高田英男セレクト レコーディング・エンジニアが選ぶ不滅のサウンド

2021/10/08

e-onkyo musicの人気企画、オーディオ評論家セレクトによる、オーディオファン必聴のハイレゾ・アルバムをご紹介するコーナーに、今回は特別編として、長きに渡りビクタースタジオのエンジニアとして、70~80年代のアイドル作品や歌謡曲、ジャズ、フュージョンや純邦楽まで、実に幅広い名作を手掛けてきた日本が誇るレコーディング・エンジニアにして、プロデューサーの高田英男氏が登場。ここでは高田氏自身が録音を手掛けた作品、並びに過去音源のハイレゾ・マスタリングを監修した作品の中より、特にオーディオ的魅力に満ちた「不滅のサウンド」を厳選してセレクト。詳細なレコーディング情報と共にご紹介いたします。オーディオ初心者から上級者まで、必聴作品がずらりと並ぶセレクト企画です。


■レコーディングエンジニアが選ぶ不滅のサウンド -- 高田英男


 レコーディングエンジニアはアーティスト及びプロデユーサーが意図した音楽を如何にサウンドとして表現するかが基本です。更にエンジニアの感性による音創りは、音楽を魅力的に創作する役割も担っております。リスナーの皆様は音楽再生技術を探求し、音楽の深さを楽しんでいるのと同じように、私たちレコーディングエンジニアは録音技術を追求し音楽の深さを音として表現し音楽制作をしております。今回e‐onkyo musicからレコーディング・エンジニアとしてビクタースタジオ時代に、自ら録音担当した作品及び、ハイレゾ・マスタリング音創りに監修した作品などを中心に、是非リスナーの皆様に聴いて頂きたい作品をセレクトして頂きたいとの話を頂きました。

 私自身、良い音「魅力ある音」とはサウンドを聴いた瞬間に、その楽曲に対し音創りへの意図(意志)が明確な作品に、大きな魅力を感じています。当然、昔の録音では最新ハイレゾ・サウンドとは違いますが、音創りへの拘りを感じる作品は、音楽と録音が一体化し時代を超えて音楽の魅力が伝わります。マスター音源としては、アナログマスター音源を中心に、ハイレゾ録音ならではのデジタルマスター音源もセレクト致しました。是非、時代を超えて残る不滅の音楽(サウンド)を楽しんで頂けたらと思います。


高田英男




J-POP/邦楽セレクト ~時代の流れによるサウンド創りへの変化~


レコーディング・エンジニアとしてスタートした1970年はアナログ録音機材による録音であり、国内メーカー製造によるアナログ・コンソールや自社(ビクタースタジオ)開発のアナログ・コンソールにて録音を進めていました。1975年位に海外よりQuad Eightコンソールが導入され16チャンネルのアナログ・テープ・レコーダーと共に、マルチチャンネル録音による録音技術への探求が進んでいく時代でした。今回セレクトした作品、麻丘めぐみ、岩崎宏美の2作品は、筒美京平さんの作編曲によるアレンジを、如何に魅力あるサウンドとして表現出来るかなど、歌謡曲録音への基本を学んだ時代の作品です。1980年制作のフランク永井のジャズ・ボーカル・アルバムは24chのアナログ・マルチ・テープでの録音であり、16chより更に繊細な音創りが進む時代です。2012年制作、Paris Matchの作品はPro Toolsによるハードディスク録音であり、デジタル技術とアナログ技術が融合した音創り。時代の流れで創られるサウンドも大きく変化していますが、一貫して音楽と音創りへの拘りによるJ-POP/歌謡曲を楽しんで頂けたらと思います。




edition 10』/paris match

2012年 クーリズムスタジオ ビクタースタジオ録音 エンジニア:杉山 洋介、谷田 茂
96kHz/24bitミックスマスター音源をハイレゾ化。

エンジニア・谷田茂コメント:パリスマッチはミズノマリさんの持つ艶やかに透きとおった歌声と、生楽器&シンセサイザーを多用し構成されたポップス感溢れる楽曲が特徴です。
音創りへの拘り
①Pro Toolsのマスタークロックに拘り、クリアーサウンドを目指す。
②Pro Toolsミックス時にアナログサミングアンプを使い、素直な音色感を創る。
③ ブラスセクションはビクタースタジオでの音響空間を生かし、真空管式マイクを使い深みのあるサウンドとする。
④サンプリング音源への拘りは、杉山氏の手動による打込みにより演奏のニュアンスを表現。

サウンド創りはタイトでクリアーであり、絶妙な楽器バランス(唄、コーラス、リズム、ブラス)により、J-POPを代表するサウンド。アコースティックのブラス・サウンドが音の色彩感を創り、生楽器+打ち込みでの心地よいサウンドとなっている。
Tr. 1 “Sandstorm”は第20回日本プロ音楽録音賞ポップス・歌謡曲部門 最優秀録音賞受賞。

Recorded at coolism studio & Victor studio
Produced by Yosuke “jazoulser” Sugiyama
Engineered by Yosuke Sugiyama、Shigeru Tanida
HD Mastering by Hiroshi Kawasaki 「FLAIR」


オール・オブ・ミー~フランク永井 スタンダードを歌う
フランク永井

1980年 11月 サウンド・イン・スタジオにて録音、エンジニア:別宮環
1/4インチ・アナログ・マスター音源からのハイレゾ化。

柔らかく艶のあるフランク永井さんの歌声、美しいビブラフォンの響き、クリアーで自然な響きのストリングス・・・実に気持ちの良いアコースティック・サウンドである。共演者は前田憲男率いるミッドナイト・サウンズ。主なミュージシャンとしてピアノ:秋満義孝、ベース:稲葉国光、ギター:横内章次、ドラム:ジョージ川口、サックス:与田輝雄…
錚々たるメンバーである。フランク永井のヴォーカルマイクは真空管式ノイマンM-49,M-67を使い、深みのあるヴォーカルサウンドである。

