【3/13更新】 ハイレゾで聴く 世界音楽漫遊記 musical travel around the world ~ドイツ編~

2020/03/13
今年2020年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開幕!世界中の約200の国と地域から約12,000人の選手が、ここ日本に集結しアツい熱戦を繰り広げます!そこで、e-onkyo musicでは、スポーツだけでなく音楽でも世界各国の文化に触れていただこうと「2020 ハイレゾで聴く世界音楽漫遊記」と題して、世界の音楽を連載形式でご紹介。それぞれの国を代表する「オーケストラ」「作曲家」をはじめ、その国の「伝統音楽」や「民謡」、そして現代の「ポピュラーミュージック」をご紹介いたします。第1弾の日本編に続く今回は「ドイツ」。是非この機会にハイレゾで世界各地の音楽にふれてみてください。


◆メニュー

ドイツを代表するオーケストラ
ドイツを代表する作曲家
ドイツの伝統音楽
ドイツのジャズ
ドイツのポピュラーミュージック


◆ドイツを代表するオーケストラ

フランス、イタリアなどと共にクラシック大国として知られる「ドイツ」。クラシック音楽の歴史の中では、バロック時代後期に登場し、後に西洋音楽の礎を築いたとも称される作曲家、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの活躍により、ドイツはクラシック音楽の中心地として広く知られるようになった。またドイツはオーケストラ大国としても知られ、クラシック・ファンにはおなじみのベルリン・フィルやバイエルン放送交響楽団など、世界有数のオーケストラが多数存在する。


ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1882年5月に設立された世界最高峰オーケストラのひとつ。かつてブラームス、ドヴォルザーク、シュトラウス、マーラー、グリーグら歴史的作曲家が指揮台に立ったことでも知られる。ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、クラウディオ・アバド、サイモン・ラトルらが指揮者を務め、現在の首席指揮者はキリル・ペトレンコ。



ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》
《エグモント序曲》、大フーガ
/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

第二次世界大戦中の1945年1月23日のBPO演奏会を最後にスイスへ亡命したフルトヴェングラーが、戦後ようやく1947年になってBPOにカムバックしたコンサートの第3日目の《運命》と《エグモント》序曲、そしてBPO創立70周年記念演奏会の第1曲の《大フーガ》という歴史的名演。


ベートーヴェン:交響曲全集
/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団,
ヘルベルト・フォン・カラヤン



映像も含めて、生涯に6回もベートーヴェンの交響曲全集を完成させたカラヤン。その中でもベルリン・フィルと全盛期の頂点にあった第2回目の当全集(1975-77年録音)は、スケールの大きさ、強靭にして壮麗なサウンド、精緻なアンサンブル・・とまさにどの点をとっても一点の曇りがない比類なき圧倒的な完成度を誇っています。


Mahler: Symphony No. 9
/Sir Simon Rattle, 
Berliner Philharmoniker



ラトルとベルリン・フィルを語る上で欠くことのできない作曲家マーラー。節目ごとに取り上げるマーラー作品の中でも、大絶賛を浴びた2007年ライヴの記録。



バイエルン放送交響楽団

1949年設立のドイツ・ミュンヘンを拠点にするバイエルン放送の専属オーケストラ。第2次大戦後の設立ながら、初代首席指揮者のオイゲン・ヨッフムのもと、世界有数のオーケストラと評価されるまでに急成長を遂げた。また、シュトラウスが最後に指揮をした楽団としても知られる。ラファエル・クーベリック、コリン・デイヴィス、ロリン・マゼールらが指揮者をつとめ、2003年に主席指揮者に就任したマリス・ヤンソンスは2019年11月に逝去。



ブルックナー: ミサ曲 第1-3番
バイエルン放送交響楽団, オイゲン・ヨッフム



第二次世界大戦中の1945年1月23日のBPO演奏会を最後にスイスへ亡命したフルトヴェングラーが、戦後ようやく1947年になってBPOにカムバックしたコンサートの第3日目の《運命》と《エグモント》序曲、そしてBPO創立70周年記念演奏会の第1曲の《大フーガ》という歴史的名演。


マーラー: 交響曲第3番
バイエルン放送交響楽団ラファエル・クーベリック

大オーケストラにアルト独唱、児童合唱、女声合唱という巨大な編成と、全6楽章からなる構成で描かれる長大な交響曲第3番。マーラーの魅力がたっぷり詰まった作品を、マーラーと同じボヘミア出身のクーベリックがバイエルン放送響を振った名演です。マーラー・ブーム到来前の1960年代の演奏は、現代のマーラー演奏とは一味違った滋味溢れるもの。


