チェリスト新倉瞳、藤倉大ほか気鋭の作曲家が手掛けるデビュー15周年新譜『11月の夜想曲』リリース&インタビュー

2021/10/20

 

©Fukaya Yoshinobu

スイスと日本を拠点に活躍するチェリスト、新倉瞳。
エルガー: チェロ協奏曲』では荒涼とした世界観の名協奏曲を。『祈り ~ チェロとハープ珠玉の名曲集』ではハープとの共演による薫り高いハーモニーを。『メンデルスゾーン&ブラームス: ピアノ三重奏曲第1番』では「椿三重奏団」の一員として息の合った緻密かつドラマティックなアンサンブルを。近作『ダンツァ』では民族音楽とダンスへの知見と愛情が遺憾なく発揮された舞曲を。……

すでに数々の多彩な録音を送り出し、ハイレゾリスナーからも熱い支持を集める新倉が、このたびデビュー15周年記念としてアールアンフィニ・レーベルからリリースするのは、なんと彼女自身の委嘱による「気鋭の作曲家5人による新作集」!

ファジル・サイ、藤倉大、挾間美帆、佐藤芳明、和田薫。いまをときめく5人の作曲家と、ジャンルや編成にとらわれない自由な挑戦を続けるチェリストによるコラボレーション集。単なるアニバーサリー・アルバムにとどまらない野心と情熱を感じさせます。


『11月の夜想曲』
新倉瞳(チェロ)
東京交響楽団/飯森範親(指揮)/塚越慎子(マリンバ)/佐藤芳明(アコーディオン)/林英哲(太鼓)
アールアンフィニ・レーベル


収録作
ファジル・サイ: 11月の夜想曲~チェロと管弦楽のための
藤倉大: スパークラー~チェロのための
挾間美帆: 組曲「イントゥー・ジ・アイズ」
佐藤芳明: 2つの楽器のための2つのカノン
和田薫: 巫~チェロと和太鼓のための
伝承曲: ニーグン

録音
2020年3月21日 東京オペラシティ(ライブレコーディング)
2021年1月23日 ハクジュホール(ライブレコーディング)


記念年のアルバムとしてどうして「新作」を選んだのか?作曲はどのように進められたのか?
アルバムをめぐるさまざまなエピソードや想いを、メールインタビューの形でお伺いしました。



『2つの楽器のための2つのカノン』は、作曲家でありアコーディオン奏者の佐藤芳明氏による、チェロとアコーディオンのデュオ作品。


気付いたら15年が経っていた、からこその

──
デビュー15周年、そして記念アルバムのリリースおめでとうございます。
5人の気鋭の作曲家の委嘱作、そして新倉さんのライフワークであるクレズマー音楽を含む意欲作ですが、いわゆる古典中心の名曲集ではないアルバムを節目の年に送り出そうと思った理由をお聞かせください。

(新倉瞳:以下新倉)ありがとうございます!

沢山の出逢い恵まれ様々な経験をさせて頂き、演奏活動が長くなればなるほど本当に恵まれていると気付かされますので、15年の時の重みは心地よく感じていますが、個人的には気付いたら15年経っていた…という感覚で「なるようになった」と思っています。

ですからこのアルバムも、偶然で必然。敬愛する5人の作曲家の皆さまとの出逢いと信頼関係が自然と「委嘱」へ繋がりました。クレズマー音楽を収録することになったのは、委嘱作品の世界初演コンサートのアンコールでの演奏を偶然録っていたから、という流れでした。

活動拠点のスイス・チューリヒでクレズマー音楽と出会い、「Cheibe Balagan」の一員としても活躍中。これまでの多彩な活動が、編成もテイストもバラエティに富んだ今回のアルバムに結びついた。


5人の作曲家を通して己の心の鏡を見つめる

──委嘱にあたって、作曲家さんとどのように制作を進められましたか?

新倉 私自身が大ファンである5人の作曲家の皆さまに「お任せ!」でそれぞれ作曲をお願いしたのですが、藤倉大さんとはコロナ禍以前にも関わらずリモート打ち合わせを重ねる作業をご一緒させて頂きました。今回のソロ作品『スパークラー~チェロのための』に関しては、藤倉さんから楽譜を送って頂いては私が携帯のボイスメモで録音して送り返し…を何百回と繰り返しました!

──今回の5作品は「ひねくれた「不良」な部分」(藤倉大)、「一冊の自伝のよう」(狭間美帆)、「日本人のアイデンティティ」(和田薫)などさまざまな形で「新倉さんらしさ」が表現されていると思います。ご自身の人生、パーソナリティ、キャリアと重ねてお感じになったことはありますか?