Recorded at Sound Inn studio
Produced by Shigetsuna Sasaki
Engineered by Tamaki Beck
HD Mastering by Takashi Hakamata   「FLAIR」





<COLEZO!>麻丘 めぐみ』/麻丘 めぐみ

1972年~1977年ビクタースタジオ、モウリスタジオ録音 エンジニア:高田英男
1/4インチ・アナログ・マスター音源からハイレゾ化。

Tr. 1“芽ばえ”~Tr.3“女の子なんだもん”:アナログ8chマルチテープレコーダー録音。
Tr. 4“森を掛ける恋人たち”~Tr. 16“ねえ”:アナログ16chマルチテープレコーダー録音。

筒美京平さんの作曲、編曲・高田弘さんでの録音が多く、楽曲により京平さんが一部ストリングスのアレンジをした楽曲もあった。当時は8chのテープレコーダーの為、唄チャンネルを確保すると、オケに使えるトラックは6chくらいになり、大変な時代でしたが、マルチチャンネルでオケを録音し、後でバランスを取れる事は大変有難かった時代です。
筒美京平さんは楽曲に対し、求められるサウンドは非常に明確である。如何にそのサウンドが創れるのか、毎回ドキドキな雰囲気の中で録音を進めていました。サウンド創りではデレクターの笹井一臣氏の希望もあり、透明感や広がりがあるストリングス・サウンドは、麻丘めぐみの可愛いアイドル的雰囲気にマッチし、印象的なサウンドとしてヒット曲に繋がった要因も感じています。

Recorded atVictor studio, Mouri Studio
Produced by Kazuomi Sasai Tr. 1~Tr. 10, Tr. 15~Tr. 16
Takashi Takahashi  Tr. 11~Tr. 14
Engineered by Hideo Takada
HD Mastering by Takashi Hakamata   「FLAIR」


あおぞら岩崎 宏美

1975年 ビクタースタジオ他 録音エンジニア:梅津達男
1/4インチ・アナログ・テープマスター音源からのハイレゾ化。

“天まで響け”岩崎宏美ファーストアルバム(レコード) 二重唱(デュエット)ロマンスヒット楽曲含むアルバム。1978年に24chアナログ・テープレコーダーが導入されているので、多分16chアナログ・テープレコーダーでの録音である。エンジニア梅津氏は当時フォークロック(はちみつぱい、はっいえんどのアルバム一部)など中心録音しており、その後、歌謡曲の代表的アーティストの作品を多く録音担当している(チェリッシュ、高橋真梨子 他)
エンジニア梅津氏の音創りとして、ドラム&ベース・サウンドは中低域を安定した音創りが特徴的であり、このアルバムも安定したリズム・サウンドに各楽曲アレンジの肝を的確に音として表現している、特にストリングスやギターなどの印象的フレーズのバランス感覚はヒット曲創りに大きく繋がっていると感じる。当時スタジオミュージシャンで売れっ子の
田中清司(Dr)、武部秀明(Bass)、水谷公生(Gt)によるリズム・サウンドやシンガーズ・スリー(Cho)は日本のポップス・サウンドに大きく貢献したミュージシャンである。余談であるが、各楽器のストリングスの印象的フレーズを目立たせるには、録音時にスコアー(ストリングスのパート)とにらめっこして、その箇所に来ると各ストリングスに立てたマイク・フェーダーを上げて録音する事は、現状も行っている録音作業である。

Recorded at Victor studio
Produced by kazuomi Sasai
Engineered by Tatsuo Umetsu
HD Mastering by Takashi Hakamata   「FLAIR」





ジャズ/海外アーティスト ~JVCレーベル制作・拘りのフュージョン作品~


ジャズ・フュージョン音楽はポップス録音における基礎的録音技術が沢山詰まった作品が多くあります。各楽器(ドラム、べース、ギター、ピアノ、他)を如何にクリアーに録音し、リズム感(ビート感)を音として表現する楽器バランスなど、音創りの参考にしたエンジニアも多くいると思います。当時ロサンゼルスにはビクターの音楽制作拠点があり、JVCレーベルによる音楽制作を進めており、トム西田氏、トシ遠藤氏、田口晃氏(国内~現在LA在住)など音創りへの拘りの強いプロデューサーにより数々の名盤が誕生しております。更に今回セレクトした作品でレコーディング・エンジニアを担当した(ラリー・ローゼン、ドン・マレー、フィル・シェアー、アランサイス)などは録音技術の素晴らしさは勿論のこと、録音への哲学も感じる音創りでサウンドプロデューサーとしても数多くの素晴らしい作品を制作しています。
リスナーの再生環境をチェック(音色感・帯域バランス・低域量感・他)に活用する音源として、更に時代を代表するレコーディング・エンジニアによる拘りのサウンドによるフュージョン音楽を楽しんで頂けたらと思います。




リー・リトナー・イン・リオ
デイヴ・グルーシンリー・リトナー

1979年8月、9月、10月録音Recoded at Sigla Studio,Rio De Janeiro
Santa Barbara Sound,California A&R Studio,New York City Davien Studio,California
エンジニア:Don Murray ,Larry Rosen

マスターアナログ音源は当時Sound Stream Digital Recordersから制作
リオ、カルフォルニア、ニューヨークと作品ごとにミュージシャン・セッションを分けての録音であり、ストリングス・アレンジをデイブ・グルーシン、ブラス・アレンジをジェリー・ヘイが担当するなど、超豪華セッションである。アナログ・マスター音源からのハイレゾ化。

クリアーで力強いリズム・サウンドと繊細なストリング・バランス、楽曲によってエコー処理による深みのあるパーカッション・サウンドなど、強さと繊細さによって作られているフュージョン・サウンドであり、全編リー・リトナーのリード・アコースティックギターで、哀愁ある音の深みも聴きどころである。HDマスタリングにおける音創りとして、ギターの鮮やかさや広がりを大切にし、クリアーなサウンドの中にアナログ・マスター音源が持つ音の艶、柔らかさのあるサウンドアプローチとした。

