【e-onkyo musicの日】マイ・ベスト・ハイレゾ 2018!

2018/12/11
今月のe-onkyo musicの日は年末企画、”マイ・ベスト・ハイレゾ 2018”!
お世話になっているライターの方々や、ハイレゾ業界の方々に今年一番聴いた、特に良かったハイレゾ作品を3作品ずつ選んでいただきました!
充実の内容となっておりますので、是非参考になさってください!

今後数名の方に追加で寄稿していただく予定です。乞うご期待!!

※今回紹介している作品の中には2018年発売でないものもあります。


アイオープラザ 店員 select

『We Are X Soundtrack』
X JAPAN


X JAPANのドキュメンタリー映画「We Are X」のサウンドトラック。力強いツインバスドラムや息のあったツインギターでメロディアスな楽曲が多い彼らのライブ音源が多数収録された1枚です。ライブの空気感がハイレゾで引き立っていて、アルバム最後のForever Love (From The Last Live)は特にオススメです。

『愛と虐殺の日々~歴代小教典 ソニー時代完全版~』
聖飢魔Ⅱ


デーモン小暮閣下の脳天に突き刺さるような高音が癖になる、聖飢魔IIのシングル集にあたるアルバム。閣下の高音がハイレゾでいきているように感じます。新旧のハードな曲からバラードまで網羅されていて、これ1枚で聖飢魔IIの魅力を知ることができる1枚だと思います。

『Just Push Play』
Aerosmith


Aerosmithの通算13枚目にあたるアルバム。ポップな曲調の多い本作は天気の良い日のドライブなどに聴くと気持ちがワクワクしてくるのでおすすめです。ハイレゾが表現している空気感が特にいい感じがします。個人的に8曲目の「Luv Lies」がお気に入りです。

アイオープラザ 店員(あいおーぷらざ てんいん)
アイ・オー・データ機器の直販ECサイト「アイオープラザ」の店員です。アイオープラザでは、スマホにPCレスでCDを取り込めるCDレコ、ハイレゾ音源を保存して楽しめるネットワークオーディオサーバーfidataやSoundgenicといった音楽に関連する商品も多数取り扱っております。https://www.ioplaza.jp/index.htm



麻倉怜士 select

『ヒラリー・ハーン・プレイズ・バッハ』
ヒラリー・ハーン


ヒラリー・ハーンのCDデビュー(ソニー・ミュージック)は1997年、バッハの無伴奏作品(ソナタ第3番、パルティータ第2番&第3番)だった。それから20年後、『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』全曲を録音した。
素晴らしい。透明度が高く、輪郭がひじょうにしっかりとし、音的、もしくは音楽的内実がきわめて緻密に描かれる。センターに美しく定位したヴァイオリンの響きが剛毅だ。ひじょうに強い音の意志が感じられ、細かく音場空間に飛び散る音の粒子のひとつひとつに強靭な音楽的意志が籠もっているようだ。直接音と間接音のバランスも絶妙。明瞭でクリヤーにして、ソノリティもたいへん豊かだ。まさにヒラリー・ハーンの畢生の名演であり、ハイレゾ録音の現在の地平を確認することができる名録音だ。

『passage パッセージ - ショパン: ピアノ・ソナタ第3番』
藤田真央


2017年のクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝した現在19歳のピアニスト、藤田真央(ふじた・まお)の3rdアルバム。大袈裟でなく史上最高のピアノ録音ではないか。これほど音場が透明で、ピアノが持つダイナミズムが巧みに表現された音を、これまで体験聴いたことがない。
第1曲のリスト・ハンガリー狂詩曲第2番。冒頭の和音からにして圧倒的だ。センターに定位したピアノから衝撃的な、そしてボディ感のある、深い音が放出される。透明感がありながら、味わいの濃い音。切れ味がシャープで、音が上質、弱音から強音までのレンジが広く、微小音に込めたニュアンスの変化もこと細かに聴き取れる。ナチュラルさと表現の幅が大きい音楽的な魅力が両立するのは、ピアニストの力量であるのと同時に、日本が誇る巨匠的録音家、深田晃氏の録音術の成果だ。過剰にホールトーンが入り込まないのも、明瞭さを意識した深田録音の美技。

『モーツァルト&ミスリヴェチェク:フルート協奏曲集』
アナ・デ・ラ・ヴェガ, イギリス室内管弦楽団


新進フルーティスト、アナ・デ・ラ・ヴェガのモーツァルトは実にすがすがしく、溌剌とし、進行力が勁い。音も素晴らしい。ディテールまでしっかり再現され、冒頭の弦の躍動的な旋律は音の粒子がたいへん細かく、そのひとつひとつに倍音情報がたっぷり与えられている。フルートの音色も透明感が高く、自然な鮮鋭感。音場のヌケの良さ、伸びの良さは特筆もので、ここまでの明瞭で透き通った音は、ハイレゾでもなかなか得られない。PENTATONEの新録ならではの鮮度の高さだ。秘曲ミスリヴェチェク:フルート協奏曲の麗旋律は魅力的。

麻倉怜士(あさくられいじ)
1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長。を経て、1991年にオーディオ・ビジュアル、音楽評論家として独立。津田塾大学では2004年以来、音楽理論、音楽史を教えている。2015年から早稲田大学エクステンションカレッジ講師(音楽)。HIVI、PEN、ゲットナビ、特選街、レコード芸術、モーストリー・クラシックなどに音楽、映像、メディア技術に関する記事多数執筆。CD、Blu-ray Discのライナーノーツも多い。




radius 浅野巧美 select

『The Ultimate Collection』
Black Sabbth


ヘヴィ・メタルの創始者にして、現代のヘヴィ・ロックシーンへ最大の影響を及ぼしているメタルの帝王Black Sabbath。オジー・オズボーンVo期の 1stから8thまでの初期アルバムから「Paranoid」や「Iron Man」などの代表曲に加え、隠れた名曲「A Hard Road」、「Spiral Architect」など全31曲を集めた究極のベスト盤。トニー・アイ オミのデモーニッシュなリフ、ギーザー・バトラーの地を這うようなベースがハイレゾになったことでより迫力のある音に進化している。全メタルヘッズ、ヘヴィ・ロックファンは必ず聴いておくべきアルバム。

