「Re:ステージ!」コンセプトミニアルバム『Chain of Dream』配信記念スペシャルインタヴュー!

2020/12/16

2015年の連載開始以来、楽曲のリリース、ライヴ、ゲーム、TVアニメなど様々な展開を続けてきた『Re:ステージ!』。約1年ぶりとなる待望の新曲が5曲入りのミニアルバムとしてリリースされた。コロナ禍によるイベント開催の延期にも見舞われた2020年の最後にファンのもとへ届けられた『Chain of Dream』は、ステラマリス、オルタンシア、トロワアンジュ、テトラルキア、KiRaReの5組のユニットの新曲がそれぞれ1曲ずつ収録された編成となっている。今回、ポニーキャニオンのプロデューサー椿本康雄氏と、KiRaReの楽曲を手掛けている作曲家の伊藤翼氏のお二人にオンライン・インタヴューに応じて頂けた。

◎Interview & Text; e-onkyo music


■イベントで初披露する予定だった“繋がる”をテーマにした楽曲たち


―「Re:ステージ!」作中の5グループのそれぞれの楽曲が収録された本作『Chain of Dream』の制作の背景はどのようなものだったのですか?


椿本:収録されているこの5曲は、もともと今年の春に予定していた「Re:ステージ!ワンマンLIVE!!~Chain of Dream~」で初披露する予定で制作していました。残念ながらコロナ禍で延期になってしまったんですが、公演で歌えるまで1年以上間が空いてしまうので先にミニアルバムとして音源化しようということでリリースした作品です。『Chain of Dream』という言葉はそのイベントのサブタイトルから来ているのですが、本来であればイベントが実施された後、今年の初夏頃に発売しようと考えていました。

―そういうことだったのですね...。

伊藤:色々と制作のスケジュールにも変更があって、特にKiRaReの「We Remember」はコロナ禍の後になってから作った曲なので、歌詞の意味合い的にも今の状況に寄り添ったものになっています。

椿本:元々予定していた公演の順番(ステラマリス、トロワアンジュ、テトラルキア、オルタンシア、KiRaRe)で制作を進めていて、それぞれのグループのテーマで“繋がる”という点をコンセプトにしていました。

伊藤:大きな括りでの“繋がる”というテーマがあり、もちろんファンとの繋がりという意味合いでもあったんですけど、それ自体もコロナ前とコロナ後では変わってきたと思うんです。「We Remember」ではそれをどう楽曲に落とし込むかというのを、作詞家の田淵智也さんともよく話し合いました。

―“繋がる”という言葉に込められたコンセプトや想いは、そもそもどのようなものだったのですか?

椿本:イベントのサブタイトルであった『Chain of Dream』という言葉も、実はもの凄く悩んで決めたもので(笑)。こういうサブタイトルってイベント自体のコンセプトに関わってくるので非常に神経を使います。言葉としてこういうものを掲げることでイメージを狭めたり固定してしまったりすることもありますからね。最終的に決まった言葉は結構ストレートなものですが、ここに至るまでは長かったです。5つのグループを繋いでいくようなイベントの演出とも絡めて考えていました。

―それが、まさかこういう形で先に音源化されて世に出る事になるとは。

椿本:本当にそうですね(苦笑)。

伊藤:元々イベントまで完全に極秘裏に進めていたんですよね。突如ステージで新曲が披露されるという予定でした。

―たしかに、どの曲もタイプは違えどライヴ映えする様子が目に浮かぶようです。

伊藤:ライヴ映えは強く意識していましたよね。

椿本:うんうん。



■こういう世界だからこその繋がり方って何だろう?

―伊藤さんが手掛けたKiRaRe「We Remember」はコロナ禍の中で作られたものですが、この状況が楽曲に影響を与えたとしたらどのような点ですか?

