【3月11日更新】 ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music

2019/03/11
衛星デジタル音楽放送ミュージックバードで、2017年1月にスタートした番組「ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music」と連動したコラム。音にこだわるオーディオ・ファン、ハイレゾに初トライしてみたいクラシック・ファンのために、「ハイレゾ女子」として活躍する音楽ライター・原典子が、e-onkyo musicから選りすぐりのタイトルをご紹介します。

文◎原典子
3月のテーマ:名曲で辿る世界史ハイライト

 とあるゲームの影響で作曲家のアントニオ・サリエリが注目を浴び、イベントを開催したら多くのゲーム・ファンで大盛況だったという話をSNSで知って、そのゲームをやってみることにした。『Fate/Grand Order』(通称FGO)というスマートフォン向けのロールプレイングゲームである。ざっくり説明すると、歴史上の人物を「英霊」として召喚し、「特異点」と呼ばれる人類の歴史において重要なターニングポイントとなった時代にタイムトリップして、歴史を歪めようとする悪者を倒していくという内容。フランス編ではマリー・アントワネットとモーツァルトが出てきて会話を交わしたりと、歴史好き、音楽好きにとっても楽しめるファンタジー的な要素があってなかなか面白い。

 さて、それと今月の「ハイレゾ・クラシック」がどう関係するかというと、「人類の歴史における重要なターニングポイント」という点である。宗教改革、フランス革命、第一次世界大戦など、世界史の教科書に必ず載っている重要な出来事を取り上げ、その時代に生まれた音楽や、関連する音楽を紹介するというのが今月のテーマ。題して「名曲で辿る世界史ハイライト」というわけだ。

 第1回目はウィーンの人々を震え上がらせた<オスマン・トルコ襲来!>を取り上げ、モーツァルト、ハイドン、リュリによる「トルコ趣味」あふれる作品をお届けする。第2回目は<宗教改革>。マルティン・ルターが作った詞やメロディをもとに、歴代の作曲家たちが作った歌を収録したアルバムや、ローマ・カトリック教会刷新運動の最中に活躍したパレストリーナの「教皇マルチェルスのミサ曲」などをお聴きいただきたい。そして第3回目は、ヨーロッパを分断したカトリックとプロテスタントの闘争に翻弄されたふたりの女王<エリザベス1世とメアリ・ステュアート>に関連する音楽を。ドニゼッティの『マリア・ストゥアルダ』はこのふたりを題材にしたオペラだが、この3月には映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』が公開される。音楽を手がけているのが、かのマックス・リヒターである点にも注目したい。

 第4回目は<ナポレオンの栄光と失脚>。ベートーヴェンが楽譜を破り捨てたという交響曲第3番「英雄」に関する逸話は有名だが、ナポレオンのふたりの妹がパガニーニを奪い合ったという逸話も忘れがたい。もちろん、そのパガニーニによる「ナポレオン・ソナタ」もお届けする。第5回目の<フランス7月革命>では、まさにこの革命の年に書かれたベルリオーズの「幻想交響曲」を外すわけにはいかない。フランスでの革命の影響はヨーロッパ各地におよび、ショパンの「革命のエチュード」で知られるポーランドの独立運動へとつながっていくのである。

 第5回目は<パリ万国博覧会>にインパイアされて生まれたフランスの作曲家たちの音楽を。ラストの第6回目は<第一次世界大戦>を取り上げ、従軍して命を落とした作曲家ルディ・シュテファンや、負傷による後遺症で人生が暗転してしまったアンドレ・カプレらの作品をお届けする。

 音楽とは本来、歴史上のあるひとつの出来事(=点)ではなく、長い時間をかけて形成された文化や思想の潮流(=線)の中から生まれるものだと思う。しかし、あえて「点」をつまみ出してスポットを当てることで、見えてくるものがある。そんなことを感じながらお聴きいただけたら幸いである。


3月のテーマ:名曲で辿る世界史ハイライト

<オスマン・トルコ襲来!>

●『モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集』
ファジル・サイ




●『飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート 2018』
飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ




●『喜劇と悲劇 Vol.1』
テンペスタ・ディ・マーレ





<宗教改革>

●『マルティン・ルター:LIEDER(ルターの詞、メロディーによる作品集)』
ソフィー・ハームセン(Ms)マティアス・アンク(Org)クラウス=マルティン・ブレスゴット指揮アセシヌス・コンソート・ベルリン




●『システィーナ礼拝堂のパレストリーナ』
システィーナ礼拝堂聖歌隊




●『メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」、交響曲第5番「宗教改革」』
アンドルー・マンゼ指揮ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団





<エリザベス1世とメアリ・ステュアート>

●『エリザベス王朝の調べ~タリス・スコラーズ、ウィリアム・バードを歌う』
ピーター・フィリップス指揮タリス・スコラーズ




●『ベルカントの炎~オペラ・アリア集』
ディアナ・ダムラウ(S)ジャナンドレア・ノセダ指揮トリノ王立歌劇場管弦楽団




●『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』オリジナル・サウンドトラック
マックス・リヒター





<ナポレオンの栄光と失脚>

●『ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」他』
ウラディーミル・ユロフスキ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団




●『アッカルド・プレイズ・パガニーニ』
サルヴァトーレ・アッカルド(vn)シャルル・デュトワ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団




●『BRASS&CHORUS =吹奏楽と合唱の祭典=』
佐渡裕指揮シエナ・ウインド・オーケストラ、晋友会合唱団





<フランス7月革命>

●『ベルリオーズ:幻想交響曲、劇的情景「クレオパトラ」』
アンナ・カテリーナ・アントナッチ(S)ヤニック・ネゼ=セガン指揮ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団




●『リスト:交響詩集 Vol.3』
ジャナンドレア・ノセダ指揮 BBCフィルハーモニック




●『ショパン:練習曲集(全曲)』
イリヤ・ラシュコフスキー(p)





<パリ万国博覧会>

●『水の反映 ~ドビュッシーピアノ作品集』
福間洸太朗(p)




●『ラヴェル:ボレロ、スペイン狂詩曲、マ・メール・ロワ』
ピエール・ブーレーズ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団




●『エリック・サティ:新・ピアノ作品集』
高橋悠治(p)





<第一次世界大戦>

●『クロード・ドビュッシー/アンドレ・カプレ:弦楽四重奏曲と作品集』
ドビュッシー弦楽四重奏団 フランソワーズ・マセ(S)マリエル・ノルドマン(hp)ヤン・デュボスト(cb)




●『レクイエム~戦争の悲哀』
イアン・ボストリッジ(T)アントニオ・パッパーノ(p)




●『MIYUJI 2012』
金子三勇士(p)





<第二次世界大戦以降の世界>

●『アダムズ:管弦楽作品集』
ピーター・ウンジャン指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団




●『アンサンブル・アンテルコンタンポランのニューヨーク現代音楽史七題』
マティアス・ピンチャー指揮アンサンブル・アンテルコンタンポラン ジェローム・コント(cl)ジェンス・マクマナマ(hr)









【バックナンバー】
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<第3回> 世界のこだわりレーベル探訪 その1!
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<第5回> 確信犯的クラシック――革新的NEXT GENERATIONS
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<第24回>1月のテーマ:世界のこだわりレーベル探訪 その4 ~2019アップデート
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出演者:原典子(はら・のりこ) 音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。
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