福田進一の新作は自在なギターが現すバロックの魅力

2021/07/24

日本クラシック・ギター界のレジェンド、福田進一の新作がハイレゾ配信開始。『バロック・クロニクルズ II ~異邦人~』とタイトルが付けられた今作は、好評を博した「聴く年代記『バロック・クロニクルズ』」の続編にあたる作品。バロック音楽のエッセンスを現代のギターで自在に表現します。また、e-onkyo musicでは福田進一本人によるコメントもご紹介。


★自在なギターが現すバロックの魅力「聴く」年代記

バロック・クロニクルズ II ~異邦人~
福田進一


プログラムには、昨年世を去ったギター界の巨匠J.ブリームの名編曲作品も取り入れられており、それについて福田は「マエストロの先見の明と優れた演奏がなければ、私たち後続世代は『ギターで弾くバロック音楽の魅力』に開眼しなかっただろう。ここでは、ブリームによるブクステフーデや、チマローザの名編曲を再考してみた。」とライナーノーツで語っている。

毎回、作品に調和する楽器を選びレコーディンに望む福田進一。今回はフランスの名匠ブーシェ最晩年の名器を使用し、その特徴ある豊かな音を、臨場感溢れるハイレゾDXD384kHzが録えました。いにしえのバロックの響きが、如何に現代に現されたかをお楽しみ下さい。


【使用楽器】Guitar : Robert Bouchet(No.152 / 1982 / Paris)




■アルバムについて -- 福田進一




 好評を頂いた前作「バロック・クロニクルズ」の続編は、ドイツ人であるバロック・リュートの大家、シルビウス・レオポルド・ヴァイスの組曲「異邦人」を中心に据え、その前後に活躍したドイツ以外の作曲家=異邦人たちの生み出した音楽を辿る旅となった。

 その中には、ドイツからイギリスに渡り、帰化したヘンデルのように、異国の地で逆の意味での異邦人となった例も出てくる。前作では2曲しか登場しなかった撥弦楽器の音楽を増やし、今回はヴァイスの先駆となったポーランドのロイスナー、イタリアのアーチ・リュートの名手ザンボーニを加え、プログラムの半分を占めることになった。

 また、このアルバムには2020年夏に惜しまれつつ亡くなった巨匠ジュリアン・ブリーム(1933-2020)へのオマージュ的な意味合いを持たせている。マエストロの先見の明と優れた演奏がなければ、私たち後続世代は「ギターで弾くバロック音楽の魅力」に開眼しなかっただろう。ここでは、ブリームによるブクステフーデや、チマローザの名編曲を再考してみた。

 さらに、今回の録音にはフランスの名匠ロベール・ブーシェの最晩年の作品を使用している。ブリームも初期録音のバロック作品集で重厚な音のブーシェ(1964)を使用しているが、今回の楽器は1982年に遺作として製作された実験的な作品のひとつ、最高品質のスプルース表面板とファイン・メープルの横裏板で作られた特別な一本である。

 その特徴ある響きは、マイスター・ミュージックの誇る、一対の超高性能マイクロフォン「エテルナ・ムジカ」によるワンポイント、384kHz/24bit のハイサンプリングで完璧に捉えられている


福田進一





 

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