【20%オフ】小原由夫セレクト オーディオ的視点で選ぶ「CTIレーベル」必聴アルバム35選

2021/08/20

オーディオ&ヴィジュアル評論家として、幅広い世代のオーディオファイルから絶大な支持を得る小原由夫氏が「オーディオ的視点」からセレクトした、オーディオファイル必聴のハイレゾ音源をご紹介。小原氏セレクト第1弾「ビクターエンタテインメント」、第2弾「キングレコード」に続く第3弾となる今回は、1970年代に巻き起こったジャズの新潮流〈クロスオーヴァー/フュージョン〉ムーヴメントを牽引したアメリカの名門ジャズ・レーベル「CTI」の作品群よりセレクト。「多彩なヴォーカル」「ヴァン・ゲルダー録音」などオーディオ的観点からセレクトしたテーマや「クラシックのジャズ化のアプローチ」「名アレンジャーの存在」など、音楽的観点からセレクトしたテーマなど、全35タイトルをセレクト。小原氏の解説と共にご紹介いたします。初心者から上級者までオーディオ好きのためのセレクト企画です。


■CTIレーベルとは?



1967年、プロデューサーのクリード・テイラーがA&Mレーベルで“CTI”(Creed Taylor Issue)というプロジェクトを立ち上げ、その後1970年に自身のレーベル“CTI”(Creed Taylor Inc.)を設立する。
ジャズにR&B、ポップス、クラシック、ブラジル音楽など様々な音楽の要素を融合させたサウンドを展開し、それまでのジャズの“枠"を超越したアプローチで、今日“フュージョン”と呼ばれる音楽の基本スタイルを作り上げ、ジャズという音楽の可能性を大きく広げていった。
いつ聴いても新鮮で、創造力溢れるCTIの音楽は今なお輝きを放ち続ける。




■今回のCTIセレクトについて -- 小原由夫


 CTIレコードは、Verveレコード等で辣腕を奮った名プロデューサーのクリード・テイラーによって1967年に創設されたジャズ・レーベルだ。テイラーが打ち出した音楽路線は、ジャズの大衆化や、クラシックのジャズ化、ブラジル音楽やソウルミュージックの積極採用で、後のフュージョン(当時はクロスオーバーと称していた)の先駆けとも言われた。
 もうひとつの重要なポイントは、演奏内容のみならず、サウンド・クオリティとパッケージ・デザインへのこだわりだ。前者は、ブルーノート・レコード等でジャズ・サウンドの王道を築き上げたルディ・ヴァン・ゲルダーを起用し、大半の作品の録音を任せた。後者はアルバム・ジャケットのアートワークに写真家ピート・ターナーを当用。美しいデザインでファンを魅了したのである。経営面では紆余曲折があったようだが、歴史的作品も多く、ヴァラエティに富んだカタログ・ラインナップは今以て色褪せていない。
 今回はそんなCTIの配信ラインナップの中から、7つのテーマ(チェックポイント)に絞ってお薦めタイトルを厳選した。毎度のことながら、オーディオ的視点に沿った聴きどころを踏まえて解説しているので、購入、試聴の参考にして頂きたい。


小原由夫




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■小原由夫セレクト オーディオ的視点で選ぶCTIレーベル必聴アルバム35選



◇◆◇多彩なヴォーカル◇◆◇


 日常接している人の声は、オーディオのチェックソースとして最適なもののひとつ。人間の耳が最も敏感なのが、人の声が占める中音域なのである。温度感や湿り気、色艶、アクセントや語尾のニュアンスなど、声の質感に伴うものから、音像定位やそのフォルム、サイズなど、オーディオ・システム次第で印象は大きく変わる。
 CTIのヴォーカリストを眺めると、女性、 しかも黒人が大半を占めている。ソウルフルな傾向が強いかと思うと、歌唱スタイルがずいぶん違っていてなかなか楽しい。そんな中でベテランの男女デュエット/ジャッキー&ロイの存在が興味深いところだ。