Recorded at Sigla Studio,Rio De Janeiro  Santa Barbara Sound,California
A&R Studio,New York City Davien Studio,California
Produced by Toshi Endo
Engineered by Don Murray ,Larry Rosen
HD  Mastering by Takeshi Hakamata  「FLAIR」


ジェントル・ソウツ
Dave Grushinリー・リトナー

リトナー&ジェントル・ソウツ ダイレクト・カッティング第一弾~
1977年5月、ノース・ハリウッド/ワーナーブラザーズ・スタジオ
「アナログレコード・ダイレクトカッティング」アナログ・マスター音源
エンジニア:フィル・シェアー。

演奏者、録音スタッフ、カッテイング・スタッフ、それぞれが究極の緊張感の中で制作されるダイレクト・カッティングであるが、卓越した演奏と録音技術力により、リラックスした王道のフュージョン・サウンドとなっている。
音創りとしてはドラム&ベースをサウンドの核に、リー・リトナー、アーニー・ワッツ、デイブ・グルーシン、パトリース・ラッセンなどが、心地良いバランスにて、サウンド創りがされている。ハーヴィー・メイソンのドラム・サウンドの特徴として、オーバートップ・マイクをメインに自然な音場を、オンマイクにより音の芯を創り、素直な音場の中に力強さがある音づくりとなっている。更にアンソニー・ジャクソンのベース・サウンドのグルーヴ感も素晴らしい。海外録音特有のパーカッション・バランスが大きく、ステーブ・フォアマンが第二のドラム的なバランスになっている事もサウンド創り全体の大きな特徴である。
HDマスタリングの音創りとして、アナログ・マスター音源が持つ音色感を大切にし、バンドのサウンドを整理し過ぎず、開放感が有り中低域を安定させたサウンド・アプローチとした。

Recorded at Warner Brothers Recording Studio,
Produced by Mah Young
Engineered by Phil Schier
HD Mastering by Takeshi Hakamata  「FLAIR」





アウト・オブ・ザ・シャドウズ
デイブ・グルーシン

1982年1月、ニューヨークA&Rスタジオ録音 エンジニア:ラリー・ローゼン
アナログ・マスター音源からのハイレゾ制作。

アナログ・マスターは当時Sound Stream Digital Recordersにてデジタルミックスされた音源を1882年5月、スターリング・サウンド、マスタリング・エンジニア:テッド・ジャンセンによりレコード・カッテイング時に創られた、アナログ・マスターテープ。名匠ラリー・ローゼンが創り出すスティーヴ・ガッドのドラム・サウンドは楽曲により音色の変化、リバーブ処理、繊細なシンバルワークなど丁寧なミキシングにより、ドラムが創り出す音楽表情を見事にサウンド化している。更にデイブ・グルーシン、ドン・グルーシンのグルーシン兄弟による歯切れの良いエレクトリック・シンセ・サウンド及びシンセ・ストリングスなどの絶妙なバランス感覚により、奥行き感のある音創りとなっている。
HDマスタリングの音創りとしてアナログ・マスターテープの保存状況も良く、立上りの良いマスター音源を更に中低域を豊かにし、深みのあるアナログ的音色感を目指すサウンドアプローチとした。

Recordedat A&R Studio NY
Produced by DAVE GRUSIN & LARRY ROSEN
Engineered by LARRY ROSEN
HD Mastering by Takeshi Hakamata 「FLAIR」


ブリリアント・コーナーズ
THE BILL HOLMAN BAND

1997年2月 LAオーシャンウェイスタジオ録音 エンジニア:アラン・サイズ
ダイレクト2ch録音、アナログ・ハーフインチ・マスター音源~ハイレゾ化。

アルバムはセロニアス・モンクの作品をビックバンドにアレンジして演奏した作品。録音での特筆的な事は、複雑で緻密なビックバンド・アレンジ演奏をダイレクト2chにて録音したことである。オーシャンウェイスタジオの音響空間を知り尽くし、卓越した録音技術を持つアラン・サイズでしか成しえないサウンドである。クリアーでありながら響きの豊かなブラス・サウンド、ドラムにかぶるブラスの音を上手く使ったスケール感があるドラム・サウンド、立ち上がりの鋭いピアノ・サウンドなど、これぞビックバンド演奏の名盤である。
HDマスタリングの音創りとしてアナログ・マスター音源が持つクリアーで艶のある音質感を忠実に、テープレコーダーからダイレクトにA/D変換した作品。

Recorded at OCEANWAY RECORDERS, HOLLYWOOD, CA
Produced by Akira Taguchi
Engineered by Allen Sides
HD Mastering by Takeshi Hakamata  「FLAIR」





スティーヴ・ガッド・バンド
スティーヴ・ガッド

2017年、CA ノースハリウッド・スフィア・スタジオ エンジニア:Rich Breen

3年振りのスタジオ録音、LAギタリスト、マイケル・ランドと結成したバンドである。
メンバー:スティーヴ・ガッド(Dr)マイケル・ランド(Gt)ジミー・ジョンソン(Bass)ケヴィン・ヘイズ(Key Vo)ヴォルト・ファウラー(Trp)*デューク・ガッド(Agt: Tr. 3、Per: Tr. 1,7,8)スティーヴ・ガッドの息子

現在のハイレゾ・フォーマット96kHz/24bitを代表するフュージョン・サウンドである。クリアー且つリアルで、各楽器の音色感も素直であり、派手な音創りで無い分、じっくりと各楽曲に引き込まれていく。私自身スティーヴ・ガッドの録音を一度だけ経験しているが(サリナジョーンズ with スタッフ マイ・ラブ)、ドラム全体の楽器バランスは録音し易いドラム演奏であり、トップマイクをメインに、キック、スネア、タムのオンマイクを上げるだけで、スティーヴ・ガッドのドラム・サウンドが創れた。このアルバムも帯域バランスが広く、中低域が安定した素晴らしいサウンドであり、再生機器の音質確認としてお勧めのアルバムである。

