HOME ニュース 【3/19更新】 印南敦史の名盤はハイレゾで聴く 2021/03/19 月間50本以上の書評を執筆する書評家であり、ベストセラー『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』の作家としても知られ、更にヒップホップなどのブラック・ミュージックからクラシックまでを幅広くフォローする異色の音楽評論家としての顔を持つ印南敦史による連載「印南敦史の名盤はハイレゾで聴く」。 デヴィッド・ボウイ『Heroes』 いろいろな意味で“センス”の大切さを教えてくれた、中学生時代の女友だちの話 中学3年のときのある時期、隣の席にSさんという女の子がいました。ことさら目立っているようなタイプではなかったとはいえ、ハキハキしていて、非常に頭の切れる子。恋愛感情があったわけではないけれど仲がよく、日ごろからいろいろなことを話していた記憶があります。気の合う友だちという感じですね。彼女についての思い出は少なくありませんが、そのひとつが、仲のいい友だちとつくったという手製のフリーペーパーを見せてもらったときのこと(当時はフリーペーパーなんてことばすらなかったけど)。僕、小さいころから壁新聞とか豆本みたいな“手づくりの紙媒体”が大好きだったんですよ。だからそのときにも当然ながら関心を持ち、迷わず一冊買ったのでした。Sさんももうひとりの子も絵がうまかったので完成度が高く、文章も読みごたえ充分。中3であれだけのものをつくっていたというのは、かなり先を行っていたように思います。印象的だったのは、Sさんがデヴィッド・ボウイについて熱い文章を書いていたこと。たしか、歌詞を挟み込みながら『スペース・オディティ』のことを取り上げていたんじゃなかったかな。それ以前の僕はボウイについて、「フェイム」や「ゴールデン・イヤーズ」が(ヒット曲として)普通に好きという程度の気持ちしか持っていなかったのですが、あのフリーペーパーのおかげで多くのことを学べたのでした。そんなことからもわかるとおり、いま思えばSさんは、クリエイティヴなことや“センス”に関するメンターのような存在だったのです。その年の秋に、ボウイは『Heroes』というニュー・アルバムを出しました。当然ながらSさんともそのレコードのことを話したのですが、すごく印象的だったのは、そのアルバムについて話すなかで彼女が「国内盤には『英雄夢語り』とかいう気持ち悪いタイトルがついてるけど」と語ったこと。たしかに『ヒーローズ』には当時、そういう邦題がついていたのでした。僕にとってはたいして気になることではなかったのですが、たしかに「気持ち悪いタイトル」です。いわれて初めて気づいたので、「なるほど、たしかにそのとおりだなぁ」と、その視点にえらく感心してしまったのです。それだけのことだけど、自分に見えていなかったものが見えていたということは、少なくとも僕にとっては意味のあることだったわけです。『ヒーローズ』は、ボウイがブライアン・イーノとの共作というかたちで生み出した「ベルリン三部作」の2作目。1977年の『ロウ』、1979年の『ロジャー(間借人)』との間に挟まれた作品です。Sさんからいろいろなことを教えてもらっていただけに、このアルバムはかなり「意識して」聴いた記憶があります。それに、ずっしりと重たいファンクネスが貫かれたオープニングの“Beauty and the Beast”を耳にした時点で、どう考えてもすごい作品だと確信することができました。グルーヴ感が心地よすぎて、カセットを何度も巻き戻して聴いたものです。以後も疾走感に満ちた“Joe the Lion”、不思議な哀愁を感じさせるタイトル・トラック“Heroes”など、インパクトに満ちた楽曲が続々登場。後半、“V-2 Schneider”に次ぐインストゥルメンタル・ナンバー“Sense of Doubt”“Moss Garden”“Neukoln”も中学生の知的好奇心を刺激してくれたし、端的にいえば「聴きごたえ」があったのです。その印象は、いまも変わらないかな。Sさんと再会したのは、そこから数年を経た1983年のこと。どうしてそうなったのかは憶えていませんが、中野サンプラザまで、パブリック・イメージ・リミテッドの初来日公演を一緒に観に行ったのです。当時の僕は大学を辞め、どう生きたらいいものかと迷いに迷っていました。