【期間限定プライスオフ】小原由夫セレクト オーディオ的視点で選ぶ「キングレコード」必聴アルバム30選

2020/10/14

オーディオ&ヴィジュアル評論家として、幅広い世代のオーディオファイルから絶大な支持を得る小原由夫氏が、日本が誇る老舗レコード会社「キングレコード」の膨大なカタログ群より「オーディオ的視点」でセレクトした、オーディオファイル必聴のアルバム30タイトルをご紹介。ここでは、オーディオ的に楽しめる作品を「ヴォーカル」「臨場感」「ベース」「ドラムス」「スペクタキュラー」「切れ/スピード感」の6つのテーマにカテゴライズし、小原氏の解説と共にご紹介。初心者から上級者までオーディオ好きのためのセレクト企画です。



■□■小原由夫セレクト オーディオ的視点で選ぶ「キングレコード」必聴アルバム30選■□■


オーディオ&ヴィジュアル評論家、小原由夫セレクトによるオーディオファン必聴の「キングレコード」アルバムセレクト30選が、期間限定20%プライスオフ!

期間:2020年10月14日(水)~11月15日まで(日)
対象アイテム:本ページでご紹介の全30タイトル
※プライスオフは「アルバム購入」のみ対象となります。



 1931年創業のキングレコードは、老舗の国内レコード会社として広く知られる。かつては演歌主体のカタログ・ラインナップであったが、近年はAKB48関連や、ももいろクローバーZなど、充実したJ-POP系が話題だ。
 そんな同社は、邦人アーティストのハイレゾ音源リリースにも積極的に力を入れており、とりわけジャズやクラシック等に秀作が並ぶ。さらに仔細にカタログ・ラインナップを見て気付くのは、低音をコンセプトとしたアルバムが数多いこと。ベーシストやドラムスにスポットライトを当てた作品が多く、同社がこのカテゴリー(楽器)の録音に対していかに真摯に取り組んでいるかを窺い知ることができる。
 今回はそんなキングレコードのカタログ・ラインナップの中から、オーディオ的視点で6つのテーマ(チェックポイント)を絞ってアルバムをチョイスし、聴きどころとなる要点を踏まえながら各タイトルの魅力に迫ってみたいと思う。


小原由夫



【ヴォーカル】


 人の声は、最もわかりやすいオーディオ用チェックソースだ。普段から接しているというだけでなく、中音域は人間の耳の感度が最も敏感な帯域でもある。温かさや冷たさ、擦れていたり色艶があったりなど、声はまさしく十人十色。男性ヴォーカル好き、女性ヴォーカルだけ聴くという人もいる。キングレコードのヴォーカルは、クラシックやジャズだけでなく、ワールドミュージック系も充実しており、バラエティに富んでいるのが特色だ。
 ヴォーカルは、音像の大きさやフォルムがオーディオ的な定位感や安定感に大きく関係する。発声のイントネーション、強弱や抑揚感なども、ヴォーカルの再現には大きく関わってくる部分だ。


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 ネーネーズは沖縄民謡から派生した女性4人組で、本作は25周年記念にリリースされた再レコーディング盤。コーラスの厚みは言うに及ばず、地声と裏声の切替え、ファルセットやポルタメントを駆使した合唱スタイルは、あらゆる歌唱法の見本帳のようだ。ダイナミックな伴奏とのコラボも実に新鮮で、そうしたテクニックを鮮明に再現したい。

 それとは対照的なクリアーで透明な歌声が、Lapis Lazuliの『Celtic Letters』だ。癒し効果抜群の澄んだ世界観が広がり、リスナーはまるで清められているような清涼感と柔らかさに包まれる。バックの演奏もシンプルで、彼女の歌声を後ろからそっとサポートするかのよう。

 Ryu Mihoは独特の声の持ち主。唇や舌の動きが見えそうなほどにじり寄ったリアルなヴォーカル音像は、俗に言う「ウィスパー・ヴォイス」。どこかクールながらも適度な湿り気と温度感を感じさせる声を忠実に再現したい。その柔らかな質感は、映画主題歌のカバー“コーリング・ユー”で白眉だ。

 同じ女性ヴォーカルでも、こうも違うのかと聞き入ったのがグレース・マーヤ。首筋がくすぐったくなるようなRyu Mihoと違い、すっきり洗練された爽やかな大人の色艶を感じさせる。クッキリとしたヴォーカルの音像定位と、軽快にスウィング感を醸し出すバッキングがいい感じだ。

