【新連載】生形三郎の「学び直し! クラシック攻略基礎講座」 1時限目その2「バロック期(16世紀末ころ~1750年ころ)」

2019/02/01
音元出版が発行するオーディオ雑誌「NET AUDIO」誌との連動企画【生形三郎の「学び直し! クラシック攻略基礎講座」】がスタート!本企画は、オーディオアクティヴィスト(音楽家/録音エンジニア)、そして評論家としての肩書を持ち、オーディオファンのみならず、録音愛好家や音楽ファンからも支持を得る、生形三郎氏を講師にお迎えし“クラシック音楽の頻出ワード”を1から分かりやすく解説。そして関連する音源を合わせてご紹介することで、クラシック音楽の魅力をより深く知っていただこう、という連載企画です。

「NET AUDIO」誌Vol.33掲載の、生形三郎の「学び直し! クラシック攻略基礎講座」とあわせてお楽しみください。

◆季刊・Net Audio vol.33 Winter 2019年1月19日全国一斉発売




◆1時限目「クラシックの歴史」 「中世~ルネサンス」その2

 クラシック音楽は、様式化が始まる16世紀中頃から数えても、実に450年以上もの歴史を持っています。そして、時代ごとに音楽の様式は勿論のこと、作曲の目的や楽器の編成なども、当然、大幅に異なってきます。そこで、まずはそれら時代ごとの特長を大まかに把握して、予め全体像を掴んでしまいましょう。そしてその後、クラシックの「頻出ワード」を毎回テーマに挙げ、攻略を行なっていく予定です。

 時代の分け方は様々にありますが、ここでは、「中世」、「ルネサンス」、「バロック」、「古典派」、「ロマン派」、「近代」、「現代」と分けてご紹介します。これらの特長と代表的な曲を、駆け足で見ていきましょう。そして勿論、紹介する音源は高音質タイトルを厳選。今回は、前回の「中世」、「ルネサンス」に続いて、「バロック」をご紹介していきます。

【バロック期(16世紀末ころ~1750年ころ)】
 16世紀中頃になると、声楽だけでなく「器楽」、つまり楽器のための曲も盛んになってきます。同時に、ソナタやコンチェルト、オペラなど、今後「クラシック」の主流となる音楽様式が確立されていきます。この時代になると、前回ご紹介した「多声音楽」から、もう少し「メロディ+伴奏」寄りの音楽が増え、バロック期の終り頃にはそれが広く受け入れられるようになります。また、この時代を表わす代表的な技法の一つとして、「通奏低音」と呼ばれる、即興的な伴奏付けが台頭します。「楽譜通りに演奏するのがクラシック」というイメージとは異なる様式が主流だった時代と言えます。なお、絶対的な知名度を誇るバロック後期に活躍した「J.S.バッハ」は、ソナタやコンチェルトは勿論のこと、多声音楽をより厳格に構成する「対位法」を駆使して壮大な作品を作り上げ、この時代の音楽を総括しました。また、当初は教会を始め宮廷などに向けて作曲されていたこれらの音楽は、次の古典派の時代に近づくにつれ、市民革命による絶対王制の衰退と共に、市民階級へと広がっていきます。


!必聴音源その1!


『Vivaldi: Concerto Works』
/Francois Lazarevitch, Les Musiciens de Saint-Julien

 コンチェルトと言えば、圧倒的な知名度を誇るのが、あの「四季」でお馴染みのヴィヴァルディです。どこかで一度は耳にしたことがあるかと思いますが、華麗な旋律や情景的な描写など、聴きどころが詰まった作品です。バロック音楽の特長のひとつでもある、派手な強弱表現も度々出現します。ここでは、敢えて少し変わった音源をご紹介してみましょう。フランスの高音質クラシックレーベル「Alpha Classics」ならではの切れ味のよい録音と演奏に加えて、フルートが主導するとともにバグパイプが入った、ひと味変わった「四季」が楽しめる作品となっています。また、独特のコンセプトによる情熱的な演奏の「愛の四季」も、演奏と音質の良さが両立しておりオススメです。


!必聴音源その2!


『ヘンデル:アリア集』
/フランコ・ファジョーリ, イル・ポモ・ドーロ, ゼフィーラ・ヴァロヴァ

 バロック期のオペラや歌劇と言えば、ヘンデルの独壇場と言っても過言ではありません。あの「ハ~レルヤ♪」でお馴染みの「メサイア」(ハレルヤは第2部の第42曲)や、「ラルゴ(オンブラ・マイ・フ/かつて木陰ほど)」もヘンデルの手によるものです。この音源は、人気のカウンターテナー、フランコ・ファジョーリの歌唱による、ヘンデルの名旋律の数々が集められたアルバムとなっています。気品と優美さに溢れた演奏と録音の数々が絶品です。ヘンデルと言えば、管弦楽組曲「水上の音楽」や「王宮の花火の音楽」も知名度の高い楽曲です。


!必聴音源その3!


『J.S.バッハ:ミサ曲ロ短調 BWV232』
/マリア・シュターダー, ヘルタ・テッパー >, エルンスト・ヘフリガー 他

 クラシック音楽の最高傑作とも言われる作品が、「J.S.バッハ:ミサ曲ロ短調」です。バッハ最晩年に作曲されたもので、壮大なスケールの対位法が駆使されるとともに、合唱に加えて様々な楽器が登場します。録音年代は古いものの、敬虔さと壮麗さに圧倒されるカール・リヒターのこの演奏は、この楽曲の基本とも言われる名演です。また、音質的にオーディオ的な再生難度の高い、スウェーデンの「BIS」レーベルによるバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏もおすすめです。楽器や歌い手から距離をとった録音となっているとともに、作曲当時の楽器の音色が尊重された楽器編成やそれを誇張なしに収録した、ある意味で禁欲的な音質は、再生機器の描写力が著しく求められます。演奏としては、日本人演奏家ならではの淡麗で繊細な表現が楽しめます。


 なお、音元出版「NetAudio」誌の当該連載では、国産ハイエンド・ネットワークプレーヤーメーカー、「スフォルツァート」試聴室でのハイレゾ音源試聴レポートを掲載しています。ぜひそちらも併せてご覧下さい。

SFORZATOの試聴室
ネットワークプレーヤー:DSP-Vela
NAS:fidata HFAS1-XS20
プリアンプ:QUALIA INDIGO Line Amplifier
パワーアンプ:QUALIA DOGMA600
スピーカーシステム:B&W 802D3


次回は、古典派の音楽をご紹介します。






生形三郎 プロフィール

オーディオ・アクティヴィスト

音楽家、録音エンジニア、オーディオ評論家。昭和音楽大学作曲学科首席卒業。東京藝術大学大学院修了。音楽家の視点を活かした録音制作やオーディオ評論活動を行なう。「オーディオ=録音⇔再生」に関して、多角的な創造・普及活動に取り組む。各種オーディオアワード及びコンテスト審査員を務めるほか、スピーカー設計にも積極的に取り組む。

オフィシャルサイト


◆季刊・Net Audio vol.33 Winter 2019年1月19日全国一斉発売



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