Rodion Shchedrin: Carmen Suite – Respighi: Pini di Roma (Live)
Bavarian Radio Symphony Orchestra


ビゼーの名作オペラ≪カルメン≫をバレエで踊ろうと企画したボリショイ・バレエの名プリマ、マヤ・プリセツカヤ。当初は編曲をショスタコーヴィチとハチャトゥリアンに依頼したものの、最終的には彼女の夫シチェドリンが仕事を引き受け、<弦と4人のパーカッション奏者およびティンパニ>というユニークな編成の作品に仕上げました。



シュターツカペレ・ドレスデン

1548年にザクセン州の選帝侯モーリッツによって創設された、非常に長い歴史を持つドイツ・ドレスデンに本拠を置くゼンパー・オーパー(歌劇場)専属オーケストラ。その長い歴史ゆえ、シュッツ、ウェーバー、ワーグナー、そしてシュトラウスら歴史的作曲家が指揮をした事でも知られる。カール・ベーム、ルドルフ・ケンペ、ヘルベルト・ブロムシュテットらが主席指揮者を務め、現在はクリスティアン・ティーレマンが主席指揮者を務める。



ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」、ブリテン:鎮魂交響曲
/ルドルフ・ケンペ


第二次世界大戦中の1945年1月23日のBPO演奏会を最後にスイスへ亡命したフルトヴェングラーが、戦後ようやく1947年になってBPOにカムバックしたコンサートの第3日目の《運命》と《エグモント》序曲、そしてBPO創立70周年記念演奏会の第1曲の《大フーガ》という歴史的名演。


R. シュトラウス:英雄の生涯
/ヘルベルト・ブロムシュテット,
ドレスデン・シュターツカペレ


自らの生涯を描いたといわれるシュトラウスの壮大な音絵巻。ブロムシュテットの豊穣にして端正な指揮、シュトラウスを知り尽くしたドレスデンのオーケストラによる極め付きの名演です。ルカ教会の豊かな響きをとらえた名録音。1984年9月録音。


ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》全曲
/カルロス・クライバー,
シュターツカペレ・ドレスデン


伝説の指揮者カルロス・クライバーの記念すべきドイツ・グラモフォンデビュー・アルバムがこの《魔弾の射手》です。彼の真骨頂ともいうべき、躍動感にみちた音楽づくりがこの傑作オペラにおいてもその魅力を存分に引き出しています。1973年1月~2月録音。



ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

1893年にカイム管弦楽団として創立され、その後、ミュンヘン市のオーケストラとなったことに伴い1928年に現在の名称になった。初期はブルックナーの弟子、フェルディナント・レーヴェなどが首席指揮者を務めた他、マーラーの交響曲世界初演が行われたことや、フルトヴェングラーの楽壇デビューなどでも知られる。ルドルフ・ケンペ、セルジュ・チェリビダッケ、クリスティアン・ティーレマンらが主席指揮者をつとめ、2015年以降はヴァレリー・ゲルギエフが主席指揮者を務める。



Celibidache Conducts Ravel
/Münchner Philharmoniker



ミュンヘン・フィルとセルジュ・チェリビダッケによる素晴らしい遺産が、ミュンヘン・フィル・レーベルより発売。オリジナルのアナログ・マスターテープをクリスティアン・シュタルケ氏が96kHz/24bitリマスターを行い、さらにECMやキース・ジャレットの諸作にかかわってきたクリストフ・スティッケル氏が最終マスタリングを担当し、ライヴの緊迫感ある演奏が甦っています。1979年~1987年録音。


Mendelssohn: Symphony No. 4, "Italian"
Christian Thielemann

創立から125年以上の歴史と伝統を誇り、とりわけドイツ系作品の演奏では最高水準と高く世界的に称賛されるミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団。自主レーベルMPHILを立ち上げてその見事な演奏をデジタル配信でも続々発信を続けています。2009年12月録音。


Mahler Symphony No. 2, "Resurrection"
Valery Gergiev


2015年9月より首席指揮者に就任したワレリー・ゲルギエフ。ミュンヘン・フィルならではの重厚なパワーときらめくような優雅さ、美感をも引き出す練達のゲルギエフの熱血指揮に応えるべく、弦も管も打楽器ももてる最高のものを出し尽くした集中力と緊迫感によって、深く熱く濃密となったこの新コンビの音楽をご堪能ください。2015年9月録音。



ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

1743年に市民階級による自主経営オーケストラとして設立された世界最古の民間オーケストラ。本拠地はドイツ・ライプツィヒ。1835年にはメンデルスゾーンがゲヴァントハウス・カペルマイスター(楽長)を務め一躍その名声が高まった。ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番「皇帝」をはじめ、メンデルスゾーン: 交響曲第1番、シューマン: 交響曲第1番「春」、ワーグナー: マイスタージンガー前奏曲など、実に多くの楽曲が初演された。1781年ゲヴァント・ハウスの初代ホールのオープン以来、「Res severa verum gaudium(真の歓びとは、真面目な仕事にほかならない)」という言葉がモットーとして掲げられている。現在のカペルマイスターはアンドリス・ネルソンス。



バッハ:ヴァイオリン協奏曲集
/カール・ズスケ, ジョルジオ・クレーナー, W.H.ベルンシュタイン, クルト・マズア, ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団


豊富なカタログの中から珠玉のバロック音楽を選出!小規模編成の室内楽特有の響きやチェンバロの輝くような一音一音がスピーカーから溢れるような録音ばかり。冬の透明に凍てつく夜空によく似合う、重厚なバロックの響きをご堪能ください。1977年、1978年 ライプツィヒ・パウル・ゲルハルト教会にて録音。


Brahms: The Symphonies
Gewandhausorchester Leipzig, Riccardo Chailly



ベートーヴェンに続き、伝統あるオーケストラに新風を吹き込むシャイーのブラームス。この作品では、交響曲全曲といくつかの管弦楽曲に、世界初録音となる間奏曲(ピアノ曲からの編曲)やブラームス自身のオーケストレーションによるワルツ集《愛の歌》を収録。さらには、交響曲第1番第2楽章の初演版、あとから削除された交響曲第4番の冒頭など、資料的価値の高い録音も収録されています。


ブルックナー: 交響曲 第3番[2016年ライヴ・アット・ゲヴァントハウス、ライプツィヒ]ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団, アンドリス・ネルソンス

2年連続でグラミー受賞した伝統の名門ゲヴァントハウスの若き新カペルマイスターによるブルックナー・ツィクルス。ブルックナーが敬愛するリヒャルト・ワーグナーに献呈した交響曲第3番から交響曲全曲録音がスタート。カップリングにはワーグナーの歌劇《タンホイザー》序曲を収録。2016年6月録音。



◆ドイツを代表する作曲家


ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル

(Georg Friedrich Handel 1685年 - 1759年)
ドイツ出身で後にイギリスで活躍した。バッハとならびバロック音楽に於いて最も重要な作曲家のひとり。オペラ、オラトリオの作曲家として知られる。


ヨハン・ゼバスティアン・バッハ

(Johann Sebastian Bach 1685年 - 1750年)
バロック音楽の最重要作曲家として知られるとともに、西洋音楽の礎を築いた「音楽の父」と称される作曲家/オルガン奏者。


ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

(Ludwig van Beethoven 1770年 - 1827年)
音楽史上、最も有名にして重要な作曲家のひとり。当時に於いての革新的な作風は、古典派音楽を集大成しロマン派につながる源流を作った。


フェリックス・メンデルスゾーン

(Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy 1809年 - 1847年)
初期ロマン派を代表する作曲家。指揮棒を使用した最初期の指揮者としても知られる。幼くして作曲の才能を開花させ、多大な影響を受けたバッハの音楽を再興させた。


ロベルト・シューマン

(Robert Alexander Schumann 1810年 - 1856年)
19世紀のドイツ・ロマン派を代表する作曲家。交響曲から合唱曲まで幅広いジャンルで素晴らしい作品を残すが、特にピアノ曲、歌曲で高い評価を得る。また、評論家としても素晴らしい功績を残しており、フレデリック・ショパンを評した際の「諸君、脱帽したまえ、天才だ!」という言葉が有名。


リヒャルト・ワーグナー

(Wilhelm Richard Wagner 1813年 - 1883年)
楽劇王としても知られる19世紀ロマン派オペラ作曲家の最高峰。オペラに総合芸術としての可能性の高さを見出し「楽劇」の創造を目指した。ほぼ全ての自作歌劇の台本を自身で執筆し、また一部作品では演出まで手掛けるなど類まれなる才能を持った19世紀後半のヨーロッパに於ける中心的文化人。