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 CTIのハウス・ヴォーカリストといっていい存在が、パティ・オースティンだ。4タイトルが配信に上がっているが、今回は「ハバナ・キャンディ」と「ライブ・アット・ザ・ボトムライン」を選出した。
 前者は77年発表の彼女のセカンド・アルバムで、NYの錚々たるスタジオ・ミュージシャンが集結。洒落たアーバンかつメロウな雰囲気の演奏で、パティのダイナミックな歌唱がピンポイントに定位する。192kHzサンプリングならではの細やかな表情も実感できる。
 後者はマイケル・ブレッカーを筆頭とした腕っこきのメンバーがサポート。タイトな伴奏陣に先導されてノリノリのパティ。<ラヴ・ミー・バイ・ネーム>での熱唱は、コーラスやマイケルの熱いサックスソロも相まって、臨場感が伝わってくる。実況盤ならではのステージと客席のリアルな一体感を味わいたい。
 エスター・フィリップスもCTIの看板ヴォーカリストだ。6枚のリーダー作が配信されており、ここでは「パフォーマンス」を採り上げた。グルーヴィーかつアーシーな、少し粘気のあるような声で、ヘヴィな伴奏と合わさったドライブ感を楽しみたい。
 ニーナ・シモンのCTI吹き込みはこのたった1作で、当時パリ在住だった彼女を説き伏せたクリード・テイラーがブリュッセルで録音を慣行した。ランディ・ニューマンが手掛けたアルバムタイトル曲でのレゲエ調の演奏もいいが、ヴィブラート等のテクニックを駆使した「エブリシング・マスト・チェンジ」のドラマチックな歌唱も素晴らしい。
 まさしく70年代風とでも形容したくなるジャッキー&ロイは、イージーリスニング的な雰囲気。ストリングス・オーケストラの堅実なサポートも光るスケールの大きな演奏だ。










◇◆◇ヴァン・ゲルダー録音◇◆◇


 ジャズ録音の開祖といわれるルディ・ヴァン・ゲルダーは、ブルーノート・レコードを始め、プレスティッジやインパルスでも活躍した伝説の録音エンジニアだ。これらの異なるレーベルの音を任せられながら、サウンドのトーンやイメージを微妙に変え、各々のサウンド・カラーを確立することにも貢献もしている。生涯現役を貫いたヴァン・ゲルダーは、16年8月に91歳で逝去している。
 総じて言えるヴァン・ゲルダー・サウンドの特色は、サックス等のソロ楽器を分厚く、時にはデフォルメしているのではというほど大きく捉えて実在感をキープ。リズム・セクションもローエンドをがっちりと押さえた重心の低いものであった。初期の録音ではピアノがややくぐもっているとも言われたが、後年のそれは見事クローズアップされている。


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 ミルト・ジャクソンとヴァン・ゲルダーの知己は、ブルーノートやプレスティッジの作品であったことだろう。MJQ解散後に録音した「グッドバイ」は、ロン・カーター特有のベースのトーンが支配的。フルートと共にメロディを取るヴィブラフォンは、少し引っ込んだ位置に定位する。クールなイメージが強いヴィブラフォンだが、ここでの響きは温かみがあって有機的だ。
 ベテラン・ピアニストのローランド・ハナも優れたサウンドのリーダー作をCTIに残した。ゲルダーのピアノ録音のかつてのクセは見られず、しっかりと克明に響く。ドラムやパーカッション、ギターの音も明晰だ。ラテンのリズムが心地よく、ミュージシャン間の息がぴったり合ったビジュアルイメージが浮かぶ演奏だ。
 ジョー・ファレルもCTIに多くの秀作を吹き込んだアーティスト。「アウトバック」はエルビン・ジョーンズの参加が肝のアルバムで、曲毎にドラムのミキシングを少し変えている。ファレルのマルチ・リードは克明にセンター定位し、他の楽器はステレオイメージの中に整然と配列されている。
 ヒューバート・ロウズの「シカゴ・テーマ」は、ストリングスの処理やリズムセクションに階層が感じられる。ギターのカッティングの切れ味やフルートのタンギングの様子などがリアルに描写されていて聴きごたえあり。
 アイアートの「フリー」もゲルダーのマイキングの妙が楽しめるアルバム。さまざまなパーカッションを駆使した演奏が鋭く、時に滑らかに再現される様は圧巻。特にチック・コリア等が参加した「リターン・トゥ・フォーエバー」の神秘的なムードが聴きどころ。










