【スペシャル対談】 ウィリアムス浩子の高音質盤2作品が待望のハイレゾ配信開始!

2021/02/19

昨年12月にハイレゾ配信がスタートしたアルバム『MY ROOM for Christmas』をはじめ、多くのオーディオファンの間でも定番リファレンス音源として愛聴される『MY ROOM』シリーズが、ここe-onkyo musicでも異例のロングヒットを放つジャズ・シンガー、ウィリアムス浩子。多くのオーディオファンから熱望されながらも、いまだハイレゾ化されていなかった彼女のキャリア初期作にしてアメリカ録音の名盤『a time for Ballads』と『A Wish』の2作が待望のハイレゾ配信開始!e-onkyo musicでは、今回のハイレゾ配信に際して、ウィリアムス浩子さんご本人と、オーディオ評論家の鈴木裕氏によるスペシャル対談を実施。この名盤が生まれた背景やリマスタリングについてなど、ここでしか知ることのできない貴重なお話を是非お楽しみください。

取材・文◎鈴木裕 取材協力◎DYNAMIC AUDIO 5555

 

★グラミー受賞ピアニスト2人を迎えた
珠玉のバラード集

a time for Ballads
ウィリアムス浩子

数々のオーディオ誌に取り上げられる高音質録音。グラミー受賞ピアニスト二人を迎えた珠玉のバラード集。2011年のCD発売から現在まで、自主制作ながらプレス枚数が1万枚を超え、なおも広がり続けるロングセラー・アルバム。ジャズ・オーディオディスク大賞vocal部門入賞。更なる高音質を目指してのリマスタリング!
★「インディーズの奇跡」と呼ばれた名盤
待望のハイレゾ配信!

A Wish
ウィリアムス浩子

数々のオーディオ誌に取り上げられる高音質録音。2013年のCD発売後amazonベストセラー1位のほか、Billboard JAPAN洋楽2位を記録するなどインディーズの奇跡と呼ばれた名盤が更なる高音質を目指してリマスタリング!




■a time for Ballads / A Wish リマスタリングについて 


■エンジニア・新島誠氏よりのコメント

『a times for Ballads』と『A Wish』をハイレゾ配信するということで、24bit/192kHzのフォーマットを用意しました。

これら海外収録の2作品の収録時のオーディオフォーマットは24bit/44.1kHzであったため、手元にある最高位の2トラックマスターもそのフォーマットのものでした。よって24bit/192kHzの商品を用意するためにリマスタリング作業を施しました。

その方法は、まず24bit/44.1kHzのマスターをDA(デジタル→アナログ変換)し、とあるアナログプロセッサーを経由させ(マスタリングセッション上ではいったん)32bit浮動小数点数, 192kHzでAD(アナログ→デジタル変換)し再収録。マスターとしての体裁を整えた後に24bit/192kHzにて最終出力しています。

途中でアナログプロセッサー(詳細は秘密です)を挟んでいることが、今回のリマスタリングの要になります。この処理を行うことで単にデジタル上でアップサンプリングするよりサウンドの陰影、立体感に富んだ魅力あるハイレゾ作品が仕上がりました。どうぞこれら素晴らしい音楽の2作品を24bit/192kHzのハイレゾでお楽しみください。





■ハイレゾ配信開始に向けて ウィリアムス浩子より

まず、多くの皆様のお陰で、こうして私にとって思い出深いアルバムたちが、より良い音でリリースされる形になったことを、心からお礼申し上げます。

2枚とも2010年~2012年頃の制作で、シンガーとしてのキャリアもこれからという時期。自主制作ということもあって、構想企画、現地とのやり取りや手配をこなしながら、歌へ集中するという両立は、なかなかな膨大な作業量で、実際体調を崩しがちになったり、そういうときに限って何故かドラマのようなトラブルまで起きたりと、完成まで波乱の連続でした。ただ、どこかで「こういったことは、きっと良い物になる兆しなんだ」と感じていました。そう思えたのは、変わらぬ信念があったからかもしれません。



私がその音楽を信じた素晴らしいミュージシャンたちの生き生きとした光り輝く音、息遣い、私のそのとき、その日のあるがままの歌(自分のことは受け入れるという感覚ですが)

スタジオやライブで感じる生の音と音楽そのものの素晴らしさを空気ごと録音して皆様に届けたい。

「より真実の音に近づけたい、きっとそういう音を待ってくれている人がいる」という信念でした。



はじめは一人だったのが、思いが通じて出会うことの出来たエンジニアの新島さんや、試聴のためのオーディオルームをお貸しくださる方など、気づけば多くの方の助けをいただき、この作品たちが出来上がりました。そしてCDという形で発売されたものが、この度、より良い音へと進化させていただく機会をいただきました。