ヨハネス・ブラームス

(Johannes Brahms 1833年 - 1897年)
バッハ、ベートーヴェンと共にドイツ音楽の「3大B」と称されるドイツ・ロマン派の作曲家。ベートーヴェンをはじめ、モーツァルト、ハイドンを強く崇拝する音楽性で「新古典派」と称される事もある。またジプシー音楽など民族音楽をからも大きな影響を受けた。


リヒャルト・シュトラウス

(Richard Georg Strauss 1864年 - 1949年)
後期ロマン派を代表する作曲家、指揮者で、交響詩やオペラの作曲で知られる。父親はミュンヘン宮廷歌劇場の首席ホルン奏者、フランツ・シュトラウス。幼いころから作曲の才能を発揮しはじめ、当時、革新的な手法を用いた交響詩『ドン・ファン』等を生みだした。また指揮者としても著名で、後にカール・ベームやジョージ・セルらに指導した。




◆ドイツの伝統音楽

ドイツの伝統の音楽と言えばクラシック音楽であるが、ここでは一般の市民、農民が歌い繋いでいたドイツの民謡(Volkslied:フォルクスリート)について紹介する。中世のミンネゼンガー(吟遊詩人)、マイスタージンガー(工匠歌人)や教会音楽、またクラシック音楽の影響を受け、時には影響を与えながらドイツの民謡は変化しつつ受け継げらていったと考えられる。歴史的には18世紀の終わりヨハン・ゴットフリート・ヘルダーが民謡(Volkslied:フォルクスリート)という言葉を創作し、祭りや酒場、結婚式等、民衆の生活の中で歌われている歌の採集をし、出版した。これが民謡学の始まりである。また、この時代に既存のメロディーに新たに歌詞がつけられた曲も多く、同じメロディで歌詞が違うものが多々存在する。ドイツの民謡は「こぎつね」、「かっこう」、「かえるの合唱」、「きよしこの夜」、「もみの木」など日本で童謡やクリスマスソングとして知られているものも多い。南ドイツのバイエルン地方は他のアルプス地方と同様、独特の歌唱法ヨーデルとシュプラトラーというダンスを特徴とし、ドイツの他の地方の民謡とは特徴を異にする。一方、ドイツに住んでいたユダヤ系のアシュケナジムの人々は独自のユダヤ民謡を持っていた。ユダヤ民謡の派生として「ドナドナ」や『屋根の上のバイオリン弾き』の音楽で有名なクレズマーがある。



Volkslieder
Hannover Boys Choir


ドイツ北部のハノーファー市に本拠を置くハノーファー少年合唱団と世界的に有名な金管五重奏のカナディアン・ブラスによるドイツ民謡集。彼らはアンドレアス・N・タークマンが書いた新鮮で現代的なアレンジでドイツの民謡を解釈するといった、全く新しい挑戦に取り組みました。何世紀にもわたって歌われてきたドイツ民謡が今でもどれほど新鮮で活気に満ちているのかを知ることができる作品。



Ein Wintermärchen - Weihnachtslieder aus Deutschland (New Arrangements By Christoph Israel)
Deutsches Filmorchester Babelsberg

アレンジャー、ピアニストのクリストフ・イスラエルの編曲、プロデュースによるドイツのクリスマスキャロル集。ドイツの有名な映画音楽のオーケストラであるバベルスベルク・ドイツ・フィルムオーケストラが演奏。「きよしこの夜Stille Nacht)」、「もみの木O Tannenbaum)」など日本でおなじみの曲も収録。ドイツ以外の作品も取り上げた続編も制作されています。



Ode Hashem
Michael Heitzler's Klezmer Band

ドイツの良質ジャズレーベルNeuklag Recordsよりリリースされているクラリネット奏者のミヒャエル・ハイツラーによるクレズマー集。彼は東ヨーロッパのハシディズム文化の精神的主柱といも言えるクレズマーのメロディーと、20年代から50年代に活躍した東ヨーロッパとアメリカの先達の音楽家達に特別な敬意を払うために3人の優秀なミュージシャンとともにこの作品を作り上げました。



