ピアニスト望月衛介のデビュー30周年を記念する新作は、満月の日の作曲&レコーディングの18年間の軌跡

2021/09/21

ピアニスト、プロデューサーの望月衛介のデビュー30周年を記念する新作『満月 ~あき~』がハイレゾで登場。これまで、フュージョン系ピアニスト/作曲家としての活動をはじめ、BBクイーンズのメンバーとして、また、e-onkyo musicでも人気の高いヴァイオリニスト、石川綾子のプロデューサーとしてお馴染みの望月衛介が、過去18年間に渡り作曲してきた200曲にものぼる「満月の秋」をテーマにした楽曲の中から、選りすぐりの11曲を収録したアルバム『満月 ~あき~』をハイレゾ・リリース。e-onkyo musicでは今作の主役、望月衛介氏に、新作について、そして今作が生まれるに至ったお話などを伺ってみた。


満月の日に作曲し、レコーディングしたピアノアルバム満月~あき~』/望月衛介



ライフワークとして、2004年から約18年間、満月の夜に欠かさず作曲し続け、満月の日にレコーディングするヒーリングピアノシリーズ第二弾「満月~あき~」が9月21日にデジタル配信スタート。

前作「満月~ふゆ~」(2005年作品)から実に16年の歳月を経て、満月作曲の200曲以上のナンバーから秋にふさわしい曲を選りすぐり「満月の日」に発売。

ゲストに実力派チェリスト、加藤文枝を迎え、メロディアスな心象風景が溢れるロマンチックヒーリングピアノの1枚となっています。レコーディングエンジニアには、日本プロ音楽録音賞ハイレゾ部門優秀賞を受賞したニラジ・カジャンチ氏を起用。スタンウェイ、ファツオリの2台のピアノを192kHz/24bitのハイレゾ・レコーディングにより満月のパワーを余すことなく封じ込めました。

望月衛介は90年代ヒーリングミュージックの先駆けとして注目され、これまでソロアルバムを10枚リリース。BBクイーンズとして紅白出場、ZARD、郷ひろみなどへ曲/詞の提供、映画ドラマなどサウンドトラックの参加、バイオリニスト石川綾子のプロデューサーなど多方面で活躍する一方、自身デビュー30周年を迎え、精力的に活動中。

<収録曲> 
1 LOVIN’ YOU
2 CALM IN THE MORNING
3 SHINE
4 AMORE
5 THINKING OF YOU
6 WINDS INSIDE YOU
7 RAIN FLOWS IN YOUR BODY 8 FAR MEMORY
9 TAKE A REST
10 CALLIN’ YOU
11 PROUD TO LOVE YOU 
※M4,M6 加藤文枝参加曲 



■望月衛介インタビュー




-- 今回のアルバム『満月~あき~』はデビュー30周年を記念されたアルバムとのことですが、前作から続くシリーズアルバムでもあるのですね?

望月衛介(以下 望月)はい、前作『満月~ふゆ~』からなんと16年ぶりに出すシリーズアルバムとなります。
もともとは去年9月にデビュー30周年を迎えて、周年で何かオリジナル作品をリリースしたいという気持ちがありました。
実は、オリジナルアルバムとしては2012年の「PIANO ROMANCE」以来18年ぶり。2015年に25周年ということで2枚組のベスト盤を出しましたが、オリジナルアルバムというわけではなかったので、日々作曲活動を続けている身としては、吐き出したいというか、オリジナルでリリースしたいという気持ちはずっとありましたね。今回30周年という節目だったらいいだろうと。(笑)
前作からかなり時間が空きましたが、何も音楽活動をしていなかったわけではなく、舞台音楽、映画ドラマのサントラ、CM音楽、アーティストプロデュースなど色々とやりながら、2016年にはYouTubeに1年間毎週水曜日に曲をUPする(53曲!!)という企画をやったり(これは現在30周年プロジェクトの一環として毎月配信アルバムにしてリリースしている)、おつとめとして満月の日に必ず作曲してSNSに動画でアップするとか、作品を創るという事にはずっと取り組んできました。
そういう活動の中で、今回のオリジナルアルバムはどのような作品が良いのかと考えたときに、2005年に『満月~ふゆ~』を出した時に必ず4部作にしようと決めていた事を思い出し、その第二弾を作る事にしました。
実はここ10年ほど、ヴァイオリニストの石川綾子さんのプロデュース業がともて忙しくて、自分の音楽制作にはあまり時間を割けなかったのですが、昨年50歳を迎え、もう一度この50代は自分のクリエイティブに向きあいたいと考えていたタイミングでもあるので、今回のアルバム制作をきっかけにもっとテンポ上げて次作もリリースしていきたいなと思っています。

-- そんな30周年という節目で、ちょうどコロナ禍という中で音楽活動には何か変化はありましたか?

