マイ・ベスト・ハイレゾ 2020発表!

2020/12/28
今年もやります!恒例の年末企画、”マイ・ベスト・ハイレゾ 2020”!
お世話になっているライターの方々や、音楽/オーディオ業界の方々に今年一番聴いた、特に良かったハイレゾ作品を3作品ずつ選んでいただきました!
充実の内容となっておりますので、是非参考になさってください!

※今回紹介している作品の中には2020年発売でないものもあります。

また、今回もユーザーの方から応募いただく「あなたのマイ・ベスト・ハイレゾ」を募集します!
くわしくは ⇒こちら
※掲載は五十音順となります。


市川 誠(CDジャーナル編集部) select


『Mutable Set』
Blake Mills





『Sunset In The Blue』
 Melody Gardot





『Rough and Rowdy Ways』
Bob Dylan







グラミー賞を獲ったアラバマ・シェイクスの『Sound&Color』をはじめ、パフューム・ジーニアスやローラ・マーリングなどの作品にプロデューサーとして参加してきたブレイク・ミルズは、音の作りが作品を重ねるごとに緻密になっており、最新作はアナログ盤も購入しましたが、よく聴いたのは音楽の組み立てが明瞭に見えるハイレゾでした。
ラリー・クラインがプロデュース、ヴィンス・メンドーサがアレンジで、オリジナル曲と「ムーン・リヴァー」「アイ・フォール・イン・ラヴ・トゥー・イージリー」などのスタンダードのカヴァーを収録。と書くとこんな感じかなあと音のぼんやりしたイメージが湧くかと思いますが、まさにそういう音楽です。ふくよかなストリングスに彩られたオーガニックな演奏と大人味の歌を聞けます。
緊急事態宣言が出る直前に公開されてから数ヵ月、お皿を洗ったり、洗濯物を干したり、歯を磨いたりしながら毎朝聴いていたのが、ボブ・ディランの「Murder Most Foul」でした。2020年という奇妙な年を象徴する個人的な一曲です。その後、めでたくこの収録アルバムが発売され、レコードでもよく聴きました。

市川 誠 CDジャーナル編集部(いちかわ まこと)
『CDジャーナル』ウェブの連載「ハイレゾハイカラ生活」担当編集。牧野良幸さんの「こちらハイレゾ商會」は毎月第2火曜日、國枝志郎さんと長谷川教通さんの「注目タイトル Pick Up」は毎月第4火曜日に更新しています。どちらの連載も2021年で8年目に突入。ご好評いただいています。



印南 敦史 select


『later』
久保田翠


基本的には、透明感に満ちたミニマルなピアノ・アルバム。しかし実は、非常に高度で実験的な要素が盛り込まれたクリエイティヴな作品です。楽譜を上下逆さまに演奏したり、特定のパートだけ1小節遅らせて演奏するなど、さまざまなアイデアを取り入れており、それが見事に成功しているのです。とはいえ決して難解なものではなく、(僕のように)音楽理論に詳しくない人の耳にも心地よく、そして深淵な距離感を意識させてくれるところが魅力。壊れてしまいそうな繊細さをたたえたタイトル曲、そして谷川俊太郎の作品にメロディを載せた“Poem 詩”と、2曲収録された声楽曲も、全49分43秒の流れのなかにおけるちょうどよいアクセントとなっています。

『Moon Piano』
Laraaji


2度の来日経験も持つララージは、1970年代後期、ブライアン・イーノによって発掘されたマルチ・アーティスト。イーノのアンビエント・シリーズ第3弾として1980年に発表された初作品『Ambient 3:Day of Radianc』は、知られざる名作でもあります。以後もアンビエント・シーンの寡黙な要人としてコンスタントに活動を続けてきましたが、2020年に三部作と銘打ってリリースされたタイプの異なる3作品のうちの2作目がこの『Moon Piano』。明るいイメージのあった前作『Sun Piano』とは対照的な、月が光る深い闇を連想させるシンプルなピアノ・アルバム。その奥行きあるサウンドは、ハイレゾで聴くとさらに明瞭になるように思います。

『Sun Shade Live at Velvetsun 2020.2.9』
Sun Shade


サンシェードは、オーストラリア出身のトロンボーン奏者であるジェームス・マコーレーを中心に、松丸契(sax)、吉峯勇二郎(b)、吉良創太(ds)というメンバーによって構成されるピアノレス・カルテット。これは、日本のジャズの新たなプラットフォームとして注目を集めるレーベル“Days of Delight”によるライヴ音源配信プロジェクト“Naked.”からリリースされた作品。多くのクリエイティヴなアーティストが出演していることで知られる、荻窪“Velvet Sun”でのライヴ音源です。緊張感に満ちたパフォーマンスが魅力で、録音状態も抜群。あたかも現場の最前列で聴いているかのような生々しさを感じることができます。

印南 敦史(いんなみ あつし)
作家、書評家。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家として月間50本以上の書評を執筆。ベストセラー『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)を筆頭に、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)、『読書に学んだライフハック――「仕事」「生活」「心」人生の質を高める25の習慣』(サンガ)ほか著書多数。12月14日発売の最新刊は『それはきっと必要ない: 年間500本書評を書く人の「捨てる」技術』(誠文堂新光社)。6月8日「書評執筆本数日本一」に認定。音楽評論家としては、ヒップホップなどのブラック・ミュージックからクラシックまでを幅広くフォローする異色の存在。