かたやSさんは東京芸大の学生になっていて、叔父さんから借りてきたという高級車を軽やかに運転して現れました。その時点で差がつきすぎですが、かといって嫉妬するわけでもなく、そんなものだろうなと感じていました。公演終了後は彼女の芸大の同級生と合流し、当時の中野にあった「クラシック」という喫茶店でお茶しました。でも美術の専門用語が飛び交う会話を理解できず、誇れるものがなにもなかった僕は、置き去りにされたような気分になっていました。中学時代から続く自己肯定感の低さを、まったく拭えていなかったのです。でも、それからまた数年後に会い、話題が中学時代のことに移ったとき、Sさんの口から衝撃的なことばが飛び出したのでした。「あのころ私は印南くんに対して、『この人とは中途半端なつきあいをしてはいけない。取り繕ったりせずに、本音で話さなくてはいけない』と思ってた」本当に驚きました。当時の僕は自分のことをかなりイケてないやつだと感じていたのですが、そんな人間を肯定してくれていたとは。考えつきもしないことでしたが、うれしい話です。だから以後も壁にぶつかるたび、僕はそのことばを思い出し、少しでも自分を肯定できるように意識してきました。そんなわけでSさんには感謝の思いしかないし、『ヒーローズ』を聴くたび、いまでも3年A組の教室で話をしていたときのことを思い出すのです。 『"Heroes" (2017 Remastered Version)』David Bowie ◆バックナンバー【3/12更新】コモン『Resurrection』ステージを隔てて目が合ったとき、シカゴから来たラッパーはニコッと微笑んでくれた【3/5更新】エレクトリック・ライト・オーケストラ『ディスカバリー』思い出させてくれるのは、満ち足りていたころの残像と、多くを失ってしまったあとの記憶【2/19更新】ジャネット・ジャクソン『コントロール』物静かな“漫画家の卵”に、お昼ごはんをご馳走してもらった日のサウンドトラック【2/12更新】ジェイムス・テイラー『JT』いつの間にか「ハンディ・マン」を必要とせず生きられるようになっていたこと【2/5更新】ソルトン・ペパ『ヴェリー・ネセサリー』思い出すのは、御徒町にあったイケてないソウル・バーでのDJプレイ【1/22更新】ダラー・ブランド『アフリカン・ピアノ』ハイレゾがリアリティを高めてくれる、情熱的で上品なアフリカン・ジャズ・ピアノ作品【1/15更新】ブランド・ヌビアン『One for All』“90年代を代表するヒップホップ・クラシック・アルバムに、「30年」の早さを実感【1/8更新】ザ・ブルーベルズ『Sisters』“うまくいかない青春時代”を彩ってくれた、明るくポジティブなギター・ポップの秀作【12/18更新】ダリル・ホール&ジョン・オーツ『Big Bam Boom』アーサー・ベイカーのエレクトロニック・サウンドが炸裂する、インパクト抜群の1984年作【12/11更新】デイナ・デイン『Dana Dane with Fame』1980年代に残されたマニア好みのパーティー・ラップ・アルバムが、まさかのハイレゾ化【12/4更新】ジャクソン5『クリスマス・アルバム』ジェームス・ブラウンも寵愛した5人兄弟の魅力が全開になった、とても楽しいクリスマス・アルバム【11/20更新】ZZトップ『Tres Hombres』味園ビルの「ZZ BAR」で意見をぶつけ合った夜のBGMは、ゴリゴリのハード・ブギーでした【11/13更新】ギャング・オブ・フォー『Solid Gold』個人的には“進化系ファンク”として捉えていた、ポスト・パンクの歴史に残る金字塔【11/6更新】アイズレー・ブラザーズ『3+3』オリジナル楽曲からカヴァー・ヴァージョンまで、すべてが完璧な極上のソウル/ファンク・アルバム【10/23更新】ケニー・バレル『Midnight Blue』高ジャケットはアナログ・レコード・サイズで、音はハイレゾで聴きたくなる珠玉のギター・アルバム【10/16更新】カマロン・デ・ラ・イスラ『Al Verte Las Flores』高校生時代の僕にフラメンコの魅力を教えてくれた、テクニカルで情熱的な作品【10/9更新】ヴァン・ヘイレン『Tokyo Dome in Concert』急逝したエディ・ヴァン・ヘイレンのプレイも冴えわたる、東京ドーム公演のライヴ・アルバム【10/2更新】プリンス『Sign