連載 『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』 第86回

2021/04/02

『モダン・ジュズ』 PONTA BOX

~アナログ2CHダイレクト・レコーディング音源で聴く、ポンタさんのドラム!~

■ ポンタさんの想い出


大好きなドラマー、村上“ポンタ”秀一さんの突然の訃報。目を閉じると、ポンタさんの手癖フレーズ “スタドコ、タチッチ” が、今でも聴こえてきます。もう一度、あのドラムを生で聴きたかった!

初めてポンタさんを生で体感したのは、1987年の角松敏生氏のインスト・ツアー。そのライブのリズム隊は、ドラムがポンタさん、パーカッションが斎藤ノブ氏、ベースが青木智仁氏。そう、後に伝説のバンドであるノブケインに発展するリズム隊だったのですから、そりゃもう凄いグルーヴの嵐でした。

そのライブで感じたのが、ポンタさんはリズムが英語ビートではなく、日本語でグルーヴしているということ。アマチュアながらドラマーだった私にはあまりに衝撃的で、その後ポンタさんの教則ビデオを見てドラムを叩くときの呼吸法など学んだものです。もちろんスティックはポンタさんモデルを愛用していました。

一番のポンタさんライブの思い出は、1992年ごろに愛知の山頂緑地で何故か開催された、ノブケインの野外ミニライブ。手を伸ばせば触れるくらいの超至近距離で、稲妻のようなノブケインのグルーヴを浴びました。先日、斎藤ノヴさんにインタビューしたときに、その話題を出したら大ウケでした。

心残りは、スケジュールの都合で参加できなかった2019年11月のNOBUCAINE再結成ライブ。私のフェイバリット・ベーシストである川崎哲平氏が加わった新生NOBUCAINEのお披露目ライブで、もちろんポンタさんもツインドラムのひとりとして参加されていました。ちょうど事務所の引っ越し作業と予定が重なってしまい、そのときは 「次回に行けばいいや」 と楽観的に思っていたのですが・・・残念ながら再演は叶わぬ夢となってしまいました。

■ 世界最高峰の歌うドラムを、アナログ録音×ハイレゾで堪能する!

 

でも、ポンタさんは、一生かかっても聴ききれないほど多くの名演を私たちに残してくれています。ハイレゾの超高音質でポンタさんを聴くなら、これ!


あの名匠エンジニア高田英男氏の録音。高田英男氏のお家芸とも言えるアナログ2CHダイレクト・レコーディングです(佐藤竹善氏がスキャットで参加している、 7曲目 『クリスマス・イブ』を除く)。アナログ録音、しかも一発録りという離れ業ですから、聴きどころはなんといっても滑らかで艶のあるサウンドの質感。澄み切ったシンバルの輝き、ズドン腹にくるドラムの革の響き。オーディオ的な魅力いっぱいです。

CD盤時代も、本作を所有していました。しかし、CD盤では、そんなに高音質だった印象はありません。比較でサブスクでも本作を聴いてみたのですが、CD盤時代と同じようなサウンドに感じました。アナログ2CHダイレクト・レコーディングの鮮烈さが、なぜかCDやサブスクでは軽いサウンド方向へとシフトして思えるのです。シンバルやハイハットが、妙にチャキチャキしているというか。録音とは、本当に難しいものです。

ハイレゾ版 『モダン・ジュズ』 では、その音質の印象が豹変。アナログ2CHダイレクト・レコーディングの本領発揮と言えるでしょう。マスタリング・エンジニア袴田剛史氏が、アナログマスターの良さを見事にハイレゾ化してくれています。

佐山雅弘氏のピアノは、どこまでも透明で美しい。実物大のピアノが眼前に広がるような快感たるや、ハイレゾ音源という器の大きさの賜物です。

バカボン鈴木氏のベースは分厚く、6曲目 『エスラルゴ』 ではアルコ(=弓弾き)奏法までアナログ録音×ハイレゾのサウンドで楽しめます。

なんといってもハイレゾでの聴きどころは、シンバルやブラシを駆使した、ポンタ氏の世界最高峰の表現力あるドラムです。加えて、稲妻のようなハイハットの切れ味もハイレゾの最高峰音質でお楽しみください。

そうそう、久しぶりに本作を聴いて思い出しました。7曲目 『クリスマス・イブ』 は、ぜひ曲のエンディングまでチェックしてみてください。ポンタさんの素敵なおしゃべり(?)が記録されていますよ。

村上“ポンタ”秀一さん、本当にありがとうございました。これからもポンタさんのドラムを聴き続けます!


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筆者プロフィール:


西野 正和(にしの まさかず)3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー 株式会社レクスト代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセレクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』をプロデュース。

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