気鋭のレーベル「Salvaged Tapes」よりJuvenile(少年性)をテーマにしたハイレゾ作品2タイトルが到着

2019/06/15
e-onkyo musicより、今回新たに配信がスタートするレーベル「Salvaged Tapes」。年間を通してテーマを設定し、それに則った作品をリリースするというレーベルの今年のテーマは「Juvenile(少年性)」。そのテーマのもと、Miyu Hosoi、R N S Tの2組のアーティストの作品がこの度ハイレゾでも配信がスタート。声のみで編成された楽曲を22.2chという膨大なチャンネル数(ここではHPL22にて配信)で表現するMiyu Hosoi。そして、ポスト・ロックからクラブ・ミュージックへとゆるやかにジャンルを横断するサウンドを聴かせるR N S T。ここでは、この2組が表現するJuvenile(少年性)をご紹介。レーベルオーナー、鈴木篤へのメールインタヴューとあわせてお楽しみ下さい。



⬛Miyu Hosoi 声のみでつくられた22.2ch音源(HPL22)




▶️アルバム・ライナーノーツ

見渡す限り遮るもののない景色、雪景色の様な白く、時に厳しいようなー

声のみで制作された圧倒的に美しい作品。
22.2ch音源(HPL22)を含む、自身初となるオリジナルアルバムをリリースします。

高校時代合唱をきっかけに現代音楽に触れ始め、大学在学中からヴォイス・プレイヤーとして数々の楽曲、ライヴ、サウンド・インスタレーションに参加。音楽家としてのバックグラウンドを活かした企画で、ミュージシャンとテクノロジストとの橋渡しを行ないながら、オーディオビジュアルの分野でユニークなコンテンツを生み出している Miyu Hosoi。初のフルアルバムをSalvaged Tapesからリリースいたします。

Salvaged Tapesの今年のテーマは「Juvenile(少年性)」。Miyu Hosoiには、少年の持つ純粋さや、真っ白な心、芯の強さをテーマに作品制作を行っていただきました。

自身の発する声のみで表現するという制限のもと制作された本作、Miyu Hosoiは自身初のフルアルバムとして声の文脈も加味したストーリーを表現したかったといいます。
それは単に音楽的な文脈のことを指すのではなく、声を幾重にも重ねることに端を発したアナログ的なアプローチから、メディアの力を借りた最新のテクノロジーまで、複数の方向性で声の可能性を提示できるようにすることでした。
清冽な湧き水の一滴のように澄んだ響きを残すM1 『Chant』(作曲:石若駿)。単旋律からポリフォニーへ進化していく様子を1枚のアルバムの中で表現したかったという彼女は、この曲を特殊な残響のある部屋で収録し、イコライザーやリバーブを使用せず、収録された声をそのまま活かす方法を採用しました。本作品の1曲めにふさわしい、生まれたままの純粋さ、静けさが極限まで追求された楽曲と言えるかもしれません。
雨の日の庭を想像して制作したというM2 『Jardin』(作曲:江崎文武)は、唯一感情を全面に出して録音したと語っています。楽曲中盤では水があふれるようなイメージを、クラシックな譜面のアプローチながらエフェクティブなシーンをも取り込み見事に表現しています。
続くM3『Rovina』(作曲:YUSUKE LAWRENCE KATO)では、マイクとの距離やブレスの強弱、増減を巧みに使い分け、1人で表現できる声の多様性について追求したといいます。多重録音ならではの多面的な遊び心をのぞかせながらも、不思議と一体感を感じさせる1曲となった点において制作チームも良い意味で想定外だったそう。
M4『Fonis』(作曲:坂東 祐大)では今まので声楽的な作風を一新し、声を素材としてサンプリング、エディットすることで、声の可能性を拡大することに成功しています。声を楽器に似せるのではなく、声そのものが音を奏でられるインストゥメンタルの一種であるという原点に立ち返る姿勢を示しているようにも見えます。自身で作曲したというアルバムタイトルを冠したM5『Orb』(作曲:Miyu Hosoi)。天体、球というイメージから、アルバムを通して感じられる一本の道筋の周りに、発せられた音が周回するような感覚で制作したと語っています。音楽と音の境界をゆっくり行き来するような、自転と公転を遠くから眺めている様なさまを思い起こさせます。
22.2chを2mixバイノーラルで収録したM6『Lenna』は、現代のテクノロジーを用いた空間表現において人の声で表現できる幅を押し広げました。作曲を担当した上水樽氏の「ダイナミックレンジ、音域、モノラル、サラウンドを含んだ空間レンジを最大限に活かすよう作曲しました。」という言葉通り限りなく実験的な作品であるにもかかわらず、一方でミックスを担当した蓮尾氏の「音楽を空間の広さ、狭さ、粗と密、静と動で表現したいと思いました。あくまで音楽でであることを念頭にバランスをとることを目指しました。」という言葉からも、この楽曲が音楽的にも高度に完成されており、まるで個々の音声データが人格を持っているかのように、時に人を惹きつけ、また置き去りにしていくようなJuvenileの挑戦的な側面を体現していると言えるでしょう。
音が水のように溢れ、流れを作り、満たされていくような感覚に捕らわれるかもしれません。清冽で、ささるほど冷たい、凛とした佇まいの水。
Miyu Hosoiが表現するJuvenileが余すところなく収められた1枚です。