『Piece Of Mind (2015 Remaster)』
Iron Maiden


メタル界の大御所Iron Maidenが1983年に発表した4thアルバム。現在までドラムを叩いているNicko McBrainが加入して初めてのアルバム。『頭脳改革』というインパクトのある邦題がつけられ、ツインリードの絡み、疾走感、劇的な展開というIron Maidenのコア部分が凝縮された初期の大傑作アルバム。リーダーのSteve Harrisが「自分 たちが成し遂げてきたサウンドに限りなく近く、そして正確な“音”をようやく届けられる」とまで言い切るハイレゾ配信で是非この大傑作を聴いてみてください。

『時のまにまにⅣ 時代』
井筒香奈江


女性ボーカリスト、井筒香奈江の2014年発表4thソロアルバム。 優しくも力強いボーカルの息遣いや余韻、ピアノの音が静かに消えていく響き、弦の擦れる音など、演奏している空間がそのまま眼前に見えてくるような、最高技術の録音で収録されたこれぞハイレゾの音だと思えるアルバム。心揺さぶる、井筒香奈江の圧倒的なボーカルと素晴らしい録音を思う存分ハイレゾの音で聴いてみてください。

浅野巧美(あさのたくみ)
ラディウス株式会社 プロダクツ・マーケティング部 部長。
2枚の振動板を使用し、圧倒的な臨場感を誇るハイレゾ対応インナーイヤホン「ドブルベ」シリーズや、目で見てハイレゾがわかるスマホ用ハイレゾ再生プレーヤーの定番「NePlayer」などを発売するラディウス株式会社にて、プロダクトの開発、サポート、営業、物流など商品開発全体をディレクション。現在は4K映像+ハイレゾ音声を使った世界初の動画ストリーミングサービス「LIVEWARP」の立ち上げを準備中。自宅や外でも高画質な映像にハイレゾの高音質で音楽が楽しめる、最高の音楽体験を実現するため日夜邁進中。
https://www.radius.co.jp/



天野洋介(ダイナミックオーディオ4F) select

『ソウル・アイズ[Japan Deluxe Edition] 』
キャンデス・スプリングス


Blue Note Recordsからデビューした新進のボーカリスト、キャンデス・スプリングス。 パワフルな歌声の中に、伸びやかさと広がり、そして可愛らしさを併せ持つ歌声は、 ソウル&ジャズの歌姫として王道を行きます。「Japan Deluxe Edition」にはサム・スミスの「ステイ・ウィズ・ミー」のカバーを収録。必聴の一曲です。

『Japanese Songbook』
たなか りか


2001年にジャズ・ボーカリストとしてプロに転向した、たなか りか。Japanese Songbookは、ハスキーで透明度のある歌声で、荒井由実やオザケン等のビックネームをカバーしたアルバムです。キリンジの「エイリアンズ」は多くの方がカバーしていますが、このアルバムでは、シンプルなアレンジで、ミステリアスかつノスタルジックな空気が、たなかさんの歌声にマッチした一曲です。

『HD Classical Volume 1』
The Royal Philharmonic Orchestra


ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団によるクラシック名曲集です。有名曲の「おいしいとこどり」をしたこの一枚はデモンストレーションでよく使用します。クラシックファンというよりも、これからクラシックを聴いていきたいと思っている方におすすめの一枚です。

天野洋介 ダイナミックオーディオ4F (あまのようすけ)
ハイエンドフロア7Fのアシスタントや、5Fの担当を経て、現在は4Fにて担当島と共に、データ再生をはじめ、各種オーディオ製品をご紹介しています。ハイエンドオーディオ業界の中では、まだまだ若手ですが、ハイレゾ等のデータ再生に関して、皆様と一緒に楽しんでいきたいと思います。 ・DynamicAudio 5555



オノ セイゲン select

『J.S.バッハ: 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV 846-869(1722年自筆手稿譜による)』
桑形亜樹子


ソニーとPhilipsによって共同開発されたスーパーオーディオCD、2000年当時はDSD録音には機材も限られていて高価で、制作にはハードルも高かった。結果、選りすぐりのビッグアーティスト、名作しかなかった。誰でも手軽にハイレゾ録音ができる現在、5.6MHzになると「いい録音(涙を流すほど感動する音楽)」はぐっと少なくなり、実は11.2MHzDSDに至っては名作と呼べる録音は一つか二つしかない。その名作の一つが、深田晃氏の録音・プロデュース、桒形亜樹子演奏の『J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集』である。
どんな録音もバーチャルリアリティである。とりわけ2chステレオというのは後方や天井からの響きも全てオブジェクトのダイレクト音と同じ前方の二つのスピーカーから再生しなければならない。ある意味、イマーシブの録音再生よりも難しい。最近の多くのハイレゾ録音の中で、ハイスペックになる程、やれイマーシブだデジタルマイクだと、音楽そのものよりも機材やスペックを売りにしている例が目立つ。もっとも聴かれることになるステレオ用、そのメインマイクが別にあるのか、イマーシブからリミックスなのか、ああそれがうまくいってないなとか、ツッコミどころがいくらでもある。 『J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集』は、そんなことをすっ飛ばして音楽体験に没入できる。本来、再生するための録音というのはこうあるべきだ、という見本でもある。スペックではなく音楽を聴こうよ!