新島さんから出来上がった音を聴かせてもらったときは、本当に驚きました。ここまで音が変わるのかと。同時に不思議な感覚がありました。風の香りを感じたのです。LAもNYもレコーディングの日は気持ちの良い風が吹いていました。LAはスタジオ近隣の新緑の香り。NYはスタジオのあるニュージャージーへと車で走り抜けるときの海の香り。

あの日の私はこの音を聴く日を待っていたように思います。喜びが溢れました。「良い音は人生を豊かにする」本当だなって思います。どうか皆様にも楽しんでいただけたら嬉しいです。


ウィリアムス浩子




■ウィリアムス浩子 × 鈴木裕(オーディオ評論家) スペシャル対談


今回のハイレゾ配信に際して、ウィリアムス浩子さんと、オーディオ評論家の鈴木裕氏による対談が実現。ウィリアムス浩子さんたっての希望で、東京・秋葉原のハイエンド・オーディオの聖地「ダイナミックオーディオ5555 4F HAL3」試聴室にて行われました。こちらのフロアは、早くからハイレゾ再生にも力を入れていることで知られ、フロアマスターの島氏は、e-onkyo musicの年末恒例企画「マイ・ベスト・ハイレゾ」にも登場いただくお馴染みの方です。今回の対談では、島氏セレクトによるシステムでの試聴を交えつつ、ハイレゾ配信されるアルバムについて、お二人に大いに語っていただきました。





取材・文◎鈴木裕

 ウィリアムス浩子のアルバム『a time for Ballads』(オリジナルはCDとして2012年リリース)と『A Wish』(同じく2013年のリリース)が、新たにリマスタリング。192kHz/24bitのハイレゾ配信用音源として生まれかわった。これらのアルバム自体について、そしてハイレゾ化による音について、ダイナミックオーディオ5555 4F 試聴室でそれらの曲を聴きながら、話を伺っていった。

・試聴システムは
 プリアンプ         :LUXMAN CL-1000
 パワーアンプ        :LUXMAN M-900u
 スピーカー         :B&W 800D3 PB
 ネットワークトランスポート :ESOTERIC N-03T
 CD/SACD PLAYER & D/A コンバーター :LUXMAN D-10X




鈴木裕(以下、鈴木) -- 浩子さんの初期の作品『a time for Ballads』はピアノと歌を中心に、ウッドベース、サックス&フルート、ギターが加わっているシンプルなサウンド。ロサンジェルスのスタジオで収録、ミックス、マスタリングされていますが、ずいぶん贅沢なアルバムですね。まずはピアニストのアラン・ブロードベント。70年代にすでにアイリーン・クラールとのデュオの名作『WHERE IS LOVE』を弾いていたり、あるいはナタリー・コールやダイアナ・クラール、ポール・マッカートニー等、数多くのシンガーの作曲や編曲でグラミー賞を2回獲得した人で、この人がまずプレイしている点。さらにプロデュース能力の高いピアニストで、浩子さんとのレコーディングのちょっと前、2010年にグラミー賞を獲得しているビル・カンリフがプロデューサーという。この作品が今までハイレゾ音源としてリリースされていなかったのが不思議なんですが、どうしてですか。

ウィリアムス浩子(以下、浩子) -- マスターのデータが24bit/44.1kHzだったので、ハイレゾじゃないと思っていたんです。これはこれで終わりだと思っていました。昨年、自分の『マイ・ルーム』シリーズをいっしょに作ってきたレコーディングエンジニアの新島誠さんに相談したところ、いいアイデアがあるということで初期の2作品をハイレゾ化しました」

鈴木 -- 具体的にはどんな作業をされましたか?

浩子 -- 24it/44.1kHzのマスターをD/A変換し、アナログプロセッサーを経由しつつ、いったん32bit/192kHzで再収録。マスターとしての体裁を整えた後に、24bit/192kHzで最終出力しています。音を良くする、作品として説得力を上げられたというポイントは、アナログプロセッサーにあるんですが、これは秘密です(笑)

鈴木 -- 自宅のシステムでも聴きましたが、CDと比較して音楽表現力やミュージシャンのリアルさなどとても良くなっています。それにしても日本において会社員として働きながらライヴハウスで歌うという活動をしていた、言ってみればまだまだマイナーな存在だった浩子さんが、どうしてアメリカでこんな贅沢な布陣のアルバムを作ることが出来たんですか?