岡田 卓也 (e☆イヤホン) select

『STRAY SHEEP』
米津玄師


2020年もっとも聴かれたといっても過言ではないアルバムの一つ。2020年8月よりサブスクリプションでの米津玄師の楽曲配信が始まり話題を集めました。誰もが耳にしたことのある楽曲が多く、サブスクリプションとハイレゾの音の違いを、ぜひ聴き比べて感じていただきたいアルバムです。ハイレゾ未体験の方にオススメです。 

「ROMANCE」
宮本浩次


エレファントカシマシ 宮本浩次が、女性ボーカル曲だけをカバーし話題を集めたアルバムが「ROMANCE」です。30年を超えるキャリアで培った歌唱力はもちろん、プロデューサー陣のアレンジ、ミュージシャンの演奏と相まって、1曲1曲に込めた想いが伝わってくる様なカバーアルバムです。「良い音楽を良い音」で聴きたいそう思わせてくれるアルバムです。 

『25周年記念アルバム シングルコレクション+ アチコチ 【K2HD】』
坂本 真綾


坂本真綾のシングルコレクションといえば、カタカナ4文字、最後が「チ」で終わる名前が付けられるのが慣習となっていますが、今回は「アチコチ」。Disc1(12曲目まで)は、2013年以降のシングルを収録しているが、ぜひとも聴いてほしいのがDisc2(13曲目以降)。これまでのコラボや楽曲提供など、アルバムになかなか収録されてこなかった曲が多く収録されました。古くは2004年から、まさに時代を「アチコチ」行き来するようなラインナップは、25周年を振り返るアルバムとなりました。イチオシはドリームズ・カム・トゥルーのトリビュートアルバムに収録された「三日月」。せつない旋律に彼女の透き通った歌声が響き、幻想的な情景が思い浮かばれます。

岡田 卓也(おかだたくや)
イヤホン・ヘッドホン専門店e☆イヤホンを運営する株式会社タイムマシン取締役兼株式会社TMネットワーク取締役副社長。イヤホンやヘッドホンを100機種以上所有し、TBSテレビ「マツコの知らない世界」に3回出演した「イヤホン王子」としても知られる。
イヤホン・ヘッドホン専門店e☆イヤホン:https://www.e-earphone.jp/



小原由夫 select


『John Williams in Vienna』
Anne-Sophie Mutter, Wiener Philharmoniker, John Williams


ハリウッド映画音楽を長年手掛けてきた90歳越えの巨匠が、あのウィーン・フィルと共演を果たしたというだけでも大きな話題なのに、とびきり優秀録音ときたものだからCDもベストセラーに!私はといえば、CDにブルーレイ、重量盤2枚組LPに、さらにこのハイレゾ音源と、ボーダーレスに楽しませていただいた今年最高のヘビロテ盤である。威厳たっぷりの巨匠の指揮ぶりもさることながら、それに柔軟に応える楽団員の丁寧なプレイも素晴らしい。管楽器のクリアネス、弦の艶やかな響きはもちろん、<スターウォーズ/インペリアル・マーチ>や<レイダースのマーチ>で低音を受け持つ楽器群の力強さは圧巻。個人的には<E.T./地上の冒険>の演奏に感涙。

『マウンテン・ダンス』
デイヴ・グルーシン


今年担当させていただいたJVC/ビクター音産のカタログ・セールのキャンペーンの選定タイトル中で最もよく聴いた1枚。国内盤や米国盤のLP、英ニンバスレコード盤などを長年愛聴してきたが、このハイレゾ音源も初期GRPレコードの録音を一手に引き受けていたレコーディング・エンジニア/ラリー・ローゼンの手腕が如何なく発揮されているのがわかる好録音盤だ。映画音楽の世界でも名を馳せたデイブ・グルーシンの佳曲が並ぶ。デビュー直後のマーカス・ミラーのベースも新鮮な響きで、クロスオーバー/フュージョン聡明期のミュージシャンの息吹と熱意がたっぷり詰まったエヴァーグリーンな名盤だ。

『イン・トーキョー&シングス・フォーク』
ヘレン・メリル


こちらも昨秋に担当させていただいたキング・レコードのカタログ・セールの中から選んだ一枚。ヘレン・メリルは一時期日本に住んでいたこともあるが、本盤はそれ以前にキング・レコードが東京で録音(1963年2~3月)したアルバムの2in1。ハスキーな声は温かみがあって独特の魅力を放ち、優れたスピーカーで再生すると、まるで目の前で歌っているようなリアリティが感じられるはず。堅実なサポートの伴奏陣も本邦ジャズ界の名手ばかりで、楽器の質感がたいそうナチュラル。「ニューヨークの溜息」と称された彼女も、御歳91歳。最近、音沙汰を聞かないが、お元気なのだろうか? 

小原由夫
年末にネットオーディオ環境を再整備。一昨年末に新たに導入したDELAのスイッチングハブS100とのベストな連携を図るべく、光ケーブル変換セットを加えたことで、インターネット環境とネットオーディオ接続を電気的にアイソレーション。結果、音のクリアネスと音場の見通しが俄然高まって大喜び。それでもやっぱりアナログを楽しむ時間が多かった2020年。LPレコードもたくさん買いました。


片寄明人 select


『ERA 1 (As Bs & Rarities 1978-1984)』
Chris Rea


英国の名シンガーソングライター、クリス・レアが1978年のデビュー曲から1984年までの全シングルA面&B面、さらにレア曲を集めた全51曲のコンピレーション・アルバムです。日本でもよく知られた1986年のヒット「On The Beach」より前の初期作品群ですが、アーリー・バレアリックAORともいえるこの時代が一番好き。既存のベスト盤ではセルフ・カヴァーやリメイクも多く、なかなか入手しづらいオリジナル・テイクが網羅されているのが貴重です。リマスターも極上の仕上がりで満点。