望月:プロデュース業も忙しい状況で、あまり自分の活動ができていなかったこの10年間なのですが、それでも年に何度かライブ活動は行っていました。それができなくなったり、本当はこのアルバムは去年リリースしようとしていたんですが、それができなかったという部分では少なからず影響はありましたね。
制作活動という面でいうと、僕自身の作曲のスタンスというのが、日々生活の中でもいつも作曲しているというか、思いついたらそれをメモにとったり、満月の日に作曲したりというルーティンもあるので、そういった部分では影響はなかったです。
ただ、満月の作曲って、その時の心情などが凄く色濃くメロディの中に出るんです。コロナの中で失われた色々なものの哀しみとか、辛さとか、切なさみたいなものは出来上がった曲に影響しているなというのは、今回アルバム制作のために聴き直した際、感じました。


-- ライフワークとして、2004年から約18年間、満月の夜に欠かさず作曲し続けていらっしゃるとのことでしたが、満月の日の作曲を始められたのにはどのようなきっかけがあったのでしょうか。

望月:どこからともなく声が聴こえました。2004年、自宅近くの桜並木で「衛介、満月の日に作曲しなさい」という声が突然聴こえたんです(笑)。それから本当に一度もかかさず、旅行に行っている時も、海外にいる時も、飲み会がある日も、必ずその日中には作曲をしています。もう20年前くらいになりますが、30歳を機にサーフィンを始めたんです。それは自然が大好きとかではなくて、ちょっと不良に憧れていて(笑)、自分の中ではサーフィンってちょっと不良なイメージがあって・・(笑) 。それでハワイに行ったときに見よう見まねで始めてみたんですが、それが想像していたより何十倍も難しかった。何とか頑張ってマスターしてやろうと思ってそこから続けて、今では一番癒される時間になっています。サーフィンは、当たり前ですが自然の波との調和のスポーツなので、天候とか波の調子とか、波の上に漂っているときに色々なことを忘れて波のことだけを考える時間が生まれたりします。当時の言葉でいうと「LOHAS」と表現されたりしますが、そこから自然とかサスティナビリティとかに惹かれてようになって、当時は仕事でもLOHASのイベントなども手がけるようになりました。
それが声が聴こえる遠因だったかもしれません(笑)。

-- とても印象的なジャケットはご自身で描いていらっしゃるとのことですが、こだわった部分を教えてください。

望月:「満月」という“自然”をアルバムにするとき、その時から季節を絡めて4部作シリーズの想定ではあったので、シリーズにできるジャケットってなんだろうと考えました。
普通だったら写真とかになると思うんですけど、僕のイメージする、かつ満月を絡めた4部作ってなかなかないんですよね。
だったら自分で描けばいいかって(笑)。
実は昔から、選択授業でも美術をとるくらい絵を描くことが好きで、特に印象派の画家に影響を受けていました。“色は光と陰でできている”そんなことを思い出して、印象派のタッチで満月を描けないかなと思ったのが始まりです。
得意なのは油絵でしたが、そのときは水彩のアクリル絵の具で油絵っぽく描いてみようと思って描きました。
それから16年、なんと今回のアルバムを作るまで一回も絵を描いていませんでした(笑)。
久々に渋谷のウエマツという画材屋さんで絵の具などを買い集めて、忙しい中でも毎朝6時に起きて、ちょっとずつ1ヶ月かけて描きました。
久しぶりに筆を持ったら、やっぱり楽しかったです! 

-- 今回のアルバムはピアノ1本とゲストにチェロというとてもシンプルな編成となっていますが、これにはどのようなこだわりが?

望月:2012年に「PIANO ROMANCE」というアルバムを出した時、それまでのアルバムと違った事はピアノソロアルバムにしたという事です。
フュージョン・ピアニストとして19歳でデビューして、本当にたくさんの超一流のミュージシャンの方々と共演させてもらって、本当にありがたい環境でした。
そんな中でも、自分自身ではプレイヤーよりメロディーメーカーだという自負があって、その歌ごころをシンプルに伝えられるのはピアノ1本だとようやく気づいたんですね。
その時に出会ったのが、今もプロデュースさせていただいているヴァイオリニストの石川綾子さんで、「PIANO ROMANCE」での共演はとても刺激的でした。
僕自身のピアノのプレイに対する概念も全てそこで変わって、「望月衛介」とはメロディアスでロマンチックな作品を恥ずかしげもなく追い続けるアーティストにしよう、と決めました。
その時のアルバムが今の音楽の指針になっているので、今回の『満月~あき~』もシンプルな編成とロマンチックという部分にとことん拘りました。

-- ゲストにはチェリストの加藤文枝さんが参加されています。レコーディングはいかがでしたか?

