【DXDオリジナルレコーディングで聴くピアノ】 福間洸太朗『France Romance』 配信先行リリース

2019/04/05
コンサート開催やアルバム発売のたびにコンセプチュアルなプログラミングで音楽ファンをうならせるピアニスト・福間洸太朗。彼がこのたびリリースするのは、「フランス音楽」をテーマにした待望の新譜『France Romance』。福間の演奏の細部までじっくりと味わえるDXD (352.8kHz/24bit) オリジナルレコーディングでお届けいたします。フランス音楽には特別な想いがあるという福間。アルバムのコンセプトやレコーディングのエピソードを、本人へのインタビューと共にお伝えいたします。


『France Romance』/福間洸太朗

PCM 352.8kHz/24bit(DXD), PCM 192kHz/24bit, PCM 96kHz/24bit, DSD 11.2MHz/1bit、DSD 5.6MHz/1bit


~印象派からシャンソンまで フランスリリシズムの奥義~  国際的に活躍するピアニスト・福間洸太朗が、若き日を過ごしたパリに思いを馳せて奏でるフランスの近現代音楽曲集。「夢(ドビュッシー)」「ラ・ヴァルス(ラヴェル/福間洸太朗編)」「ジュ・トゥ・ヴ(サティ/福間洸太朗編)」など全22トラックを収録。


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福間洸太朗
パリ国立高等音楽院、ベルリン芸術大学、コモ湖国際ピアノアカデミーにて学ぶ。20 歳でクリーヴランド国際コンクール優勝(日本人初)およびショパン賞受賞。これまでにカーネギーホール、リンカーンセンター、ウィグモアホール、ベルリン・コンツェルトハウス、サルガヴォー、サントリーホールなどでリサイタルを開催する他、クリーヴランド管、モスクワ・フィル、イスラエル・フ ィル、フィンランド放送響、ドレスデン・フィル、トーンキュンストラー管、NHK 交響楽団など国内外の著名オーケストラとの共演も多数。2016 年 7 月にはネルソン・フレイレの代役として急遽、 トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団定期演奏会において、トゥガン・ソヒエフの指揮でブラーム スのピアノ協奏曲第2番を演奏し、喝采を浴びた。またフィギュアスケートのステファン・ランビエルなどの一流スケーターやパリ・オペラ座バレエ団のエトワール、マチュー・ガニオとも共演するなど、幅広い活躍を展開。テレビ朝日系「徹子の部屋」や「題名のない音楽会」、NHK FM などにも出演。第 34 回日本ショパン協会賞受賞。現在ベルリン在住。

オフィシャルサイト


●アルバム・コンセプト~「人生のワンシーン」と「編曲」

インタビューに応じる福間洸太朗(2019年2月22日、ナクソス・ジャパン)


「このアルバムは、単に自分の好きなフランス音楽の小品を集めたわけではありません。私のピアノ人生にとって欠かせない出来事とリンクした作品がちりばめられており、そのすべてをここで語ることができないのが惜しまれるほどです」(『France Romance』ブックレットより)

 そう語る福間洸太朗。
 現在はベルリンに拠点を置いている福間ですが、最初の留学先はパリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)。その入学試験の最中に訃報を知り、聴いてみてたちまち虜になったのがシャンソン歌手シャルル・トレネの曲だったそうです。
 当時はまとまった楽譜がなかったそれらのシャンソンですが、実はブルガリア出身のユダヤ系ピアニスト、アレクシス・ワイセンベルクの手による編曲が存在しました(「シャルル・トレネによる6つの歌の編曲(ワイセンベルクによるジャズ風編曲)」)(トラック16~21)。楽譜出版社ミューズ・プレス代表・江﨑昭汰氏の尽力により出版にこぎつけ(こちら)、福間も自分のレパートリーとして晴れて演奏するに至るという経緯があったそうです。

 「ノヴェレッテ第1番(プーランク)」(トラック13)は、中学3年生のときに最初に出場した国際コンクールで弾いた曲。審査員から「ハートに響く演奏だった」と評され、それがピアニストを本気で志すきっかけになったといいます。

 これら人生のワンシーンを彩ったフランス作品の数々を、「抒情性」「ロマンティシズム」というコンセプトでひとつにまとめあげたのが本アルバム『France Romance』。福間のプログラミング能力が冴えるドラマ性に富んだアルバムに仕上がっています。