◆ドイツのジャズ

戦前~1950年代
ドイツでは1920年初頭すでジャズのレコードが販売されており、モダニズムの広がりやラジオ放送などにより徐々に人気を獲得していった。最初のアカデミックなジャズの研究はアメリカよりも早く1928年にフランクフルトで始められた。クルト・ヴァイルなどクラシック音楽の作曲家もジャズの要素を取り入れることになる。1930年代にナチスが台頭するとジャズは禁止されたが、1940年初頭に歌詞などが替えられプロパガンダに利用されるようになった。戦後はアメリカの占領地を中心として、再び流行を見せる。1950年代に入ると様々なビッグ・バンドが結成され、ラジオ局SWFのクルト・エーデルハーゲンはバーデン・バーデンにて彼のビッグバンドのための歌手としてカテリーナ・ヴァレンテを見出した。クラリネット奏者のロルフ・キューンは1956年にカテリーナ・ヴァレンテと共に渡米し、ニューポート・ジャズ・フェスティバルで演奏、1958年から1962年までベニー・グッドマン楽団に在籍しその後西ドイツへ戻った。1950年代の終わりまでは、失われた20年間を取り戻すべくアメリカのジャズの模倣に腐心していたが、徐々にそこから離れる動きも出てきた。ユタ・ヒップのクィンテットはその中心的な役割を演じた。この時期アメリカではビバップとその反動で生まれたクールジャズが流行していたが、ドイツでは抑制の効いたスタイルのクールジャズのほうが好まれた。また、ベルリン出身のアルフレッド・ライオンは1928年に渡米、1939年ニューヨークにてジャズ専門のレーベル、ブルーノートを立ち上げた。


Musical Moments to Remember: Lotte Lenya – The Songs of Kurt Weill from Berlin to Broadway (Remastered 2016)
Lotte Lenya

代表作『三文オペラ(Die Dreigroschenoper)』からブロード・ウェイ時代の最終作『星空に消えて(Lost in the Stars)』までクルト・ヴァイルが音楽を担当した作品の劇中歌を妻で女優のロッテ・ニーニャが歌ったコンピレーション。『三文オペラ』の中の「マック・ザ・ナイフ」(M1)はジャズのスタンダードとなっており、ソニー・ロリンズはじめ様々なアーティストによって演奏されている。



Musical Moments to Remember: The Sweet Swinging Violins of Helmut Zacharias (2019 Remaster)
Helmut Zacharias

ヘルムート・ツァハリアスは1920年ベルリン生まれのヴァイオリニスト。1930年代に流行ったジャンゴ・ラインハルトステファン・グラッペリのジャズ・バンドに強い影響を受けた。1941年に「Schönes Wetter Heute」がヒット。1950年代までに欧州一のジャズ・ヴァイオリニストと言われるまでになる。のち1956年にアメリカで "When the White Lilacs Bloom Again" がビルボードの12位となると、以降世界的人気となる。



European Swing Giants: Anything Goes – Adalbert Luczkowski
Adalbert Luczkowski Orchestra


アダルベルト・ルツコウスキクルト・エーデルハーゲンと並ぶドイツの先駆的なオーケストラ・バンドリーダー。1900年ベルリン生まれ。1947年よりケルンのラジオ局のオーケストラ・バンドリーダーとして活躍。1953年からは自身のオーケストラを率い活動を開始、オリジナル・アルバムの作成や、ピーター・アレキサンダーカテリーナ・ヴァレンテ、ウド・ユルゲンスらの伴奏、映画の劇伴などを担当する。



Caterina Valente: The Jazz Singer
Caterina Valente


カテリーナ・ヴァレンテはイタリア系でフランス生まれの歌手だが、ドイツのバーデン・バーデンにてオーケストラ・バンドリーダーのクルト・エーデルハーゲンにスカウトされる事により世に出ることとなった。
こちらは1954年と1955年にバーデン・バーデンのクラブにてラジオ局SDRとSWFによって録音されたカテリーナ・ヴァレンテの最初期の録ライブ録音)。



New Faces - New Sounds From Germany
Jutta Hipp Quintet

1925年ライプツィヒ生まれのジャズ・ピアニスト、ユタ・ヒップ。グラフィック・デザインを専攻していたが、ミュンヘンへ移住後ジャズ・ピアニストとして活動を開始。1950年代前半はハンス・コラーのクインテットのメンバーとして活動、その後自らのクインテットを率いて活動。1955年アメリカへ移住。こちらは米ブルーノートでのデビュー盤。1954年当時のドイツ・ジャズ・シーンを捉えた貴重なフランクフルト録音。



