城 南海デビュー10周年を飾る最新アルバム『one』 スペシャルインタヴュー公開!

2019/12/18
城 南海、6作目にしてデビュー10周年を飾る最新フルアルバム『one』がハイレゾでも配信開始!2020年を過去10年のキャリアを足掛かりにした1からのスタートと位置付けられた今作。「一緒に歌うことで生まれるグルーヴ」をより大切にしたというレコーディングの様子から、自作詞による楽曲が描く奄美と東京の風景などを語っていただいた。

Interview and Text, Photo:e-onkyo music



◆『ONE』と『one』それぞれのタイトルに込めた思い


−:アルバム「one」の完成、おめでとうございます。デビュー10周年。この先の11年目は過去10年をベースにした”1”からのスタートという意味合いもある記念すべき作品ですが、このタイトルに込めた想いをお聞かせいただけますか。

先行シングルでリリースした『ONE』という曲がありまして、自分にとって初めての英語のタイトルだし、友情をテーマにした曲で。「最高の友は1人きりでいい」という意味もある言葉だし、10周年を迎えて新たなステップ、新しい城 南海を楽しんでいただけるアルバムを示す言葉として『one』というタイトルにしました。

−:シングルでは『ONE』、アルバムは『one』と大文字と小文字で使い分けていますね。

アルバムはもっとパーソナルなイメージを込めて小文字の『one』にしました。今回は等身大の言葉だったりリアルな言葉がこれまでの作品に比べるととても多いですね。もうそろそろ30代なので(笑)
女性としてのカッコよさ、凛としたところもジャケットでYOUさんが引き出してくださいました。


◆凜とした女性のかっこよさを


−:等身大の女性の歌なんだなと感じる作品です。YOUさんとのアートワークのお話も少し聞かせてください。非常に“今”な雰囲気のあるジャケットですけど、今の城南海さんの“素”に近いイメージですか?

(ビジュアルに関しては)“素”というよりも逆に結構作り込んでいただきました。凛としたひとりの女性・大人の女性としてのステップにもなるような、作品の中で色々なチャレンジをしたNew城 南海を表現していただきました。YOUさんも「これ着たくないとかあったら何でも言ってね!」って本当にフランクで(笑)撮影もテンションが上がるように音楽をかけながら一緒に撮ってくださったので、本当に私の新しい一面を引き出して頂いたという感じです。なので、いつもの素の私って感じとはまたちょっと違うかもしれないですね。


◆シマ唄とクラシック 二つの要素


−:城 南海さんといえば奄美の民謡は大きなバックグランドでもあると思うんですけど、あの独特なこぶしを多用せずあくまで楽曲ありきという感じがしました。今作を含めて意識されているところですか?

そうですね、曲のそのメッセージや思いを伝えるっていうのが最優先ですから。こぶしが合わないリズムだったら入れないし、歌い掛けているメッセージの距離感とかを考えて、やはりこぶしが入ると世界がパッと変わりますからね。例えば使うにしても、Aメロ・Bメロでは入れずにサビでこぶしを入れて世界を変えるとか。やっぱり曲がまずあってどこに入れていくかって考えながらレコーディングをしていました。

−:たしかに、ガッチリこぶしが効いたものを聴くときって結構こちらも心構えが要るというか、香りが強いですからね。

島だなって感じですよね(笑)