『Sign O' The Times (Super Deluxe)』
Prince


プリンスが1987年に残した2枚組傑作アルバムの92曲にわたるスーパー・デラックス・エディションです。DVDの映像こそ付いていませんが、パッケージ版の半値以下で、この鮮烈なハイレゾ音源が手に入るのは嬉しい驚きです。レコーディング・スタジオを覗いているかのごとく妄想が広がります。「プリンス:サイン・オブ・ザ・タイムズのすべて」を筆頭とする各種研究本を片手に、この謎めいた名盤をじっくり探求する喜びは格別。

『Workingman's Dead (50th Anniversary Deluxe Edition)』
Grateful Dead


グレイトフル・デッド、1970年の名盤に24曲のライブ音源を追加した50周年エディションです。僕がデッドにはまった80’sには「アコースティック〜CS&N化したアルバム」と実にざっくりと紹介されていたアルバムですが、ハイレゾで聴くとその不安定ゆえの奥深さ、異形のカントリー・ロックに心が空高く舞い上がりました。若い頃に聴き込んだアルバムを、ハイレゾで新たな感動と共に味わえるのは最高です。

片寄明人 ミュージシャン、音楽プロデューサー
Rotten Hats、GREAT3、Chocolat & Akitoとして数々の作品を発表。またTENDOUJI、DAOKOなど数多くのアーティストをプロデュース。毎週日曜日16時から放送中の70’s 80’s洋楽番組、NHK-FM「洋楽グロリアスデイズ」DJも好評放送中。
・https://about.me/akitokatayose







國枝志郎 select


『SLEEP IN A SYNCHROTRON』
COLOR FILTER





『Ashiato』
 山本達久





『New York (Deluxe Edition)』
Lou Reed







ハイレゾもだいぶ普通にそこにある存在になってきていることを実感した年だったが、それだけに黎明期に比べてこれぞハイレゾ! ハイレゾで聴かせるぞ! というような制作サイドの意気込みが薄れてきているように感じた1年でもあった。もちろん意気込みがあればいいというものでもない。まずは音楽ありきなのは当然なことである。今回選んだ3タイトルは、そういう点でハイレゾならではの音質と音楽性と音楽愛がバランスよく共存したものだと思う。とくにCOLOR FILTERは1998年制作のアメリカン・ローファイ・サウンド(ただしメンバーは日本人)を、ハイレゾの魔術師オノ セイゲンが2020年にDSDリマスタリングを施したもので、フィリップ・K.ディックのSFめいたタイムスリップ感が痛快だった。

國枝志郎(くにえだ しろう)
1961年生まれ。世界中の先鋭的な音楽を求め続けて50年以上。おもな仕事のフィールドはクラシックとジャズの制作畑だが、趣味の音楽はとにかく広く深くをモットーに日々各方面をDIGり中。スーパーオーディオCDとハイレゾしか聴きたくない男。


島健悟(ダイナミックオーディオ4F) select


Colors of the Wind (Cover)」
hisaka


今年試聴用として一番使用した楽曲となります。2019年12月のライブにて初めてこの曲を聴き、改めて彼女の歌声に魅了されました。今回シングルとなりますが、ハイレゾを意識した作品に仕上がっております。ギタリストのReg Schwager氏のアレンジにも是非注目していただきたい。レコーディングはカナダで行っており、音楽的にも録音的にも非常に素晴らしい作品となっております。

『Direct Cutting at King Sekiguchidai Studio』
井筒香奈江


アナログのダイレクトカッティングで一躍話題になったこのアルバム。手がけるはベテランエンジニアの高田英男。そしてそのバックにはキングレコードのベテランスタッフ。その作品をハイレゾで発売。様々なフォーマットで配信しておりますがDIFF 11.2MHz/1bitは鳥肌が立つほどリアルに仕上がっております。アナログの良さだけではなく、ハイレゾの魅力もしっかり伝わる音源です。微力ながら協力させていただいたアルバムでとなります。レコーディングの緊張感が伝わってくる最高のアルバムです。

『MY ROOM side2』
ウィリアムス浩子


12月2日にMY ROOM for Christmasをハイレゾ配信し、5作品あるMY ROOM シリーズがコンプリートとなりました。こちらのアルバムも非常に素晴らしいですが、あえてMY ROOM side2を選ばせていただきました。こちらは通年楽しめるアルバムということもありますが、このアルバムに収録された「If」は私のリファレンスの一つとなっております。彼女の優しくかつ深みのあるヴォーカル。それを引き立てるギター。その素敵な音楽をを引き立てるエンジニアの腕にも注目をして聞いていただきたい。彼女の魅力が浮かびだすアルバムです。


総評

今回女性アーティスト3名の作品をピックアップさせていただきました。新型コロナウィルスの影響でアーティストとしての活躍の場が少なくなっております。ライブだけではなく録音にも影響が出ております。応援も含めて紹介させていただきました。

島健悟 ダイナミックオーディオ4F (しまけんご)
ダイナミックオーディオ5555 4Fにて、10年に渡りデータ再生に取り組んできました。特にハイレゾに関して、利便性だけではなく、音質に着目し、お客様へご紹介、そしてご理解を頂き、多くの関連製品をお納めさせて頂きました。また、アナログに関しても多数の商品を展示し、デジタル関連と同じように皆様へご紹介させて頂きます。固定概念を持たず、様々なオーディオの魅力を感じ取って頂けるフロアを心がけています。
DynamicAudio 5555