O' The Times』バーニー・グランドマンによる2020年最新リマスターで蘇る、プリンスの最高傑作【9/18更新】ジミー・スコット『ドリーム』強烈な個性を備えた大器晩成型のジャズ・シンガーだから歌える、深みあるバラードの数々【9/11更新】チェザーレ・パスタネッラ・アフロディアスポラ『THE ROUND TRIP』実力派のパーカッション奏者が、世界各地の音楽のエッセンスを吸収してつくりあげた高精度な作品【9/4更新】オーティス・レディング『Complete & Unbelievable: The Otis Redding Dictionary of Soul』上田正樹さんによるカヴァーを通じて知った、“Try a Little Tenderness”を含む、最後のオリジナル・アルバム【8/21更新】シック『Risque』オールドスクール・ヒップホップの創造性とリンクする、1970年代後期ファンクの名作【8/14更新】アラン・パーソンズ・プロジェクト『Eye in the Sky』1980年代を代表するヒット・アルバムが思い出させるのは、20代から続く友人との思い出【7/17更新】ドナルド・フェイゲン『Kamakiriad』決して評価は高くないかもしれないけれど、完成度は文句なし。個人的な思い出とも絡む秀作。【7/10更新】アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『モーニン』ファンキー・ジャズの名盤が思い出させるのは、お茶の配達をしていたころの記憶【7/3更新】ロッド・スチュワート『Every Picture Tells a Story』最初は魅力がわからず、でも大人になって聴きなおしたら、印象がガラリと変わったサード・ソロ【6/19更新】ノラ・ジョーンズ『Come Away With Me』壮大阪から単身上京してきた友人が連れて行ってくれた店で、20年近く前に流れていた作品【6/12更新】リンダ・ロンシュタット『Hasten Down the Wind』壮大なアメリカのポップ・ミュージックの実力を痛感させた、歌の実力が際立つ名作【6/5更新】ザ・クラッシュ『コンバット・ロック』クラッシュの原点回帰作が思い出させてくれる、うまくいかなかった日々の記憶【5/22更新】ビリー・ジョエル『Piano Man』新型コロナが改めて実感させてくれた、“You’re My Home”への思い入れの強さ【5/15更新】スティーヴィー・ワンダー『In Square Circle』チープになりがちなデジタル・サウンドを絶妙に使いこなした、1980年代のスティーヴィー・ワンダー像【5/8更新】ヴァン・ヘイレン『Van Halen』エディ・ヴァン・ヘイレンの超絶テクニックに衝撃を受けながらも、コピーしようとは思わなかった理由【4/24更新】ザ・ドゥービー・ブラザーズ『Livin’ On the Fault Line』三鷹にあったエレキギター専門店の記憶と連動する、後期ドゥービーの“目立たないけど優秀な作品【4/17更新】Ol' Dirty Bastard『Return to the 36 Chambers: The Dirty Version (25th Anniversary Remaster)』キレッキレのハードコア・ラップを聴きながら、25年前に知り合った青年の現在に思いを馳せる【4/10更新】TOTO『TOTO』思い出させてくれるのは、ロサンジェルスの住宅地でひとり“Hold the Line”を聴いていたときの情景【4/3更新】キャロル・キング『つづれおり』親子二代のファンも。世代を超えて愛される、普遍的名作とはまさにこのこと。