麻倉怜士が解説 『ロマンス ~ヨアヒムの愛器でヨアヒムを聴く~』の魅力

2020/07/25
日本人で初めて、ドイツの録音技師の国家資格「トーンマイスター(Tonmeister)」を取得したことで知られる平井義也氏が主宰するクラシック・レーベル「Meister Music」。その最新作となるアルバム『ロマンス ~ヨアヒムの愛器でヨアヒムを聴く~』がハイレゾで登場。「~ヨアヒムの愛器でヨアヒムを聴く~」と銘打たれた今作は、名器を多数所有していたことでも知られる19世紀のヴァイオリンの巨匠、J. ヨアヒムが愛奏したストラディヴァリウス「Joachim, 1723」を用い、N響首席奏者を経て、現在、ソリスト、指揮者として活躍する永峰高志がロマン派作品集をレコーディングした作品。今回、e-onkyo musicでは、この素晴らしいプログラムの魅力を、オーディオ&ヴィジュアル評論家の麻倉怜士氏に解説いただいた。


★巨匠、ヨアヒムが愛奏したストラディヴァリウス
その至高の響き
ロマンス ~ヨアヒムの愛器でヨアヒムを聴く~
永峰高志久元祐子



【パーソネル】
永峰 高志(ヴァイオリン)
久元 祐子(ピアノ)

【使用楽器】
Violin : Antonius Stradivarius “JOACHIM” (1723)
Violin Bow : François Xavier Tourte
Piano : Bösendorfer 290 Imperial


19世紀のヴァイオリンの巨匠J. ヨアヒムは、名器を多数所蔵していたことでも知られます。今回、その一つであったストラディヴァリウス「Joachim, 1723」を用い、永峰高志(東京藝術大学卒業。N響首席奏者を経て、現在、ソリスト、指揮者として活躍。国立音楽大学教授。)がロマン派作品集をレコーディング。

プログラムはヨアヒムと親交のあったブラームス、シューマン、クララそしてヨアヒム自身の作品を「ロマンス」を軸に編んだ興味深いもの。作曲家たちと同じ時間を過ごしたストラディヴァリウスの響きを、ハイレゾDXD384kHzで録えた至高の一枚。

ピアノは通常より1オクターヴ鍵盤が多い(最低音を長6度下のCまで拡張)したベーゼンドルファー・インペリアルを、この録音のためにホールに持ち込みチューニング。邦人唯一のベーゼンドルファー・アーテイスト、久元裕子による秀逸なピアニズムとその響きにも注目。




■麻倉怜士氏がひも解く 『ロマンス ~ヨアヒムの愛器でヨアヒムを聴く~』の魅力


  マイスター・ミュージックは、アスキー・JPに連載している「麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負」、そしてパーソナリティを担当するミュージックバードの同タイトル番組で毎月、登場する高音質レーベルだ。その音の秘密が、世界に数十ペアしかない、特殊な銅を使用したオール・ハンド・メイドの「ゲアール・マイク(周波数帯域:8Hz - 200KHz)」での録音だ。
 ゲアール・マイクで収録した最新作が、元NHK交響楽団首席奏者で現在国立音楽大学教授の永峰高志と日本人で唯一のベーゼンドルファー・アーティスト、久元祐子が組んだ、『ロマンス ~ヨアヒムの愛器でヨアヒムを聴く~』。ヨアヒムは19世紀の大ヴァイオリニスト。ブラームスがヴァイオリン協奏曲の作曲の際に、さまざまに助言し、1879年、ライプツィヒでの世界初演演奏も自ら行っている。そのヨアヒムは名器を多数コレクションしていた。今回、はストラディヴァリウス、その名も「Joachim」 (1723年製作)で演奏される。

 圧倒的に素晴らしい。ヴァイオリンの音色がこれほど深く、艶やかにして豊かだとこの銘器の演奏、録音を聴くまで識らなかった。現代的なデジタル的な高解像度にして高彩度というヴァイオリンアルバムは多いが、『ロマンス』は実にアナログ的で、ヒューマンな香りに満つる。滑らかな音の表面の下層には、無限の階調をもった音の素粒子が充填されているような音構造が聴ける。長いフレーズから醸し出される滔々たる音の流れは、耳の滋養だ。まさに「ロマンス」のタイトル名にふさわしい艶艶したテクスチャー。。生々しいというよりは、ファンタジーに包まれるような心地好い臨場感だ。ヴァイオリンとピアノの対話の濃さも快感的。

 ゲアール・マイクによる録音は、このヴァイオリンのキャラクターを活かし、ふくよかで、血の通ったサウンドを見事に捉えている。ホールの響きが適度に入り、ピアノのソノリティも輝かしい。響きの厚みと共に、ピアノ、ヴァイオリンの明晰さも同時に収録されているのは楽器と奏者、ホール、そして録音の各要素が成せる技ではないか。

 ブラームスのヴァイオリンソナタ第1番ト長調「雨の歌」の第1楽章冒頭、ピアノの2つ低音の和音に乗って奏されるヴァイオリンの下行旋律のまろやかさ、滑らかさ、そして呼吸のような生体的フレージングから、本ヴァイオリンが持つロマンティックな表現性が余すところなく聴けた。ベーゼンドルファー・インペリアの低音の豊潤さと雄大さも聴きどころだ。

 アナログレコードでも発売された。音の粒子のすべてを出そうとするデジタルに比して、優雅で、まろやかで、潤いに満つる音だ。音の輪郭も優しく、豊かな色彩感、グラテーションのこまやかさと相俟って、噎び返るようなロマンの香りに包まれる。デジタルの生々しさ、アナログの雅趣のどちらもたいへん価値のある音だ。2020年2月13日14日、浦安コンサートホールでのセッション・レコーディングで、384kHz/24bitの、いわゆるDXDでリニアPCM録音された。

 

麻倉怜士




■『ロマンス ~ヨアヒムの愛器でヨアヒムを聴く~』アナログ盤情報

今作『ロマンス ~ヨアヒムの愛器でヨアヒムを聴く~』がハイレゾに加え、アナログ重量盤でも発売決定!是非ハイレゾのと比較試聴もお楽しみください。

品番:MMLP-9001
JEANコード:4944099900178
仕様:180グラム重量アナログ盤/数量限定
価格:\7,000+税
発売日:7月25日
主な取り扱い先:タワーレコード、HMV、amazonなど




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