高橋敦 select


『Cure』
 小西真奈美


俳優さんの音楽活動の中からは時折、例えば中谷美紀さんの一連の作品など、突出した作品が生み出されることがあります。小西真奈美さんのこちらの作品もそれに当たるものと言えるでしょう。素晴らしく柔らかくほぐれた声の魅力は、ロシア製のマイクで録音したという「Lost Stars」にて特に発揮されています。湿度感豊かな曲ですが、熱帯的にねっとりと湿った色気ではなく、ロンドンの霧のような雰囲気を感じさせてくれるのがポイントです。

「Better Than I Imagined(feat. H.E.R., Meshell Ndegeocello)」
Robert Glasper, H.E.R., Meshell Ndegeocello


ロバート・グラスパー氏にミシェル・ンデゲオチェロ氏、H.E.Rさんというすごいコラボレーションによる曲です。特にグラスパー氏とンデゲオチェロ氏というのは情報を聞いた時点でそれはもう最高の相性でしょ!となりましたし、実際に曲を聴いてみればやっぱり最高の相性でした。オーディオ的にも、ベースやバスドラムがサブベース的に低い帯域までの成分を含んでいることを生かし、再生機器の低域再生能力のチェックにも活躍してもらっています。

『シスターシティーズ』
早見沙織


Kenichiro Nishihara氏、横山克氏、堀込泰行氏など様々なアーティストから曲提供を受けてのある種のコラボレーション作品でもありますが、それらの曲の全てが「早見沙織の曲」として成立しているところにおいて、むしろ早見沙織さんらしさが強く表れている作品と言えるかもしれません。サウンド面では前半「yoso」「mist」「ザラメ」に注目。いずれもリバーブやエコーが音作りのポイントになっているかと思うのですが、その響きの雰囲気や質感はそれぞれまるで別。サウンドによる世界観の表現を感じさせます。

高橋敦(たかはし あつし)
ライター。オーディオを中心に、家電、エレクトリックギター、音楽など様々な分野にて製品レビューやインタビュー、企画記事等を執筆。ライフスタイルAVの分野においてはその経験を評価され、音元出版主宰アワード「VGP」分科会審査員も務める。





田中啓文(Stereo Sound ONLINE)select


『1984』
 Van Halen


今年、残念ながらがんのためこの世を去った、天才ギタリスト エドワード・ヴァン・ヘイレン率いるヴァン・ヘイレンの「1984」。エディのツボを押さえたギタープレイはもちろんですが、楽曲も名曲ぞろいの名盤アルバム。ヴァン・ヘイレン初心者にお勧めの一枚です。加えて、楽曲には当時最先端のシンセサイザーなどの音色もふんだんに取り入れられており、音場の広がりなどハイレゾ音源とCDの音の違いも聴き取りやすく、ハイレゾ音源としても名盤!

『TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」2nd seasonオープニングテーマ「Realize」』
鈴木このみ

TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」 2nd seasonのOPテーマから「Realize」を選出。鈴木このみは2020年夏シーズンに、2つのアニメの主題歌を担当するという快挙を成し遂げた、若手アニソンシンガーの筆頭。私がアニソンが好きな理由は、メタル風あり、JAZZ風あり、ミニマル風ありと、どんなジャンルも取り込む懐の広さ。この「Realize」もDjentと呼ばれる最先端のギタートレンドを取り入れながらも、見事にアニソンの枠に収まっている。個人的にもこのアニメのファンだったので、彼女の歌声がそのストーリーと相まってめちゃくちゃ心に響きました。

『ERA』
RAISE A SUILEN


「BanG Dream!」から生まれた第3のリアルバンド RAISE A SUILENの「ERA」。基本的には声優バンドではありますが、元々楽器の上手いメンバーが集まって出来たバンドなので、みな演奏が抜群に上手い!さらにそんな凄腕バンドを唯一無二にしているのが、DJメンバーのチュチュ(CV 紡木吏佐)の存在。とにかく楽曲中、ひたすらアニメ声で煽ります(笑)。ガチのハードロックファンにもお勧め!声優バンドと侮ると痛い目に合いますよ。

田中啓文 Stereo Sound ONLINE (たなかひろふみ)
オーディオ雑誌編集部のインターネット部門を支える1児のパパ。良く聴く音楽はハードロック/ヘヴィメタル、アニソン、たまにクラシック。エレキギターの音色が好物で、アンプで歪ませたエレキギターの音を、いかにして歪ませないアンプ+スピーカー(イヤホンも)でピュアに聴くかという、矛盾した命題に挑み続けている。
Stereo Sound ONLINE



筑井真奈(PHILEWEB)select


『STRAY SHEEP』
米津玄師


今年のオーディオリファレンス音源として、実は一番活用していた米津玄師の「Flamingo」。シングルとしては2018年の発売だが、今年8月に発売になったアルバム『STRAY SHEEP』で改めてその魅力に嵌まり込んでしまった、ということで今年のセレクションに。特に「Flamingo」は日本語を翻弄するような歌詞、編曲の遊び要素も面白いが、このサビを聴くたびに、「深淵を覗くとき深淵もまたこちらを覗き込んでいるのだ」というニーチェの言葉を思い出す。この底知れぬ闇の深さは、優れたオーディオ機器で聴くほどに深まっていく。ようにも感じられる。スピーカーが消え、音楽によってしか表現し得ない闇そのものと対峙させられる。だがその闇が深く暗いほど、癒しと救いもまた深い。