Recorded at CA North Hollywood Sphere Studio
Produced by Steve and Carol Gadd, Michele Ito, Steven Weber and Steven Corn
Engineered by Rich Breen

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ジャズ/国内アーティスト ~アナログ・マスターテープ&ダイレクト2ch録音への拘り


録音制作のプロセスにもよりますが、音楽制作において録音メディアを何にするかは大変重要なテーマです。今回選択した作品で注目ポイントとして①アナログテープをどの様に活用しているかです。例えば1インチのアナログテープを使ってミックスした『本田雅人/イリュージョン』ハーフインチのアナログテープを使ってミックスした『阿川泰子/WHEN THE WORLD TURNS BLUE』、『PONTA BOX/モダン・ジュズ』、『MALTA/マンハッタン・イン・ブルー』、1/4インチアナログテープ『渡辺貞夫/モーニング・アイランド』など当時の録音への時代背景もありますが、それぞれに拘った選択をしています。更にアナログ・コンソールでのミックス・マスターの音質が全てですが、マスターテープによる各作品の音色感など試聴ポイントです。②ダイレクト2ch録音による音楽制作です。『PONTA BOX/モダン・ジュズ』、『MALTA/マンハッタン・イン・ブルー』はミックス作業をせずに直接録音したアナログ・コンソールのステレオ出力を録音した作品です。一発2ch録音の音鮮度・心地よい緊張感などが音として体感して頂けたらと思います。




ILLUSION』/本田雅人

1999年11月、ビクタースタジオ録音 エンジニア:高田 英男
アナログ24チャンネル・マルチテープ録音~1インチ2チャンネル・アナログテープにミックスされたマスター音源からハイレゾ化。

音創りとして真空管式機材を多く使用し、中低域の安定した太いアナログサウンドを目指した。共演のPONTA BOXはデビューからエンジニアを担当させて頂いた事もあり、村上“ポンタ”秀一さんが創り出すダイナミックなドラムサウンド(打楽器)で音楽そのものを変える大きなエネルギーを体験しており、この録音もサウンド創りの核となっている。本田さんの圧倒的なテクニックと深く心に沁みるバラードにおけるサックスサウンド、最強のミュージシャンによるアナログ音質を意識したジャズサウンドを堪能して頂きたい。HDマスタリングの音創りとして1インチ2チャンネルのアナログ・マスター音源の音情報を出来るだけ引出、躍動感&深みのある究極のアナログサウンド創りを目指した。

Recorded at VICTOR STUDIO
Produced by Masato Honda
Engineered by Hideo takada
HD Mastering by Takeshi Hakamata  「FLAIR」


モーニング・アイランド渡辺貞夫

1979年3月、ニューヨークA&Rスタジオ録音 エンジニア:ジム・ボイヤー
オリジナル・アナログ・マスターテープ音源からのハイレゾ制作。

当時ニューヨーク録音におけるサウンド的特徴として、中低域が安定したリズム・サウンドから伝わる音楽の深さを感じる音創りは、あこがれであった。このアルバムはドラム:スティーヴ・ガッド、ベース:フランシスコ・センテーノによって創り出される渋く深みのあるリズム・サウンドが心地良く、特にフランシスコ・センテーノが創りだす芯が太く安定したベース音色&フレーズ感がアルバム・サウンドカラーの一つになっている。尚、スペシャル・サンクスとして、デイブ・グルーシン&エンジニア:ジム・ボイヤーをクレジットしており、このアムバム制作におけるエンジニアの貢献度の大きさを感じる。HDマスタリングの音創りとして、基本素直なアナログ・マスターテープの音色感を忠実に透明感、音場感の広がりを感じるサウンドアプローチとした。

Recorded at A&R Studio NY
Produced by KIYOSHI ITOH, AKIRA TAGUCHI
Engineered by Jim Boyer
HD Mastering by Takeshi Hakamata  「FLAIR」





WHEN THE WORLD TURNS BLUE
阿川 泰子

1988年11月、Baby ‘O Recorders Hollywood.Ca 録音エンジニア:アル・シュミット
アナログ・ハーフインチ・マスター音源(76cm/s)からのハイレゾ化。

サウンド特徴として無理をしていない音創りをしながらクリアーで帯域バランスの広いサウンドであり、アル・シュミットならではの深みのある音創りである。中低域の安定したベース、シンバル・スネア・キックなど素直な音色であるが存在感のあるドラム・サウンド。唄のバランスもサウンドと一体感となりながら歌表情がリアルに伝わる。更にジョーサンプルならではの、立上りが良い透明感溢れるアコーステック・ピアノソロ、サマータイムにおけるウィルトン・フェルダーのサックスソロなど大変魅力的なアルバムである。HDマスタリングの音創りとしては、オリジナル・アナログ・マスター音源の素直な音色感を大切に、アナログ機材を中心にクリアーでリアリティのあるハイレゾ・サウンドを目指した。

Recorded at Baby ‘O Recorders Hollywood.Ca 
Produced by Joe Sample & Tetsu Hoshika
Engineered by AL Schmitt
HD Mastering by Takeshi Hakamata  「FLAIR」


モダン・ジュズPONTA BOX

1997年6月 ビクタースタジオ録音エンジニア:高田英男 アナログ2chダイレクト録音
(Tr. 7除く) TAPE  AMREX 456  30ips Dolby SR

