連載 『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』第82回

2020/10/02
『UNEVEN』  STEFANIA TALLINI
~久々に超オススメできる極上ピアノ・トリオに出会った!~

■太鼓判を押せなかった別の候補盤

今回の太鼓判ハイレゾ音源連載は、別の女性ボーカル作品で書く予定でした。発売日以来、サブスクでヘビロテのお気に入り盤。サブスク&ヘッドホンでの試聴でしたが、音質も良好な予感しかありません。頭の中では、連載の起承転結まで構想が練り終えてあり、あとは最終試聴して執筆するのみという状態です。

やっとスピーカーで音質の最終チェックができたとき、愕然としました。とにかく、ボリューム設定を間違えたのかと思うくらい、音圧が高すぎます。いつものボリューム位置では音量が大きすぎるので、8dBくらい下げて試聴再開です。音量が大きいということは、メリットとデメリットが混在します。今回の場合、歌の感情表現が平坦になっているのが気になりました。おそらくコンプレッサーでボーカルをガツンと詰め込むミックスが施されている弊害だと思います。

音圧アップのメリットは、もちろんあります。私も、サブスクをヘッドホンで聴いていたときには、ご機嫌に楽しんでいたのですから。しかし、ハイレゾ音源をスピーカーで聴くという環境を想定するならば、太鼓判を押せなかった・・・。10年後に読んでも通用する高音質なハイレゾ音源をご紹介するのが本連載の主眼ですから、残念ながらその別候補盤は落選となりました。

このところ、ヘッドホンでも太鼓判ハイレゾ音源を選定できる自信があったので、なかなかのショック。太鼓判ハイレゾ音源の選定には、まだまだスピーカーでの試聴が必須です。


■偶然見つけたピアノ・トリオは、演奏良し、音質良しの極上ハイレゾ! 
 
ほとんど候補を1本に絞っていたので、落胆の中で聴いたのが本作。一応、本命がNGの場合のため、保険としてダウンロードしておいたのです。これが大当たりの太鼓判ハイレゾ音源でした!



オーディオ好きなら、多くの人が愛するピアノ・トリオ。私も大好きです。演奏はもちろん最重要視ですが、加えて私が理想とするピアノ・トリオの音質は? というと、下記のような感じです。

・ ピアノが実物大のように眼前に広がる音像
・ ピアノの低音弦の倍音が細部まで見えるように聴こえる
・ 自分の心にあるピアノ音色である (こもっていたり、キラキラしすぎたりするのはNG)
・ シンバルの金属音が真鍮の輝きである
・ シンバルの音像が天井方向に開放されている
・ ドラム・ヘッドの革の音が感じられる
・ キック・ドラムがズシリと腹に響く
・ ベースがモコモコせず、音程感がきちんと感じられる
・ ベースの低音の迫力&魅力がある
・ 音楽のボトムの主役は、ピアノと低音弦ではなくベースである
・ ベースの音像が低すぎず、自然な位置に定位する

なんと、これらの無理難題が、本作では軽々とクリアし、その想像の上をいくようなパフォーマンスで鳴ってくれるではないですか!

レーベルを見ると、ALFA MUSIC。ALFA MUSICといえば、本連載の第14回で 『ジャズのハイレゾなら、まずコレから。レーベルまるごと太鼓判!』 とご紹介しています。2014年ですから、もう6年も前の回です。やはり信頼のALFA MUSICレーベル、今回も素晴らしい音楽を届けてくれました。

皆さんは旅行先で撮った写真を見て、「いつもと同じカメラなのに、色が濃くキレイに撮れているな~♪」 と感じたことがあるのではないでしょうか。その原因は、旅行先の日差しなのか、空気が澄んでいたからなのか。音にも同じことが起きても不思議ではありません。イタリアの空気、湿度、電源などなど、ALFA MUSICの音質がレーベルまるごとで優れている可能性はいろいろ考えられます。もちろん、機材やエンジニアの腕も大きな理由だと思います。

それにしても本作の価格は、もはや大バーゲン! 安すぎですよ、これ。ピアノ、ドラム、ベース、おまけにエレピまで、ハイレゾならではのサウンドが堪能できる音源が、この大特価で手に入るのですから、買わない理由はありません。ピアノ単体のバラードあり、ピアノ・トリオの王道あり、フュージョンっぽい変拍子曲ありと、内容もバラエティーに富んでいます。これぞ太鼓判ハイレゾ音源です!












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<第1回>『メモリーズ・オブ・ビル・エヴァンス』 ~アナログマスターの音が、いよいよ我が家にやってきた!~
<第2回>『アイシテルの言葉/中嶋ユキノwith向谷倶楽部』 ~レコーディングの時間的制約がもたらした鮮度の高いサウンド~
<第3回>『ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」(1986)』 NHK交響楽団, 朝比奈隆 ~ハイレゾのタイムマシーンに乗って、アナログマスターが記憶する音楽の旅へ~
<第4回>『<COLEZO!>麻丘 めぐみ』 麻丘 めぐみ ~2013年度 太鼓判ハイレゾ音源の大賞はこれだ!~
<第5回>『ハンガリアン・ラプソディー』 ガボール・ザボ ~CTIレーベルのハイレゾ音源は、宝の山~
<第6回> 『Crossover The World』神保 彰 ~44.1kHz/24bitもハイレゾだ!~
<第7回>『そして太陽の光を』 笹川美和 ~アナログ一発録音&海外マスタリングによる心地よい質感~  スペシャル・インタビュー前編
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<第9回>『MOVE』 上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト ~圧倒的ダイナミクスで記録された音楽エネルギー~
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<第12回>【前編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第13回>【後編】『LISTEN』 DSD trio, 井上鑑, 山木秀夫, 三沢またろう ~DSD音源の最高音質作品がついに誕生~
<第14回>『ALFA MUSICレーベル』 ~ジャズのハイレゾなら、まずコレから。レーベルまるごと太鼓判!~
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<第16回>『This Is Chris』ほか、一挙6タイトル ~音展イベントで鳴らした新選・太鼓判ハイレゾ音源~
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筆者プロフィール:


西野 正和(にしの まさかず)3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー 株式会社レクスト代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセレクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』をプロデュース。

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