 “ニューヨークの溜息”と称されたヘレン・メリルの東京録音は、伴奏楽器が63年当時の録音特有のL/R chに貼り付けられたステレオ・モノ・ミックス的な定位。しかし主役のヘレンは、ゾクゾクっと来るような生々しい音像フォルムでセンターに定位する。リヴァーブがやや強めだが、目の前に居るようなウォームで瑞々しいハスキー・ヴォイスだ。






 



【臨場感】


 辞書を引くと、臨場感とは「実際にその場にいるかのような感じ」とある。これはリアリティや生々しさにも通じるオーディオ的タームだ。時空を越えてその場に居合わせているかのような疑似体験が出来るのが、オーディオの醍醐味であり、既に鬼籍に入ったカラヤンもマイルス・デイヴィスも、オーディオ機器を使って目の前に蘇らせることができる。それがより生々しいかリアリスティックかで、臨場感が俄然高まるわけだが、ハイクオリティなオーディオを実践する上で最も難しい要素かもしれない。なぜならば、周波数レンジ感や分解能、エネルギーバランスやS/Nといったあらゆる要素も臨場感に絡んでくるからだ。今回採り上げたライヴ盤の中には、同じ小屋(ライヴハウス)で録音されたものが3タイトルある。それぞれに臨場感がどう感じられるか、ぜひ聴き比べていただきたい。


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 ヘヴィーメタルの開祖的存在のマイケル・シェンカーの来日ライヴは、ギターピッキングのアタックの鋭さがはっきりと認識できるクローズアップされた音。それでいてオーディエンスの歓声や拍手、合唱がダイレクトに感じられ、まるで客席にいるかのような熱気と空気感が味わえる。

 マンハッタン・ジャズ・クインテットのライブは、ホール録音ならではの広がりと立体感を感じさせるもの。ベース・ソロの後ろでハイハット・シンバルを刻むリズムの正確さに、さすがは百戦錬磨のミュージシャンの集まりと唸らされる。ワイドレンジなサウンドで、“MY FAVORITE THINGS”のドラマティックな展開はとりわけ素晴らしい。

 以下の3枚は、いずれもNYにあったライヴハウス「スウィート・ベイジル」で録音されたキングのオリジナル。ギル・エバンスのオーケストラは、演奏の背後で客の話し声や食器の当たる音などがはっきりと聞こえ、そうした雑踏の中に浮かび上がる大所帯のバンド・アンサンブルがたいそう分厚い。

 それとほぼ同じ頃に収録されたアート・ブレイキー盤は、客席の音はさほど大きくなく、バンドの演奏もやや遠巻きに俯瞰する感じに収録されている。それでも御大ブレイキーのドラムソロなどは、とてもダイナミックだ。

 マッコイ・タイナーのライヴは、ギル・エバンス盤の音に近い印象で、客席の音もピアノトリオの演奏もクリアーに録られている。特にピアノのタッチの鮮明さには驚かされる。






 



【ベース】


 「低音」シリーズの端緒は、思い起せばゲーリー・カーのコントラバスをキングが独自に手懸け始めたことからだろう。コントラバスは、ピチカートによる指弾きもあれば、弓を使ったボウイングもある。エレクトリックベースに関しては、ピック弾きもあれば、親指や人差指で弦をはじくスラッピング、通称“チョッパーベース”もあったりと、表現や音色は千差万別だ。

 今日ブライアン・ブロンバーグ、リチャード・デイヴィス、藤原清登、鈴木勲らに受け継がれたレーベル・ポリシーが、最新のハイレゾの恩恵で一段と鮮度高く感じられる。低音をしっかり再現するには、スピーカーのウーファーが優れていればよいというものでは決してない。高域が詰まり気味だったり、中域の反応が鈍かったりしても、低域の抜けのよさは出ない。要はバランスが大切だ。


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 そのゲーリー・カーは、パイプオルガンとのコラボによるキング録音最初期の『祈り』をチョイス。弓弾きによる濃密でたっぷりとした響きが深く静かに潜行する感じで、ビヴラートの強弱、オーバートーンの美しさは比類ない。どこの楽団にも所属せず、その生涯をソリストとして生きたヴィルトゥオーゾの歌心溢れるプレイを堪能したい。

 同じコントラバス(アップライト・ベース)でも、ブライアン・ブロンバーグの演奏はマイクを近接して立てたような音の近い生々しさが鮮烈。曲によってはわずかにリヴァーブが付加されているが、伴奏のストリングスに包まれるような音場に、鋭いアタックながらも深々としたベースの響きが実感できる。

 リチャード・デイヴィスのベースは、どっしりと鎮座したような重心の低さと安定感がいい。ピアノとのデュオによる素直な録音も相まって、シンプルかつオーソドックスながらも王道的なベースサウンドを味わえる。

