【インタヴュー】初のライブ音源をリリースした天才サックス・プレイヤー“寺久保エレナ”

2019/05/07
北の大地、北海道が生み出した天才サックス・プレイヤー“寺久保エレナ”初となるライヴ・アルバム『アブソルートリー・ライヴ!』がハイレゾ配信開始。新宿PIT INNでのライブの模様を収録した今作の演奏からは、若干18歳でデビューを飾ってから8年、着実にジャズ界でのキャリアを積み重ねてきた寺久保エレナの、ジャズ・プレイヤーとしての人物像がくっきりと浮かびあがる作品に仕上がっている。e-onkyo musicでは、そんな寺久保エレナに、今作についてのお話を伺ってみた。


『アブソルートリー・ライヴ!(コンプリート・エディション)』
寺久保エレナ



北の大地、北海道が生み出した天才サックス・プレイヤー“寺久保エレナ”初となるライヴ・アルバム。2018年3月発表の最新スタジオ・アルバム『LITTLE GIRL POWER』で共演したエレナ率いるレギュラー・グループ“寺久保エレナ・カルテット”による2019年1月14日、新宿PIT INNでのライヴを緊急レコーディング。スタジオ・アルバム以上にバンドとしてタイトにまとまった4人によるテンション高い怒涛の演奏、インプロヴァイズ、極上のグルーヴにはただただ驚かされるばかりだ。


◆寺久保エレナ スペシャル・インタヴュー

――ニューアルバム『ABSOLUTELY LIVE!』のリリースおめでとうございます。今作は初のライブアルバムとの事ですが、仕上がった作品を聴かれてみての率直なご感想は?

寺久保エレナ(以下、寺久保) とてもうれしく思います。自分のアルバムがしっかり録音され配信されて、一人でも多くの人の耳に届くというのはうれしいことです。

――今回、ライブレコーディングという事で、やはりいつものレコーディングと違う部分はありましたか?

寺久保 スタジオでレコーディングする場合は、間違えたりしたときにオーバーダブなどの編集ができるのですが、ライブではそれができないので緊張感はありますし、やっぱりそこにお客さんがいるのといないのとではテンションというか気持ちの持ちようも全然違います。お客さんがいると自分の演奏をあおってくれるので、それによってもっと良い演奏ができたり、気持ちが入ったりしますね。お客さんの応援や声援とコミュニケーションをとりながら演奏するような感じです。

――海外での演奏経験も豊富だと思うのですが、アメリカのお客さんはどんな感じですか?

寺久保 ニューヨークのお客さんはとにかくハッキリしてますね。良い演奏をしたときはとにかくすごい盛り上がって歓声を上げてくれるんです。表現のしかたの違いはあっても、今回録音をしたPIT INNのお客さんも、ジャズ好きが集まっていて、皆さん心から私の音楽を楽しんでくださっていることがわかりました。

――デビューからこれまで、ご自身の追い求めるジャズ像、ジャズマン像というものに変化はありますか?

寺久保 女性プレイヤーということとは関係なく、ジャズのサックス奏者として魅力ある良い演奏をしたいと昔から常に思っています。

――今作の1曲目の“Bird Lives”が「これぞジャズ!」と思えるジャズのカッコよさが見事に体現されています。

寺久保 やっぱり自分が聴いていて一番楽しめる音楽なんですよね、ストレートアヘッドなジャズのエネルギーが好きなんです!

――今作では、ご自身で作曲された新曲が2曲収録されていますが、それぞれにテーマや込められたメッセージなどはありますか?

寺久保 Tr.7“クリスタル・パス”は、目に見えないしどこに行くのかわからないけど、自分が進んできて、これから進んでいく将来の道というイメージで曲を書きました。Tr.11“ビー・ナイス”タイトル通り、とにかく明るく“BE NICE”でいようぜ!というイメージですね(笑)。

――今回の収録曲のセレクトはすべてご自身でされているんですか?

寺久保 そうですね。自分の好きなイメージの曲で馴染みのある曲が多いですね。

――レギュラーコンボでの演奏という事ですが、いかがですか?

寺久保 共演を重ねるごとに、お互いのキャラクターをもっと理解出来るようになってきたので、チームワークがすごく出来てきたと思います。他のメンバーはとても安定しているんですけど、私が結構いろんなことから影響を受けて「こうがいい、ああがいい」ってなることはありますね(笑)。

――前作から約1年くらいですが、何か大きな変化はありますか?

寺久保 メンバーとの間に大きな信頼関係ができた気がします。自分が「どうしよう」って困ったときに、みんなが音楽的に良いアイデアを出してくれて、よい状況になったりするので、信頼関係が更に深まったなと思います。




――話しは変わりますが、最近よく聴いているアーティストやアルバムは何かありますか?