望月:僕自身、元々、弦とピアノの関係がすごく好きなんです。
「PIANO ROMANCE」ではヴァイオリニストの石川綾子さんと共演したので、今度はもっと低い音がでるチェロでやったらどんな音楽になるのかなと思っていたところで、たまたま以前映画のサントラで参加いただいたチェリストの加藤文枝さんの低音がとても素敵だったなと思い出し、「ぜひ一緒にロマンチックな音楽をつくりたい」とお声掛けしました。
まず、今回レコーディングをするにあたり、しっかりとリハーサルをさせて欲しいと彼女にお願いしました。
レコーディングはリハなしでというのは、(一流の)ミュージシャンは当たり前なのですが、それでは僕は嫌だ、と(笑)。
しっかり感情だったり、作曲した気持ちだったり、そういう呼吸を合わせることが大事と思って別日でリハーサルの時間を作っていただきました。
そこで、感情や意思疎通なども完成させたので、レコーディング自体は非常にスムーズに出来たと思います。
今回のレコーディングはクリックがなくフリーテンポで弾くというやり方をやったので、クラシック出身の加藤さんは慣れている分、うまくケミストリーも生まれたのではと思っています。

チェリスト:加藤文枝


-- 今回のレコーディングは、さまざまな賞も受賞されているエンジニアの二ラジ・カジャンチ氏が担当されていますね。

望月:とにかく良い音で録りたいな、と思いました。
ピアノ&チェロ1本というシンプルな構成だからこそ、それを最大限まで良い音でレコーディングして届けたいなと思ったときに、ハイレゾの耳や技術も持っていて受賞歴もあり、長い付き合いでもあるニラジさんが今回最適なエンジニアさんだと思ってお願いしました。
彼のプライベート・スタジオにはよく知られているスタインウェイとイタリアのファツィオリという2台のピアノがあります。両方ともレコーディングで使えるというのはなかなか珍しく、ある種のアレンジ(編曲)のひとつとして使い分けができたので、とても良いレコーディングができたなと思いました。

-- ハイレゾ音源でどのような部分に注目して聴いてもらいたいですか?

望月:通常のレコーティングは48kHzのサンプリングレートでの録音が通例ですが、今回非常にシンプルな楽器編成かつ、普段僕が感じている“満月”のパワーを完全に封じ込めたいなと思いました。
そこで192kHzという超ハイレゾで、その場の空気や“気”を全部レコーディングしてもらいました。ハイレゾで聴いていただく方は、そこまで感じてもらえると思っています。
ピアノはもちろんのこと、特に弦の音に対してのハイレゾ感はものすごいです。
エンジニアのニラジさんがチェロの音を極限まで再現してレコーディングしてくれたので、微細なプレイのニュアンスも是非楽しんでいただきたいです。

-- 最後にファンの皆様にメッセージをお願いいたします。

望月:本当に久々のオリジナルアルバムなので、リリースできる事をすごく嬉しく思っています。
とにかく“満月”のパワーが封じ込められているくらい、最高音質でレコーディングしましたので、音楽はもちろんのこと音響も楽しんでください。
また、この作品が新たなファンに方にも届いたら嬉しいと思います。ぜひコンサートでお会いしましょう!



■望月衛介によるアルバム各楽曲の解説


今回のアルバムは満月の秋をテーマにするということで、18年間に作曲した約200曲の中からテーマに相応しい曲をセレクトしました。さらに、僕なりにこのアルバムを通して物語を作ろうと思いました。ある人との「出逢いと別れ」というテーマでストーリーになっています。

1. LOVIN' YOU
この曲はある人に出逢う前で、前の恋人をまだ忘れられないという段階です。まだあなたのことを愛している、忘れられないという物語の前振りのような曲です。

2. CALM IN THE MORNING
ただ、それは当然終わってしまった愛だったので、忘れなくてはいけない。ようやく前向きに忘れられて、浄化した気持ちで迎えた穏やかな朝の曲です。この曲は 2016年に満月の日に作曲してYouTubeにUPした中の1曲でもあり、今回改めて収録し直しました。