浩子 -- 最初は、地元だった静岡のジャズ好きの仲間たちとニューヨークに行ったんです。その時に、とあるセッションで歌っていいよという機会がありました。ライヴハウスのスウィート・ベイジルでの、新人発掘の場だったんです。基本的には現地のアメリカ在住のミュージシャンたちが対象で、いいミュージシャンがいたら日本でデビューさせる、みたいな。で、私たちもミュージシャンということで一人ずつセッションの中に参加させて演奏させてもらいました。その時のピアノがジョン・ディ・マルティーノ。そして、演奏を見ていたのがビル・カンリフ。結局、ビルからも、ジョンからも「レコーディングする機会があったら自分に声をかけてくれ」というように言っていただき:連絡先を交換しましたが、心の中では「そうは言っても社交辞令かな」とはさすがに思いました(笑)

鈴木 -- 二人のプロデュース能力の高いピアニストとつながりが出来たということですね。演奏スタイルについてはどう感じていたんですか?

浩子 -- 私自身、一番好きだったのはアラン・ブロードベントでした。アイリーン・クラールとの『WHERE IS LOVE』を心の師として追いかけていたくらいです。で、実はビル・カンリフのピアノはどこかアランの世界や音を継承しているところがありました。自分としては最初にバラード集を自分名義のアルバムとして作りたいと思っていたので、ビルにお願いしたいと。で、次にアルバム制作をする時にジョン・ディ・マルディーノとやりたいと思っていました。

鈴木 -- 欲張りというか、構想だけは凄かったんですね。でも当時、レコーディングのためのお金はなかったんですよね?

浩子 -- はい。ぜんぜんなかったんです。プレゼンして、お金を出してもらえる人を探していたんですが、2年後に返してくれたら無利息でいいと200万円貸してくれた方がいました。それで出来たのがアルバム『a time for Ballads』でした。途中、紆余曲折あってビルが演奏できないことになり、その代わりにピアニストを3人紹介していただいたんですが、その中の一人がなんとアラン・ブロードベントという出会いがあったり、結局はレコーディングの直前にビル・カンリフもアレンジ、プロデュースという立場で二日間の収録に参加してもらえたり。あるいは完成したマスターデータを失ってしまって、実はもう一回、録り直していたりと、凄いことが重なりました。

鈴木 -- 自分自身で英語で交渉したり、たった一人でロサンジェルスに録音に行った話は以前も伺ったことがありますけど、今から考えるとどんなアルバムでしたか?

浩子 -- すべての始まりだったと思います。トライしていくというか、自分で生きていくということの始まりでした。一人で生きていくんだ、やりつづけるんだっていう決心、覚悟がありました。

鈴木 -- 今回、新島誠さんによってモウリ・アートワークス・スタジオで非常に興味深いハイレゾ化が行われました。音のイメージはどうなりましたか?

浩子 -- びっくりしましたね。スタジオでいっしょに作業しましたが、元のものとハイレゾ化したものを何回も比較していって、明らかに立体感が違います。リマスタリングされたものは、衝撃がありましたね。空気感というか、距離感が見えるというか。音の感触もシルキーだし。

鈴木 -- ピアノの倍音の感じなんか、鳥肌もので良かったですね。単純なアップサンプリングでは到達できない音です。音像が立体的で、特にこのアルバムではジャズとしては小さめの音像でミュージシャンの実在感が高かったです。音色感として人工的な感じがないのもいいですね。

浩子 -- 収録現場にいた時の音を思い出します。こういう音だったなぁって。




■オリジナルは2013年発表の『A Wish』

鈴木 -- そして次の作品が『A Wish』。ニューヨーク録音でした。

浩子 -- 『a time for Ballads』が軌道に乗って、お借りした200万円を返却することができました。そうしたらその翌日にまた同じ額が振り込まれまして、次の作品のためにそのまま使いなさいと。すぐに思い浮かんだのは、心に残っていたジョン・ディ・マルティーノとのアルバム作りでした。彼のアルバムもいろいろと聴いていて、ロマンティックなピアノを中心としたイメージが膨らんでいました。で、『A Wish』がスタートしました。

鈴木 -- 音楽の内容としては、スタンダードナンバーが多く、アップテンポなものも含みますね。

浩子 -- ニューヨークで収録するとなると、ピアノの鳴りも違うし、バラードですべてという内容ではないなと感じていました。ジョン・ディ・マルティーノとやるのであれば、スウィンギーなものやアップテンポのものを入れたいと思いました。

鈴木 -- 目指していたサウンドはどういうものですか?

