Earth, Wind & Fire結成50周年!名盤9作プライスオフ&カタログ作品新規ハイレゾ配信開始!

2020/09/04
シカゴでモーリス・ホワイト(vo)を中心に結成され1970年にレコードデビュー。R&B、ファンク、ソウル、ジャズなどを融合させた新たなポップミュージックの世界を開拓した。ディスコサウンドが全盛だった70年代を象徴するバンドであり、現在でも衰えない人気を誇る。キャッチーなメロディー、フィリップ・ベイリーによる美しいファルセットの掛け合い、ホーン・セクションをフィーチャーした華やかなサウンドで世界的な人気を獲得した。現在も人気の高い「シャイニング・スター」、「宇宙のファンタジー」、「セプテンバー」といった70年代のヒット曲や、80年代を代表するダンス・チューン「レッツ・グルーヴ」などヒット曲多数。これまでに、6度グラミー賞を受賞し、全世界で約9千万枚のセールスを記録している。

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Earth, Wind & Fire結成50周年を記念して、カタログ作品9タイトルをプライスオフ!
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◆《解説Earth, Wind & Fireのレガシーと現代の音楽シーンに与えた影響 Text by 林 剛


 シカゴで結成した前身バンドのソルティ・ペパーズを経て、70年に活動をスタートしたアース・ウインド&ファイアー(EW&F)。日本では、「宇宙のファンタジー」「セプテンバー」「ブギー・ワンダーランド」「レッツ・グルーヴ」で人気を集めるファンク〜ディスコ・バンドといったイメージが強い。特に70年代後半から80年代前半は、エジプトやピラミッド、宇宙への憧憬を視覚化した、当時LA在住の日本人イラストレーター、長岡秀星氏によるアルバム・ジャケットもインパクトを与えた。

 なかでも「セプテンバー」(78年)は、12月に9月21日の夜を思い出す歌とはいえ、EW&Fも公式にアピールしているように9月の歌として定着(2014年のホリデイ・アルバムにて替え歌「ディセンバー」も披露)。リーダーのモーリス・ホワイトが「単純に気分が良くなる曲を作りたかった」と、女性作詞家のアリー・ウィリスと組んだ同曲は、その共作者であるアル・マッケイのリズミックなカッティング・ギター、ヴァーディン・ホワイトの頑強なベース、ラリー・ダンのテクニカルなキーボード、ラルフ・ジョンソンらの小気味よいパーカッション、フェニックス・ホーンズのシャープなホーン、モーリス・ホワイトとフィリップ・ベイリーによるツイン・ヴォーカルといったEW&Fのシンボルが凝縮されている。そして、このセッションが、ディスコを意識して作ったエモーションズとの「ブギー・ワンダーランド」やデイヴィッド・フォスターと共作したバラード「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」を収めた79年作『黙示録』へと繋がっていく。マーチング・バンドに光を当てた青春映画『ドラムライン』(2002年)でも演奏される「石の刻印」のホーンで鮮烈に幕を開ける『黙示録』は、ミックスを含めた音の良さでも定評があり、オーディオ・チェックのテスト・アルバムとしている音楽リスナーも少なくない。

 そのひとつ前のオリジナル・アルバム『太陽神』(77年)は、リアル・タイムで接したリスナーにとっては、キャンディーズやフォーリーブスが同時期にライヴやレコードでカヴァーした「宇宙のファンタジー」や「ジュピター(銀河の覇者)」の印象が強いかもしれない。一方、サンプリングなどでEW&Fの音楽が再評価されてからは、「ブラジルの余韻」と題された2種のインタールード、特に〈パラッパッパ〉というフィリップのスキャットでお馴染みの「ベイジョ」(92年発売の3CDボックス『エターナル・ダンス』収録時に「ベイジョ」と記された)がDJのダニー・クリヴィットらにリ・エディットされるなどして人気を集めてきた。1分20秒程度の間奏曲ながらマーカス・ミラーなど数多くの音楽家がカヴァーを披露している。が、実はこれには、本国でリリースが見送られていた完奏版(ブラジルのギタリスト/シンガー、トニーニョ・オルタが書き、ミルトン・ナシメントの75年作『ミナス』で有名になった「ベイジョ・パルチード」の英語ヴァージョン)が存在する。この完奏版は今回、EW&F結成50周年を記念してコロンビア時代の日本盤シングルとミュージック・ヴィデオを収めた『JAPANESE SINGLE COLLECTION -GREATEST HITS-』にボーナス・トラックのひとつとして公式収録される。

 日本でコロンビア時代のシングルが出されたのは、同社での3枚目のアルバム『太陽の化身』(74年)のリード・シングルとなったファンク・チューン「宇宙よりの使者」からだ。日本盤シングルのジャケットに「今ここに未知なる姿を現す」とあるように、当時の彼らが実験性の高い謎めいた新進バンドとして捉えられていたことは、同社での2作目『ヘッド・トゥ・ザ・スカイ』(73年)の旧邦題が『ブラック・ロック革命』だったことからも想像がつく。今でこそレア・グルーヴとして評価されているワーナー時代の初期アルバム『デビュー』や『愛の伝道師』(ともに71年)もブラス・ロックやスピリチュアル・ジャズの要素が色濃い実験的なアルバムだった。モーリスとヴァーディンの兄弟以外メンバーを入れ替えたコロンビアでの初作『地球最後の日』(72年)も同じだろう。この時期に参加していた女性シンガー、ジェシカ・クリーヴス(元フレンズ・オブ・ディスティンクション)が脱退し、チャールズ・ステップニーがアレンジなどで本格的に関わり始めた『太陽の化身』は、日本でシングルが出されたという意味においても、今、多くの人が知るEW&Fの出発点であったと言えるのかもしれない。