▶️コメント from Miyu Hosoi

「『Orb』は声だけで構成されています。コラボレーターには私の信頼するミュージシャン・エンジニアを迎え、各曲それぞれがこのアルバムを構成する重要なコンセプトを持っています。 M1は残響室で収録し 声が旋律と響き・和声を見つけたときのような単旋律で始まり、反対にM6は膨大な量の多重録音による22.2chフォーマットで作品を制作しました。アカペラの楽曲ですが、あらゆるジャンルのリスナーに対しても入り口を作りたいという思いで制作しているので、これまでとりわけ声に興味のなかった方も、普段聴いている音楽と共通した部分をこのアルバムの中のどこかで見つけ、興味を持っていただけたら幸いです。 最後にこのような挑戦的な取り組みに理解と協力をしてくださったコラボレーター・サポーター、エンジニアの皆様に感謝申し上げます。」  Miyu Hosoi



▶️Miyu Hosoi プロフィール

1993年愛知県生まれ、慶應義塾大学総合政策学部卒業。高校時代合唱をきっかけに現代音楽に触れ始め、大学在学中からヴォイス・プレイヤーとして数々の楽曲、ライヴ、サウンド・インスタレーションに参加。また音楽家としてのバックグラウンドを活かした企画で、ミュージシャンとテクノロジストとの橋渡しを行ないながら、オーディオビジュアルの分野でユニークなコンテンツを生み出している。NTT ICC オープン・スペース2019「別の見方で」では無響室にて22.2chで制作した声のみの作品”Lenna”を再構築し展示を行う。

♦️Miyu Hosoi オフィシャル・サイト



















⬛ポスト・ロックからクラブ・ミュージックへ、R N S Tが切り開く新境地


『−』
R N S T



▶️アルバム・ライナーノーツ

夢中でそれを追いかけていくとき、悪意なく何かを犠牲にしてしまうようなー
ポストロックからクラブミュージックへ。
ジャンルを自在に行き来するR N S Tが、新たな境地を開く新作をリリースします。

音楽フェスに4年連続出演を果たし、バンドサウンドながらライブハウスのみならずクラブやDJからも熱い支持を集めるR N S T。過去にEPとアルバム2作品をセルフタイトルアルバムとして自主レーベルR And Labelからリリース。3作目となるフルアルバムをSalvaged Tapesからリリースいたします。
Salvaged Tapesの今年のテーマは「Juvenile(少年性)」。R N S Tには、少年の持つ力強さや探究心、無邪気さテーマに作品制作を行っていただきました。

過去にEPとアルバム2作をセルフタイトルアルバムとしてリリースしてきたR N S T。
3枚目のアルバムとなる今作では、テーマに沿った制作を行うことでその制作方法は大きく異なったといいます。
過去の彼らの作品では、ジャムセッションでお互いの音を聴きながら制作するスタイルが主流でしたが、今回はそれぞれが思う音、出したい音をプリプロとしてデータで送り合うというアプローチで作成されました。それは、Juvenileというコンセプトを本人たちが解釈し、かつて好きだった音楽や、各々のルーツに向き合うために、陽(ボーカル、プログラミング担当)が提案したことでした。
陽は、「我々だからできると思いました。他のバンドがやってもうまくいかないだろうし、きっと破綻する。」と、メンバーへの信頼があるからこそ試みた経緯を話します。
最初に制作したというM1 『Occur』で初めてこの方法を用いて制作したそうですが、同曲の制作を通して、メンバー全員が同じ方向を向けていることを確信し、その他の曲も同じ方法で制作することに決めたそうです。
Sanson(ベース担当)は、「自分のルーツとなる音楽をすべて聞き直して制作に臨みました。後で加工しやすいようになるべくエフェクトを多様せずフラットな状態で録音しておくことが多かった過去の作品の制作過程とは異なり、音作りを積極的にエフェクターボード上で行いました。そうすることで、曲の中で自身の音の居場所をより深く考えるようになった。」と振り返っています。
また、宇宙(ギター担当)は、「純粋な音作りへの探求にチャレンジできました。シンセのような音色を多用していますが、フレージングやダイナミクスはしっかりとギターを感じられるように制作しました。」と語ります。
3人がそれぞれに目指す音を出し合った今作。それでも1つ作品として表現できるのは、バンドとして共通の世界観を持っているというのはもちろん、彼らの持つ好奇心や探究心、音作りへの力強さ、少年のような心そのものが、ずっと失われることなく、内に輝いているからかもしれません。
マスタリングを手がけた、ROVOやスーパーカーのプロデュースでも活躍する益子樹氏もまた同じく、今作のテーマにブレのないアプローチを掲げています。
音楽フェスへの出演や映画、広告音楽の制作など、多彩な活動を続けるR N S T。
彼らの表現するJuvenileを感じられる1枚となっています。