モダン・ジュズはPONTA BOXの音楽制作において、ライブ演奏的にストレートに表現したい思いによりダイレクト2ch録音での作品。鮮度の良いクリアー且つ繊細なアコースティック・サウンドとなっている。ポンタ氏の繊細なブラシサウンド~インパクトの強いダイナミックな演奏まで録音する側は大変であるが、何が飛び出してくるか楽しみながら現場録音をしている。佐山氏のピアノ・サウンドも独特で、クリアー且つ透明感のあるサウンドはPONTA BOXに独特のサウンドの色彩感を創りだし、鈴木氏の開放的で安定したベースにより低域サウンドが全体を支えている。HDマスタリングとしては各楽曲の音圧レベルを中心に調整し、オリジナルマスター音源に忠実なハイレゾマスターサウンドを目指した。

Recorded at VICTOR STUDIO
Produced by Shuichi “PONTA”Murakami 
Engineered by Hideo takada
HD Mastering by Takeshi Hakamata  「FLAIR」





マンハッタン・イン・ブルー
MALTA

2003年8月 NYC AVATAR STUDIO録音 エンジニア:Jim Anderson
アナログ2chダイレクトレコーディング TAPE QUANTEGY GP-9 (30ips)

究極のアコースティック・サウンド、意図的に何か強調してインパクトを伝えるサウンドでは無く、各楽器の音色感を素直に表現しながら、音楽の深さを体感できる音創りとなっている。アナログ録音ならではの音の艶、安定した低域、素直な音色感の中に音の芯が明確に創られており、これが「アコースティック録音の原点である」音創りとなっている。HDマスタリングはマスター音源に忠実に基本フラットマスターでの音創りであり、アナログ録音による究極のアコースィック・サウンドである。

Recorded at NYC AVATAR STUDIO
Produced by Akira Taguchi
Engineered by Jim Anderson
HD Mastering by Takeshi Hakamata  「FLAIR」

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ワールド/ヒーリング/その他~音楽制作プロデューサー・サウンド創りへの拘り~


音楽制作においてアーティストと連携して音楽を纏め上げる制作プロデューサーの拘りは「作品創作への肝」であり、今回はプロデューサーの音楽制作への拘りが全面的に体感する作品をセレクト。
『宮下 伸/三十絃』ダイレクトカット・アナログ・レコード制作、特別に製作した三十絃(箏)楽器の魅力を探求した音楽プロデューサー藤本草氏、サウンド・プロデューサーとして当時、日本ビクター・ステレオ事業部でオーディオに拘って製品創りを進めていた太田一穂氏、更にこの二人の拘りをエンジニアとして担当したビクタースタジオ依田平三技師。『富嶽百景/鬼太鼓座』制作プロデューサーは藤本草氏、スタジオ録音ならではの繊細且つクリアーサウンドとホール録音による音場空間を使った制作。私が録音を担当しアナログ・マルチ・テープ録音~究極のアナログ録音に拘り1インチ・アナログ・テープレコーダーとハーフインチ・アナログ・テープレコーダーをカッテイング工場に持ち込んでダイレクトカットCD制作したマスター音源を使用。『ブルガリアン・ポリホニー・フィリップ・クーテフ/ブルガリア国立合唱団』ハイパーソニック技術による究極のハイレゾ音源制作を進めている芸能山城組・山城祥二氏プロデュース作品。『コンシェルト~魂祭/沖仁』アーティスト自身プロデュース沖仁氏であり、サウンドプロデュース・エンジニアとして鈴木浩二氏。『クレバノフ・ストリングス・ゴールデンディスク/クレバノフ・ストリング』ビクター洋楽部・所忠男氏プロデュース、エンジニアは私が担当、当時ビクター第一スタジオはアビーロード第一スタジオ位広く、天井の高さも高いスタジオでの同時録音であり、ストリングス・サウンドを追求してJ-POPへのストリング・サウンドに繋がって行く作品です。
ダイレクトカット・レコード制作音源、ダイレクトカットによるCD制作音源、ハイパーソニック技術によるハイレゾ音源制作、ハイレゾ・フォーマット録音初期に制作した究極のアコースティック・サウンド、アビーロード第一スタジオをイメージした当時ビクター第一スタジオでのストリング・サウンドなど、各プロデューサーによる究極の拘りによる音楽を体感して頂きたい。




三十絃』/宮下伸

1976年~1978年、ビクタースタジオ録音「アナログレコード・ダイレクト・カッティング」。エンジニア/依田平三。

セッション時に同時に録音していたアナログ・マスター音源からのハイレゾ化。この時代に驚異の2chダイレクト録音である。基本マイキングとして、三十絃の箏が持つ特別な音色、響きを忠実に録音する為にノイマンM-49ペアマイク。和太鼓(大太鼓)と勘違いするほどの迫力ある低域表現にノイマンM-269。お筝本体の音色が濁らない為にエコーセンド専用マイクM-49を用いて、当時ビクタースタジオ2階に設置してあったエコールームに送る。エコールーム・マイクとしてクリアーで自然な音色の為に、AKG-414EBを使用。スタジオ音響空間表現として、楽曲ごとにノイマンM-269とショップスCMC-55U(無指向性)を使い分けるなど、エンジニアとしての匠の世界がマイキングからも感じられる。ハイレゾ化により、三十絃/宮下伸の音楽、音の世界が新たなオーディオの歴史を創り出す事を確信している。HDマスタリングの音創りとしては、オリジナル・アナログ・マスター音源が持つ音の魅力を忠実にハイレゾ化する為に、テープレコーダー・アナログ出力からダイレクトにA/D変換するサウンドアプローチとした。

Recorded at VICTOR STUDIO
Produced by Shigeru Kurokoji, Soh Fujimoto
Engineered by Heizo Yoda
HD Mastering by Takeshi Hakamata  「FLAIR」


富嶽百景鬼太鼓座

1997年4月、ビクタースタジオ及び山梨県身延町総合文化会館にての録音。
エンジニア:高田英男。1インチ2チャンネル・アナログテープとハーフインチ・アナログテープ音源からのハイレゾ化。