◇◆◇クラシックのジャズ化のアプローチ◇◆◇


 クリード・テイラーが打ち出したCTIレコードのユニークなコンセプトのひとつが、クラシックのジャズ化だ。比較的よく知られたクラシックの楽曲をジャズ流にアレンジしてスタープレイヤーに演奏させることで、新しいファンを開拓しようというねらいで、結果的にそれは成功したといえよう。いくつもの大ヒット・アルバムが生まれ、ミュージシャンに対しても新たな研究対象をもたらすきっかけとなった。
 ここで重要な点は、クラシックという古典に新たに生命を吹き込む編曲の仕事もたいへん重要という点(アレンジャーについては次章にて詳しく触れたい)。すなわち、数十名での楽器演奏が主体のクラシックを、数名のジャズコンボでどう演奏するかだ。スケール感や臨場感、ソロ楽器の音像の克明さなども、オーディオ再生でのポイントとなるだろう。


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 ジム・ホールの「アランフェス協奏曲」は、クラシックを題材としたCTIのアルバムの中で最も売れた、そして最も有名なアルバムだ。タイトル曲はスペインの闘牛をモチーフとしたもので、テーマメロディを奏でるトランペットやサックスがピンポイントでセンター定位する。シンプルだが、ストレートな説得力で迫る哀愁たっぷりの演奏だ。
 ジム・ホールでもう1枚。「スタジオ・トリエステ」では<白鳥の湖>にチャレンジだ。サックスとトランペット、エレピによるテーマの交歓があり、スティーブ・ガッドを軸としたリズムセクションの反応も素晴らしい。各々の楽器の定位の安定感はさすがゲルダー録音と感心させられる。
 デオーダードこそCTIのクラシック路線の イノベーターといっていいだろう。出したアルバムはほぼすべてクラシックが題材。「2001年宇宙の旅」でお馴染みのあの旋律が、まるでスパイ映画のスリリングなテーマ曲のように聴こえる。原曲の持つ荘厳なイメージから、管楽器の重厚なアンサンブルを躍動的に鳴らしたい。ベース、エレピ、エレキギターと続くソロが実にダイナミックだ。
 ヒューバート・ローズの「春の祭典」は、前衛的な原曲の曲想を踏襲しつつ、マルチリードによってあの不協和音の世界観を巧みに構成している。これはアレンジの勝利で、立体的なステレオイメージの中に各楽器の配列がよくわかる。サウンドステージをしっかりと描写できるスピーカーで聴くと格別だ。
 ラロ・シフリンの<トッカータとフーガ>は、ダンサブルなアレンジで映画テーマ曲風。ブラス・セクションの活躍も目覚ましいが、ギターやベースのフレージングも実にユニーク。スペクタキュラーな音場感を楽しみたい。










◇◆◇名アレンジャーの存在◇◆◇


 CTIの看板アレンジャーといえば、誰を差し置いてもドン・セベスキーだろう。リーダー作は少ないが、あちらの盤にもこちらの盤にもという感じで編曲を請け負っている。他方、キーボード/ピアニストとしても複数のアルバムをリリースしているデヴィッド・マシューズは、現在は青森に居住している日本好きジャズ・ミュージシャン。マンハッタン・ジャズ・クインテットでの活躍でもお馴染みだ。ラロ・シフリンは、映画音楽も手掛けるベテラン。私が初めて彼の名を知ったのは、ブルース・リー主演の「燃えよドラゴン」のテーマ曲だ。


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 CTIのアレンジャーの仕事を堪能するには、オーディオ機器には細部の分解能の高さや広大なダイナミックレンジ、重厚なスケール感などが要求されてくる。ゴージャスかつ緻密なアレンジを存分に楽しみたい。
 ドン・セベスキー「エル・モロの強奪」は、ブラスの厚みとスケール感が圧巻。アルバム・タイトル曲ではマーチ風のリズムでドラムがフィーチャーされ、強力無比なリズムが浮き彫りとなる。<ラッキー・セブン>ではロック的アプローチも見え、ホーンの様子はまるでタワー・オブ・パワーさながら。
 アントニオ・カルロス・ジョビンの「ストーン・フラワー」では、デオダートがアレンジを担当。ブラジル録音等のオリジナルと比べてどんな違いがどう新鮮に聴こえるかがキーポイントだ。間の取り方など、アンサンブルの妙が実に心地よく、涼やかに響く。
 ハモンドオルガンの名手ジョニー・ハモンドが残した「ハイアー・グラウンド」は、ボブ・ジェームスがホーン・アレンジを担当。オルガンのコード弾きにホーンのダイナミックなプレイが絡むところに興奮する。ドラムやベースのリズムの明晰さもあり、安定感のある演奏が楽しめる。
 小説「砂の惑星」からインスパイアされた音絵巻を作ったデヴィッド・マシューズ。ストリングス入りの演奏は映画のサウンドトラックを彷彿させ、シンセサイザーやキーボードの多重録音による分厚いスケール感で聴かせる。ギターのフィーチャーも印象的。こういう方向性は、やはりCTI ならでは。
 同じくシンセサイザーのオーバーダビングで重厚な世界観を見せるラロ・シフリン「ブラック・ウィドウ」。リズムセクションの力強いプレイがスペクタキュラーなアレンジをがっちり支えている。