−:極端に言うと『one』はとても都会的なアルバムだと感じました。城さんのシマ唄的な要素と、西洋的ないわゆる普通のポップスとしての要素のバランスが絶妙です。

私は元々クラシックピアノをやっていたので、シマ唄とポップスでは結構スイッチが全部違っていたんです。デビュー曲の「アイツムギ」のレコーディングのときもどう歌っていいのか分からなくて。でも「一度いろいろ気にせずに自由にやってみてよ」って言われて歌ってみたら、自然とその曲の中にこぶしが出てきたんですよね。”ここに入れよう”って心が赴く所に入っていったので、それまでは完全に別々だったものが自分の中で上手くミックスされたっていう感じです。それから色々な曲にチャレンジしていただく時も、完全にスイッチが大きく切り替わる曲も時々ありますけど、大体は自分の中で二つの要素を両立させながら歌っている感覚はあります。クラシックが元にあるので完全に民謡に染まる訳でもなく、私自身ちゃんと歌ってみようと思ったのも島を離れてからでしたから、やっぱり本当に一番大きなバックグランドはクラシックやピアノだと思います。民謡はもちろん音程もテンポも揺らいでいるし、クラシックをやっていたからこそポップスに馴染めているっていうところ大きいかもしれないですね。

−:琉球の民謡の音階(ド・ミ・ファ・ソ・シ)と比べて奄美の音階(ド・レ・ミ・ソ・ラ)は音の飛び方が緩やかでそこにクラシックとの親和性の高さものもあるんですかね?

クラシックというよりは日本の古来の和音階が奄美の民謡と同じなんですね。沖縄は琉球という国だったので、奄美と沖縄は一緒に見えがちでも、日本の古来の言葉や文化を多く残しているのは奄美なんです。
歴史的に大和朝廷の管轄になったり、琉球王朝や薩摩に支配されたりアメリカの時代もあったんですけど、色んな所に支配されてきたからこそ自分たちの中にあるものを大事にしていようっていうのが強くて、本土では無くなっていったような、万葉集で使われている言葉が逆に島だからこそ残っていったっていうのはあるみたいですね。


◆一緒に歌うからこそ生まれるグルーヴ感を大切に


−:今回は沢山の共演ミュージシャンの方々も注目ポイントですね。特に大島賢治(ex THE HIGH-LOWS)さんは全曲アレンジでも参加されています。

大島さんは去年リリースした『ユキマチヅキ』というカヴァーアルバムの時からご一緒させて頂いていまして、やっぱりビートが効いた曲も多いですし、ドラマーさんならではのアレンジっていうのが今までの城 南海の楽曲と比べてもそういう面曲が際立つ曲が多いですね。大島さんにお願いしたからこそのサウンドになっています。

−:アルバムのボトムを支えるリズムやビートがストレートでタイトだと感じます。お二人とも異なるバックグラウンドをお持ちですが、共同作業はいかがでしたか?

『ユキマチヅキ』の時は自分の中の原曲のイメージもあったので”これはこうこういう風にしたい”って話し合いも結構多かったんですけど、今回は大島さんの編曲に寄り添って作っていったところが多かったですね。演奏もしてくださっているので、一緒に歌いながらテンポ感を決めたりして。あまり口数が多い方ではないので、演奏しながら会話しているような、私がこう歌ったらこう叩くとかそういう風な感じで。ミュージシャンの皆さんがオケを録る時は私も仮歌で一緒に参加するんですけど、現場で歌があるからこそのグルーヴ感を大島さんも大事にしてくれました。ミュージシャンもツアーで一緒に演奏してくれていたり、楽曲を提供してくださったご本人が参加されていることが多かったので、本当にチーム感が強かったですね。

−:レコーディングで印象に残っているエピソードなどありますか?

デビュー曲からお付き合い頂いている川村結花さんが、今回「行かないで」という曲を提供してくれて、レコーディングでも弾きたいって仰ってくださって一緒にピアノで演奏してくれたんですね。そこにギター、ベース、ドラムでレコーディングするときに私も仮歌で参加したんですけど、だんだんノッてきてクリック(ガイドリズム)も無視しはじめるという(笑)スウィンギーでジャズなフィーリングの曲なのでその場ですごく楽しんじゃって。私はもともとジャズやスウィングはそんなに馴染みが無いし、この曲を歌うのが初めてでそもそも仮歌のつもりだったんですけど、川村さんが「南海ちゃん、めっちゃ良かったで!ほんま良かったで!」たくさん褒めてくださって(笑)結局その時の仮歌のテイクがそのまま採用されました。やっぱりその場でご本人にも参加していただいてこそのグルーヴ感というのが結果的にすごく良かったですね。

