業界で暗躍する屈指のキーボーディスト、プロデューサー、トラックメイカー、DJ、そして現在FLYING KIDSのメンバーでもあるSWING-O(スウィンゴ)。彼の50歳を記念する、全編ピアノ演奏によるアルバムがハイレゾ配信開始。e-onkyo musicでは、SWING-O自身にメールインタヴューで、今作についてのお話を伺ってみた。
『SOUL PIANO (PCM 96kHz/24bit)』/SWING-O
50歳を記念して制作された本アルバムは、生ピアノのみで演奏されたインストゥルメンタル作品。
と言ってもジャズやクラシックのピアノ・アルバムではなく、ヒップホップやR&Bを得意とする
SWING-Oによる、愛すべきクラブ・ミュージックへのソロ・ピアノでのアプローチ。
アコースティックによるアンビエント性を最大に生かし、
メロディックに流れて行く仕立ての良い、エレガントなグルーヴを指で奏でた金字塔。
キーボーディストでありトラックメイカーであるSWING-Oだからこそ成し得た
クラブ仕様のアコースティック・ピアノ・アルバムです。
自身による渾身のオリジナル新曲に加え、A Tribe Called Quest、Jay Dee等のヒップホップ・
トラック、2018年の米国R&Bシーンの話題をさらったシンガーElla Maiの大ヒット曲「Trip」
自身の邦楽フェイヴァリットである具島直子の名曲やDoberman Inc.の曲、
またフランシス・レイの映画音楽等を全て生ピアノのみで演奏。
ボーナストラックにセロニアス・モンク「Ask Me Now」のピアノ・ライブ・ヴァージョンも収録。
All Tracks Produced and Performed by SWING-O
Recorded and Mixed by Satoshi Fukuda (福田録音)
Assisted by Junya Nakabayashi, Rio Ikuhara(aLIVE RECORDIND STUDIO)
Recorded at aLIVE RECORDING STUDIO A on Feb.21, May 4,2019
Mastered by Junji Kuramoto
Art work & Illustration : SWING-O
Design : Kayoko Akiyama(grato grafica)
A&R Director : Hiroshi Unemoto(EDOYA Co.)
Executive producer:Yoichi Ishida(EDOYA Co,)
Thanks to all music lover and my family
Thanks to live space FJ’s Yutenji, Left Alone Ashiya
【スペシャル・インタヴュー】
いい音とはどういう音なのか?というのを理屈じゃなく肌で感じるのにハイレゾというのはいいと思います。
---アルバムのリリースおめでとうございます。50歳を迎えるタイミングでの新譜が「ソロ・ピアノ」という事ですが、どのようなもの意図があるのでしょうか?
SWING-O 恵比寿リキッドルームで6月25日に開催する50歳記念イベントがゲスト満載のイベントですし、これまでの作品もゲストを迎えたものばかりで、結果プロデューサー的な視点の作品集が多かったので、対照的なものを作ると面白いかな?と思ってソロピアノ作品集にしました。ピアノだけに向かい合ったこともこれまでになかったですしね。そもそもレーベルのA&Rの方が「いつかソロピアノアルバム出そうよ」とずっと言ってくれていた、というのもきっかけの一つです。
---ソロ・ピアノを演奏する機会というのはこれまでもあったのでしょうか?
SWING-O 小さなイベントの形ではやったことがありますが、結局弾き語りで歌ったり、そっちに行っちゃうことがほとんどでしたね。
--- 実際に完成したご自身の作品を聴いてみての感想はいかがですか?
SWING-O 今回は自分のテクニックではなく、楽曲とプレイスタイルを提示したくて、そのためには奥行きのある音質がすごく大事だったので、そこをエンジニアと一緒に研究しながら作りました。その意図したものをうまく録音できたなと思います。我ながら聴き直していて気持ちよくて、すぐ居眠りしちゃいますw
--- 今回の収録曲はオリジナルが7曲含まれていますが、今作への書下ろしでしょうか?若しくは普段から演奏されている楽曲でしょうか?
SWING-O オリジナルはここ最近の書き下ろしがほとんどですが、Tr-10”Sun Down”は2000年頃に作った曲ですね。思い入れがあって入れてみました。
--- 普段はポップスからソウル/R&Bなど幅広いアーティストへの楽曲提供をされていますが、ソロ・ピアノになると作曲方法や考え方は違ってくるものでしょうか?