◇◆◇エモーショナルなブラス◇◆◇


 CTIの契約アーティストを俯瞰した時、サックスやトランペットなどの管楽器奏者が多いことに気付く。いずれもがベテラン級の演奏家で、しかもモダンジャズの枠に捉われず、斬新なアプローチで自身の音楽スタイルを追求してきたミュージシャンが多い。
 初期のリターン・トゥ・フォーエバーでも活躍したジョー・ファレルはCTIの看板サキソフォニスト。テナー・サックスのスタンリー・タレンタインも、ソウルフルな演奏で人気を博した演奏家だ。一方、ブルーノート等で活躍したトランペッターのフレディ・ハバードは、突き抜けるようなハイノートが持味。これらのアーティストの演奏をどう鳴らすかについては、管楽器ならではの響きの質感と、アンサンブルを絡めた際の臨場感とステレオイメージのリアリティが大事だ。


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 ジョー・ファレル「ペニー・アーケード」は、ドラムの高速ビート、ワウワウペダルを駆使したギターソロなど、実にゴキゲンなジャズ・ロックだ。ファレルのサックスも歯切れよく、リズムセクションとの息の合ったリフが炸裂する。そこにはオーディオシステムの鋭敏なレスポンス力が要求されそうだ。
 ジャケットのアートワークも印象的なスタンリー・タレンタインの「シュガー」は、さながらCTIオールスターズの様相。ジョージ・ベンソンのギターとのテーマのユニゾンが印象的で、ソウルフルなムードたっぷり。やや枯れた味わいのブロウを明瞭に再現したい。
 フレディ・ハバード「レッド・クレイ」は、ハービー・ハンコックが奏でるエレピの音色に若干フュージョン色を感じなくもないが、盟友ジョー・ヘンダーソンを迎えてストレート・アヘッドなジャズを繰り広げている。ハバードらしい突き抜けるハイノートを堪能したい。
 多作家ハンク・クロフォード。全8タイトルの配信リストの中から選んだ「ティコ・リコ」は、なかなかファンキーなアルバムで、アルトサックスによるメロウなハーモニーの中にリズムセクションがきっちりと立っている。躍動するベースをしっかり捉えたい。
 チェット・ベイカー「枯葉」はベストセラーアルバム。オーソドックスにテーマを奏でるトランペットに対し、ドラムが多彩なリフを重ねていく。各楽器の質感も素晴らしく、チェットの甘いヴォーカルの定位感も明瞭だ。










◇◆◇ソウルフルなギター◇◆◇


 後のフュージョンの先駆けとなったCTIといわれるが、フュージョンの花形楽器であるギターに関しては、ロック的なアプローチを試みたギタリストは皆無に等しい。その代わりにソウルフルなプレイを身上としたR&B系ギタリストの宝庫だ。
 後にワーナーブラザースに移籍して「ブリージン」の大ヒットを放つジョージ・ベンソンは、CTIで飛躍したギタリストの一人。エリック・ゲイルはモータウンのリズムセクションで一世を風靡したし、グラント・グリーンもブルーノート在籍時に優れたアルバムをリリースしている。彼らの演奏するギターは、フルアコ系ギターが大半なので、ボディの胴鳴りの豊かさ、オーバートーンの伸びやかさなどにしっかり耳を傾けたい。