 藤原清登のアルバムは、ピアノ・トリオが一定の距離感を置いてステレオ・イメージの中に立体的に浮かび上がる好録音。ナチュラルなアンビエントがスペイシーに広がり、音場の見通しが抜群によい。

 邦人ベーシストのレジェンド、鈴木勲のアルバムは、ピアノやサックスのプレイが少々アブストラクトな中で、弦を弾く音がややソリッドながら、その後に続く胴鳴りがとても豊満。ネックをスライドする指の音やビブラートの様子などが克明に収録されている。






 



【ドラムス】


 現在のキングレコードのカタログの中で最も目立つのが、ドラマーのリーダー作の多さ。神保彰、大坂昌彦、川口千里、菅沼孝三など、邦人ドラマーの作品が目白押しだ。手数の多さで勝負するテクニカル・ドラマーから、絶妙なスウィング感を醸し出すグルーヴ派まで、いろいろなタイプのドラマーの作品が揃っている。

 ドラムはリズムの要であり、音楽全体のテンポをコントロールする楽器だが、ひとたびソロに転じれば、主旋律を担う楽器顔負けのメロディーを奏でることもある。一方では、ブラシによる繊細なプレイで楽曲の彩りや雰囲気を形成することも可能。いわば最も多彩な表情を持つ楽器なのである。それを存分に再現するには、オーディオ・システムのレスポンスのよさはもちろん、繊細な分解能も要求される。スネアやキックドラムのアタックの鋭さを描写するには、余計な響きの乗らないリジットなスピーカー・エンクロージャーがベターかもしれない。


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 スティーブ・ガッドは、現代の生けるレジェンド・ドラマーの一人。第1期マンハッタン・ジャズ・クィンテットに在籍していた頃は全盛期でもあり、圧巻の演奏が聴ける。“MR.PC”終盤のドラムソロは、まさしく往時のガッドの凄さがわかる。タムタム、スネア、フロアタムの回し方、シンバル・レガートなど、実に正確で迫力満点だ。

 「JBプロジェクト」は、神保彰が「低音」シリーズのキーマンであるブライアン・ブロンバーグと結成した双頭コンボ。デビュー作でこれだけのスピード感を強力なアンサンブルで繰り広げ、異種格闘技戦のような手に汗握るリズム/ビートの応酬だ。初めてCDを聴いた時の衝撃と感動がこうしてハイレゾで再び味わえるとは思いもよらなかった。システムにはトランジェントと切れが要求される。

 その神保に代わり、最近はカシオペアのサポート・ドラマーにも抜擢されるようになった若手女性ドラマーの川口千里。小柄な体を意識させないパワフルで手数の多いプレイは、19歳での本メジャーデビュー作で既に全開。キック・ドラムの力強さは半端なく、切れ味と瞬発力は末恐ろしい。ベテラン顔負けのリフとフィルインの連発に卒倒すること必至だ。

 菅沼孝三は、その川口の師匠。千手観音じゃないかと思うほどの超高速スピーディーなリフのオンパレードで、ハードロックからプログレ的な要素までバラエティに富んだ演奏が楽しめるのだが、ギタリストと真っ向勝負といった感じのリフの応酬が聞き物だ。

 バークリー音大出身の大坂昌彦は、正統派ジャズドラマー。さまざまな演奏家と繰り広げた本作は、闊達なドラミングが楽しめる。タイトル通りの千変万化のリズムが、ややドラムにフォーカスを当てたミキシングで楽しめる。音色の再現に注意したい。






 



【スペクタキュラー】


 これも辞書で引くと、「壮観なさま、目を見張らせるさま」といった説明がある。オーディオ的な視点からすれば、スケール感や重厚な響き、圧倒的なダイナミクスといったところだろうか。こうしたフィーリングは、オーケストラ等のクラシック再生で使うことが多く、ホール録音の立体的な響きやハーモニーの重厚さ、アンサンブルの鉄壁さなどが思い浮かぶが、フォルテッシモでも微動だにしない安定感や、トゥッティでもまったく危なげなく崩れない表現力がキーポイントになると思う。こうした要素は小型スピーカーでの再現が難しいかもしれないが、大音量でしか感じられないものでは決してなく、オーディオシステム全体の歪み感やダイナミッレンジが深く関わるといっていいだろう。


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 ホルスト「惑星」は、楽曲そのものが壮大なスケール感を持っているが、ここでの大友/東京交響楽団の演奏は銅鑼なども活用され、一段とスリリングで迫力ある演奏だ。宇宙の深遠さや神秘性をその演奏から感じ取ることもでき、立体的で雄大な展開が堪能できる。