鬼太鼓座(和太鼓)の録音としてはホール録音が中心であるが、富嶽百景の録音について大きな二つの録音テーマを設けた。
テーマ1. スタジオ録音により究極の繊細感ある鬼太鼓座サウンドを目指す。
テーマ2. アナログ録音に拘り、アナログならではの音の魅力を追及する。
①世界に数台しかない1インチ2チャンネル・アナログ・テープレコーダー(モンスターマシーン)を使いミックスする。
②マスタリング工程を行わず直接カッテイング工場にてA/D変換し、ダイレクト・カッティングしたCDを創る。
和太鼓が創り出す歯切れの良いビート感、締め太鼓~尺八の微小音における心地良い緊張感など、究極の「強と弱」から創り出される鬼太鼓座サウンドである。HDマスタリングの音創りとして、1インチ2チャンネル・アナログ・マスターが持つ音の魅力を忠実にハイレゾ化する為、テープレコーダー再生イコライザーにて低音域を少し強調し、ダイレクトにA/D変換したサウンドアプローチとした。

Recorded at VICTOR STUDIO,Minobu General Arts Hall
Produced by Tagayasu Den, Shigeru Kurokoji, Isamu Senda
Recording Director : Soh Fujimoto
Engineered by Hideo Takada
HD Mastering by Takashi Hakamata   「FLAIR」





クレバノフ・ストリングス・ゴールデン・ディスク
クレバノフ・ストリングス

1974年、ビクタースタジオ録音 エンジニア:高田英男 1/4インチ・アナログ・マスター音源からハイレゾ化。

当時ビクタースタジオには東洋一のスタジオとしてアビーロード第一スタジオをイメージする大きなスタジオがあった。天井が高く録音ブースも無いスタジオには日本ビクター音響研究所が設計製作した大型の反射板があり、ストリング録音などで大活躍していた。大編成のオーケストラ録音であり、各楽器を衝立で囲んだものの、それぞれの楽器が干渉(かぶって)大変な録音現場であった。鉄板エコーマシーンEMT-140の残響時間を最大4秒位にして、アナログ・テープレコーダーをリバーブの送りにインサートしてプロディレーを創り録音する。当時は録音に対し何の怖さを感じない若い時代であり、一途な思いで華麗なストリングス・サウンドを目指した。

Recorded at VICTOR STUDIO
Produced by Tadao Tokoro
Engineered by Hideo Takada
HD Mastering by Takashi Hakamata   「FLAIR」


ブルガリアン・ポリフォニーI(ハイパーハイレゾ・ニューエディション)THE PHILIP KOUTEV NATIONAL FOLK ENSEMBLE

1988年12月 東京五反田簡易保険ホール 録音エンジニア:山城祥二、服部文雄 
2chダイレクト録音。ステューダーA-820ハーフインチ・アナログテープ音源

マイキングとして無指向性マイクB&K4006を2本、三点吊りにセットしたワンポイント録音。ハイレゾ化はハーフインチ76cm/secアナログ・マスター音源を特別設計したルパート・ニーブによるNeve9098iに立上げ、楽曲毎に詳細な音創り~リバーブ処理など、山城祥二氏プロデュースにより、エンジニア高田英男、仁科エミにて音創りを進めDSD11.2MHz/1bitマスター音源を作成する。フィリップ・クーテフ・ブルガリア国立合唱団の神秘的で美しい響きが、三点吊りワンポイントマイクにより見事にそれぞれの歌表情がリアルにサウンド化されている。ダイナミックレンジの広いサウンドはピアニシモの美しい世界を表現し、ブルガリアンヴォイスの世界に引き込まれ、まさに音楽と録音技術が一体化された見事な作品。

録音会場: 東京五反田簡易保険ホール
プロデューサー:山城祥二
エンジニア:山城祥二、服部文雄
ハイレゾ音創り:高田英男 仁科エミ
ハイパーソニック化:山城祥二、仁科エミ 





Concierto [コンシエルト] ~魂祭~
沖仁

2011年6月、軽井沢の大賀ホールにてソロ録音、2011年8月、ソニー乃木坂スタジオにてバンド録音。
エンジニア:鈴木浩二。オリジナルDSDマスター音源及び、オリジナル96kHz/24bitのマスター音源からのハイレゾ化。

軽井沢の大賀ホールにおけるアコーステック・ギター録音のマイキングは、オンマイクとしてノイマンU-67、AKG the Tube、B&K4011、の3本、オフマイクにB&K4003×2、ホールアンビエントマイクにB&K4030×4の9本を使用する。ソニー乃木坂スタジオにおけるスタジオ録音についても、基本は同時録音で進める。大賀ホールで録音されたソロ演奏は、ホール独特の音響空間に気持ち良く溶け込み、楽器の余韻が消える瞬間まで音として感じられる繊細な録音である。スタジオ録音は同時録音の熱い演奏によるグルーヴ感が、クリアーで立上りの良いサウンドになっている。

Recorded at Karuizawa OogaHALL & Sony Music Studio
Produced by OKI ZIN
Engineered by Kouzi Suzuki
HD Edting by Takeshi Hakamata 「FLAIR」


Concierto [コンシエルト] ~魂祭~【DSD】
沖仁

2011年6月、軽井沢の大賀ホールにてソロ録音、2011年8月、ソニー乃木坂スタジオにてバンド録音。
エンジニア:鈴木浩二。オリジナルDSDマスター音源及び、オリジナル96kHz/24bitのマスター音源からのハイレゾ化。

軽井沢の大賀ホールにおけるアコーステック・ギター録音のマイキングは、オンマイクとしてノイマンU-67、AKG the Tube、B&K4011、の3本、オフマイクにB&K4003×2、ホールアンビエントマイクにB&K4030×4の9本を使用する。ソニー乃木坂スタジオにおけるスタジオ録音についても、基本は同時録音で進める。大賀ホールで録音されたソロ演奏は、ホール独特の音響空間に気持ち良く溶け込み、楽器の余韻が消える瞬間まで音として感じられる繊細な録音である。スタジオ録音は同時録音の熱い演奏によるグルーヴ感が、クリアーで立上りの良いサウンドになっている。