【3/19更新】シンディ・ローパー『シーズ・ソー・アンユージュアル』ペラッペラで大嫌いだった80年代前半のポップ・ミュージックのなか、例外的に大好きだった作品【3/13更新】アニタ・ベイカー『ラプチュア』趣味全開の音楽バーを開いた大阪の友人を思い出させる、大人のためのスロウ・ジャム【3/6更新】THE BLUE HEARTS『THE BLUE HEARTS』あのころ、「終わらない歌」に共感したソウルメイト、チャーリーはいま……【2/21更新】ジェイムス・テイラー『Mud Slide Slim and the Blue Horizon』ジェイムス・テイラーを聴くと思い出すのは、喫茶店で知り合ったジェイムスのこと【2/14更新】クルセイダーズ『ストリート・ライフ』クルセイダーズのヒット作が思い出させてくれるのは、学校帰りに立ち寄ったコーヒーショップの記憶【2/7更新】トーキング・ヘッズ『Remain in Light』タズタに引き裂かれていた気持ちを盛り立ててくれたのは、圧倒的なアフリカン・ビート【1/24更新】ザ・ローリング・ストーンズ『Beggars Banquet』サイケデリック路線から原点に回帰。個人的にも最高傑作だと感じている1968年の奇跡【1/17更新】ジョー奥田『Tokyo Forest 24Hours』「人工の森」である明治神宮の“音”をバイノーラル・レコーディングした作品【1/10更新】マンハッタンズ『Atfer Midnight』高校3年生の春、学校帰りに駅前のレコード店で買った極上のソウル・ヴォーカル・アルバム【12/20更新】イーグルス『Please Come Home For Christmas/Funky New Year』オリジナル・アルバムは収録されていない、知られざるクリスマス・ソングとニューイヤーズ・ソング【12/13更新】KISS『キッス・ファースト 地獄からの使者 - Kiss』ファイナル・ツアーを開催中の“地獄の軍団”が、45年も前に生み出した完成度抜群のファースト【12/6更新】ノーティ・バイ・ネイチャー『Poverty's Paradise』当時の記憶をも呼び起こす、90年代のヒップホップ全盛期を代表する傑作【11/22更新】ボブ・ディラン『ストリート・リーガル』評価は高くなかったけれど、いま聴きなおせば完成度の高さを実感。個人的にはいろいろな思いがある作品【11/15更新】スモーキー・ロビンソン『Yes It’s You Lady』普通のことを普通にやっているだけ。だからこそ長く聴き続けられる、スモーキーの隠れ名盤【11/8更新】ジャクソン・ブラウン『Running on Empty』さまざまなシチュエーションで録音された音源とライヴ・シーンが交錯する、魅力的な作品【10/25更新】マーヴィン・ゲイ『What’s Going On Live』「10歳だったあのころ、海の向こうでマーヴィン・ゲイが歌っていたのか」と思いを馳せると……【10/18更新】トム・ウェイツ『Heartattack And Vine』20代のころの大切な仲間を思い出させてくれもする、地味ながらも心に染みるさくれた名作【10/11更新】チェット・ベイカー『イン・トーキョー』メ映画「マイ・フーリッシュ・ハート」が思い出させてくれた、東京のチェット・ベイカー【10/4更新】プリファブ・スプラウト『From Langley Park to Memphis』メロディが魅力を失いつつあった時期に、メロディの美しさを見せつけてくれた秀作【9/20更新】ザ・カーズ『Heartbeat City』リック・オケイセックの訃報がきっかけで聴きなおした“Drive”が、思い出させてくれたこと【9/13更新】ジェイムス・テイラー『The Warner Bros. Albums: 1970-1976』じっくり聴き込むにも聴き流すにも最適な、ワーナー時代の全アルバムをコンパイルした豪華セット【9/6更新】ディープ・パープル『Shades of Deep Purple』チープな牛丼チェーンの記憶と連動してしまう、ディープ・パープルのファースト・アルバム【8/23更新】ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ『The Velvet Underground & Nico』アンディ・ウォーホルによる「バナナ・ジャケット」も有名な、絶妙のバランスがクセになる傑作【8/9更新】ニルヴァーナ『Nevermind』当時のティーンエイジャーの不満や不安のはけ口となった、グランジ・ムーヴメントの火つけ役【8/2更新】ケニー・ドーハム『Una Mas』ボッサのリズムが強力なタイトル曲を筆頭に、モダン・ジャズにおける重要人物の力量が遺憾なく発揮された秀作【7/19更新】カーリー・サイモン『No Secrets』素晴らしく完成度の高いアルバム。