伊藤:“繋がる”というコンセプトはもちろん制作に取り掛かる以前から聞いていたんですけど、この「We Remember」を作っていたのは緊急事態宣言の最中でした。もしコロナの前に曲を作っていたとしたら、もっと距離感が近いものになっていたと思います。元々は“より強い繋がり”を表現するつもりだったんですが、コロナ禍で会えない期間がどんどん伸びていく状況があって。椿本さんに「ライヴはいつなんですか?」って聞いても「まだ分からない」と回答されるばかりの先が見えない状況の中で取り掛かったので、「こういう世界だからこその繋がり方って何だろう?」というのをよく考えていました。その点は作詞の田淵智也さんに相談したところでもありました。

―なるほど...。

伊藤:このインタヴューみたいにリモートで繋がるものもあるけれど、今まで直接会っていた人たちとは物理的な距離が開いてしまうし。遠くなってしまった距離からどう繋がるか?みたいなことを田渕さんとはよく話していましたね。

―こういう状況ですし、制作自体も物理的な制限があったと思います。

伊藤:制作過程で接触する機会を最小限にはしていましたね。元々椿本さんとの対面の打合せって、実はコロナ前からそんなに多くなかったんですけど(笑)

椿本:そうね(笑)ほぼLINEでのやり取りだけです。昼夜問わずポチポチ送りあって。

伊藤:簡単な音源のやり取りもできるし、文字で伝わりにくければ電話で話せば大抵はそれで済みますね。

椿本:直接会うのは収録の時かお酒を飲む時だけって感じでしたね、以前から(笑)

伊藤:「収録とお酒」という一番大事なところだけですね(笑)

―図らずもコロナ前からコロナ対応スタイルだったんですね!

伊藤:そうですね。今回はエンジニアさんとリモートでやり取りしたり、ミュージシャンの方ともオンラインでリアルタイムにディレクションをしながら自宅の環境でレコーディングしてもらいつつ進めました。2年くらい前に自分のスタジオを作ったので、どうしても対面が必須になる歌録りでも感染症対策を自分でコントロールしやすい環境があったのも大きいですね。


■KiRaReと伊藤翼、挑戦者としての共通点


―原作から色々なメディアを経て広がってきた「Re:ステージ!」という作品ですが、核になっているのはやはり音楽だと思います。作中の5つのグループの音楽的特徴をあえて挙げるとしたら?


椿本:物語の中の立ち位置という意味で、コンポーザーもそれぞれ変えてはっきりグループごと方向性を分けるようにはしています。「Re:ステージ!」という枠の中で5つのアイドルグループのプロデュースをしている感覚ですね。

伊藤:僕はKiRaReのソロ曲を除いて全ての楽曲を担当していますが、5組の中では一番人数も多いし、6人の声質もそれぞれバラバラで歌うニュアンスもかなり幅があるんですよね。だからKiRaReに関して言えば、おもちゃ箱的なサウンドが自分の中の一つの基準です。テーマパークというか、楽曲の中で色々なゾーンとヴァリエーションを楽しめるようにしています。

―例えば、もし伊藤さんがKiRaRe以外のグループの楽曲をまとめて何曲か担当するとしたらどのグループをやってみたいですか?

椿本:あー(笑)トロワアンジュはもう書いてるし...

伊藤:ステラマリスは書いてみたいかも!すごくリズムが強いユニットだし、訴えかけてくるメッセージ力も最強と言われているので、チャレンジしてみたいですね。僕自身もリズムの強い曲は好きだし、KiRaReでやっている1曲の中でヴァリエーションを持たせた楽曲とは違った「直線的なパンチ力」みたいな部分は魅力的ですよね。ステラマリスはそこが楽しいんじゃないかなって思っています。

椿本:なるほど。ステラマリスは俊龍さんや久保正貴さんみたいにある程度コンポーザーを固定しているんですが、2人にはいつも「最強の曲をお願いします」みたいなオファーを出してるんです(笑)物語としても最強のユニットとして存在しているので、楽曲にもその説得力が必要ですからね。「最強とは?」って悩ませてしまっているだろうなと思いつつも。

―たしかに、物語上「最強」と位置付けることはできても、視聴者側にそれを音楽として納得させるのは難しそうです。

椿本:そうなんですよ。もちろん楽曲に優劣なんて存在しないですけど、その上でイメージとしての最強を崩さないものであってほしい。

伊藤:最初の曲である俊龍さんの「Stage of Star」もまあ強い曲ですからね(笑)“絶対に耳に残してやるぞ!”っていう圧が強力なメロディーライン。一方で自分その頃に書いてた曲って「Startin' My Re:STAGE!!」とか「リメンバーズ!」とか、サウンドで言うとジャズやラテンの要素を混ぜたちょっと軽めで楽しい感じのものでしたけど、俊龍さんの曲はイントロやメロディにしっかりパンチがあって。“ジャンルがどうこうじゃない、これは見習わねば!”と強く思いました。

