな人に会うことになります。それで、絶対その土地と人を好きになるんです。また行きたいな、この人に会いたいなってなるくらいの素敵な出会いがあるんですよ。でも、北海道という戻る場所があるから、そこにまた行ってみたいと思えるんです。他の土地の魅力を知れば知るほど、北海道がますます好きになっていきました。それって不思議だなって。改めて北海道は帰る場所なんだなと思えましたね。たぶん自分が“息をしやすい”のは、北海道かなって今は思います。

―― 他の土地の魅力を知ることでさらに自分の今いる場所の魅力に気付いていくなんてとてもロマンチックですね。そういう愛着みたいなものは、音楽活動にも影響していますか。

Chima そうですね、すごく気持ちのいい場所だなって思いますし、音楽活動も伸び伸びやれています。タイアップのお仕事やライブツアーで道外に出ても北海道に帰るとゼロに戻れるんです。お風呂に入ったみたいに。いい意味でリセットされるんですよ。

―― 現地で音楽活動されているバンドなど、Chimaさんの周りの方は北海道ならではの色はあるのでしょうか。

Chima 北海道の音楽やってる方々は独特で、初めて札幌のバンドをライブで見たときは、深くて青くて冷たい景色のような音が北海道を表してるように感じました。私が音楽を始めた頃は、「既にファンクバンドがいるからオルタナロックにしよう」とかなんとなく他と被らないようにジャンルを選ぶ感じがして面白いなと思ってました。結果、個性的な対バンライブになることが多かったですね。北海道は楽器を練習するのに環境がいいのか、東京で活躍しているプレーヤーさんは北海道出身の人も多いんですよ。




「僕らのはなし」

―― アコースティックでシンプルなアレンジがより印象的です。楽曲のコンセプトや、編曲の永見行崇さんとの制作過程で印象的なエピソードがあれば教えてください。

Chima 永見さんは「ありふれたいつか」と同じアレンジャーさんです。シングルでC/Wを作る感覚で、割と同時進行で作っていました。アレンジをシンプルに作るというのは先に永見さんにお伝えしていて、ギターとボーカルにちょっと足していくくらいの短さでやっていきたいというイメージで進めました。
イリナとレフの関係性、絆みたいな物って、自分にとって誰だろうって考えたときに、ライブのお客さんだったり、各地にいる大好きな人たちだなって思いました。今のコロナ禍でちょっとイリナと自分の思いが被ったんです。みんな(他の訓練生)にとっては平凡でありふれた日常でも、イリナにとっては口に出せないくらい距離があって、それって現実のコロナ禍の感じと似ているなって。自分の今の想いを踏まえて、”これは僕らのはなし“ってことで書きました。作品を読んだ後って、心が動くじゃないですか。昨日までの自分と違う自分になるのは、いいなって思うんです。作品に触れたことで出てきた思いを乗せて、素直に曲を作れました。



「ありふれたいつか」

―― 歌詞を拝読すると、イリナとレフの関係を描いているように受けとめました。作品の世界観をどのように表現されましたか。

Chima はい、イリナとレフの2人を思って書きました。お互い一緒の土の上に立っているけど、間に一本のガードみたいな物があるだけで違う世界になっています。そんな中、2人が見る先には何の境界線も無い空があって、イリナが「宇宙に行く」と断言する強さが魅力的でした。これはなかなか言えないなって思うし、同性としてカッコいいなと思う部分が書けたらなと。

―― アニメソングを作るときは、原作をどのように読まれますか。いつも大切にしていることなど聞かせて下さい。


Chima 作品を読むと、ぐーっとのめり込むじゃないですか。私の場合は、その世界の中で自分自身が登場人物になったような錯覚があるんです。そんな引っ張られていく感覚が好きで、その感覚を引きずって曲を作ります。だから、あんまり何も考えてないかも(笑)

お声掛けいただいて嬉しくて、まずお話読んで面白いなって思って、読み進めてそのままの思いで書くみたいな。自分が思ったことをそのまま曲にしています。


―― Chimaさんの独自の音楽性はまさにそういった感性から生まれているとファンの方にもきっと伝わると思います。ところで、アレンジのディレクションにはどの程度関わっていますか。サウンド面のこだわりも教えて下さい。


Chima アレンジャーの永見さんと何回も電話してやり取りして、本当に頑張って作っていただきました。シンセについては、けっこう音は入っていますが、そんなにたくさん入っているように聴こえませんよね。1960年代が舞台の作品なので、単にシンセを普通に弾くだけじゃなくて、鉄を叩いてもらったり生音を録って編集して、それをパッドに入れて鳴らしたりしています。


―― 宇宙観を感じさせる独特のシンセパートは、デモの段階では入っていた?