なのに、余計な情報までがついてまわるサード・アルバム【7/12更新】フィービ・スノウ『Phoebe Snow』これからもきっと聴き続けることになる、大好きなシンガーソングライターのデビュー・アルバム【7/5更新】KISS『Alive!』ライヴ・バンドとしてのKISSのポテンシャルが最大限に発揮された、スケールの大きなライヴ・アルバム【6/21更新】マイルス・デイヴィス『Doo-Bop』頭の硬い方々からの評価は厳しいものの、時代性を色濃く反映した秀作だったことは事実【6/14更新】ドクター・ジョン『Dr. John’s Gumbo』謎の留年大学生が教えてくれた、セカンド・ラインの心地よさ【6/7更新】アース・ウィンド&ファイア『Faces』リリース当時はいまひとつ評価の芳しくなかった大作も、いま改めて聴けばなかなかに新鮮【5/24更新】クルセイダーズ『Street Life』ジョー・サンプルが、本作リリース後のランディ・クロフォードについて語ってくれたこと【5/17更新】マイケル・ジャクソン『Off The Wall』アイスコーヒーを飲みながら、井上と聴いた“Don’t Stop ‘Til You Get Enough”【5/10更新】フリートウッド・マック『Rumours』コーヒーショップで出会ったクリスチャン・グループの彼はいまどこに?【4/19更新】ザ・ビートルズ『The Beatles』ザ・ビートルズの名作に刻まれているのは、中学時代の親友との思い出【4/12更新】サリナ・ジョーンズ『My Love』サリナの名作を聴くたびに思い出すのは、本人を怒らせてしまった痛恨のミス【4/5更新】萩原健一『熱狂・雷舞』ショーケンの才能が明確に表れたライヴ・アルバムは、亡き叔父との記憶とも連動【3/29更新】ザ・スミス『Meat Is Murder』30数年前と現在をつなげてくれることになった、いま聴いてもまったく色褪せない名作【3/22更新】スティーヴ・ミラー・バンド『Fly Like an Eagle』日本での評価は低すぎる? 誰にも真似のできない「イナタい」かっこよさ【3/15更新】ニール・ヤング『Greatest Hits』深夜の碓氷峠で、トラックにパッシングされながら聴いた“Harvest Moon”【3/8更新】フォガット『LIVE!』火事で憔悴しきっていたときに勇気づけてくれた、痛快で爽快なブギー・アルバム【3/1更新】ニーナ・シモン『ボルチモア』尊敬する人が旅立った日の夜に聴きたくなった、ニーナ・シモンの隠れた名作【2/22更新】ダイアー・ストレイツ『Communique』衝撃的だったデビュー作にくらべれば明らかに地味。わかってはいるけれど、嫌いになれないセカンド・アルバム【2/15更新】ウィリー・ネルソン『Stardust』アメリカン・スタンダード・ナンバーを取り上げた、ブッカー・T.ジョーンズ・プロデュース作品【2/8更新】ビル・ウィザース『スティル・ビル』コンプレックスを抱えた苦労人だからこそ表現できる、暖かく、聴く人の心に寄り添うようなやさしい音楽【2/1更新】フランク・シナトラ『The Centennial Collection』シナトラの魅力を教えてくれたのは、あのときの上司、そしてバリ島のプールサイドにいた初老の男性【1/25更新】マライア・キャリー『マライア』南青山の空気と好きだった上司を思い出させてくれる、いまなお新鮮なデビュー・アルバム【1/18更新】バリー・マニロウ『Barry』地道な努力を続けてきた才人による、名曲「I Made It Through The Rain」を生んだ傑作【1/11更新】渡辺貞夫『マイ・ディア・ライフ』FM番組とも連動していた、日本のジャズ/フュージョン・シーンにおける先駆的な作品【12/28更新】ビリー・ジョエル『52nd Street』『Stranger』に次ぐヒット・アルバムは、1978年末のカリフォルニアの記憶と直結【12/21更新】チャカ・カーン『I Feel For You』ヒップホップのエッセンスをいち早く取り入れた、1980年代のチャカ・カーンを象徴するヒット作【12/14更新】ドン・ヘンリー『I Can't Stand