 それとは対照的なチャイコフスキー/弦楽セレナードは、弦楽隊の憂いを帯びたような切ないハーモニーが柔らかなプレゼンス感とアンビエントを伴って静かに響き合う。一糸乱れぬアンサンブルが奥行きを感じさせ、立体的なステレオ・イメージで浮かび上がる。

 日本期待の若手指揮者/山田和樹の録音は、打楽器群が大活躍。まさに威風堂々とした、勇ましくて逞しく、力強いオーケストラ・アンサンブルが楽しめる。ステージににじり寄ったような迫真的な響きは、スピーカーのエネルギー感と低域再生能力が問われるだろう。

 パイプオルガンの定番である「トッカータとフーガ」は、その荘厳かつ強靭な響きを等身大に再現するのは至難の業だが、眼前に聳え立つ分厚い和音を壁のごとく表現したいものだ。エネルギーの力強さはもちろん、余韻の消えぎわの美しさにも注視したい。

 上原彩子のラフマニノフは、コンサート・グランドピアノのソロ演奏ながら、圧倒的なスケール感で迫る素晴らしい録音。強靭かつ軽やかな旋律は、静と動のコントラスト、緩急の描き分けが圧巻で、実に生々しいアトモスフィアを感じる。スピーカーいっぱいに横に広がるピアノの音像と音場を見据えよう。






 



【切れ/スピード感】


 「低音」シリーズが多いキング・レコードのアルバムを再生する上で、最も重要なのは案外このタームかもしれない。膨張した低音や鈍重なビートはいらない。切れがよく、スピード感を伴って量感とエネルギーがバランスよく整った、ほどよくタイトな低音が再現できれば理想的だ。それにはアンプの駆動力、スピーカーのウーファーの反応など、いくつかの要素が絡むが、スピーカーのインシュレーターやスピーカースタンド等にも左右されやすい。ゴム系のインシュレーター、木製のスタピーカースタンドを使っていて、何となく切れが悪いなぁと感じたら、メタル系のスパイク型インシュレーターや、鉄などの金属製スピーカースタンドに変えてみるのも手だ。


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 はなわちえの三味線の再現は、バチが弦に当たる際の鋭いアタックとスピード感が大事。伴奏のギターやピアノ、パーカッションなども歯切れよい演奏なので、全体に軽快さと小気味よさが再生時の肝と言えそうだ。それにしても、三味線でジミヘンを演奏するとは!

 SINSKEのマリンバは、比較的ゆっくりゆったりした演奏だが、マレットが鍵盤に当たる瞬間のアタック音にはトランジェントが要求される。ここで余計な響きが付加されてしまうと、ナチュラルなリヴァーブ感が削がれてしまうはず。立体的なステレオイメージの奥のそのまた奥から湧き出てくるような響きと余韻を楽しみたい。

 一方でロックのエリック・ジョンソンは、タイトなリズムとギターのフレーズの疾走感がいい。ヴォコーダー(懐かしい!)を使ったビートルズの“ペイパーバック・ライター”の演奏など実に新鮮だ。ドラムの強力なドライヴ感にも留意したい。

 女性ギタリスト/安達久美のアルバムも、タイトなベースやドラムに後押しされて実に伸び伸びとギターを演奏している姿が目に浮かぶ。そのトーンはすっきり端麗という印象で、早弾きもなかなかのもの。

 最後に紹介するのは、ジャズギター界のレジェンド、ジョン・マクラフリン。早弾きながらも流れるような滑らかなフレーズは、バンドメンバー全員がテクニシャンでなければ続かない(着いていけない)次元の高速展開。タイトなリズムに乗って鉄壁のアンサンブルが疾走するように展開する。その高揚感を確実にキャッチしたいところだ。











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小原由夫 プロフィール


小原由夫(おばらよしお)
理工系大学卒業後、測定器エンジニア、雑誌編集者を経て、92年よりオーディオ&ヴィジュアル評論家として独立。
自宅には30帖の視聴室に200インチのスクリーンを設置。
サラウンド再生を実践する一方で、6000枚以上のレコードを所持し、超弩級プレーヤーでアナログオーディオ再生にもこだわる。
ハイレゾ音源再生にも積極的に取り組んでおり、よりよいネットワーク環境整備に余念がない。

著書は「ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事」(DU BOOKS)。
主な執筆雑誌は、「HiVi」「ステレオサウンド」(以上、ステレオサウンド)、
「オーディオアクセサリー」「Analog」(以上、音元出版)、など。
Web系は「NIKKEI STYLE/AVフラッシュ」(日経電子版)に連載を持つ。


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