『Direct Cutting at King Sekiguchidai Studio』
井筒香奈江


昨年9月に行われたキング関口台スタジオでのダイレクトカッティング、その時に同録で回していた音源がハイレゾでも配信されている。しかも、DSDだけで4パターン配信されており、DSFの11.2MHzと、5.6MHz、そしてDIFFの11.2MHzと5.6MHzというこだわり(もちろんPCMでの配信も)。頭とお尻のカットは行われているというが、音楽の内容部分はまったく無編集の1発録音。フォーマットの聴き比べという意味でも面白く、DIFFではひとつひとつの楽器の粒だちや表情がよく見え、DSFでは高いスタジオの空気感、現場感が前面に出てくるように感じられる。同じDSDでもこれほどの音の違いがあるのか、という意味でも画期的な音源。

『Bach Parallels』
Makoto Nakura


NYを拠点に世界的に活躍するマリンバ奏者、名倉誠が、香港の高音質レーベル「Evosound」から発売した『Bach Parallels』。パッサカリアなどJ.S.バッハの作品と、現代作曲家がバッハからインスパイアされた楽曲で構成されており、現代と過去をバッハという縦軸で「パラレル」に繋ぐ意欲的な作品。特に東京カテドラルで主録された、上方向に広がっていくマリンバの余韻の美しさは特筆すべきものがあり、システムごとの個性や表現力を明らかにしてくれる。また男性的で肉体美を感じさせる強力なバチ捌き、エッジの立った音の輪郭やマレットごとの音の違いも面白く、まさにハイレゾでこそ味わえる旨みがある。

筑井真奈 PHILEWEB AUDIO副編集長 (ちくいまな)
オーディオ&ビジュアル専門サイト「PHILEWEB」の中でも、特にクオリティ軸を中心にオーディオ製品の魅力を紹介するPHILEWEB AUDIOの副編集長を担当。2020年もっとも感銘を受けた言葉は、エソテリック先代社長大間知氏に言われた、「オーディオは知性と教養を以って聴くものです」。
PHILEWEB



西野 正和 select


『On Vacation』
Till Brönner, BOB JAMES


連載公開後にランキング圏外から一気にランク1位を獲得したことが強烈に印象的でした。サウンド、プライス、ジャケット、そして何より音楽的に素晴らしいという、長い連載の中でも稀有な存在。


『Direct Cutting at King Sekiguchidai Studio』
井筒香奈江


もう参りましたの一言。音楽的な好みはさておき、音質だけなら世界最高峰のハイレゾ音源であることには間違いありません。


『26th Street NY Duo』『27th Avenue LA Trio』 
神保彰



この時代になっては夢のように感じる、貴重な海外レコーディング作品。また自由に海外渡航できる日が来ますように!









西野 正和(にしの まさかず)
3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー 株式会社レクスト代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と 再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセ レクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』をプロデュース。連載 『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』 は、いよいよ8年目に突入。こんな時代でも素敵な音源を届けてくださった皆さんに、最大の感謝を!


 

長谷川教通 select


『Beethoven Around the World: Tokyo, String Quartets Nos 9, 13 & Grosse fuge』
Quatuor Ébène





『ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ集③ハンマークラヴィーア&告別』
河村 尚子





『Bach Parallels』
Makoto Nakura







ベートーヴェンのメモリアル・イヤーで続々と新しい録音が登場したが、それらの中からエベーヌ四重奏団が世界の各都市を巡って全曲演奏したライヴ録音を選ぼう。東京で収録された第9、13番。圧倒的なスピード感とエネルギー。一糸乱れぬ合奏力と音楽表現。そして河村尚子が2年の歳月をかけて取り組んだプロジェクトから、最新の「ハンマークラヴィーア」。ダナミックで繊細。各フレーズのコントラストが鮮やか。録音もいい。名倉誠人がマリンバで弾いたバッハ。これは再現というより再創造といったほうがいい。強烈な個性を放つ演奏。しかもイマーシブオーディオを意識した13ch収録だ。東京カテドラルでの空間情報……ぜひAuro-3Dで聴きたい。

長谷川教通(はせがわのりみち)
クラシック音楽&オーディオの研究・評論。SP、LP、CD、DVD、Blu-ray、ハイレゾへ……それぞれの時代で最上の演奏が記録されている。それらをハイレゾで聴く。現代の演奏家も過去の巨匠たちに負けてはいられない。音楽は空間を震わせる三次元の世界。それをマイクロフォンの小さな振動板で二次元の電気信号に変換し、スピーカーで三次元の音響空間を再現。これが難しい。いくらコストをかけて電気信号に忠実なスピーカーを作っても良い音がするわけではない。だから、スピーカーは自分で作る。夢に出てくるくらい納得がいくまで調整する。これからは三次元空間を実現するためのイマーシブ・オーディオだ。まだまだアイディアと工夫と試行錯誤は続く。


原 典子 select


『Labyrinth』
Khatia Buniatishvili


先の見えない不安が世の中を覆う日々、『ラビリンス(迷宮)』と題されたカティア・ブニアティシヴィリのアルバムが、心静かになる時間をもたらしてくれた。バッハ、ショパンからリゲティ、グラスまで、時代を超えてセレクトされたコンセプト・アルバム。一つ一つのピースに、そこに置かれた必然性があり、ブニアティシヴィリの透徹したタッチと研ぎ澄まされた感性が全体をまとめ上げている。冒頭のモリコーネ「デボラのテーマ」での柔らかなメロディに、張りつめていた心身がふっと緩む。ケージ「4分33秒」も収められているが、まさに「静寂を奏でるピアノ」である。

『Beethoven Around the World: The Complete String Quartets』
Quatuor Ébène


ベートーヴェンの生誕250周年を祝った2020年、多くのコンサートは中止となってしまったが、幸いにして録音を通して、この大作曲家のさまざまな「顔」に触れることができた。なかでも最大の収穫はエベーヌ四重奏団による弦楽四重奏曲全集。アメリカ、ヨーロッパ、アジア、南米、アフリカまで、2019年から2020年頭にかけて行われた世界ツアーからのライヴ録音で構成されている。深い呼吸から生まれる表現には、生気が満ちあふれ、すみずみにまで血が通っている。友と冗談を交わし合い、激しい恋をし、病との闘った「人間ベートーヴェン」を間近に感じることができる。