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 リーダー作多数のジョージ・ベンソンの中から選んだ1枚は「グッド・キング・バッド」。サックスとのユニゾンがゴキゲンなダンサブル・ナンバーで、オクターブ奏法を駆使したリズミカルなムードが心地よい。滑らかで温かみのあるトーンを豊かに再現したい。
 「フォアキャスト」はエリック・ゲイルの初リーダー作。モータウンを始め多くの録音で歌伴をしてきた彼ならではのハーモニクスを柔らかく再現したいところだ。ストリングスの優雅な雰囲気も聴きどころ。
 グラント・グリーンは、CTIのギタリストの中で最も“黒っぽい”プレイといえる。KUDUに残した唯一のリーダーアルバムでは、ピッキングのエッジの立った、それでいて丸いトーンをどう鳴らすか。スピーカーのトランジェントが要求されそうだ。
 フィル・アップチャーチも燻し銀的プレイで知られる。本作ではヴォーカリストをフィーチャーしてモータウンにも通じるアーシーな演奏を披露した。あの「アヴェ・マリア」がダンサブルなブラコン風にアレンジされていて楽しい。
 ジョー・ベック「BECK」は、デヴィッド・サンボーンをフィーチャーしつつ、オルガンとの掛け合いも大胆なロック風アルバム。ディストーションを巧みに活用した奔放なプレイを楽しみたい。










◇◆◇強力なリズムセクション◇◆◇


 リズムセクションとは、ソロ楽器の演奏を盛り立て、バックできっちりとリズムを支える楽隊のことをいい、一般的にはピアノ、ベース、ドラムスを指す。いわば縁の下の力持ち的役割だが、リズムセクションがしっかりしていなければいい演奏にはならない。ビートが安定していなければ、音楽として成り立たないのである。
 CTIのリズムセクションは、実に多彩なミュージシャンで固められているが、後にフュージョン時代を牽引していくプレイヤーが多いことに気付く。アルバムの主人公には申し訳ないが、バックを仕切るリズムセクションにここではスポットライトを当てたい。再生時の肝は、ビートばかりが目立つようではダメで、整ったエネルギーバランスが重要だ。鈍重さや歯切れの悪さがあるようでは困る。


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 フリューゲルホーンのアート・ファーマーの「ヤマ」は、プロデューサーにマイク・マイニエリを招き、テナーサックスのジョー・ヘンダーソンをフィーチャーしたアルバム。ベースのウィル・リーの強烈なグルーヴも素晴らしいが、スティーブ・ガッドのパワフルで正確なドラムにここでは注目。スピーカーの足元をしっかり固めて聴きたくなる。
 ロン・カーター「スパニッシュ・ブルー」は、若干緩い(甘い)ピッチが持味の彼のベースと、手数王ビリー・コブハムのドラムというやや異色の組合せ。多彩なシンバルの音色をいかに描き分けることができるかだが、オルガンの和音とのアンサンブルも、どこかハードボイルドな香りがする。
 ロニー・スミスの「ママ・ウェイラー」でも、ロン・カーターとビリー・コブハムのリズム隊が聴けるが、エレキベースでチャック・レイニーも参加しており、アルバムタイトル曲では反復リズムのベースとドラムによる安定したビートが堪能できる。ロニーのオルガンにサックスが絡み、グッと迫り出してくる力強さがいい。
 アイドリス・ムハマッドの「パワー・オブ・ソウル」は、ロック的なタイトル曲のパワフルさと乗りのよさに注目したい。後半ではパーカッションとドラムのソロ、さらにディープなベースが楽しめる。この辺りがうまく再生できないと面白み半減だ。
 「ジョー・ファレル・クァルテット」は、CTIには珍しい実験的なジャズの70年録音。マイルス・デイヴィス門下生によるアバンギャルドな演奏で、サックスをL/R 間にパンニングさせたりなど、エフェクト感たっぷり。デイブ・ホランドとジャック・ディジョネットの変幻自在のリズムにも引き込まれる。










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■小原由夫 プロフィール



小原由夫(おばらよしお)
理工系大学卒業後、測定器エンジニア、雑誌編集者を経て、92年よりオーディオ&ヴィジュアル評論家として独立。
自宅には30帖の視聴室に200インチのスクリーンを設置。
サラウンド再生を実践する一方で、6000枚以上のレコードを所持し、超弩級プレーヤーでアナログオーディオ再生にもこだわる。
ハイレゾ音源再生にも積極的に取り組んでおり、よりよいネットワーク環境整備に余念がない。

著書は「ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事」(DU BOOKS)。
主な執筆雑誌は、「HiVi」「ステレオサウンド」(以上、ステレオサウンド)、
「オーディオアクセサリー」「Analog」(以上、音元出版)、など。
Web系は「NIKKEI STYLE/AVフラッシュ」(日経電子版)に連載を持つ。


 

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