寺久保 私はやっぱりストレートアヘッドが好きなので、その辺りが多いですね。共演が決まったのでケニー・バロンをよく聴いていますね。昔から大ファンなんですけど、比較的最近のトリオやクインテットのものを更に聴きこんでいます。

――では、ジャズ以外では最近何か気になる作品などありますか?

寺久保 クラシックやファンク、フュージョンも聞きますが、やはりジャズが多いです。ジャズにも、まだ聴いたことのないアルバムがたくさんあるので面白いですよ。

――ではご自身が一番最初に聴いたジャズのアルバムは?

寺久保  マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』です。それがきっかけです!キャノンボール・アダレイとジョン・コルトレーンが入っていて、そのキャノンボールを聴いて、生意気ですけど「憎めない演奏だ」と9歳の私は思いました(笑)。すぐにその魅力にとりつかれてしまいました。演奏がまるで喋っているかのように聴こえて、これはカッコいい!と衝撃を受けました。2曲目の“フレディーフリーローダー”は、全員のアドリブのソロを歌えるほど聞き込んでいました。

――もともとジャズを始めようと思ったきっかけは?

寺久保 私は楽器から入りました。サックスがジャズの楽器というイメージがあってカッコいいと思ってはじめました。初めて観に行ったコンサートで、ビッグバンドと、カルテットやクインテットのコンボが演奏していて、それで自然とジャズを始めたという感じです。私は北海道の札幌出身なんですけど、札幌はジャズがとにかく盛んで、ジャズ・クラブもたくさんあるし、ジャズの道へ導いてくれる方がたくさんいました。札幌ジュニア・ジャズ・オーケストラというジャズ・バンドがあって、子供たちがオーディションを受けて入るとか、私が通っていた小学校も、担任の先生が学校でジャズバンドを作って演奏していたり、大人向けの音楽教室に、子供ながら参加して練習したりしてました。




――ところで、いま使われている楽器はどのようなものですか?

寺久保 セルマーというパリのメーカーのリファレンスというモデルです。これは新しいタイプで、キラキラの新品の時から使っているのですが、それが何年も使っているうちに、だんだんヴィンテージみたいになってきました。デビュー作のジャケ写では違うサックスを持っているんですけど、デビュー当時から8年くらい使っている楽器です。これに決めるまでにいろいろと試してはみたんですけど、渡辺貞夫さんにご紹介いただいて、セルマーに決めました。それ以来、この同じひとつの楽器を使い続けています。

――最後にe-onkyo musicのリスナーの皆さんに一言お願いいたします。

寺久保 是非私のアルバムをe-onkyo musicで聴いてください。そしてライブにも是非お越しください。

――貴重なお話ありがとうございました。



◆寺久保エレナ「アブソルートリー・ライヴ!」発売記念ツアー

7月28日(日) 東京:新宿ピットイン
8月21日(水) いわき:BAR 1%ER
8月22日(木) 福島:MINGUS
8月23日(金) 山形:Noisy Duck
8月24日(土) 仙台:(予定)
8月25日(日) 盛岡:すぺいん倶楽部
8月26日(月) 秋田:THE CAT WALK
8月27日(火) 青森階上:東門
8月28日(水) 三沢:MOON RIVER
8月30日(金) 室蘭:MUTEKIROU
8月31日(土) 旭川:じゃずそば放哉
9月 1日(日) 札幌:Fiesta

[メンバー]
寺久保エレナ・カルテット
寺久保エレナ:アルト・サックス
片倉真由子:ピアノ
金森もとい:ベース
高橋信之介:ドラムス

[総合問合せ]ジャムライス 03-3478-0331



◆寺久保エレナ 関連作品







◆寺久保エレナ プロフィール

寺久保エレナ(てらくぼ・えれな)アルト・サックス
1992年札幌生まれ。6歳でピアノ、9歳からサックスを始める。札幌ジュニア・ジャズ・オーケストラに参加。13歳の時、最年少でボストン・バークリー・アワードを受賞。渡辺貞夫、山下洋輔、日野皓正、佐山雅弘、本田雅人、タイガー大越、TOKU、エディー・ゴメス、向井滋春など有名ミュージシャンとの共演やセッションに多数参加。

2010年高校3年生の時に、ケニー・バロンやクリスチャン・マクブライドが参加した『ノース・バード』でメジャー・デビューを果たし、一躍大きな注目を集める。

2011年、2枚目のアルバム『ニューヨーク・アティチュード』をリリース。同年、日本人初のプレジデント・フルスカラーシップ(授業料、寮費免除)を獲得して、アメリカのバークリー音楽大学に留学。2013年、第3作『ブルキナ』を発表。

2015年バークリー音大を卒業し、活動の拠点をニューヨークに移す。2016年、アルバム『ア・タイム・フォー・ラブ』をカナダのCellar Liveからリリース。2018年、札幌のテレビ局HTBに開局50周年記念テーマソングを提供。3月、初めてのレギュラー・カルテットによるリーダー・アルバム『リトル・ガール・パワー』をキングレコードからリリース。

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