『A very chilly christmas』
Chilly Gonzales


今年出会った、自分史上最高のクリスマス・アルバム。訥々と語りかけるような『Solo Piano』三部作で、ジャンルを問わず多くのファンを魅了した鬼才チリー・ゴンザレスによるカヴァー集。「きよしこの夜」「ジングル・ベル」といったおなじみの曲が、ゴンザレスの手にかかるとマイナー・キーに反転。ポジとネガのように、異なる風景を見せてくれる。盟友ファイストを迎えたオリジナル曲「バニスター・バウ」も絶品。ごく親しい友人を招いて、ささやかに祝う都会のクリスマスにぴったりの一枚だ。

原 典子(はら のりこ)
音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。鎌倉出身。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在は子育てをしながらフリーランス。音楽雑誌・Webサイトへの執筆のほか、CDライナーノートの執筆や翻訳、演奏会プログラムやチラシの編集、プレイリスト制作、コンサートの企画運営などを行う。坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を2018年まで担当。脱ジャンル型雑食性リスナー。あっちとこっちをつなげる仕事が好きです。



原雅明 select


『Sunset In The Blue』
 Melody Gardot


今回のベストは、内容はもちろん、ハイレゾとして聴いて素晴らしい音源を選んだが、本作はヴィンス・メンドーサのアレンジとラリー・クラインのプロデュースが光っている。メロディ・ガルドーの声の引き立て方が見事だ。リモートで制作されたそうだが、それ故の凝ったプロダクションがプラスの方向に働いた作品だとも思う。ポルトガルのシンガーソングライター、アントニオ・ザンブージョのフィーチャーも効いている。

『Who Are You?』
Joel Ross


ピアニストのシェイ・マエストロが「音符が部屋の中を飛び交うよう」とその演奏を称した若きヴィブラフォン奏者ジョエル・ロスのBlue Noteから2作目となる本作も、ハイレゾでその良さが引き立つアルバムだった。現代ジャズのアンサンブルでアップデートされたヴィブラフォンの透明感ある響きを聴くことができる。ミックスとマスタリングはデイヴ・ダーリントン。ジャズの録音も当然時代の流れと無縁ではないが、今年はより繊細な音響を捉えた作品が多かった。

『You Already Know』
Ted Poor


ジャズ・ドラマーとしてだけではなく、インディロックのシーンでも活動してきたテッド・プアがImpulse!からリリースした本作は、ブレイク・ミルズのプロデュースによって、ジャズに新たな音響空間をもたらした。アメリカーナからアンビエントまで再構築するミルズの手腕は、プアのドラムとアンドリュー・ディアンジェロのサックスのみの演奏も、ECM的なミニマリズムとは違う響きを作り出した。本作をレコードでも手に入れて聴いたが、優越付け難い出来だった。

原雅明  (はら まさあき)
音楽ジャーナリスト/ライターとして執筆活動の傍ら、音楽レーベルringsのプロデューサーとして、新たな潮流となる音楽の紹介に務める。また、LAのネットラジオ局の日本ブランチdublab.jpのディレクターも担当。ホテルの選曲やDJも手掛け、都市や街と音楽との新たなマッチングにも関心を寄せる。早稲田大非常勤講師。著書『Jazz Thing ジャズという何かージャズが追い求めたサウンドをめぐって』(DU BOOKS)ほか。






牧野良幸 select


『It's Only Rock 'N' Roll[2009 Re-Mastered]』
The Rolling Stones


ローリング・ストーンズの『イッツ・オンリー・ロックン・ロール』(1974年発表)をハイレゾ(flac 44.1kHz/24bit)で聴いたらすごく気に入ってしまった。このアルバム、かつてLPで買った時はほとんど聴かなかった。ジャケットの絵が“オレ様”なので、軟弱なストーンズ・ファンとしては腰が引けたのかもしれない。でもハイレゾで音楽だけに集中して聴いたらすごくよかったのだ。今年は『山羊の頭のスープ』の新ミックスが出て話題となったけれど、同じ時期のストーンズなら『イッツ・オンリー・ロックン・ロール』のほうが断然好きになってしまった。ミック・テイラーのギターがカルロス・サンタナ風の「タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン」が気に入ったせいかもしれない。『イッツ・オンリー・ロックン・ロール』も新ミックスで出てくれないかな。

『Mozart: Piano Concertos Nos. 20 & 21』
Friedrich Gulda, Wiener Philharmoniker, Claudio Abbado


フリードリヒ・グルダがクラウディオ・アバド&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と録音したモーツァルトの協奏曲がハイレゾ化(flac 192kHz/24bit)。有名なピアノ協奏曲第20番と第21番(1974年録音)を収録。ここでグルダは独特の装飾音をつけて演奏している。グルダというとジャズも演奏する鬼才ピアニストだけに、大胆で自由奔放な演奏かと思いきや、じつにモーツァルトらしい演奏だった。これくらいがちょうどモーツァルトにふさわしいと思ったほど。グルダの演奏を聴くと、もうほかのピアニストで聴けなくなる可能性がある。ピアノ協奏曲第25番と第27番を収録したアルバム(1975年録音)もハイレゾで出たが、こちらも良かった。