 ソウルやファンクに、ジャズ、ロック、ラテンなどを結びつけたクロスオーヴァーな音楽性で人種やジャンルの壁を越えたEW&F。しかし一方で、アフリカ発祥の楽器であるカリンバ(親指ピアノ)の使用を含め、アフリカン・アメリカンの同胞に訴える音楽を作ることも活動の原動力となっていた。長岡秀星氏は「彼らは同じマイノリティとして僕を頼っていた感があった」と話していたが、白人が支配する音楽業界にも少なからず恐れを抱いていた。そう考えると、音楽業界の欺瞞を描いたシグ・ショア監督/ハーヴェイ・カイテル主演映画のサントラ・アルバム『暗黒への挑戦』(75年)を引き受けた理由も納得できる。同アルバムに収録されたフィリップのファルセット炸裂のバラード「リーズンズ」は、75年の全米ツアーを収めたライヴ盤『灼熱の狂宴』における歓声に象徴されるように、本国、特にアフリカン・アメリカンの間では「デヴォーション」などと並んで一連のダンス・ナンバー以上に支持が厚い。人気の理由は、後のソロ活動でゴスペル・アルバムも出すフィリップのクリスチャニティに基づいたリリックや美しいハーモニーにあるのだろう。『灼熱の狂宴』にてスタジオ録音の新曲として披露したドラマティックでメロウなバラード「ユー・キャント・ハイド・ラヴ」も同様で、オリジナルはクリエイティヴ・ソースながら、これは当時からカーメン・マクレエらがEW&F版のアレンジを真似て歌い、90年代以降もディアンジェロやメアリー・J.ブライジらが“EW&Fの曲”としてライヴなどでカヴァーしている。

 故キング牧師の誕生日(1月15日)に発表したコロンビアでの最終作『ヘリテッジ』(90年)にスライ・ストーンやMCハマー、ザ・ボーイズらを招いてからは、R&Bやヒップホップのルーツにあたるバンドであることを彼ら自身が意識し始めている。2003年に自主レーベルのカリンバから発表した『ザ・プロミス』ではアンジー・ストーンやザ・ルーツのクエストラヴ、2005年にサンクチュアリーから発表した『イルミネーション』ではウィル・アイ・アム、ラファエル・サディーク、フロエトリー、ブライアン・マックナイトらを招き、R&Bやヒップホップとの親和性を示した。なかでも、ブラジル音楽など多方面にアクセスするウィル・アイ・アムは、プロデューサーとしての資質も含めてモーリスとの共通点が多い。また、新生スタックスの第一弾作品としてモーリスをエグゼクティヴ・プロデューサーに迎えた『セプテンバー〜アース・ウインド&ファイアー・トリビュート』(2007年)に多くのネオ・ソウル系アーティストが名を連ねていたことも、ブラック・コミュニティにおけるEW&Fの慕われ方を映し出していた。

 80年代に脱退したラリー・ダンを迎えて原点回帰を謳いながら現行シーンに斬り込んだ2013年作『フォーエヴァー』は、EW&Fを慕う後進アーティストとの交流でバンドのコアを客観的に見つめ直すことで生まれたアルバムと言っていい。ヴァーディン、フィリップ、ラルフの古参メンバーを支えるフィリップの息子や元14カラット・ソウルのB.デイヴィッド・ウィットワースらの活躍も、もちろん大きい。同アルバムには、アウトキャスト(アンドレ3000)の“Hey Ya!”でミキシングを手掛けていたニール・ポーグも制作などに関与。ニールは、カナダのバスティ・アンド・ザ・ベースというブルー・アイド・ソウル系バンドが今年8月に出したアルバム『エディ』をプロデュースしていたが、そこではヴァーディン・ホワイトとともにエグゼクティヴ・プロデューサーとしても名を連ねているように、現EW&Fにおける陰のブレーン的な存在でもある。長らく病と闘っていたリーダーのモーリスは2016年2月3日に74歳でこの世を去ったが、レガシーを受け継ぎ、バンドを新たな道に導く者がいるのは頼もしい。

 日本でもEW&Fに影響を受けたDREAMS COME TRUEがモーリスと共演したり、昨年はLittle Glee Monsterがコラボをするなど、かつてラムゼイ・ルイス・トリオにいたモーリスが「俺たちの世代の新しい音楽をやる!」と言って始めたバンドは世界で愛される存在となった。その音楽には宝石箱のように多くのヒントが詰まっている。一時活動休止する直前、「EW&Fらしさを失った」と評された80年代のエレクトロニックな楽曲も、EDMやブギーの流行を経た現在では新たな価値を持つ。彼らには“時代を超えた”という手垢のついた言葉を躊躇うことなく使うことができる。
(了)





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林 剛:
1970年生まれ。R&B/ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。『bmr』『Wax Poetics Japan』でのレギュラー執筆を経て、現在も『bounce』『ブルース&ソウル・レコーズ』『レコード・コレクターズ』『ミュージック・マガジン』などの音楽誌、及びウェブメディアに寄稿。新譜や旧譜のライナーノーツをはじめ、書籍の監修/執筆も多数。
◆オフィシャルTwitter
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