Recorded at Karuizawa OogaHALL & Sony Music Studio
Produced by OKI ZIN
Engineered by Kouzi Suzuki
HD Edting by Takeshi Hakamata 「FLAIR」

※本テキストは『Concierto [コンシエルト] ~魂祭~』PCMバージョンと同内容となります。





クラシック ~クラシック録音/マイキングへの拘り~


当時、ビクター洋楽部・クラシック部門の各プロデューサーによって制作された作品をセレクトする。ベルリオーズ:幻想交響曲 他、マーラー交響曲第2番嬰ハ短調 復活は「プラハ・ドボルザークホール/チェコ・ナショナル交響楽団によるオーケストラ録音」。メインマイク+スポットマイクによる大変クリアー且つ繊細なサウンドによるオーケストラ録音。
※プラハ・ドボルザークホール音響空間コメント(元ビクタースタジオ/クラシック録音の重鎮、服部文雄氏)「空席時3秒もある残響と明瞭度が両立する素晴らしいホールです。その上、低音過多にならないので圧迫感がないバランスの取れたホールです」。
「群馬県 笠懸野文化ホール/ニコライ・ホジャイノフ ピアノソロ録音」はワンポイント的シンプルなマイキングにより美しい響きでの静寂感・立ち上がりの良い力強い低域が心地よい録音。「スペインガンディア特設野外ステージによる室内交響楽団+ギター&スペイン・マドリード・スタジオによるギターソロ録音/村治香織」は極力マイクの数を少なくし、ピュアなダイレクト・サウンドを目指した録音。「ビクタースタジオ 長谷川陽子(チェロ)×福田進一(ギター)」録音はレコーディング・スタジオのメイン・エリアを使い、あまり響かないスタジオ音響空間であるが、素直な音色感が美しい録音。クラシック録音ではホール録音を中心に、マイキングへのノウハウが直接サウンドに大きな影響を持つ音楽制作です。メインマイク+スポットマイクでの収録から、ワンポイン的なマイクに拘る録音でまで、マイキングの違いによる拘りによるクラシック音楽を楽しんで頂きたい。尚、『WAVE~ジョビンへのオマージュ/長谷川陽子×福田進一』、『レスプランドール/村治香織』は当時デジタル録音機器PCM-9000光磁気ディスクを使い、(44.1kHz/20bit)録音マスターからK2HDプロセシングを使ったハイレゾ音源。当時のデジタル機材を使って高音質録音に拘った作品です。




ベルリオーズ:幻想交響曲 他
チェコ・ナショナル交響楽団ポール・フリーマン

2003年10~12月、プラハ・ドヴォルザークホールにて録音、
エンジニア/ヤン・コッツマン 96kHz/24bitデジタルマスターをそのままハイレゾ化。

この作品はチェコ・ナショナル交響楽団の中でも録音の良さが際立っており、ハイレゾ配信の編成にした次第である。メインマイク+補助マイクと、かなりの数のマイクにて録音しているがマルチマイク特有のクリアーであるが音場感が狭い~メインマイクとの時間軸のズレによる音の濁りなど一切なく、繊細且つ透明感のあるバイオリン、木管楽器、ビオラ、チェロの力強い響き、テンパニー、金管楽器のスケール感ある迫力など、ドボルザーク・ホールを知り尽くしたエンジニア:ヤン・コッツマンならではの技術力、感性が創り出す音創りである。
プロデューサー 藤井身理氏コメント
「ベルリオーズがこの作品で起用した個性的な楽器、例えばハープの細かい動きやその存在意義を十分に考慮してサウンド・バランスを創る様にバランス・エンジニアに指示したことを覚えている。そして指揮者のフリーマン氏には、迫力だけではなく美しい音を失わない範囲で音楽を引用してくれるように話しました」

Recorded at Dvorak Hall,
Produced by Jan Hasenohrl & Chikari Fujii
Balance Engineer by Jan Kotzmann
HD Mastering by Kazushige Yamazaki 「FLAIR」


マーラー:交響曲 第2番 ハ短調「復活」
チェコ・ナショナル交響楽団リボル・ペシェック

2010年1月、プラハ・ドヴォルザークホールにて録音
エンジニア/ヤン・コッツマン 96kHz/24bitデジタルマスターをそのままハイレゾ化。

この作品への最大録音テーマは各楽章における音楽ドラマを如何に音として表現するかであると思う。特に第5楽章における静かな合唱の響き、オーケストラと美しい唄の響き、エンデイングに向けた合唱とオーケストラの融合、ラスト混沌とした大合唱とオーケストラが創り出す壮大なサウンド、まさに録音芸術の世界を求められる作品であり、エンジニア:ヤン・コッツマンとペシェック指揮、チェコ・ナショナル交響楽団が一体となって創り上げた「復活」である。
プロデューサー 藤井身理氏コメント
「マーラーはチェコ人だ!」
これまでチェコ・ナショナル響の楽員からしばしば聞いた言葉です。一般的にマーラーはオーストリア人として認識されていますが、マーラーが生まれたオーストリア帝国ボヘミア・イーグラウ(イフラヴァ)近郊のカリシュト村(カリシュチェ村)は現在、チェコ領だからです。彼らがマーラーの交響曲の録音に拘った精神がチェコ人指揮者、ペシェックの棒で表現されることを何よりも期待しました。そして、マーラーは若い頃プラハで学んだこともあり、録音中にモニタールームのドアを開けてマーラーが入って来るのではと感じたのは私だけだったでしょうか。

Recorded at Dvorak Hall,
Produced by Jan Hasenohrl & Chikari Fujii
Balance Engineer by Jan Kotzmann
HD Mastering by Kazushige Yamazaki 「FLAIR」