『GIMME SOME TRUTH.[Deluxe]』
John Lennon

「こちらハイレゾ商會」の第85回で取り上げたが、2020年のベストというとやはり新ミックスによるこのハイレゾを入れたい。ヴォーカルなど格段に存在感が出た。本作を聴いて、これからはマスタリングよりも、ミックスから新たに制作する新ミックスの方がいいのではないかと思ったくらいだ。これまで新ミックスはオリジナルを変えることでもあるから抵抗感があったが、この『GIMME SOME TRUTH.』を聴いてそれがなくなった。そればかりかクセになりそうである。このハイレゾ以降、アナログ・レコードを聴いていると、それがたとえオリジナルUK盤でも音に不満をおぼえ、“新ミックスから制作したハイレゾを聴きたい”と思うようになってしまった。

牧野良幸(まきのよしゆき)
1958年 愛知県岡崎市生まれ。イラストレーター、版画家として活動するかたわら、音楽や映画に関するイラストエッセイも執筆中。単行本に『僕の音盤青春記 1971-1976』(株式会社シーディージャーナル)ほか多数。最新刊として『少年マッキー 僕の昭和少年記 1958-1970』(株式会社シーディージャーナル)を2020年10月に出版。WEB連載にサライ.jpの「面白すぎる日本映画」など。

公式ホームページ http://mackie.jp
ツイッター @makinoyoshiyuki


山崎 健太郎(AV Watch)select


『STRAY SHEEP』から「感電」
米津玄師


言わずとしれた、米津玄師の5thアルバム。収録曲も「Lemon」、「Flamingo」、「TEENAGE RIOT」、「海の幽霊」、「馬と鹿」、Foorin「パプリカ」のセルフカバーなど説明不要の話題曲が並ぶが、オーディオ的に面白いのはドラマ「MIU404」の主題歌でもあった「感電」。冒頭トランペットからスタートし、その後はコーラスとベースが心地よく続くが、注目はそこを土台として空中に乱舞するSEの数々。ビデオゲーム風の効果音から金属製の食器か何かを叩いたような音まで、おもちゃ箱をひっくり返したように様々な音が登場する。それらの音の質感、輪郭、空間での定位など、再生するオーディオ機器の実力をチェックするにも最適だ。

「ROMANCE」から「赤いスイートピー」
宮本浩次


類まれな歌唱力を持つエレファントカシマシ・宮本浩次、初のカバーアルバム。それだけで注目だが、収録曲が「赤いスイートピー」、「木綿のハンカチーフ」、「喝采」、「ジョニィへの伝言」、「恋人がサンタクロース」、「First Love」など、全て女性が歌った楽曲というのも驚く。聴いてみてさらに驚愕、これが最高にイイのだ。ヘッドフォンやスピーカーなどの実力は、日常生活で聞き慣れた“人間の声”がシンプルに味わえる楽曲を再生するとわかりやすい。いつもは女性ボーカルで試すが、最近はこのアルバムから「赤いスイートピー」を再生する。深く沈むベースラインと、男性ボーカルならではの音像の肉厚さ、そして歌詞が心の奥に染み渡るような表現力。これがしっかり味わえれば、そのオーディオ機器は本物だ。

『Continuum』から「Waiting On the World to Change」
John Mayer


ハスキーなボーカルと、情感豊かなメロディーライン、そして圧倒的なギタープレイ。シンガー・ソングライターであり、ブルースギタリストでもあるJohn Mayerは、ロックやポップス的な聴きやすさも兼ね備えているのが魅力だ。そんな彼が、Steve Jordanと共作したのが「Waiting On the World to Change」。ゆったりとしたビートに解像度の高いギター、全体に漂うアーバンな雰囲気が週末のドライブや、仕事終わりにまったりしたい時にピッタリ。試聴でガッツリ音楽と対峙した後に、ソファに体を沈め、BGM的に楽しみたい1曲。ちなみにライブ盤もいいです。

山崎 健太郎(やまざきけんたろう)
好きな音楽や映画をより身近で便利に、時には最高のクオリティで! そんなオーディオ・ビジュアル趣味の楽しさを日々お伝えする総合情報サイト AV Watch編集長。最近では映像・音楽配信や映画作品、映画館情報にも力を入れています。アニメ系記事も多いのは編集長の趣味です。
AV Watch:https://av.watch.impress.co.jp/


山本昇 select


『雪墨』
藤本昭子, 佐藤允彦


地歌・箏曲といった日本の古典音楽と、西洋音楽の権化とも言うべきピアノの邂逅……。地歌箏曲演奏家の藤本昭子とジャズピアニスト佐藤允彦という異色の組み合わせから生まれた『雪墨』は、2020年の新作として最もエキサイティングかつスリリングだった作品の一つ。様式美を極めた歌と三弦や筝に、冴えたピアノが即興的に切り込むことで浮かび上がる情景の、この美しさ、儚さはどうだろう。エンジニア高田英男氏による極上のリバーブは、1曲目「黒髪」の出だしから聴く者を別世界に誘う。ハイレゾでこそ味わいたい本作は、“新しい音楽の響き”を探しているリスナーにも強くお薦めしたい傑作だ。詳細はインタビュー記事をどうぞご覧ください。

『Circle Round』
Tomonao Hara Group

ジャズ作品の白眉はベテラン・トランペッター原朋直率いるグループの新録音『Circle Round』だ。世代を超えて集った6人が展開するのは、世界的なニュージャズの潮流にも呼応するサウンドとも言えそうだが、リーダーの原にそんな気負いはなく、いたって自然体。“地球・宇宙・愛”といったスケールの大きなテーマに向かってグループ一丸、鋭く切り込んでいく。録音とミックスはミック沢口氏。Studio Tantaでとらえたクリアな音場で、各楽器が存分に躍動する様が心地いい。最後の「Cosmic Microcosm」で原は初の作詞を手掛けボーカルも披露。いい曲なんだ、これがまた。詳細はインタビュー記事をどうぞご覧ください。