新倉 兎にも角にも、ありがたいなぁという気持ちです。
己のことは己が1番分からぬ、と思っているのですが5人の作曲家の皆さまのおかげで己の心の鏡を見つめることが出来ました。
そして、生きていくうえで色々なことを1人では何も出来ないことを日々感じるのですが、私がこの世に存在するからこそ産まれてきてくれた曲たちの命が在ると思うと、影響し合ってこその人生だなぁと改めて今回感じています。



挾間美帆氏による『組曲「イントゥー・ジ・アイズ」』は、新倉がこれまで暮らしてきた「サンフランシスコ」「デュッセルドルフ」「チューリヒ」「東京」の4つの都市をめぐる自伝的作品。マリンバ奏者・塚越慎子氏とは、これまでもたびたび共演を重ねている。



アニメーション「犬夜叉」の作曲家として知られる和田薫氏と新倉とは、食事や舞台鑑賞を一緒に楽しむご近所仲間の関係。このたびの企画にあたって、はじめて意を決して「レストランの名前が入っていないメール」をしたという。和田氏からの提案により、太鼓界のレジェンドである林英哲氏との初共演による『巫~チェロと和太鼓のための』の録音が実現した。


私のワガママ→我がまま→私の好きがそのまま!詰まったアルバム

──このたびの配信ではじめて新倉さんの演奏に触れられる方もいらっしゃると思います。聴きどころやその他のメッセージなど一言お願いできますと幸いです。

新倉 作曲家と共演者の皆さまに導かれ、私のワガママ→我がまま→私の好きがそのまま!詰まったアルバムとなりました。
聴いてくださった皆さまが、それぞれ出逢われてきた大切な方々と出逢えてよかったと思えるような瞬間を、このアルバムから感じて頂けましたら幸いです。



アルバム『11月の夜想曲』は、10月20日にCDおよび日本国内サービスでの先行ダウンロード配信がスタート。オーケストラとチェロ、チェロ独奏、マリンバとチェロ、アコーディオンとチェロ、太鼓とチェロ、といったさまざまな編成が次から次へと登場し、それぞれ絶妙なバランス感とハーモニーを聴かせる録音は、ハイレゾ音質で聴くのにうってつけです。
ぜひ、新倉瞳のこれまでの歩みが結実した世界をDSDオリジナルレコーディングでお愉しみください。






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      • ●新倉瞳 プロフィール
        幼少期をアメリカとドイツで過ごし、8歳よりドイツでチェロを始める。桐朋学園女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部を首席で卒業、卒業時には皇居桃華楽堂新人演奏会に出演、御前演奏を行う。その後、バーゼル音楽院ソリストコース・教職課程の両修士課程を最高点で修了。これまでにJan Vymyslický、毛利伯郎、堤剛、Thomas Demenga、Martin Zeller (バロック・チェロ)の各氏に師事。室内楽を徳永二男、原田幸一郎の各氏に師事。2014年よりCamerata Zürichのソロ首席チェリストをつとめている。
        2003年いしかわミュージックアカデミーにてIMA音楽賞を受賞し、アメリカ/アスペン音楽祭に奨学生として参加。2007年第28回霧島国際音楽祭にて霧島国際音楽祭賞を受賞。2009年ルーマニア国際音楽コンクール室内楽部門にて第1位を受賞。2015年スイスのベルンで開催されたOrpheus Kammermusikwettbewerbにて入賞。同年、ポルトガルのリスボンで開催されたInternacional Verão Clássico 2015チェロ部門にて第1位を受賞。2016年5月スイス/ルツェルンの高級時計ブランドCarl. F. BuchererよりPathos Woman Awardを受賞。2017年第18回ホテルオークラ音楽賞受賞。第19回(2020年度)齋藤秀雄メモリアル基金賞チェロ部門受賞。
        2006年8月桐朋学園大学在学中には、EMI Music Japan(現ユニバーサル・ミュージック)より「鳥の歌」をリリースし、紀尾井ホールにてデビュー。これまでにEMI Music Japanから3枚のアルバム、Live Notesよりピアニスト佐藤卓史とのライブCD「ブラームス&ラフマニノフ:チェロ・ソナタ」、F.S.L.レーベルよりアコーディオニスト佐藤芳明とのDuo「魂柱と鞴」、アールアンフィニ・レーベルより「ダンツァ」や、高橋多佳子、礒絵里子との「椿三重奏団」を含む4枚のアルバムが発売されている。
        また、チューリッヒを拠点とする人気クレズマーバンドCheibe Balaganのメンバーとして2014年から参加し、様々な音楽祭に招かれ、音楽の幅を広げている。現在はスイスを拠点に活躍する中、ソリスト、室内楽奏者として全国各地でリサイタル、オーケストラとの共演を重ね、司会、番組ナレーション、音楽劇、演奏家のためのドレスM Maglie le cassettoのプロデュース等、活動の幅を広げ音楽の素晴らしさを広く深く伝えようとする姿勢は多くの共感を集めている。使用楽器は、宗次コレクションより貸与されたGiovanni Battista Grancino(1694年製)。
        https://www.hitominiikura.com

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