【5月14日更新】 ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music

2019/05/14
ミュージックで絶賛放送中「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」!原典子が珠玉のハイレゾ音源をセレクト。
https://musicbird.jp/programs/high-reso-classic/


文◎原典子
【5月のテーマ:大自然のクラシック】
 10連休となった今年のゴールデンウィーク、緑あふれる公園でのんびりしたり、キャンプに出かけたりと、自然と触れ合う機会を持った方も多いのではないだろうか。クラシックの作曲家にとって、自然はつねにインスピレーションの源であり続けてきた。それはヴィヴァルディが「四季」を書いたバロック時代から、マックス・リヒターがその「四季」をリコンポーズした現代に至るまで変わらない。
 そこで5月は「大自然のクラシック」というテーマで、自然を描いた作品をお届けしたいと思う。とはいっても膨大にあるので、今回は曲名に「森」や「海」といった具体的なキーワードが入った、いわゆる標題音楽を中心に取り上げた。曲名で検索すると、これまで知らなかった意外な作品との出会いもある。ぜひ新鮮な発見もお楽しみいただきたい。

 第1回目の放送は「森」をテーマにした作品を。シューマンのピアノ小品集「森の情景」はおなじみだが、シベリウスの「樹木の組曲(作品75)」というピアノ小品集も味わい深い。〈ピヒラヤの花咲くころ〉〈さびしい樅の木〉〈ポプラ〉というように1曲ずつに樹木の名前がつけられ、その佇まいや、成長していくさまが生き生きと描かれていく。フィンランドの森の中で、1本1本の樹をじっと見上げているような気分になることだろう。

 続く第2回目は「山」。威厳ある美しさをたたえたスケール壮大な山々の風景は、多くのオーケストラ作品の題材となってきた。ひとりの登山者がアルプスに登り、頂上に到達したのち嵐に襲われて下山するまでの1日を描いたR.シュトラウスの「アルプス交響曲」は、今日では単なる描写音楽ではないとも語られているが、同時代のフランスの作曲家ヴァンサン・ダンディの「山の夏の日」は、タイトル通り夜明けから昼間、夕暮れまでの山の1日を克明に描き出した交響詩。聴き比べてみるのも面白いかもしれない。

 「森」「山」とくれば……ということで第3回目は「海」。有名なドビュッシーの交響詩「海」、その数年後に書かれたイギリスの作曲家フランク・ブリッジの交響組曲「海」など、刻々と変化する大海原を音で表現しようと試みた作曲家は多い。なかでも私のお気に入りは細川俊夫の「循環する海」。ザルツブルク音楽祭の委嘱により作曲され、2005年に世界初演された作品だが、「海を出発してまた海へと還る」という無限の循環の中にいつまでも身を浸していたくなる。

 そして第4回目は「川」。スメタナの連作交響詩「わが祖国」ではボヘミア地方を流れるモルダウ(ヴルタヴァ)川、ヴォーン・ウィリアムズの「ロンドン交響曲」ではテムズ川、そして殷承宗ほかによるピアノ協奏曲「黄河」では中国の黄河をめぐる旅をお楽しみいただく。

 「草原」をテーマにした第5回、「星」をテーマにした第6回についても、下記のプレイリストをご参照いただきたい。地球という惑星に息づくさまざまな自然と、それを愛し、畏怖する人間たち。音楽は、そんな両者が交わし合う言葉なのかもしれない。



<森>

●『シューマン:ピアノ・ソナタ第2番、森の情景、暁の歌』
内田光子(P)




●『シベリウス完全全集 その10 ピアノ曲 Vol.2』
フォルケ・グラスベック(P)




●『ショスタコーヴィチ:カンタータ「森の歌」他』
パーヴォ・ヤルヴィ指揮エストニア国立交響楽団、C.アンドレイエフ(T)A.タノヴィツキ(B)





<山>

●『ダンディ:管弦楽作品集 Vol.1』
ラモン・ガンバ指揮アイスランド交響楽団




●『ダンディ:管弦楽作品集 Vol.1』
ラモン・ガンバ指揮アイスランド交響楽団




●『フランツ・リスト:交響詩集 Vol.1』
ジャナンドレア・ノセダ指揮BBCフィルハーモニック





<海>

●『ドビュッシー:交響詩「海」、牧神の午後への前奏曲』
ヤニク・ネゼ=セガン指揮グラン・モントリオール・メトロポリタン管弦楽団




●『ブリッジ:交響組曲「海」、狂詩曲「春の訪れ」、交響詩「夏」』
ジェイムス・ジャッド指揮ニュージーランド交響楽団




●『細川俊夫: 管弦楽作品集 第2集[日本作曲家選輯]』
準・メルクル指揮フランス国立リヨン管弦楽団





<川>

●『スメタナ:連作交響詩「わが祖国」』
ラファエル・クーベリック指揮ボストン交響楽団




●『ヴォーン・ウィリアムズ:ロンドン交響曲(交響曲第2番)他』
リチャード・ヒコックス指揮ロンドン交響楽団




●『陳剛・何占豪:ヴァイオリン協奏曲「梁山伯と祝英台」/殷承宗 他:ピアノ協奏曲「黄河」』
チェン・ジー(p)キャロリン・クアン指揮ニュージーランド交響楽団





<草原>

●『The Symphony Lounge, Vol.1:6 Tone Poems‐Smetana, Debussy, Mussorgsky, Borodin & Dukas』
ジャン・フルネ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団




●『J.S.バッハ:世俗カンタータVol.2』
鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパン




●『ASTOR PIAZZOLLA ~アストル・ピアソラ作品集~』
大萩康司(G)





<星>

●『エストレリータ~ラテン・アメリカ名曲集』
福田進一(G)




●『星月夜~ドビュッシー:前奏曲第1巻、版画』
マイケル・レヴィン(P)




●『吉松隆:プレイアデス舞曲集』
田部京子(P)










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出演者:原典子(はら・のりこ) 音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。
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