『ココロの時間』
藤田恵美


今年もe-onkyo musicのサイト上でたくさんのアーティストやエンジニアにお話を伺った。どの作品も、それぞれに聴きどころがあり、寄せられた印象深いコメントはそのサウンドをより深く味わうための大きなヒントとなった。ボーカリストによる良作にも恵まれた2020年、ここでは藤田恵美の『ココロの時間』を取り上げたい。「セクシィ」、「白いブランコ」、「帰れない二人」、「パレード」、「ケンとメリー ~愛と風のように~」、「チェリー」など男性ボーカリストの歌ばかりをカバーした本作は、藤田の歌唱もバックの演奏も録音も素晴らしく、曲が持つ歌心を全く別の角度から引き出している。詳細はインタビュー記事をどうぞご覧ください。

山本昇(やまもと・のぼる)
音楽誌、オーディオ誌などの編集を経てフリーランスの編集者・ライターとして活動。編集を担当した書籍に『ああ詞心、その綴り方』(鈴木博文著)、『THE DIG presents ハイレゾ音源ガイド』、『Ciao! ムーンライダーズ・ブック』、『50年目に聴き直す「ホワイト・アルバム」深掘り鑑賞ガイド』、『50年目に聴き直す「アビイ・ロード」深掘り鑑賞ガイド』など。Webメディアでは「A Taste of Music」の構成を手がけるほか、「e-onkyo music」NEWSコーナーでのインタビュー記事でも一部、編集・執筆を担当している。



和田博巳 select


『RS5pb』
 類家心平


前作『UNDA』から4年ぶり、類家心平待望の新作。5人のメンバーは2013年のファーストアルバム以来不動で、以心伝心の緊密かつ自由奔放なバンドサウンドが炸裂する。1曲目は類家の凶暴なワウワウ・トランペットに、思いきり音を歪ませたエレクトリックギターが切り込む激烈な演奏。後方からバンドを煽り立てるローへヴィーなドラムも最高だ。「Dada」の妖術的なサウンドは最高にクールだし、「レディ・ジェーン」はおなじみストーンズ・ナンバーだが、類家のミュートトランペットは孤独感を漂わせて味わい深い。4人のゲスト迎えて、いつもながらの気合の入った本作は決して期待を裏切らない。録音とマスタリングも完璧だ。

『Time Remembered』
須川崇志バンクシアトリオ

ピアノ・トリオのファンならば、冒頭のビル・エヴァンス作「タイム・リメンバード」を聴いただけで瞬時にこのトリオの魅力に囚われるはず。須川崇志のベースに、林正樹のピアノ、石若駿のドラムスという才能豊かな3人が集結した「バンクシアトリオ」のデビュー作だ。表題曲以外は全て3人のオリジナル曲だが、どの曲も透きとおって瑞々しくセンシティブ。川面に光る陽光がキラキラと群れ遊ぶような3人の以心伝心ぶりに魅了される。ppからffまでダイナミックレンジの大きな録音は、ベースの弦の震えやボディの鳴りがリアル。ピアノの余韻は空間に滞空時間長く漂い、スピード感満点のドラムは繊細さとともに強靭なビートを伝える。

『El Cielo 2020 - ASTOR PIAZZOLLA』
El Cielo 2020, 桜井大士, 橋本專史, 金森基, 高木梢


ヴァイオリン、チェロ、コントラバス、ピアノからなるピアノ四重奏団のデビューアルバム。プレスリリースには「クラシック、タンゴ売り場のほか、ロック、ジャズ売り場での販売も推奨」とあった。ピアソラの音楽は基譜面に書かれたものを演奏するのでクラシカルと言えるし、クラシック界でピラソラ作品を演奏する人も少なくない。しかし個人的見解だが、クラシックの演奏家によるピアソラ作品は、概してスタティックでエモーションに欠けるものが少なくない。その点El Cielo 2020の演奏はスピード感があり、熱量の高さも十分。ピアソラの代表曲がずらりと並ぶ本作はロックやジャズのファンにもぜひとお勧めする。録音も素晴らしい。

和田博巳 (わだ ひろみ)
1948年生まれ。1968年から2年間、新宿のジャズ喫茶「DIG」に勤務。
1970年に高円寺にジャズ喫茶、その後ロック喫茶となる「MOVIN’」をオープン。
1971 年に<はちみつぱい>というバンドにベーシストとして加入。
1984年、ピアニストの松岡直也のマネージャーに就任。翌年中森明菜「ミ・アモーレ」を企画して大ヒット。
1985年、細野晴臣のマネージャーに就任。細野晴臣のノンスタンダード・レーベルで、ピチカート・ファイヴのデビュー・12インチと2ndの12インチ盤を製作。
1987年からフリーのプロデューサー。「バンドネオンの豹」に始まる あがた森魚のコロムビア3部作をプロデュース。『バンドネオンの豹』は「朝日新聞」と「ミュージックマガジン」の両誌で年間ベスト第2位に選ばれる。その後はオリジナル・ラヴやコレクターズ、ヒックスヴィル、早川義男、大月ケンヂ、高田渡、他多くのアーチストのアルバムをプロデュース。
現在はオーディオ評論家 &(パートタイム)バンドマン、「フジロック2016」にははちみつぱいで出演。 





◆【e-onkyo musicの日】マイ・ベスト・ハイレゾ 2019!は  ⇒こちら

 | 

 |   |