『グレン・グールド・ギャザリング』
アルヴァ・ノト + Nilo、クリスチャン・フェネス、フランチェスコ・トリスターノ、坂本龍一


2017年12月12月15日~17日、草月ホールにて『グレン・グールド・ギャザリング (SA-CD HYBRID)/アルヴァ・ノト、クリスチャン・フェネス、フランチェスコ・トリスターノ、坂本龍一』は、TASCAM DA-3000 X 12台(24ch DSD)およびSEQUAIA 14(192kHz 32ch)、バックアップでFORからMADIでProTools によりライブレコーディングされた。ソニーのハイレゾマイクを2台のピアノに4本づつ計8本。ピアノの鍵盤から見て左手側、右手側にそれぞれC-100をカーディオイドで、低音用にはECM-100U、ピアノのボトムにアコースティック・イコライザーをつけたECM-100N。ECM-100Nは、ぼくの録音では欠かせないマイクとなっている。CD/SACDを一聴してわかるように二人のタッチ、音色は全く違う。ピアノの生のダイレクト音は近接のマイクC-100、メインのLRに。ピアノの音は響板からステージ床面に反射してホールにエネルギーとして広がる。床からの初期反射は自然なピアノの音を捉えるのにとても重要で、床向きのECM-100Nにはアコースティック・イコライザーをつけて狙っている。これは下方レイヤーにスピーカーがある場合(22.2ch、13.1ch、iMaxなど)には大変有効である。同時にすべてのアンビエンスマイクは、スピーカーの軸上、エアコン吹き出し口、アーティストの導線を避けながら、プロジェクターの投影にもかからぬようにとベターな設置箇所を決めていく。
2chのミキシングでもマイクに対してはイコライザーやプラグインは一切使用していない。SACDはSONY SONOMAでミックスを仕上げた。CDレイヤーのマスタリングは、SEQUAIA 14で、DYNE ONEを使用。

『バルーション』
小川理子


70年代より世界に先駆けてPCM録音によるレコードを制作・発売してきた日本コロムビア、その伝統を引き継ぐ日本コロムビアの現チーフエンジニア塩澤利安氏の録音で、潮晴男氏と麻倉怜士氏の共同プロデュース。 15年ほど前に慶應義塾大学つながりで六本木で演奏している場面でミュージシャンとしてご紹介いただいた縁もあるのだが、小川理子氏といえば現オーディオ協会会長、テクニクスブランド復活のキーパーソンで、執行役員兼アプライアンス社副社長・技術本部長。今までDVDオーディオ対SACDという構図があったが、2019年ついにブランド初のSACDプレーヤー SL-G700(ネットオーディオにも対応)やSL-1200MK7 & SL-1500C ターンテーブルも発売になる。(ぼく自身もミュージシャンと会社経営の二足のわらじ、間もなく発売の新譜含めて2000年以降のアルバム全てSACDです)小川理子氏も音楽を楽しむ、音楽を届ける責任あるリーダーです。麻倉氏から発売前に、ミキシングが上がったばかりのCD音源をサイデラ・マスタリングのスタジオで、発売直前のコルグ Nu I(ニューワン)で11.2MHz DSDにアップコンバートをやってみた。 Nu I専用にぼくがプロデュースしているS.O.N.I.C.プリセットの「#108 SG 520 H2+」が、#9曲目「スマイル」に素晴らしく響くではないか。みんなが忘れていたオーディオの楽しみというのは、リスナー自身が環境に合わせて好きな音で大いに楽しむべきで、故 菅野沖彦先生の『新レコード演奏家論』しかり、麻倉怜士氏の提唱、これからは「高」音質ではなく「好」音質の時代です!まさに好音質レコードが小川理子「バルーション」です。

オノ セイゲン (おのせいげん)
エンジニアとして、82年の「坂本龍一/戦場のメリークリスマス」にはじまり、ジョン・ゾーン、アート・リンゼイ、デイヴィッド・シルヴィアン、マンハッタン・トランスファー、オスカー・ピーターソン、キース・ジャレット、マイルス・デイビス、キング・クリムゾン、渡辺貞夫、加藤和彦、今井美樹(2015「Premium Ivory-The Best Songs Of All Time-」のマスタリング)など多数のアーティストのプロジェクトに参加。84年にはソロ・アーティストとしてデビューアルバム『SEIGEN』を発表し、87年に日本人として初めてヴァージンUKと契約。同年、コム デ ギャルソン 川久保玲から「洋服が奇麗に見えるような音楽を」という依頼によりショーのためにオリジナル楽曲を作曲、制作。96年「サイデラ・マスタリング」を開設。CD、SACDなどのプロデュース、録音、ミキシング、ライブFOH、立体3Dサラウンド、DSDライブストリーミング、音響空間のコンサルティングなども手がける。『COMME des GARCONS SEIGEN ONO』30周年記念盤&未発表音源収録の『CDG Fragmentation』CD&LPで2019/3/20同時発売。 ・オノ セイゲン Biography



國枝志郎 select

『グレン・グールド・ギャザリング』
アルヴァ・ノト + Nilo、クリスチャン・フェネス、フランチェスコ・トリスターノ、坂本龍一


クラシックの枠を超えて愛されるピアニスト、グレン・グールドの生誕85年記念企画。坂本龍一をキュレーターに迎えてジャンル無用な音楽家が集り、2017年末に日本の草月会館で開催されたトリビュート・イベントのライヴ録音。DSD使いとして並ぶもののないオノ セイゲンによって収録されたDSDデータは、まさに“ライヴの空気感を完 全にとらえる”DSDの良さを十分に味わえて至福。

『デューク・エイセス 76/45』
デューク・エイセス


昭和50年代から平成の初めにかけて、家電量販店の第一家庭電器が、DAM(第一家庭電器・オーディオ・メンバーズ)会員向け企画として制作した最高の音質を誇る高音質LP『スーパー・アナログディスクDAM 45/33』の音源がDSD11.2という至高の音質で蘇った! これぞハイレゾ配信ならではの偉業でしょう。このシリーズの今後のリリー スにも期待しかない。