▶️コメント from R N S T






▶️R N S T プロフィール

陽(Vo & Prog)・宇宙(Gt)・Sanson(Ba) による3人組のバンド。アンビエント、ポストロック、エレクトロニカなどをルーツに、2枚のアルバムとデジタル配信EPを発表。様々なジャンルを吸収し、独自の音楽性を追求してきた。音響的で優美なサウンドスケープから変拍子、ミニマルなアプローチ、ディレイで緻密に計算されたフレーズや、エモーショナルで過激なエフェクトなど多種多様な表現方法が特徴。歌、インスト、長編作品などの多面的な楽曲が存在する。ライブでは、3人という小編成ながら、ギター、ベース、リズムマシンやサンプラー、ボコーダー等のハードウェアを駆使し、音源の再現に捉われず、リアレンジや即興など枠にはまらないパフォーマンスを行う。

♦️R N S T オフィシャル・サイト
▪️Twitter












⬛「Salvaged Tapes」レーベル詳解




ここでは、Miyu HosoiとR N S Tをリリースしたレーベル「Salvaged Tapes」についてお話を伺うべく、レーベル・オーナーの鈴木篤氏にメールインタヴューを敢行。これらの個性際立つアーティストをリリースする「Salvaged Tapes」がどのようにして独自のスタンスを築いてきたのか、お話を伺ってみた。


――Salvaged Tapesについてご紹介ください


鈴木篤(Salvaged Tapes)(以下、鈴木) 2014年に設立しまして、今年で5年目になります。作品数はあまり多くないのですが、かつてBibioと活動をともにした「The Gentleman Losers」の復帰作や、その場で環境音をサンプリングしてテクノを作るユニット「BERVATRA」の処女作など、毎回力強い作品をお届けできているかと思います。

――Salvaged Tapesの作品の特徴や、大切にしているポリシーなどを教えていただけますか?

鈴木 月並みかもしれませんが、特定のジャンルや音作りにこだわらないように心がけています。昨年から取り組み始めたのですが、コンセプチュアルな作品作りをアーティストと共に行っています。レーベルとして年間テーマを設定しまして、そのテーマに則った作品を一緒に作るという形です。例えば今年のレーベルテーマは「Juvenile(少年性)」なので、R N S Tには少年の持つ奔放さや野性的な激しさを、Miyu Hosoiには芯の強さは純粋さを表現していただきました。音楽ジャンルで言えば相反する両アーティストですが、テーマがあれば対になる作品として見ることもできます。

どうしても音楽レーベルというと、特定のジャンルのみのリリースや一聴して分かるミックスやマスタリングが多いような気がしますが、そうなると扱う作品の幅が狭くなっしまったり、ファンの方にも届きにくくなるような気がします。テーマとコンセプトを新しい切り口にすることで、ポストロックが好きな方でも、アンビエントが好きなお客様にも作品に触れていただけるかもしれません。美術館やファッションショーの感覚に近いでしょうか。来年はどんなテーマなんだろう、どんなアーティストを迎えるんだろうと思っていただけるようなレーベルになれたら良いなと思っています。

――録音やミックス、マスタリングはどなたが手掛けられているのですか?

鈴木 R N S Tの作品ではROVOなどでもご活躍中の益子樹さんに、Miyu Hosoiの作品では、蓮沼執太フィルなども手がける葛西俊彦さんと、M4 のみ坂東祐大さんにミックスを、風間萌さんとアシスタントの飯塚晃弘にマスタリングをしていただきました。 録音はアーティスト自身が行っています。それぞれアーティストとエンジニアさんは昔からお付き合いのある方で信頼関係がありましたので、安心してお願いすることができましたしコンセプトの共有もとてもスムーズでした。前出の話題にも繋がりますが、コンセプトごとに作品のアプローチも異なるため、ミックスやマスタリング、アートワークを手がけるデザインチームも毎回違うチーム編成で臨みます。アーティストサイドから希望がある場合がほとんどですが、レーベルとして直接お願いすることもあり、アーティストと相談しながら決めていきます。

――録音からミックス、マスタリングにおいてはどのような機器を使用しますか?