Rolfkuhn Spotlights
Rolf Kühn


ケルン出身のジャズ・クラリネット奏者、作曲家。アルト、テナー・サクソフォーンもプレイする。1950年にダンス楽団のウェルナー・ミューラー・オーケストラに参加しプロ・デビュー。1956年には渡米し秋吉敏子、エディ・コスタらと共演、ベニー・グッドマン楽団にも在籍した。こちらのアルバムはブラジルのシンガー、エヂ・モッタ、クロアチアのチェロ奏者アスヤ・ヴァルチッチ等多彩なゲストを迎えた2016年作(御年87歳)。



1960年代~1970年代
1960年代前半はアメリカの人気ジャズ奏者がTVで紹介されるなどしていたが、現地ドイツのミュージシャンは一部のディキシースタイルのバンドが時折出す以外はレコードを出す機会に恵まれなかった。1960年代後半以降、MPSECM、Enjaなどの個性的なジャズレーベルが次々と設立され,クラウス・ドルディンガー(Sax)、ウォルフガング・ダウナー(Piano)、アッティラ・ゾラー(Guitar)、アルベルト・マンゲスルスドルフ(Trombone)らドイツ新世代のジャズ・ミュージシャンのレコードが市場に出るようになった。1970年代になるとジャズは他の様々な音楽との融合が進み、クラウス・ドルディンガーのパスポートや、フォルカー・クリーゲルのグループ、ユナイテッド・ジャズ・アンサンブル等はロックとの融合を推し進めた。


Doldinger
Klaus Doldinger's Passport


クラウス・ドルディンガーは、ドイツのジャズ・サクソフォーン奏者、映画音楽作曲家。1936年ベルリンに生まれる。1971年にジャズ・フュージョン・バンド「パスポート」を結成、ドイツ国内で大きな成功を収めた。本アルバムは80歳の誕生日を記念として制作した2016年作。新旧のパスポートのメンバーに加え、ドミニク・ミラー(Gt)らゲストが参加。パスポートのオリジナル曲の再録や、マーヴィン・ゲイのカヴァーなどを収録。現代的なパスポートのサウンドがここにある。



Output
Wolfgang Dauner

1970年リリース、ECMレーベル最初期の一枚。ドイツ・ジャズ界の奇才と言われるピアニスト、ウォルフガング・ダウナーは1935年シュトゥットガルト生まれ。1960年初頭より活動を始める。こちらのアルバムはエバーハルト・ウェバー(Ba)、フレッド・ブレイスフル(Dr)とのピアノ・トリオ編成をベースにしながらも、電子音やエレキギターがフリーキーに飛び交う、フリーかつ前衛的な作品。ECMレーベルから想像されるイメージからは一番遠い場所に位置する孤高の作品。

Vanessa
Michael Naura


ジャズ・ピアニストのミハエル・ナウラはリトアニア出身で6歳の時にベルリンに移住。大学卒業後スウィング・バンドのピアニストとして働き、1953年より自身のクインテットを率いて活動。1971年からはラジオ局のジャズ番組を担当する。本作は1974年ECMよりリリースされた彼の7作目の作品。盟友ウォルフガング・シュリューター(Vib)及びジョー・ネイ(Dr)の他、バスーン奏者クラウス・トゥーネマンが数曲で参加。全体的にはCTIにも通ずるジャズ・ロック的な作風。



St. Peter Power
George Gruntz, Eberhard Weber, Daniel Humair

スイスのジャズ鍵盤奏者、ジョルジュ・グルンツが1968年にMPSに残した珍しいパイプ・オルガンを用いたジャズ・アルバム。エバーハルト・ウェーバー(Ba)とダニエル・ユメール(Dr)、2人のヨーロピアン・ジャズ・マスターを率いてパイプ・オルガンに挑む。録音はザルツブルクの聖ペーター修道院教会。世界的に有名なクライス・オルガン工房によって制作されたバロック・オルガンにグルンツのスピリチュアルなジャズの情熱が注ぎ込まれる。

Color in Jazz
Erwin Lehn Orchestra

1951年から92年ばでドイツの先進的なビッグ・バンド、ラジオ・シュトゥツトガルト・ダンス楽団を率いたアーウィン・レーンMPSより74年にリリースされた本作は数少ない自身の名を冠したバンドのもの。アメリカ出身のボブ・バージェス(Tb)等、米欧の実力派メンバーが集結。曲は全曲サックスのベルント・ラーベとレーンによるオリジナル。ビッグ・バンド不遇の時代に同時代のジャズの傾向を幅広く取り入れ昇華させることに成功した傑作。