SWING-O そもそもHip Hopなトラックを作るときに、元ネタという形でピアノだけのネタは作って来てたので、作曲という意味ではこれまでと特に変わりはないですね。ただTr-11 “My First Secretary”は自分がこれまで作ったことのない、フランス映画の中で使われてそうなクラシカルな曲、というイメージでいろいろ試行錯誤して作ってみたのが個人的に新たな挑戦でしたね。
--- カバー曲のセレクトも実に幅広くて興味深いです。特にヒップホップ系の楽曲をソロ・ピアノで再現するサイクルがSWING-Oならではだと思いました。演奏する際は、サンプリングの元ネタをより意識するイメージでしょうか?それともまた別のイメージが湧く感じでしょうか?
SWING-O サンプリングの元ネタのさらに元ネタがあるとしたらこんな感じ?というイメージです
--- 日本人アーティストの楽曲 “So High ~ソー・ハイ~”具島直子と、“Super Dream ~スーパー・ドリーム~” Doberman Inc.がとても素晴らしいアレンジに生まれ変わっていると思いました。この楽曲はどのような意図でセレクトされたのでしょうか?
SWING-O どちらも今聴かれることのあまりない、でも一定のファンがいる曲で、俺も大好きな曲なので、曲を知らない人に紹介する気持ちで選びました
--- また、去年リリースされたばかりのElla Mai“Trip ~トリップ~”が早速収録されています。やはり強い影響を受けたのでしょうか?
SWING-O これは「やられた!」と思った曲ですね。こういう最近のもちゃんとチェックしてるよ俺!ていうアピールにうってつけな曲!と思って選びました 笑
--- Calling You Toussaint ~僕にはトゥーサンが必要だ~とありますが、Allen Toussaintからの影響は大きいですか?
SWING-O 大きいですね。俺20代はニューオーリンズピアノにはまってましたから。そういう俺自身のルーツも入れておきたくて、最後に持ってきました。
--- ご自身の特にお気に入りのソロ・ピアノ作品をいくつか挙げてください。
SWING-O Thelonious Monk “Thelonious Himself” “Solo Monk” “Solo On Vogue”
Slawek Jaskulke “Senne Part 2 夢の中へ”
--- 50歳という大きな節目を迎えましたが、今後トライしてみたいもの、プロジェクトなどありましたらお教えください。
SWING-O このアルバムを携えて、一人でいろんなところを回ってみたいですねw
録音作品としては次はガラッと変わって打ち込みのR&Bなものを作りたく思ってます
--- 最後に、e-onkyo musicリスナーの皆さんに一言お願い致します。
SWING-O いい音とはどういう音なのか?というのを理屈じゃなく肌で感じるのにハイレゾというのはいいと思います。ぜひいい環境で”SOUL PIANO”を味わってみてくださいw
--- 貴重なお話大変ありがとうございました。
◆SWING-O(スウィンゴ)プロフィール
SOUL PIANIST / SOUL PRODUCER / SOUL DJ
1969年兵庫県加古川生まれ。黒い現場にこの男あり。SOUL、HIP HOP、CLUB JAZZ、BLUES、を縦横無尽に横断するそのスタイルで、日本に確かな痕跡を残し続けるピアニスト、プロデューサー。
2002年、バンド"izanami"を結成し、クラブミュージック界に登場。以後これまでに絡んでいるアーティストは防弾少年団、Rhymester、堂本剛、MISIA、Ai、bird、一青窈、元ちとせ、清水翔太、Zeebra、さかいゆう、KREVA、YO-KING、JAY'ED、Kyoto Jazz Massive、DOBERMAN INFINITY、近藤房之助など。
海外でも評価を得ており、これまでにヨーロッパ全域でアルバムをリリース。ソロやサポートを含めイギリス、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、オランダほか、各国でパフォーマンスを披露している。
2008年に"45"名義でリリースしたアルバム『Hello Friends』(origami XQDU-1002) がヒットして、名実ともにクラブシーンで確たるポジションを築く。これまでに関わったアルバムは150枚以上。「幸せであるように」で知られる30周年を迎えたファンクバンドFLYING KIDSの現在のキーボーディストでもある。
◆オフィシャル・サイト
◆SWING-O on Twitter