『France Romance』レコーディング風景



 さらに特徴的なのは、福間自身の編曲作品が3曲盛り込まれているところ。しかも、「ラ・ヴァルス(ラヴェル)」「ジュ・トゥ・ヴ(サティ)」(トラック9, 11)といった、原曲自体がピアノ・ソロ、もしくは作曲者本人のピアノ・ソロ編曲がすでに存在する作品。これらをあえて自ら編曲することに福間の強いこだわりがうかがえます。

「自分は作曲家になりたいとは思っていないですし、ジャズを専門的に勉強したわけではないので、編曲なんておこがましいのではという気持ちもありました。けれど、フランツ・リストだって19世紀当時のポップスをアレンジしていたわけですし、尊敬するピアニストのマルカンドレ・アムランも、作曲や編曲をして、ジャズも弾いて、けれどシューベルトの後期三部作のピアノ・ソナタも弾く……という人です。“クラシック・ピアニストだからやらない”ではなく、“やりたいものはやる”というオープンな心でいたいと考えています」

 そんな福間の編曲は、2人以上で弾いているのではと錯覚してしまうようなトリッキーな仕掛けと流麗さが魅力。

「『ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)』の楽譜は、ミューズ・プレスから出版されました(こちら)。楽譜を買ってくれたあるピアニストからは「弾くとモテそうな気がする」なんていう感想もいただいています(笑)」


●レコーディング~「会場の特性」と「ベヒシュタインのピアノ」

 レコーディングは、2018 年11月 28日から30 日にかけて行われました。
 会場の新潟県柏崎市文化会館アルフォーレは、2012年に完成した1,102席の大ホール。響きとS/N比(サウンドとノイズの比率)の良さに定評があるこのホールに、福間みずからセレクトしたベヒシュタインのピアノを持ち込んでのレコーディングでした。



レコーディング会場の新潟県柏崎市文化会館アルフォーレ



 ピアノ・ソロのレコーディングとしては異例ともいえる大きな会場ですが、ガランとした印象は微塵も与えません。ピアノの音が空間の隅々まで満たされ、アルバムのコンセプトにぴったりのサロン的な雰囲気を感じさせます。

「雑音がほとんどなく、すばらしいホールでした。特に響きの消え方が自然で、弾いていて気持ちよかったですね」

 すでに10タイトル以上のアルバムをリリースしている福間本人も絶賛する環境。音作りは、レコーディング・ディレクター兼エンジニアの武藤俊樹氏と相談を重ね、アルバムのコンセプトを共有した上で進められました。

武藤氏(左)と共にモニター・ルームで音をチェック



 楽器は「ピアノのストラディバリウス」とも呼ばれる名器ベヒシュタイン(C. Bechstein D-280)をセレクト。

ピアノは汐留のベヒシュタイン・サロンから持ち込まれた



「歌わせやすい楽器ですね。特に低音の響きが魅力的で、沈み込むような適度な重みがあります。ただ美しい音、明るい音よりも、フランスらしいアンニュイな響きがほしかったので、コンセプトに合っていると感じました。またベヒシュタインのペダルは、持ち上げた時にゆっくりと響きが収縮していって、きれいなディミヌエンド(だんだん弱まる、の意)が描ける。そこが気に入っています」


調律師の阿部辰雄氏とも綿密な打ち合わせを行う



 レコーディングは、初日の最初にすべての曲をひととおりさらい、その後、規模の小さな曲から弾き込んでいくスタイル。ピアノを環境によくなじませた上で気合を入れて挑みたい大曲は、2日目、3日目にレコーディングすることが多いそうです。
 今回の「気合の1曲」はというと……

「やはり自分で編曲した「ラ・ヴァルス」(トラック9)ですね。「もっとよくなるのではないか」という思いで、何度もトライしました。とにかく音が多く体力も使いますし、フレッシュな気持ちで挑みたかったので、連続して弾くのは避け、間を開けて演奏しました。「いま体調がいいので「ラ・ヴァルス」1回録らせてください」という感じで」

 さらにこんな驚きのコメントも。

「「ラ・ヴァルス」のような体力のいる作品は、いつまでも弾けるとは思っていません。40歳までは大丈夫だと思いますが、45歳までは無理かもしれませんね。実はすでに「弾き納め」した作品もあるんですよ」

 30代。クラシックの演奏家としては「まだまだこれから」と言われるような年齢ですが、福間はピアニスト人生の有限性をつねに意識し、「いま弾くべき作品」にこだわったプログラミングを行っています。

ピアニスト・福間洸太朗の「いま」を堪能できる最新録音『France Romance』。ぜひ最高スペックのハイレゾで聴いてみてください。

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