『Laidback2018』
井筒香奈江


こちらも配信ならではのもの。32bitデータ配信! DSD11.2はやっと数も増えつつあるが、PCMで32bitはまだまだ数が少ない。録音時はPro Toolsで32bit録音が多いと思うので、今後32bit配信が増えることも期待したい。ハイレゾの女王とも目される井筒香奈江さんの慧眼に恐れ入りながら聴いている。ハイビットの威力は本当にすごいです。

國枝志郎(くにえだしろう)
音楽ライターをやったり、スタジオやホールでレコーディング・プロデューサーをやったり、フルートやトロンボーン、リコーダー、エレクトロニクスを使った演奏活動をしたり、DJやったりとまあ広く浅く音楽界隈であれこれやっています。

『e-onkyo musicで始めるハイカラハイレゾ生活』
https://www.cdjournal.com/main/special/high-collar-high-resolution/711



grooversマーケティング隊長 select

『Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra』
カーペンターズ & ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団


デビュー50周年を記念してカーペンターズとロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が奇跡の共演。実に17年ぶりの新作アルバムが登場した! 本作はカーペンターズのオリジナル・ヒット楽曲のヴォーカルとインストゥルメンタル・トラックに、ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで録音された、リチャード・カーペンター指揮によるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏が加わった新しいオーケストラ・サウンドとなっており、当時の美しいカレンの歌声とメロディが鮮 明に蘇り、かつロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団が彩を加えたことでダイナミックさを感じる素晴らしいアルバムになっている。

『Remastered Pt. IV』
Kate Bush


本作は70年代後半、16歳の時にピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアに見いだされた天才歌姫Kate Bushの作品を自身が監修を務めたリマスター企画編集アルバム。スペックは44khz/24bitではあるが、今までにCDでもリマスター盤がリリースされていなかっただけに大変嬉しいニュースとなった。 彼女の楽曲は、人気テレビ番組『恋のから騒ぎ』のOP曲として「Wuthering Heights」、2012年のロンドン・オリンピックのOP曲として「Running Up That Hill」が起用され、彼女に馴染みがない方でもそれぞれの楽曲を耳にしたことがあるのではないだろうか? 表現力豊かで低音から高音まで幅広いレンジの歌声と、現在のDTMの原型と言われるフェアライトCMIによる厚みのある美しいメロディを今一度リマスター音源で楽しんでほしい。

『NuTRAD (96kHz/24bit)』
上妻宏光


上妻宏光は日本を代表する津軽三味線の演奏者で、超絶テクニックを披露する。過去にはハービー・ハンコック、マーカス・ミラー等との共演も果たしており、数々のボーダレスな音楽を生み出してきた。近年では歌舞伎の本公演(主演:市川海老蔵)に津軽三味線奏者として初めて参加、音楽を担当する等、伝統芸能との交流も深めている 。 本作は近年のトレンドであるダンス・ミュージック“EDM”と融合し、「伝統と革新」をテーマにした内容になっている。ダンサブルな楽曲では津軽三味線も一緒に踊るかの様に躍動し一音一音が弾け、スロウな楽曲では心地よい間(空間)を演出。陰と陽、静と動が共存した内容に完成している。

grooversマーケティング隊長(ぐるーばーずまーけてぃんぐたいちょう)
CDよりもストリーミング音源よりもハイレゾ音源をこよなく愛する。
親会社IRIVER社製品をフィルターに、様々な音楽を紹介!
好きな音楽はサービス名のにあるようにGROOVE感のある音楽全般!! https://www.groovers.co.jp/main





島健吾(ダイナミックオーディオ4F) select

『Laidback2018(DSD11.2MHz/1bit Direct 2CH ver.)』
井筒香奈江


今年の一番話題だったのは井筒香奈江率いるLaidbackのアルバム「Laidback2018」。エンジニアには大御所の高田英男氏。「時のまにまに」の時代から多くのオーディオファンに親しまれておりましたが、今回はそのこだわりが熟成した形ともとれる作品ではないかと思います。通常のハイレゾでも良いですが、本人作詞作曲の「雨の鼓動」のDSDの生々しさは必聴です。

『ウィグモア・リサイタル』
アントニオ・メネセス 、マリア・ジョアン・ピリス


今年で引退を表明したピアニストのマリア・ジョアン・ピリスとチェリストのアントニオ・メネセスの2012年のホール録音。優しくて、それでいて胸に熱く響くピリスの演奏が会場中に響き渡ります。この二人の息のあった演奏はディスクでも伝わりますが、この雰囲気はハイレゾの真骨頂です。

『evergreen』
秦 基博


「STAND BY ME ドラえもん」でその歌唱力、音楽性が更なる評価を得た秦 基博の弾き語りベストアルバム。歌唱力もさることながら、ギターも安定したうまさです。特にお勧めは「アイ」。屈託のない彼の声をギターがしっかり演出してくれますが、ハイレゾだからこその浸透力です。

島健吾 ダイナミックオーディオ4F (しまけんご)
ダイナミックオーディオ5555 4Fにて、10年に渡りデータ再生に取り組んできました。特にハイレゾに関して、利便性だけではなく、音質に着目し、お客様へご紹介、そしてご理解を頂き、多くの関連製品をお納めさせて頂きました。また、アナログに関しても多数の商品を展示し、デジタル関連と同じように皆様へご紹介させて頂きます。固定概念を持たず、様々なオーディオの魅力を感じ取って頂けるフロアを心がけています。
DynamicAudio 5555



西野 正和 select


『今ここにあるべき百戦錬磨~7人~』
NOBU CAINE



『B'Ridge』
B'Ridge



『龍』
石井竜也




5年続いている連載『厳選 太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』ですが、2018年は音源の選出に最も難航した一年だったように感じています。音楽の聴き方、買い方、そして製作の仕方が変貌の時期だからかもしれません。そんな中でも、連載執筆後も聴き続け、そしてチェック音源として活用している 極上のハイレゾ音源に出会えたのは幸運でした。
『今ここにあるべき百戦錬磨~7人~』 NOBU CAINE は、今年最も聴いている作品のひとつ。2曲目を試聴によく使用しています。川崎哲平氏のスラップ・ベースが最高!
『B'Ridge』 B'Ridgeは、先日亡くなられた巨匠ピアニスト佐山雅弘氏の、最後の輝きが記録された名盤です。
連載に取り上げていませんが、『龍』石井竜也は、「ひだまり」と「手紙」の2曲が絶品! 長く聴き続けている愛聴曲が大きく化けました。こんな新たな出会い直しこそ、ハイレゾの魅力!