浩子 -- ジャズと室内楽が融合したようなサウンドを目指していました。日本にミックスダウン前のマルチのマスターデータも持ち帰ってきて、そうした音作りを共有できる新島誠さんにミックスダウンとマスタリングをお願いしました。作業した場所としては、新島さんの自宅の作業スペースとあるジャズマニアの方のオーディオルームでの試聴を繰り返すという、以降、マイルーム・シリーズでも踏襲したスタイルを確立しています。

鈴木 -- 音の印象としては、『A Wish』ではミュージシャンそれぞれの音像は大きめですが、それぞれの実在感はやはり高いですね。

浩子 -- 欲しかったのはライヴで聴いているような音です。ヴォーカルだけじゃなくて、ドラムスもベースもピアノもそれぞれの演奏が聞こえてくる。耳に入ってくる時は空気でブレンドされているんですが、それでも一人一人の音が立って聞こえるような。そういう立体的で、リアルな音にしたかったです。アコースティックな響きの良さであったり、倍音の感じが出ていたりという。演奏家のアドリブの凄さとか息づかいがジャズとかクラシックでは大事だと思うんです。ミュージシャンの位置だけじゃなくて、ミュージシャンどうしが目配せしているのがわかるような、そんな音にしたいんです。クラシックでソロ・ヴァイオリンの人の体の向きを動かしているのがわかるものがありますよね。

鈴木 -- ただし、2013年に製作した時も新島さんのミックス/マスタリングであったわけで、同じ人間によるリマスタリングということになりますが。

浩子 -- はい。元の音のこともわかってミックスしてくれているわけです。そもそものニューヨークで収録した時は別のエンジニアのマイキングで、欲しい質感とちょっと違ったんです。それは私も感じていて、その違いを今回のハイレゾ化でさらにアジャストできたんじゃないかと思います。生で聴いたらこうであろうという音に、今回のハイレゾ化で近づけられました。スタジオで鳴っていたミュージシャンたちの音に、CDよりも今回のが近くなっています。特にベースのボリス・コズロフの音を聴くとそれがわかりやすいと思います。強さとやさしさとスピード感のすべてが詰まっています。技術的にタフで、揺るがないんですよ。私にとってベースは判断しやすい楽器なんです。

鈴木 -- 同感です。

浩子 -- 今までCDを持って聴いてきた方にも、是非聴いてほしいハイレゾです。




鈴木 -- 付け加えると、ウィリアムス浩子さんの自宅のオーディオは取材で何回か聴かせてもらっているが、小型のエラックをテクノクラフトオーディオデザインの真空管のアンプで鳴らす、うまくまとめてあるシステム。オーディオ好きの琴線にも訴えるような音のアルバムが多いのは、浩子さん自身がオーディオ好きなんだなと思ったこともある。今回リリースされた2作品のアルバムに限らず、オーディオ好き、音楽好きの多くの方に聴いてもらいたい音作りの所以だ。




★グラミー受賞ピアニスト2人を迎えた
珠玉のバラード集

a time for Ballads
ウィリアムス浩子
★「インディーズの奇跡」と呼ばれた名盤
待望のハイレゾ配信!

A Wish
ウィリアムス浩子




■ウィリアムス浩子 プロフィール



ウィリアムス浩子(Hiroko Williams)歌手・ジャズシンガー

2012年よりリリースしたアルバムが7作連続ジャズチャート1位を記録(amazonベストセラーランキング)。作編曲家・服部克久氏に「最高のエンジンを積んだロールスロイスが時速100kmで優雅に走るよう」と称されたその歌声は世界にも広がり始め、2018年上海インターナショナル・オーディオショーにて日本人シンガーとして初のゲスト出演。中国メディアでも取り上げられる。

CD、LP共にヒットとなった4部作アルバムMY ROOMシリーズが2017年4月19日ハイレゾ配信スタート。e-onkyo music top100アルバム(全ジャンル総合)において発売1週間で『MY ROOM side1』が2位を記録。side2~4までも全てtop10に入る快挙となった。

2017年5月、配信サイト6社選抜による2017年4月度ハイレゾ音源大賞を『MY ROOM side1』が受賞。CDが1000枚売れたらヒットと呼ばれるジャズ・シーンにおいて、自主制作ながら現在まで累計5万枚プレスを記録し、オリコンやビルボードランキングにも入るなど「インディーズの奇跡」と呼ばれる。ラジオ番組「My Favorite Jazz」OA中。




■ウィリアムス浩子 関連作品









 

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