The Philosophy Of The Fluegelhorn
Herbert Joos


ジャズ・トランペッター/フューゲルホルニストのヘルベルト・ヨースがフリューゲルホルンの他、ヴィブラフォン、ベース、バンブーフルートなどなど全ての楽器を自身で演奏し、多重録音した74年の作品。ECMのサブレーベルJAPOよりリリースされた。冒頭の「The Philosophy Of The Fluegelhorn」は野鳥の声もコラージュされ、まるで白昼夢を音像化したかのような浮遊感。緊張と弛緩が錯綜する儚くも美しいサウンドスケープがアルバム全体を埋め尽くす。



1980年代~現在
80年代以降は世界の潮流と同じくドイツのジャズはヒップホップやファンクなどのダンス・ミュージックと融合したACID JAZZ、モダン・ジャズに回帰した新古典派、フリージャズやフュージョンなど様々な方向に分かれていった。1992年にミュンヘンにて設立されたレーベルACTはこの流れを象徴するようなレーベルで、ストレートなジャズのほか、フリー・ジャズ、ワールド・ミュージック系のジャズ、ファンキーなR&Bテイストのもの等多様な作品をリリースしている。またOzella musicNeuklangなどの高音質レーベルもドイツに拠点を置いている。


Love and Peace
Joachim Kühn New Trio

2018年ACTよりリリースされたヨアヒム・キューンの新トリオによる2作目。オリジナルはキューンの曲が6曲、ベースのジェニングスとドラムのシェーファーの曲が各1曲、他にムソルグスキーの「Le Vieux Chateau」、ドアーズの「The Crystal Ship」、オーネット・コールマンの「Night Plans」を収録。前半は聴きやすい曲が並び後半にはヨアヒムらしい前衛的なアプローチの曲が続く。

Dance On Deep Waters
Edgar Knecht

Ozella Musicはドイツのギタリストでプロデューサーのダゴベルト・ベームによって設立されたレーベル。高音質レーベルとして音質には定評がある。こちらのアルバムはピアニスト、エドガー・クネヒトによるOzella Musicでの2作目のアルバム(2013年発表)。全ての曲がトラディショナルをモチーフに作られており、優美でノスタルジー溢れるメロディーが欧州ジャズ特有の端正なスタイルで奏でられる。

Wagma
Simin Tander

Neuklangはドイツ南部ルートヴィヒスブルク所在の伝統ある録音スタジオBauer Studiosが持つレーベルの一つ。こちらはアフガン系ドイツ人のシンガーSIMIN TANDERのNeuklangでのデビュー・アルバム。オランダの音楽院でジャズを学んだ才女でこのアルバムではプエルトリコの楽曲を取り入れたり、ニック・ドレイクの名曲をカヴァーしたりとバラエティーに富んだ幅広い選曲をやさしく歌い上げています。



◆ドイツのポピュラー音楽

第二次世界大戦の後、アメリカ軍のラジオ局American Forces Network(AFN)はドイツの戦後文化と大衆音楽に大きな影響を与えた。特に西ドイツでは英語のポップミュージックがますます盛んになり、その後のドイツ国内のラジオでオンエアされる楽曲の殆どは英語の歌詞だった。アメリカとイギリスからの影響を受けつつも独自性を備えた音楽は、クラフトワークやスコーピオンズ等、国際的な成功を収めたアーティストも輩出している。

ジャーマンポップス

戦後にアメリカやイギリスの影響を強く受けて生まれたジャーマンポップス。サウンドも欧米のそれを意識したものが多く、国際的なヒットも生まれている。日本でもSweet Boxの「Everything's Gonna Be Alright」が大ヒット。


『Happy Wedding Complete Best』
sweetbox

ドイツ発のダンスポップ・グループSweet Boxの誕生25周年を記念アルバム。、結婚式ソングとしても人気の「Everything's Gonna Be Alright」などを最新マスタリング。


『Hello Again』
Klee

ケルンのポップバンドKlee。エレクトロとアコースティックサウンドの融合が多かったKleeだが、今作ではアコースティックメインのカヴァーアルバムとなっている。

 