西野 正和(にしの まさかず)
3冊のオーディオ関連書籍『ミュージシャンも納得!リスニングオーディオ攻略本』、『音の名匠が愛するとっておきの名盤たち』、『すぐできる!新・最高音質セッティング術』(リットーミュージック刊)の著者。オーディオ・メーカー 株式会社レクスト代表。音楽制作にも深く関わり、制作側と 再生側の両面より最高の音楽再現を追及する。自身のハイレゾ音源作品に『低音 played by D&B feat.EV』がある。『厳選! 太鼓判ハイレゾ音源ベストセ レクション キングレコード ジャズ/フュージョン編』をプロデュース。



i-dio 野秋 勝 select

『スーダラ節』
植木等 ハナ肇とクレイジー・キャッツ


無人島に持っていく映画は「ニッポン無責任時代」と決めていますし、会議で沈黙が訪れれば「…オヨビでない?」と突如沈黙を破りたくなるくらい…クレイジーキャッツが好きなんです。そのクレイジーの大ヒット曲「スーダラ節」がハイレゾになったと。しかも渡辺音楽出版とのコラボの「アナログレコード再生プロジェクト」第一弾 だと。世代的には同時に発表されたドリフの「ヒゲのテーマ」や石川ひとみの「まちぶせ」の方がリアルタイムなのですが、やはりここはクレイジーです!植木等が底抜けの明るさで「ぶわっはっはっは」と笑い飛ばしてくれます。平成最後の年末年始に昭和の大ヒット曲をこんな高音質で聴けるなんて、幸せじゃありませんか!

陽水ライヴ・もどり道[Remastered 2018]
井上陽水


2018年秋にハイレゾ化された井上陽水25作品の中で唯一のライブ盤。 1973年4月の新宿厚生年金でのリサイタルを収録したもので、曲だけでなくライブ中のMCまで聴ける貴重な作品です。弾き語りパートのギターのカッティングや当時24歳の瑞々しい歌声はもちろん、ときに楽しく、ときに感動的なMC部分もハイレゾだと息遣いまでしっかり伝わってきます。名曲「人生が二度あれば」について、少し震え気味 の声で父親の思い出を語るシーンなど、後にCMで「お元気ですか~」とトボける飄々としたキャラクターイメージとはだいぶ違いますね。M4の「あかずの踏切り」は、アルバム「氷の世界」に収録されたものとは別バージョンで、これもまた聴きどころ。

『Carpenters With The Royal Philharmonic Orchestra』
カーペンターズ & ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団


休み明けの月曜日と、雨降りの日にはどうにも仕事に行きたくなくなるたちでして、そんな日には必ず脳内に「RAINY DAYS AND MONDAYS」が流れます。でもそんな思いを断ち切ろうと心の中で「Top of The World」をリピートしながら、なんとか仕事に出かけるのです。そんなカーペンターズの、12月に出たばかりのほやほやの「新作」で す。といっても、オリジナルのボーカルとインストゥルメンタル・トラックに新たにロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を加えたという作品ですが、すごいのはプロデュース、アレンジ、そして指揮までリチャード・カーペンターが担当しているところ。こんな素敵なサウンドが心の中で流れたら、雨の日と月曜の出勤がさらに辛 くなってしまうかもしれません。

野秋 勝(のあき まさる)
デジタル放送サービスi-dioのハイレゾ級音楽チャンネル「i-dio HQ Selection」プロデューサー。
テレビでは4K・8K放送が始まりましたが、ラジオでもハイレゾに迫る高音質放送「i-dio HQ Selection」がスタートし、e-onkyo musicとのコラボ番組も始まりました。ランキング紹介番組「J-POP NOW」(月曜22:00~)、「JAZZ-NOW」(火曜22:00~)、「ROCK’N’POPS NOW」(水曜22:00~)、そして毎週1組のアーティストを特集する 「The Right Stuff」(金曜23:00~)はデジタル放送サービスi-dio(アイディオ)で好評放送中です。12月~1月はザ・ビートルズ、YMO、イーグルス、井上陽水、デヴィッド・ボウイ、宇多田ヒカルほかを特集しています。スマホで聴けますので、ぜひ体験してください。
『i-dio HQ Selection』
https://ch.i-dio.jp/hq




mora ハイレゾマン select

『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5 (96kHz/24bit)』
NakamuraEmi


1年に1枚というリリースペースを崩さない遅咲きシンガーソングライターNakamuraEmiの待望の新アルバム。リリースされる作品を聴くたびに歌詞の力強さが予想のはるか上を超えてくる彼女だが、今作も見事にやってくれた。特にパラアスリートの中西麻耶選手との対談から書き下ろした「N」の表現は、身体の状態を具体的に表現する描 写も入れながら、決して間口を狭めるわけではない絶妙なバランス。さらに「モチベーション」では、自身のOLの経験を余すことなくさらけ出し、大サビでは「日本の女よ」と男性社会の中で働く女性を鼓舞する。毎回リリースするアルバムのタイトルが「NIPPONNO ONNAWO UTAU」であるように、日本にはこんなに力強い女性のシンガーソ ングライターがいるということを証明してくれるアルバム。2019年の新譜も期待大。