Still』イーグルスのオリジナル・メンバーによるファースト・ソロ・アルバムは、青春時代の記憶とも連動【12/7更新】Nas『Illmatic』90年代NYヒップホップ・シーンに多大な影響を与えた、紛うことなきクラシック【11/30更新】イエロー・マジック・オーケストラ『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』最新リマスタリング+ハイレゾによって蘇る、世界に影響を与えた最重要作品【11/23更新】ライオネル・リッチー『Can’t Slow Down』世界的な大ヒットとなった2枚目のソロ・アルバムは、不器用な青春の思い出とも連動【11/16更新】クイーン『オペラ座の夜』普遍的な名曲「ボヘミアン・ラプソディ」を生み出した、クイーンによる歴史的名盤【11/9更新】遠藤賢司『東京ワッショイ』四人囃子、山内テツらが参加。パンクからテクノまでのエッセンスを凝縮した文字どおりの傑作【11/2更新】ザ・スリー・サウンズ『Introducing The 3 Sounds』「カクテル・ピアノ」のなにが悪い? 思春期の少年に夢を与えてくれた、親しみやすいピアノ・トリオ【10/26更新】ロバータ・フラック『やさしく歌って』1970年代の音楽ファンを魅了した才女の実力は、「ネスカフェ」のCMソングでもおなじみ【10/19更新】井上陽水『陽水ライヴ もどり道』思春期の甘酸っぱい思い出をさらに際立たせてくれるのは、立体感のあるハイレゾ・サウンド【10/12更新】カーペンターズ『シングルズ 1969-1981』br>思春期の甘酸っぱい思い出をさらに際立たせてくれるのは、立体感のあるハイレゾ・サウンド【10/5更新】エアロスミス『Rocks』倉庫でレコーディングされた名盤が思い出させてくれるのは、クリスチャンの人たちとの思い出【9/28更新】サイモン&ガーファンクル『Bookends』消息不明の親友との記憶を思い出させてくれる、個人的にとても大きな価値のある作品【9/21更新】ジェフ・ベック『Wired』前作『Blow By Blow』の成功を軸に、クリエイティヴィティをさらに昇華させた意欲作【9/14更新】マーヴィン・ゲイ『I Want You』リオン・ウェアとマーヴィン、それぞれの実力が理想的なかたちで噛み合った“夜の傑作”【9/10更新】エアプレイ『ロマンティック』ジェイ・グレイドンとデイヴィッド・フォスターによる“限定ユニット”が生み出したAORの名作【8/27更新】上田正樹とSOUTH TO SOUTH『この熱い魂を伝えたいんや』日本を代表するソウル・シンガーの原点ともいうべき、ハイ・クオリティなライヴ・アルバム【8/19更新】アレサ・フランクリン『Live At The Fillmore West』サンフランシスコのロック・ファンをも見事に魅了してみせた歴史的ライヴ【8/13更新】ボビー・コールドウェル『イヴニング・スキャンダル』南阿佐ヶ谷のカフェでの記憶と、ボビー本人の意外なキャラクター【8/2更新】バド・パウエル『ザ・シーン・チェンジズ』奇跡のピアノ・トリオが掘り起こしてくれるのは、三鷹のジャズ・バーで人生を教わった記憶【7/27更新】ロッド・スチュワート『Atlantic Crossing』「失恋マスター」を絶望の淵に追いやった「Sailing」を収録。言わずと知れたロック史に残る名作【7/20更新】エア・サプライ『Live in Hong Kong』魅惑のハーモニーが思い出させてくれるのは、愛すべき三多摩のツッパリたちとの思い出【7/13更新】アース・ウィンド&ファイア『The Best Of Earth, Wind & Fire Vol. 1』親ボビーとの気まずい時間を埋めてくれた「セプテンバー」を収録したベスト・アルバム【7/6更新】イーグルス『Take It Easy』16歳のときに思春期特有の悩みを共有していた、不思議な女友だちの思い出 【6/29更新】ジョー・サンプル『渚にて』フュージョン・シーンを代表するキーボード奏者が、ザ・クルセイダーズ在籍時に送り出した珠玉の名盤【6/22更新】スタイル・カウンシル『カフェ・ブリュ』ザ・ジャム解散後のポール・ウェラーが立ち上げた、絵に描いたようにスタイリッシュなグループ 【6/15更新】コモドアーズ『マシン・ガン』バラードとは違うライオネル・リッチーの姿を確認できる、グルーヴ感満点のファンク・アルバム【6/8更新】デレク・アンド・ザ・ドミノス『いとしのレイラ』エリック・クラプトンが在籍したブルース・ロック・バンドが残した唯一のアルバム 【6/1更新】クイーン『Sheer Heart Attack』大ヒット「キラー・クイーン」を生み、世界的な成功へのきっかけともなったサード・アルバム。