Chima 実は、デモの段階ではまったく入れていません。シンプルな弾き語りでお渡ししています。「僕らのはなし」は私が打ち込みでデモを作りましたが、それ以外はすべて弾き語りです。だから毎回、アレンジャーさんから曲が帰ってくるのが楽しみです。どうやって調理してくれるんだろうって。私は、できるだけシンプルなまま渡します。

―― となると、以前から曲作りはギターで行っていらっしゃった。


Chima そうですね。作曲はギターで作ることが多いです。最初の内はギターが弾けなかったので、声だけで全部のパートをやっていました。ベースっぽい音とか声で(笑)

弾き語りの音源を渡してアレンジャーさんに作っていただいているので、よく分からないコードが鳴ってたりすると、弦を押さえている指を写メしてアレンジャーさんにお伝えするんですよ。アレンジャーさんにはいつも本当に感謝しています。


「たより」

―― この楽曲をセルフカヴァーに選んだ背景、改めて「たより」に向き合った感想など聞かせて下さい。


Chima 上田麗奈さんにはこれまで3曲を提供しているのですが、ランティスさんから1曲セルフカヴァーしませんかと提案いただいて、もう私としては「いいんですか!? でも、嬉しい」って。セルフカヴァーは初めてだし、「やった! どれにしよう?」ってなりました。
上田さんは様々な画を描かれる方なのですが、字を書いている姿も印象的で、背筋が伸びて凜としているイメージの方です。上田さんが初のワンマンライブを開催するということで、それに合わせて書き下ろしで作った曲が「花の雨」と「たより」なんです。なので、自分の中の上田さんのイメージや、「みんな一緒、人と会うと楽しい」といったライブをイメージして作った印象深い曲ということもあって「たより」を選びました。

―― 歌とギター同時収録とのことで、とても生々しい音になっています。こちらは、ライブのように座ってレコーディングされているのですか?


Chima はい、座って録りました。ライブでは基本弾き語りなので、それと同じようにレコーディングでも(リズムを取るための)クリックを聴かずに演奏してます。実はアルバムには1発目のテイクが採用されているんです。パンチインによる修正も1箇所だけですね。ランティスのスタジオですから、ヘッドフォンに返ってくる音がとてもいいし、当日はテンション高かったです。



―― 弾き語りのような楽器と歌を同時に録るスタイルは、ご自身の活動でもよくやられていますか。オーバーダビングしていく制作スタイルとの感覚の違いなどありましたら。


Chima 弾き語りや一発録りは、最近増えていますね。岩井俊二さんとやってるユニット「ikire(イキレ)」は、基本一発録りです。決まったテンポが無いんで、ガラス張りの部屋がいくつもあるスタジオでお互いの演奏を見ながら「いっせーの」で録ります。

弾き語りは好きなだけテンポを揺らせるんですよ。それこそ“間”で遊んだりもします。響きの長さもライブなら箱(ライブハウス)によって違うし、思わず聴き入ってしまったり。それって弾き語りじゃないと出来ません。今回のレコーディングも、何も考えずふわーっとやりました。普通のレコーディングのボーカル入れも好きです。弾き語りよりも、オケが先にあるボーカル入れはより練習しますね。いろんな音を聴きながら歌いますので。

―― ミニアルバム『nest』は、ダイナミクスも大きく生楽器やボーカルの質感が豊かに表現されており、ハイレゾリスナーにこそ響く作品だと思います。アルバムのための音作りではどんなやり取りがありましたか。


Chima まず、ミニアルバムのためにマスタリングをやり直しています。それには私も立ち会わせていただきました。まず前提として、上がってきた音源はよかったんです。ただ、ちょっとだけ、音を柔らかくしてもらったりはありました。私としては、聴きやす過ぎないようにしたいなというのがあって。聴きにくくはしたくないですが、アタックはしっかり残してもらったり。出過ぎじゃないかって思うギリギリ手前というか。演奏の生感や温度みたいなものを大切にしたいんです。私はボーカルがウィスパー系で強い方の声じゃないから、綺麗に整えすぎると平たくなっちゃうんです。楽器の凹凸とか、コーラスの立体感が残るように微調整してもらいました。

―― 最後にこの作品をお楽しみいただいているe-onkyo musicのリスナーにメッセージをお願いします。

Chima 一曲ずつ全然違うアレンジと音作りがされていて、幅広いミニアルバムになりました。私も何度も聴きたいし、皆さんにも楽しんでいただけると思います。お気に入りの場所とオーディオ機器で聴いてくれたら嬉しいです。

―― 本日はありがとうございました!

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