『17才』
ハルカトミユキ


女性二人組バンド、ハルカトミユキが11月にリリースしたシングル。表題曲は初となるアニメ作品とのコラボレーションで、きらめくようなシンセサイザーの音色と空間的なコーラスワークによる、解放感のある展開が印象的。常に人生の光と影を見つめ、内省的な詞表現をサウンドに乗せてきた彼女たちが、「世界のすべてが白黒に見え てしまう少女」が一歩を踏み出していくというアニメの物語とシンクロし、さらなるポピュラリティを獲得した記念碑的な1曲だ。鋭いギターサウンドがフィーチャーされたM2、アカペラで紡がれるM3と、それぞれアプローチの異なるカップリング曲も収録。3曲入りとコンパクトながら、ハイレゾ音源の特性が様々な角度から味わえる作品 となっている。

『The Dream Thief』
Shai Maestro


ここのところイスラエル出身アーティストの活躍が目覚ましい。ベーシスト、アヴィシャイ・コーエンはまさにその中心的な人物のひとりだが、彼のバンドから排出されるピアニストもまた、“天才”と冠される素晴らしいピアニストが多く、マエストロもそのひとりだ。待望の初リーダー作となった本作は7年間パートナーを組むペルー出 身ベーシスト、ホルヘ・レーダーに、新たにイスラエル出身のドラマー、オフリ・ネームヤを迎えてオリジナルを中心に演奏しているが、ジャズスタンダード「These Foolish Things」に聴こえる凄まじいまでのエンベリッシュメントに、まさにその才能の一端を感じられるだろう。 たっぷりとした空間に心地よく各楽器がちりばめられ、パーカッションの響き、残響も隅々まで味わえる。なかでもハンマーがストリングスを叩く様まで見えるようなピアノの質感は極上であり、本作の価値をさらに高めている。録音は今年4月、スイス・ルガーノのコンサートホールであるAuditroio Stelio Molo RSI。エンジニアは Stefano Amerio、プロデュースはマンフレート・アイヒャー。

ハイレゾマン(はいれぞまん)
mora所属、ハイレゾ音源プロモーション“未公認”キャラクター。ハイレゾ音源を広めるために日々活動している。そろそろ“公認”してほしい。moraの編成や宣伝から、司会業やイベント制作まで幅広くこなす。聴く音楽はROCK、J-POPからアニソン、洋楽まで、moraの名前の通り全ジャンルを網羅。
12月25日まで、1,500タイトル以上のハイレゾ音源が最大75% OFFの【mora 冬のハイレゾプライスオフセール2018】開催中。 https://mora.jp/special/hirespriceoff_1812



長谷川教通 select

『メシアン:世の終わりのための四重奏曲』
マルティン・フレスト(cl)、ジャニーヌ・ヤンセン(vn)、トーレイヴ・テデーン(vc)、リュカ・ドゥバルグ(p)


『パガニーニ:24のカプリース』
アウグスティン・ハーデリッヒ(vn)



『プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番、第2番ほか』
リサ・バティアシュヴィリ(vn)ヤニック・ネゼ=セガン指揮ヨーロッパ室内管弦楽団




 録音の良さって何? 数年前まではハイレゾ音源であってもCDとのコンパチを意識したり、ハイレゾだから高域を強調するといった不要な化粧が散見されたのだが、最近のクラシックの新録音ではあくまで素直に収録した“良い録音”が増えているのは嬉しい。フロスト、テデーン、ヤンセンと役者の揃ったメシアンの四重奏曲は圧倒的な S/Nの良さと空間表現がずば抜けている。ハーデリッヒの弾くパガニーニの痛切な音色もすごい。ヴァイオリンの限界に迫る表現。既成概念を超えた名演だろう。プロコフィエフはバティアシュヴィリの妖艶さの漂うヴァイオリンとネゼ=セガンの勢いのある指揮が魅力。いずれも96kHz/24bit音源のスタンダードと言うべき音楽的な優秀録音だ。

長谷川教通(はせがわのりみち)
音楽&オーディオ・ビデオ評論。オーディオ研究家。往年の名演がハイレゾリマスターで甦る悦びと同時に、ハイレゾのポテンシャルを最大限に生かした新しい音楽潮流が溢れ出すことを熱望。ハイレゾを周波数特性などの物理特性やデジタル信号処理だけで理解するのではなく、人間の感覚にどう作用するのか、どのような音が快いのかを 追求する。音楽コンテンツを正しく評価するには精度の高いスピーカーが絶対条件だとして、試聴用スピーカーをすべて自作。ステレオ再生だけでなくサラウンド再生にも精通する。長年にわたってカーオーディオ・コンテストの審査員を務める。『CDジャーナル』誌でレビュー、およびウェブ『e-onkyo musicではじめるハイカラハイレゾ 生活』(https://www.cdjournal.com/main/special/high-collar-high-resolution/711)を連載中。



林 佑二 "両国のジーニアス" select

『Sincerely』
TRUE


文句なし今年一番聴いたシングル。アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』OP「Sincerely」(TRUE)。TRUEさんが紡いだ歌詞・凛とした声、劇伴作曲Even氏による編曲、「感情がわからないからツライ」、「感情に気づいてしまったからツライ」 “武器”と”自動手記人形”、両時代の少女の感情が”心を串刺し”にしてくる名曲。 それ以上に”脳に直撃”してくるのが「ふたりごと」(TRUE&茅原実里)。 冒頭R chだけの弦の響き、そしてL ch領域まで余韻が合わさる演出、ここだけでこの曲の意味と価値が確定している。アコースティックなギターとピアノ基調でお二人の息使いと声の震えまで丁寧に納められており、まだOP/EDしか聴いていないファンは必聴です。( 歌詞を追えば、原作組も涙です。)

『般若心経 (cho ver.) [超テクノ法要 Remix]』
薬師寺 寛邦


プロジェクションマッピングを見ているような、耳を通じて空間を目の当たりにするサウンドに目が覚める。 “経”が空気を切り裂き、音が空間を伝わっていく順番を感じさせる独特な音場表現がひたすら心地よい。木魚の代わりに挿し込まれているかのような重低音が、実に落ち着く。
こういったブレのない腰の据わった一定のテンポと音程は中毒性があります。聴いているという感覚ではなく、自然に耳に入ってくる感じで、10:24の間に3回は輪廻転生できます。心を落ち着かせつつ、ビートに乗りつつ、朝、心臓を整えて会社に向かうには最適な曲で、いつまででも聴いていられる。疲れた日常との離別にいかがでしょ うか?