椿本:俊龍さんは最初にご一緒した当時からすでに色々な方に楽曲を提供していて。作家のキャリア的に俊龍さんに対して伊藤翼が挑戦者というような感じもあって、挑戦者KiRaReと奇しくもシンクロしているという(笑)

伊藤:俊龍さんだけじゃなく他のユニットの作家陣もみんな有名な方ばかりで(笑)負けないように頑張ろうといつも思っていました。


■全員が手探りだったKiRaReの音楽作り


―伊藤さんとKiRaReの初対面はどんな感じだったんですか?


伊藤:オーディションから見させて頂いていたので、対面としてはそれが初めてだったかな?まだその時点ではどの方が合格かも知らされていなかったので、KiRaReだっていう認識は無かったんですけど。だからKiRaReとして、という意味では「Startin' My Re:STAGE!!」のレコーディングが最初ですね。

椿本:そうですね。

伊藤:みんな当時はまだこの世界に入ったばかりで、人によってはレコーディングの作法や機材の扱い方みたいなものもよく知らないし、自分の歌唱も出来上がっていない状態でした。一方僕らもまだイメージみたいなものも固まり切ってなかったので、その場にいた全員が手探りの状態から作り上げていった現場でしたね。

椿本:今はソロとしても活動している鬼頭明里も、この時がほぼ初めてくらいの歌録りだったのかな…?確かな事は本人に聞いてみないと分かりませんが(笑)少なくとも、鬼頭さんに限らず皆まだまだぎこちなかったのは覚えてます。

伊藤:音楽的には当時から凄く自由にやらせてもらっています。自分がその時々でやりたいと思っている音楽的なアプローチを受け入れてくれて、KiRaReの現場での経験が凄く自分を成長させてくれていますね。自分の作家としての基盤になっていると思います。

―同じく椿本さんがプロデュサーを務めている鬼頭明里さんのソロ楽曲、「キミのとなりで」は伊藤さんの作編曲ということで、KiRaReから綺麗につながっていますね。


伊藤:そうですね、鬼頭さんの「キミのとなりで」では、自分が今一番書きたい楽曲を作ることが出来たので、それもこの「Re:ステージ!」の現場があってこそです。



■お互いの勘所が分かる関係性ならではの楽曲発注


―お話は戻りますが、今回のKiRaRe「We Remember」制作的なコンセプトはどんなものだったのですか?


椿本:今までの長い経緯もあって、我々二人のコンセプト会議って非常に適当になってきていて(笑)

伊藤:ははは(笑)

椿本:適当というとアレですけど、「こういう感じのが欲しいな」って言えばだいたい想像以上のものが送られてくるんですよ。今回は久しぶりにリファレンス(参考)曲を渡しましたけど。

伊藤:実際のところヒアリングは重要で、「出したいニュアンスはありますか?」とか「この楽曲でファンにどういう効果を与えたいですか?」っていうのは文章として欲しいなとは思います。でも仮にそれを長文で貰ったとしても目的地にたどり着くまでの道筋を作るのは自分なので、結果僕にサウンドは丸ごと任せてもらう形になりますね(笑)

椿本:「盛り上がる曲を」とか「ライヴの最後に合う曲よろしく」みたいなオファーだけだった事もありますね。

伊藤:「ハッピータイフーン」とかそれだったよね(笑)

―普通は嫌がられるスタイルの発注ですが(笑)この関係性があってこそですね。


伊藤:どんな発注であっても超えなきゃいけないハードルはありますからね。前の曲よりいい曲を書くってだけです。


椿本:さっき話したように、直接会うのはスタジオとお酒の時だけだったとしても、お酒を飲んでいても「この方向性ならこうだ!」みたいな話は散々してきましたからね。


伊藤:発注のことよりも、お互いが最近聴いている楽曲の話をしたり認識の方向性を合わせておく方が重要かもしれないですね。同じエモいものを作るにしても、発注通りである事よりもお客さんの心に刺さるまでの“感情のルート”みたいなものの方が大事だと思っています。だからそこに至るまでのサウンド的なアプローチは僕が提示します。今回の「We Remember」であればデジタルサウンド+生のストリングスという形だったり。

椿本:僕は「はーい」って言うだけでした。お互い勘所もわかっているので。


■様々な人たちとの共同作業でより良いものを作る


―「We Remember」に限らず、逆に今まで苦労したエピソードはありますか?