マイ・フェイヴァリッツ
ニコライ・ホジャイノフ

2012年4月、笠懸野文化ホール 群馬 エンジニア:服部 文雄 
176.4kHz/24bitオリジナルマスター音源をそのままをハイレゾ化。

マイ・フェイヴァリッツを聴いた音のイメージとして、美しい深い音色でありダイナミックな演奏にも音色感が崩れていない録音である。エンジニア服部氏から学んだ事であるが、ピアニシモにおける緊張感が音として表現出来れば、録音の本質はとらえている・・・。特に音源とマイクの距離を離しても、音のフォーカスがしっかり表現出来ている録音は音響空間を広げて豊かな音楽表現が出来る。ピアニシモの美しいピアノの音色感、フォルテシモによる力強い低音、立上りの良い鋭いピアノ音色などニコライ・ホジャイノフ氏の演奏と録音のせめぎ合いを、音として感じる録音である。

Recorded at kasakakeno Culture Hall
Produced by Chikari Fujii
Engineered by Fumio Hattori
HD Mastering by Kazushige Yamazaki 「FLAIR」


WAVE~ジョビンへのオマージュ
長谷川陽子福田進一

2002年10月、2003年3月 ビクタースタジオ録音 エンジニア:奥原秀明
PCM-9000光磁気レコーダー44.1kHz/20bitマスター音源からK2HDプロセッシングによるハイレゾ化。

録音スタジオ(ビクター302ST)メインエリアは天井の高さは8.3m、残響時間は0.7secであり、床フロアーから3m位はあまり響かない空間であるが、天井に近くなるほど響きの豊かな音響空間を持つスタジオである。
エンジニア、奥原秀明氏からのコメント
「スタジオブースでのアーティストそれぞれの隔離を避け、同一フロアー(メインエリア)にセッテイングする。チェロとギターそれぞれの演奏ダイナミック表現を最大限に生かす為に、各楽器のかぶりを生かした録音により音場空間を広く創る工夫をした。又、チェロ、ギター共に繊細なニュアンスを求められるアーティストであり、ワイドレンジ且つ、艶のある音色感を目指した。」
サウンドは各楽器の位相ずれによる音の濁りが全く無い、究極のアコースティック・サウンドである。Tr. 1「波」は第10回日本プロ音楽録音賞 最優秀賞受賞楽曲。
HDマスタリングの音創りとして、オリジナルマスター44.1kHz/20bitが持つ音の鮮度を限りなく生かし、EQやコンプを一切使用せずデジタルK2により綺麗なデジタル信号をK2HDプロセッシングし、より帯域の広い自然な感じの音創りを目指した。

Recorded at VICTOR STUDIO
Produced by Takeshi Watanabe
Engineered by Hideaki Okuhara
HD Mastering by Kazushige Yamazaki  「FLAIR」





レスプランドール』/村治佳織

2001年7月スペイン ガンディア&ハベアでのライブ録音Tr.1~5 
2002年2月マドリード プレクトラム・スタジオ録音 Tr.6~13 エンジニア:高島靖久
PCM-9000光磁気ディスクデジタル音源からK2HDプロセッシングによるハイレゾ化。

Tr.1~5はロドリーゴ室内管弦楽団との共演、Tr.6~13はソロギターでの作品である。管弦楽団とアコーステック・ギターの収録においては、ステージ上の音量バランスを考慮し、如何自然にギターを際立たせるか難しい課題であるが、ダイナミックでリアリティあるオーケストラサウンドと繊細な村冶さんギターがバランス良く音創りされている。Tr.6~のギターソロは演奏の強弱による音色感、余韻の美しさなど心地よい響きが、程よい緊張感となって伝わってくる。アコースティック録音に精通された高島さんの感性、技術力によりピュアサウンドとして伝わってくる。HDマスタリングの音創りとして、PCM-9000からデジタルK2によりジッター成分を排除し綺麗なデジタル信号をK2HDプロセッシングし、音場空間の広い豊かな艶のある音創りを目指した。

Recorded at Gandia & Xabia SPAIN、 ESUDIO PLECTRUM 
Produced by Tomoo Nojima
Engineered by Yasuhisa Takashima
HD Mastering by Kazushige Yamazaki 「FLAIR」

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セレクター:高田英男 プロフィール



高田英男(たかだ・ひでお)
サウンド・プロデューサー&レコーディング・エンジニア
 
1951年 福島県生まれ
1969年 日本ビクター入社(現JVCケンウッド)ビクター築地スタジオに配属
ビクタースタジオにてアイドル、ポップス、ジャズなどアコースティック録音を中心に多くのヒット作品を手掛ける。
2001年 ビクタースタジオ長
2016年 MIXER’S LAB エンジニアマネージメント契約&顧問就任

日本プロ音楽録音賞2CHハイレゾ部門最優秀賞など多数受賞。
現在アコースティック録音~イマーシブサウンドなど音楽制作を進めている。
Works List:https://www.mixerslab.com/engineer/takada/

■アイドル
麻丘めぐみ、桜田淳子、石野真子、小泉今日子

■ロック~フュージョン
ギターワークショップ、サディステックス、高中義正、後藤次利、スペクトラム、アラゴン
サリナジョーンズ、国府弘子、中川昌三、ネーティブサン、MALTA、ポンタボックス、
村上ポンタ秀一、阿川泰子、苫米地義久(TOMA)、石塚まみ

■純邦楽&他
鬼太鼓座、芸能山城組, 藤本昭子「雪墨」

■主なハイレゾ作品
VICTOR STUDIO HD-Soundシリーズ、芸能山城組 ハイパーソニックハイレゾシリーズ
TOMA Ballads 3,4,  Stereo Sound Hi-Res Reference Check Disc 
日本オーディオ協会監修リファレンス音源、井筒香奈江Laidback2018~Another Answer
井筒香奈江 Direct Cutting at KING SEKIGUCHIDAI STUDIO
 
一般社団法人 日本音楽スタジオ協会会長


 


 

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