『HERZ KRAFT WERKE LIVE』
Sarah Connor

1980年生まれ。2000年代前半で最も成功したドイツのポップ歌手Sarah Connorのライヴアルバム。国外でもヒットした「From Sarah With Love」のライヴ版を含む全24曲


クラウトロック
60年代後半に生まれた西ドイツの実験的音楽。日本のゆらゆら帝国など、後にクラウトロックの影響を公言するアーティストが世界中に数多く登場する。サイケデリックミュージックに端を発し、プログレやアンビエント、エレクトロ等のクラブ系サウンドとも密接な関わりがある。しかし、代表格のクラフトワークでさえ最初期はシンセサイザーを持っていなかっため、ラジオやテープデッキ等の音響機械から工夫して作り出した音を使っていたという。ドイツ人の無骨なDIY精神がクラウトロックを作ったといえる。ちなみに“クラウト”とはキャベツの酢漬けの意味で、元々はイギリス人によるドイツ人への蔑称だった。音楽性の高さが評価された今は、“クラウトロック”という呼び名は世界中で敬意を持って用いられている。


『he Singles』
CAN
Kraftwerk

68年に西ドイツで結成されたCan(カン)のシングルコレクション。人気曲の他「Silent Night」や「Turtles Have Short Legs」などレアなシングル曲も収録。クラウトロックを聴くのであれば必聴の一枚。


『3-D The Catalogue』
Kraftwerk

Canと並ぶクラウトロックのレジェンド、クラフトワークの過去8枚のアルバムの代表曲を最新にアップデートして収録された、リメイクベスト的な作品。


ジャーマンメタル/ハードロック
1965年結成のスコーピオンズがドイツのヘヴィメタル/ハードロックシーンを牽引。海外でも成功を収め、ギタリストのマイケル・シェンカーは世界屈指のギターヒーローとなった。1970年代後半にイギリスで起きたNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)ムーブメントに呼応するように、ドイツでも数多くの良質なヘヴィメタルバンドが生まれ、ジャーマンメタルと呼ばれる確固たる地位を築く。後にドイツ国外にもこれを源流とするバンドが数多く誕生した。クラシック音楽を基にした抒情的なメロディが特徴で、ハロウィンやフェア・ウォーニングの成功を筆頭に、主に日本で高い人気を誇るジャンルとなった。
ヨーロッパ最大のメタルフェスWacken Open Airが毎年開催されるなど、ドイツは‟メタル王国“としての注目を集め続けている。



『テンプル・オブ・ロック』
マイケル・シェンカー


長きに渡りロック・シーンに君臨するマイケル・シェンカー2011年のソロ・アルバム。
本作にはルドルフ・シェンカー、クリス・グレン、サイモン・フィリップス、ロビン・マッコリーなど、かつての盟友が揃ってゲスト参加。


『ユナイテッド・アライヴ・イン・マドリード』
ハロウィン

ヘヴィ・メタルの守護神ハロウィンが、かつての中心メンバーであるカイ・ハンセンとマイケル・キスクを含めた7人編成で2017~2018に行なったワールド・ツアー、「パンプキンズ・ユナイテッド」のライヴ音源を全24曲収録。

 


『Sundancer』
Fair Warning


メロディアス・ハード・ロックの頂点として1992年のデビュー以来、その威厳を保ち続けるFair Warning。ネイティヴ・アメリカンの儀式「サンダンス」をヒントに制作された通算7作目となるフルアルバム。



Unisonic『Light Of Dawn』

マイケル・キスク、カイ・ハンセンなどの元ハロウィンのメンバーの他、シーンの実力派ミュージシャンによるスーパーバンドUnisonicの2ndアルバム。


Iron Savior『Rise Of The Hero』

ジャーマン・メタル界の重鎮、ピート・シールク率いるアイアン・セイヴィアー。正統派メロディック・パワーメタルの精神に貫かれた、これこそがジャーマンメタルの王道というべきサウンド。

 


『Live At Wacken 2018: 29 Years Louder Than Hell
ドイツが誇る世界最大級のメタルフェス、ヴァッケン・オープンエアの2018年の公演が収録されたアルバム。セパルトゥラ、ナイトウィッシュ、コルピクラーニ、等、ドイツ国外のアーティストのパフォーマンスも聴ける豪華盤。


■第1弾 ハイレゾで聴く 世界音楽漫遊記~日本編~

 

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