椿本:KiRaReのファーストアルバム『キラリズム』かな?


伊藤:そうですね。アルバム単位の曲数を一気に手掛けたのも初めてだったので...。それまで1ヵ月に1曲くらいのペースだったのが急に1ヵ月に4曲くらいやらなきゃいけなくなって。6人全員の曲だけじゃなくてデュエット曲も含めて、「どうやったらたどり着けるんだろう?」っていう物量を人生で初めて経験したのがそのタイミングです。苦労はしたけど楽しかったですね。ずっとKiRaReのアルバムの事だけを考え続けた数か月でした。


椿本:延々と作曲とアレンジと歌録りの日々で、「一生スタジオに居るんじゃないか」って感じだったよね(笑)


伊藤:本当に(笑)ずっとスタジオに居るのが楽しかったから作る事が出来たアルバムかもしれないですね。元々スタジオに居る時間が好きなんです。音楽がどんどん形作られていくし、スタジオ長く居れば居るほど完成度が上がっていく面もありますしね。音楽的なイニシアティヴを預けてくれたから、例えばグループ曲とデュエット曲でどうサウンドに変化を持たせようか、どう表現の仕方を変えようか、みたいな部分を初めて自分の頭で真剣に考えて提案する機会をもてました。

―信じて任せてもらえたからこそやり切れたと。


伊藤:はい、エンジニアさんとのやり取りだけじゃなくて、どのミュージシャンを呼んでどのスタジオを使おうかというところまで一任して頂けましたから。だから色々なスタジオの音を体感できて、「このスタジオではこういう音が録れる」ということもたくさん学べました。自分の目指すサウンドを得る方法が分かったことが、その後の仕事にも生き続けています。ただ仕事を受けるだけじゃなくて、仕上がりまでトータルな提案ができるようになったのは大きいですね。

―作家さんがこういうマインドで取り組んでくれるのは、プロデューサーの椿本さんとしても心強いですね。

椿本:本当にその通りで、僕自身は楽曲単位というよりもプロジェクト単位で動いているので、音楽的な細部を引き受けてもらえるのはありがたいです。それぞれのレベルで動いている様々な人達との共同作業で、より良いものを作ることが出来ていますからね。

―それでは最後に、こうして生まれた『Chain Of Dream』をハイレゾで楽しんでいるe-onkyo musicのリスナーにメッセージを頂けますか?

伊藤:KiRaReだけじゃなくて「Re:ステージ!」にとっても久しぶりのリリースです。僕が担当した「We Remember」だけじゃなく、どのユニットの曲も鬱憤を晴らすかのような生き生きとした楽曲ばかりなので、是非そこを楽しんで欲しいです。「We Remember」について言うと、今までKiRaReの楽曲は生バンド+ブラス&ストリングス主体のサウンドが多かったんですけど、今回は生演奏はストリングスだけに絞ってそれをデジタルサウンドに乗せた形になっています。その分弦の音の綺麗さが際立っていると思うので、そういうところにも注目してみてください!

椿本:伊藤さんからも出ましたけど、久しぶりのリリースということで各5組のグループそれぞれと素晴らしい楽曲を作る事が出来ました。「Re:ステージ!」はとにかく音楽に力を入れた作品なので、ハイレゾはより良い音で楽しめると思います。たくさん聴いていただけたら嬉しいです!

―本日はありがとうございました!


>>Re:ステージ! 配信作品一覧はコチラ!!


◆Re:ステージ!公式サイト

http://rst-project.com/

◆TVアニメ「Re:ステージ! ドリームデイズ 」 公式サイト

https://rst-anime.com/

 | 

 |   |