鈴木 機材もエンジニアさん同様に毎回変えていて、特に決まった機材は用いていません。強いて言えばマスターチェック用のモニタースピーカーは変わらずYAMAHAのものです。

――素晴らしい音質で音楽制作をするための秘訣というものはありますか?

鈴木 機材ももちろん大切だと思うのですが、やはり最後は本人の耳ではないかと思います。たくさん音楽を聞いて、機材や楽器をたくさん触っていると自然と耳が開いていくような気がします。

――Salvaged Tapesの今後のリリース/活動予定など。

鈴木 今年は設立5周年ということもあり、秋くらいにささやかながらレセプションなども開催予定です。来年のテーマも決まっていますので、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

――e-onkyo musicのユーザーの皆さんへメッセージをお願いします。

鈴木 レーベルとして今年のリリースで初めてハイレゾ音源をリリースします。通常の音源以上に、音の粒や息遣いまで作品の世界観をお楽しみいただけるかと思います。ぜひ、チェックしてみてください。

――貴重なお話、大変ありがとうございました。


♦️Salvaged Tapes オフィシャル・サイト
▪️Facebook
▪️Twitter
▪️Instagram



▶️ライブ/イベント情報


■Miyu Hosoi

アルバム収録楽曲「Lenna」を下記美術館にて展示しております。


「オープン・スペース 2019 別の見方で」

この作品は,多数の音声チャンネルを使用して,音像の定位や音場の広がりを作り出す,声のみを素材にした空間的な音楽作品ですが,マルチチャンネルの制作および視聴環境に対する提案と実践をうながすための作品でもあります。
これまでの音響システムは,モノラル(1チャンネル),ステレオ(2チャンネル),サラウンド(5.1チャンネルなど)といった統一された規格にもとづいて制作されていました.この作品は,本来NHKが開始した8K衛星放送における音声の制作・伝送規格である,22.2チャンネルサラウンドのフォーマットで制作された作品ですが,そのままの状態では,制作環境としても,再生環境としても,一般的な制作者や聴取者が使用できる機会がありませんでした.そこで展示においては,別のフォーマットで音場を再生できるシステムを使用して,体験できるようにしています。
22.2チャンネルの規格では,まだ使用できる音源サンプルが少ないことから,この作品は,「音を作る環境,聴く環境を考え,実践するための作品」として制作されました.タイトルは,画像処理の論文などでよく使われるテスト画像として知られる,女性のポートレート「Lenna」に由来しています。22.2チャンネルの音声データの無料配布や,クリエイティブ・コモンズでの二次利用許可をはじめ,リミックスやコンバートの研究などの具体的な施策を通じて,そうしたマルチチャンネル作品におけるサンプルとして使用され,新しい規格における視聴環境や流通などに関する議論の活性化につながる試みが誘発されることを目指しています。

会期:2019年5月18日(土)~2020年3月1日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
開館時間:午前11時~午後6時
休館日:月曜日(月曜日が祝日もしくは振替休日の場合翌日),保守点検日(8/4,2/9),年末年始(12/28~1/6)
入場無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](東日本電信電話株式会社)
♦️オフィシャル・サイト

* 諸事情により開館時間の変更および休館の可能性がございます.最新情報はホームページなどでお知らせいたします.

15分毎の入れ替え制/予約制となります。

♦️作品詳細情報

♦️予約サイト

「Lenna」

アートの地平を切り開く挑戦的なプロジェクトや、今後が期待される若手アーティストのインスタレーションなどを紹介する展示シリーズ「scopic measure(スコピック・メジャー)」の第16弾です。ボイスアーティストの細井美裕のサウンドインスタレーション作品「Lenna(レナ)」を発表します。
本作の素材となるのは細井が中心となって制作さ れた同名の楽曲です。この楽曲は、通常のスピー カー22台と低音域用のスピーカー2台を用いた22.2チャンネルの特殊な再生環境(マルチチャンネル)での聴取を前提に制作されており、細井の声が立体的に絡み合うことで、鑑賞者にひとりの人間の声とは思えないような様々な質感を知覚させます。本作はこの楽曲を上述の再生環境を準備したうえで、サウンドインスタレーション作品として展開するもので、これが世界初公開となります。


会期:2019年7月20日(土)~2019年11月17日(日)
会場:山口情報芸術センター
開館時間:午前10時~午後7時
休館日:火曜日
入場無料
主催: 山口情報芸術センター
♦️オフィシャル・サイト


■R N S T

「CIRCLE」

公演日時:2019年8月28日
会場:Contact
開演:午後9時
♦️オフィシャル・サイト

 

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