3. SHINE
ここで新たな人に出逢ってしまいます。夏の終わりに、その寂しさも感じながらもきらめきやワクワクも生まれて恋が生まれました。

4. AMORE
「AMORE」というのはイタリア語で愛する人という意味です。どっぷり愛してしまいました(笑)。ここからチェロ加藤さんに参加してもらいピアノとチェロがメロディーを奏で合い、2人の心の絡みを表現しました。

5. THINKING OF YOU
ひとり、ついついあなたのことを想ってしまう。そんな愛に満たされた幸せな気持ちを描きました。月を眺めながら、「あなたもこの月を見ているかな・・」

6. WINDS INSIDE YOU
ところが、変化が起きます。相手の中の、自分に対する気持ちにどこかしら風が起きている。ちょっと嫌な予感。そんなざわめきの曲です。

7. RAIN FLOWS IN YOUR BODY 
別れは突然やってきます。あまりのショックに降りしきる雨の中を、傘もささずに、彷徨う僕。雨が、頬から体を伝って、心の中をも濡らしていきます。

8. FAR MEMORY
あんなに楽しかった日々も、もう戻ってこない。遠い記憶にしていかなくてはいけない、という未練と葛藤の中にいます。

9. TAKE A REST
秋も深まり、秋晴れの中を歩く。前に進まなくちゃ。恋も一休み。

10. CALLIN' YOU
・・でもやっぱり出来ない。心の中であなたを呼んでしまう。月を眺めながら、今あなたは何をしているのかな、僕のことを思い出すことはあるのかな。

11 PROUD TO LOVE YOU
時間が心を癒してくれる。あなたを愛した事は僕にとって誇り。出逢ってくれてありがとう。そうしてひとつの物語は終わります。


■コンサート情報


ピアニスト望月衛介の30周年と本人のバースデー、16年ぶりに発表する「満月」シリーズの新アルバム発売記念を兼ねたスペシャルコンサートを開催いたします。

望月衛介 デビュー30周年記念コンサート「満月~秋~」
日程:2021年10月30日(土)
開場:18:30 開演:19:30
会場:神楽坂GLEE (東京都)  東京都新宿区神楽坂3丁目4
チケット予約:https://t.livepocket.jp/e/eisukemochizuki
問い合わせ:株式会社タートルミュージック 03-6427-6466



■望月衛介 プロフィール



望月衛介(もちづき えいすけ)

1970年10月27日生まれ。東京都出身。
慶応大学経済学部卒。
4才よりピアノを始め、さまざまなジャンルの音楽に影響を受ける。
高校時代から本格的にバンド活動を始めると同時に、フュージョン系アーティストとして作曲活動を続け、大学2年(1990年)の秋、1stアルバム「Waitin‘ For You」(BMGビクター)でピアニスト、コンポーザーとしてプロデビュー。同時期にBBクイーンズのメンバーとしても活動、同年レコード大賞受賞、紅白歌合戦出場。アルバム4枚、シングル5枚をリリース。
ソロとしては10作目のアルバムとなる「PIANO ROMANCE」を2012年2月にリリース。
2015年3月デビュー25周年を迎え、初のベスト盤「BEST OF MELODEIS」2枚同時発売。
2016年中国映画「父母~Parents~」音楽を担当(ナポリ映画祭作品/監督賞受賞ほか)
2016、17年中山優馬主演舞台「それいゆ」音楽を担当

またZARD、郷ひろみ、城南海、阪井あゆみ、椎名へきるなどへ曲、詞の提供、NHK南極プロジェクト、映画「私のなかの8ミリ」、JYJ「3hree Voices 2」、ドラマ「黄昏流星群」「ポプラの秋」など様々なサウンドトラック、日本、中国の企業CMを多数手掛ける。
2012年よりバイオリニスト石川綾子のプロデュースを手掛け、トップバイオリニストに育てる。
2017年には世界初ダンス&エレキバイオリンユニット、平安式舞提琴隊をプロデュース。
YOUTUBEにて世界各国で話題となる。

2006年7月よりロハスをテーマにした音楽イベント「LOHAS GROOVE」を主催。
2009年 ACジャパン国境なき医師団支援キャンペーンCMソング「BEYOND THE BORDER 」を自らのユニットbleur(ブルー)として手がけ、同時に15組のアーティストが参加したBEYOND THE BORDER PROJECTをプロデュース。国境なき医師団へ支援寄付活動を行う。
2010年にはNPO法人「ドネーションミュージック」を設立。音楽を通じた社会貢献活動を継続的に行っている。

ライフワークとして、2004年より満月の日に欠かさず作曲活動を続けており、満月シリーズ第二弾として「満月~あき~」が2021年9月にリリースされる。

望月衛介 公式サイト / YOUTUBE / Instagram / Facebook / Twitter / 衛介ブログ




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