『流星 / 約束』
藍井エイル


2016年11月武道館から2018年6月の本シングル発売までの2年弱の空白を、僅か4分13秒の「流星」で塗り潰せるくらい覚悟を持った力強いボーカルと疾走力が衝撃的でした。必要以上に藍井エイル道を直進してきた「流星」はアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』OPとして一択なのではないでしょう か。
なんといっても”3:43”、ここ!!! (良い意味で) "音楽の彼方に置きざりにされる"。そういう表現がしたくなるくらいの静寂と声響の絶対値。地声で突き抜ける”らしさ全開”を見せつけられると、やはり彼女の存在は業界に必要で、垣根なしにシビレます♪

林 佑二 "両国のジーニアス" (はやしゆうじ "りょうごくのじーにあす")
オンキヨー株式会社 HQ 技術本部 商品企画部
DAP、スマートフォン、ポタアンなどの商品企画に従事
アニソン、アニメ、ゲームを燃料として日々を生き抜いている。







原 典子 select

『バッハ・カレイドスコープ』
ヴィキングル・オラフソン(p)



『マーラー:交響曲第6番イ短調「悲劇的」』
テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナ



『The Beatles [White Album / Deluxe]』
ザ・ビートルズ




2018年の私的新人賞は、初来日を果たしたピアニストのヴィキングル・オラフソン。アイスランド出身でポスト・クラシカル勢ともコラボする彼の、羽根が生えたように飛翔するバッハにクラシックの未来を見た。「テオ様」ことテオドール・クルレンツィスのマーラーは、戦慄し、激高し、嘆き崩れ、身悶え、夢想する……血肉の通った生 身の人間の感情が渦巻く一大スペクタクル。2019年2月に迫った初来日にも期待が高まる。そしてビートルズの『ホワイト・アルバム』もまた、新ステレオ・ミックスにより、これまでになく生々しく迫ってくる。人生でいちばん多く聴いたかもしれないアルバ ムに、まだこんなにも感情を揺さぶられるなんて!

原 典子(はら のりこ)
音楽に関する雑誌や本の編集者・ライター。上智大学文学部新聞学科卒業。音楽之友社『レコード芸術』編集部、音楽出版社『CDジャーナル』副編集長を経て、現在はフリーランス。『intoxicate』『ぶらあぼ』『CDジャーナル』など音楽雑誌への執筆のほか、CDのライナーノーツや翻訳などを手が ける。坂本龍一監修の音楽全集『commmons: schola』の編集を担当。ミュージックバード『ハイレゾ・クラシック by e-onkyo music』パーソナリティ。鎌倉で子育てをしながら、「レゾナンス<鎌倉のひびき>コンサートシリーズ」の企画にも携わる。



牧野良幸 select

『Imagine[The Ultimate Collection]』
ジョン・レノン


 今年のポップスのハイレゾでは、ビートルズの『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』がもっとも印象に残っているが、それは『こちらハイレゾ商會』のほうに書いたので、同じくらい印象的だったジョン・レノンの『イマジン[The Ultimate Collection]』をあげておく。今回のアルティメイト・ミックスではジョンの声がより引 き立つように浮かび上がる。ハイレゾの空気感とあいまって『イマジン』の世界がさらに豊かになった。今後はオリジナル・アナログ・レコードの素朴な世界とともに楽しむことになるだろう。今年はポール・マッカートニーの新作『エジプト・ステーション』のハイレゾも聴けたことだし、ビートルズ・ファンには格別の年だった。

『J.S.バッハ:三位一体節後日曜日のためのカンタータ集[Vol.2]』
カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団、ミュンヘン・バッハ合唱団


カール・リヒターがミュンヘン・バッハ管弦楽団と演奏したバッハの教会カンタータのハイレゾ化。リヒターは全部を録音することはできなかったなかったものの、残された75曲は名演として残った。ハイレゾ配信は『三位一体節後日曜日のためのカンタータ集』、『三位一体節後日曜日のためのカンタータ集[Vol.2]』、『昇天祭、聖霊 降誕節、三位一体祝日のためのカンタータ集』、『復活祭のカンタータ集』、『待降節&クリスマス・カンタータ集』の5つで配信された。ここでは有名な第140番が入っているものを選んでみる。古楽器が台頭するにつれ、モダン楽器による演奏を脇に追いやっていた僕であったが、ハイレゾを聴いてやっぱり“バッハはリヒター”と実感し た。敬虔で一途な思いがヒシヒシと迫る。

『Celibidache Conducts Ravel』
セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団


チェリビダッケとミュンヘン・フィルのハイレゾ。チェリビダッケが残したライヴ音源は、死後にCDでまとまってリリースされた。クラシック・ファンの常識を覆す演奏、と言うと大げさかもしれないが、ちょうどグレン・グールドのように聴き慣れていた曲が新しい姿で現れるのだった。ハイレゾはミュンヘン・フィル所蔵のオリジナル ・アナログ・マスターテープから96kHz/24bitでリマスターされたもの。チェリビダッケといえばまず遅いテンポが思い浮かぶけれども、ハイレゾを聴いてみると響きの素晴らしさにも仰天した。チェリビダッケとミュンヘン・フィルの演奏はCDでもクリアであったが、ハイレゾではクリアなうえに人肌のような温かみがある。こうなると、 ただ舌鼓をうつばかりである。