−:構えないで作り込まずに歌ったとは思えないほど感情が乗っているように感じます。

作曲されたご本人が一緒にいるから程よい緊張感があったので、それが良い風に作用していたと思います。

−:ジャズやスウィングに馴染みが無いと仰っていますが、先日観させていただいた『ウタアシビ10周年ツアー』のオーチャードホール公演、「西郷どん紀行 ~奄美大島・沖永良部島編~」の山下洋輔さんとの共演シーンは圧巻でした。山下さんのピアノも歌を支えるような伴奏的なものではなく、お二人でフリージャズをやっているような領域だと思いました。

山下さんは私に「自由にやって」と言ってくださって、僕はそこについていくからって。あの曲を山下さんと一緒に歌うのはオーチャードのコンサートで2回目だったんですけど、1回目は去年のレコーディングで初めましての状態で、その時もワンテイクしかできなかったんです(笑)。レコーディングの時もピアノを聴いてから、“こういうコードが鳴ったら歌いだそうかな”とか考えていたんですけど、その時から山下さんは「自由に歌って」って仰っていて。だからあのオーチャードのステージで、1回目よりは一緒に歌いあえたかなって思いましたね。

−:とてもジャズに馴染みがないとは思えない歌いぶりでした。

山下さんは「あなたはクラシックぽい歌い方をされるから、そういう弾き方を僕もするね」仰っていましたね。だから本当に、民謡×クラシック×ジャズだと思います。山下さんがいてくださって、10周年だからこそご一緒できて本当に良かったです。


◆自ら作詞した「東京」で繋ぐ、奄美と東京の二つの景色


−:それではあらためて、あえて今作『one』の聴きどころ、今の城 南海さんらしいところをあげるとしたら。

1曲だけ今回「東京」という曲で作詞をさせて頂いています。新しい城 南海を表現した今回のアルバムですが、この曲は自分から出てきた言葉で綴っている等身大の曲で、10年以上前に初めて作詞した「紅」という曲のアンサーソングでもあります。「紅」は奄美の景色を描いていて、「東京」はこの東京という街に10年住んだ今の私だからこそ書ける歌詞なのかなって。他のアーティストさんが歌う「東京」という曲はたくさんありますけど、それぞれの東京を描いていると思いますし、私も私なりの東京にいる今の自分を描きました。

−:「なごり雪が舞う」という書き出しがやはり印象的です。奄美の城さんが描いた「紅」に対して東京の城さんが描く「東京」。“雪”というものはある種の象徴的な意味がありますか。

奄美に雪が降ることはまず無いので、雪はやっぱり都会のもの、テレビの中で見るものというイメージがありました。だから今住んでいるこの街を表現する要素ですね。「紅」は奄美の緋寒桜という色の濃い桜の花の色で、1月末に満開になって2月に散っていく、丁度なごり雪にあたる季節の花なんです。緋寒桜と雪、奄美と東京のそれぞれ早春のイメージの対比ですね。

−:今回はじめてe-onkyo musicのインタヴューにご登場いただきましたが、最後にこの作品『one』がハイレゾで配信される事についての感想はいかがですか?

できる限り高音質で聴いてほしいですね。生楽器の要素がとても多いアルバムですし、声の質感や広がりはハイレゾだからこそ伝わる部分も大きいと思いますから。ファンの方も音にこだわる方が多くて、「ハイレゾで出してほしい」という声がすごく多いんですよ。たっぷり楽しんで頂けたら嬉しいですね。



>>城 南海 配信作品一覧はコチラ



<information>
■『城 南海 ふるさとコンサート in 鹿児島』
 1/25(土) 鹿児島市民文化ホール第2

■『Premium meets Premium 2020』
 2/17(月) 東京・浜離宮朝日ホール

城 南海 オフィシャルサイト
https://www.kizukiminami.com/

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