【5/25更新】ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ『Live!』「レゲエ」という音楽を世界的に知らしめることになった、鮮度抜群のライヴ・アルバム【5/18更新】イーグルス『One of These Nights』名曲「Take It To The Limit」を収録した、『Hotel California』前年発表の名作【5/11更新】エリック・クラプトン『461・オーシャン・ブールヴァード』ボブ・マーリーのカヴァー「アイ・ショット・ザ・シェリフ」を生んだ、クラプトンの復活作【5/6更新】スティーヴィー・ワンダー『トーキング・ブック』「迷信」「サンシャイン」などのヒットを生み出した、スティーヴィーを代表する傑作【4/27更新】オフ・コース『オフ・コース1/僕の贈りもの』ファースト・アルバムとは思えないほどクオリティの高い、早すぎた名作【4/20更新】チック・コリア『リターン・トゥ・フォーエヴァー』DSD音源のポテンシャルの高さを実感できる、クロスオーヴァー/フュージョンの先駆け【4/12更新】 ディアンジェロ『Brown Sugar』「ニュー・クラシック・ソウル」というカテゴリーを生み出した先駆者は、ハイレゾとも相性抜群!【4/5更新】 KISS『地獄の軍団』KISS全盛期の勢いが詰まった最強力作。オリジマル・マスターのリミックス・ヴァージョンも。【2/22更新】 マーヴィン・ゲイ『ホワッツ・ゴーイング・オン』ハイレゾとの相性も抜群。さまざまな意味でクオリティの高いコンセプト・アルバム【2/16更新】 ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース『スポーツ』痛快なロックンロールに理屈は不要。80年代を代表する大ヒット・アルバム【2/9更新】 サイモン&ガーファンクルの復活曲も誕生。ポール・サイモンの才能が発揮された優秀作【2/2更新】 ジョニー・マーとモリッシーの才能が奇跡的なバランスで絡み合った、ザ・スミスの最高傑作【1/25更新】 スタイリスティックス『愛がすべて~スタイリスティックス・ベスト』ソウル・ファンのみならず、あらゆるリスナーに訴えかける、魅惑のハーモニー【1/19更新】 The Doobie Brothers『Stampede』地味ながらもじっくりと長く聴ける秀作【1/12更新】 The Doobie Brothers『Best of the Doobies』前期と後期のサウンドの違いを楽しもう【12/28更新】 Barbra Streisand『Guilty』ビー・ジーズのバリー・ギブが手がけた傑作【12/22更新】 Char『Char』日本のロック史を語るうえで無視できない傑作【12/15更新】 Led Zeppelin『Houses of the Holy』もっと評価されてもいい珠玉の作品【12/8更新】 Donny Hathaway『Live』はじめまして。 印南敦史 プロフィール 印南敦史(いんなみ・あつし)作家、書評家。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家として月間50本以上の書評を執筆。ベストセラー『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)を筆頭に、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書に学んだライフハック――「仕事」「生活」「心」人生の質を高める25の習慣』(サンガ)ほか著書多数。12月14日発売の最新刊は『それはきっと必要ない: 年間500本書評を書く人の「捨てる」技術』(誠文堂新光社)。6月8日「書評執筆本数日本一」に認定。音楽評論家としては、ヒップホップなどのブラック・ミュージックからクラシックまでを幅広くフォローする異色の存在。 ブログ「印南敦史の、おもに立ち食いそば」 ツイート