牧野良幸(まきのよしゆき)
1958年、愛知県岡崎市生まれ。関西大学社会学部卒業。イラストレーターの活動と同時に、音楽やオーディオ、映画のエッセイも書く。『e-onkyo musicで始めるハイカラハイレゾ生活』では『こちらハイレゾ商會』でハイレゾ関連のイラスト・エッセイを連載中。また小学生時代の思い出を綴ったイラスト・エッセイ『僕の昭和少年時代』 もCDジャーナルのウェブサイトで連載中。

『e-onkyo musicで始めるハイカラハイレゾ生活』
https://www.cdjournal.com/main/special/high-collar-high-resolution/711

『僕の昭和少年時代』
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f

牧野良幸ホームページ
http://mackie.jp

牧野良幸Twitter@makinoyoshiyuki



丸井大福 select

『Laidback2018 (DSD11.2MHz/1bit Direct 2CH ver.)』
井筒香奈江


はじめに出会ったのは通常盤CD。のちに3曲だけのDSDバージョンが出て即購入。 儚くも芯の通った歌声が、太く力強いベースと軽やかに彩るピアノに支えられて広大なステージ空間を描き出す秀作。 拙いオーディオ経験の中で、これ以上の高音質録音にはいまだ出会ったことがありません。 もちろん低音調整用音源として今年最も活躍した一枚!

『LIVE AT PIT INN』
Manhattan Jazz Quintet


ご存知デヴィット・マシューズ率いるジャズバンドのライブ盤。 e-onkyo musicだけのMQAバージョンが追加されたために改めて購入。 ライブ盤は音が良くないという固定概念があったがこれはマジもんで素晴らしい! 特に大団円7曲目のロザリオ! 1分過ぎから始まるスティーヴ・ガッドの2分30秒間に渡るドラムソロは圧巻の一言!! もちろん低音調整用として最高の一枚!

『氷の世界[Remastered 2018]』
井上陽水


オーディオ評論家・ライターの鈴木裕先生に高音質盤としてご教授頂いて購入! このアルバムを聴いて「昔の録音て素晴らしかったんだなぁ」と改めて感慨深く感じた一枚。 5曲目の「氷の世界」で低音の量感や質感などリズム系を調整し、 6曲目の「白い一日」で中音から高音に掛けてのボーカル定位や音場感などを調整すると システム全体のバランスがよくなること請け合いです。

丸井"イヤホンおじさん"大福(まるい"いやほんおじさん"だいふく)
芸歴40周年を迎えた俳優です。オフィス・ルード所属(担当:荒井)。
代表作は「転校生」「パンツの穴」「スクール☆ウォーズ」など。
Apple教、iPhone派、重低音系イヤホン・ヘッドホンコレクター。
発売前製品のアドバイザー&レビュアーもこなす。また、iPhoneグラファーとしても鋭意活動中!
http://www2u.biglobe.ne.jp/~ffss/i.htm



山本昇 select

『Dear J.C. ~Dedicate to John Coltrane~』
原朋直、池尻洋史


コルトレーンがテナーサックスのために作った楽曲を、トランペットとコントラバスのデュオでカバーするという前代未聞のアプローチである。本作は、常に斬新なアイデアを形にしてきたUNAMASレーベルが今年3月に発表した注目の野心作だ。基本的に単音楽器である両者が、どっしりとセンターに 定位し、ハイレゾならではの深い奥行きの中で作用し合う。原朋直(Tp)と池尻洋史(Cb)による即興を基調とした演奏は実にスリリングで、聴くたびに新たな発見がある。心地よい緊張感を保ちつつ、見事に自由なジャズを展開させた当プロダクトに心からの拍手を送りたい。なお、レコーディングの詳細はNEWS欄のレポート記事をご参照ください。

『The Beatles [White Album / Deluxe]』
ザ・ビートルズ


2018年最大のリイシューの一つである『ザ・ビートルズ』(ホワイト・アルバム)。オリジナルミックスの極端なステレオ感を抑え、ベースやバスド ラムなどの低音成分を引き出すなど思い切ったリミックスを施し、旧ミックスのやり過ぎ感を上手く払拭している。曲によってベースの左右の偏りが 修正されている点はヘッドフォンでの試聴が多いリスナーにも歓迎されるところだろう。オリジナルの定位にこだわらなければ、新しい感動をもたら してくれることは間違いない。この素晴らしいリミックスは、本作の評価をガラリと変える可能性を秘めており、特にハイレゾは、そうした50周年記 念エディションの魅力を切れ味鋭いサウンドで堪能できる。

『SIGNIFIE(Mastered by Bernie)』
大貫妙子


すでに多くのアルバムがハイレゾ化されている大貫妙子だが、個人的に待ち望んでいたのが1983年の『SIGNIFIE』だ。本作でアレンジャーとしてしのぎを削っているのは主に坂本龍一と清水信之だが、二人が得意とするシンセを多用したアレンジがどう響くかに注目してみると、リマスターによって大きく広がった音場の中で、心地よいシ ンセサウンドがはっきりと見えてきて実に楽しい。重心が下がり、シンセベースが分厚く存在感を増しているのも嬉しい収穫。ハイレゾの良さは、シンセサウンドにも有効であることを見事に証明してくれている。そしてもちろん、鈴木慶一編曲の「アーニャ」をはじめ、アコースティックなインストも素晴らしい。

山本昇(やまもと・のぼる)
音楽誌、オーディオ誌などの編集を経てフリーランスの編集者・ライターとして活動。編集を担当した書籍に『THE DIG presents ハイレゾ音源ガイド』、『Ciao! ムーンライダーズ・ブック』、『50年目に聴き直す「ホワイト・アルバム」深掘り鑑賞ガイド』など(いずれもシンコー・ミュージック MOOK)。Webメディアでは「A Taste of Music」の構成を手がけるほか、「e-onkyo music」NEWSコーナーでのインタビュー記事でも一部、編集・執筆を担当している。


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