男性マリンバ奏者の第一人者 SINSKEのハイレゾ・シリーズ第1弾が配信開始

2018/08/20
 世界的に活躍する男性マリンバ奏者の第一人者 SINSKE。海外での著名オーケストラとの共演やコンクール受賞などは勿論のこと、FUJI ROCKフェスティバルへの出演やヤマハとのMIDIマリンバ協同開発、そして尺八演奏家「藤原道山」や女性マリンバ奏者「三村奈々恵」とのコラボレーションなど、スタイルやジャンルを超えたボーダレスな活動を展開する異色の存在だ。ジャズから現代音楽まで幅広いレパートリーを持つ、そのSINSKE珠玉の作品群が、ついにe-onkyo musicにてハイレゾ解禁される。

◎文 生形三郎


『Flower for U』/SINSKE

All Sound and Music Arrangement,and produced by SINSKE
M-2 and M-5 Composed : SINSKE

All Marimba Recorded By YAMAHA YM-5100A
Recording & Mixing Engineer : Syo SAITO and Marina ISHII
Recorded & Mixed at TSM SHIBUYA STUDIO
Mastering Engineer : Koji TANAKA
Mastered at JVC Mastering Center



 2018年12月5日にリリースされる新譜「Prays Ave Maria」に先駆けて、8月20日から3週間ごとに過去作のカタログ配信が行われる。その皮切りとなる第1弾が、『Flower for U』で、本作は、2012年にリリースされた通算6枚目となるアルバムである。なお、SINSKEはこれまで、2003年のメジャーデビュー以降、ソニー・ミュージック・ジャパン・インターナショナルより5枚のアルバム、自身のレーベルMUNIQUE Recordsより7枚のアルバムをリリースしている。

 『Flower for U』は、タイトル通り「花」をモチーフとしたアルバムとなっている。国民的な名曲である喜納昌吉「花」やさだまさし「秋桜」にはじまり、名画「ひまわり」でお馴染みのH.マンシーニ作曲「ひまわりのテーマ」から中島美嘉が歌う「桜色舞うころ」、そして自作曲などまで、花をテーマに7つの楽曲を収録。プロデュースから楽曲アレンジ、そしてオリジナル曲の作曲までと、そのすべてがSINSKE自身の手によって行われている。

 作品を再生してすぐさま耳に届いてくるのは、実に丁寧で真摯な演奏だ。スタジオ収録された楽器音たちが、実にクリアに響き渡る。紡がれると同時に直ちに散っていく、サスティーンの短いマリンバの演奏音はどことなく儚くて、それはまるで「花」のように美しい。S/Nがよく、一切の背景音を含まない、澄んだその音色と演奏は、まるでリスニング空間に微かに聞えている環境音を借景としながら次々に展開していく映像のようだ。楽曲の構成も巧みである。そよ風のような優しいタッチで始まる冒頭楽曲から、演奏のオーバーダビングを交えた華やかな演奏、そしてうっすらとミキシングされる鳥の鳴さえずりなどまで、流れるように世界が移ろいでいく。マリンバ一台をベースとしているため、決して派手やかな内容ではないものの、その分、先ほどの澄んだ音色と合わさり、静かに深層世界へと引き込まれていくようだ。じっくりと、味わい深い音源なのである。なお、マスタリングは、高音質タイトルでお馴染みJVC マスタリングセンターの、田中浩路氏の手によるもの。マリンバならではのコロコロとした木の味わい、そしてクレッシェンドとデクレッシェンドを自在に操るSINSKEの演奏に追従する、繊細なダイナミクス表現を堪能することが出来る。

 引き続き、3週間ごとに追加されるカタログ作品にも注目していきたい。12月5日にリリースされる新譜「Prays Ave Maria」が今から楽しみである。


<新作商品情報>
2018年12月5日Release
SINSKE『Prays Ave Maria』

<ハイレゾ配信スケジュール>
「Flower For U」2018年8月20日
「BIRD TWEET U」2018年9月12日
「WIND WITH U」2018年10月3日
「Moon De+Light U」2018年10月24日
「Smile*Classics」2018年11月14日
「MUSIC*TRAVELERS」2018年12月5日
「Prays Ave Maria」2018年12月5日



【SINSKE本人による楽曲解説】

Tr.1 “花”
ヨーロッパに留学している時、よく聞いていた思い出の曲です。まだ言語がうまくしゃべれない頃の一分一秒はとても長く、時に寂しいものでした。種から、成長していつか花になって咲き誇ることが出来るだろうか?いや必ずそうなってみせると強い気持ちで留学した自分を勇気づけてくれたこの曲は今でも大きな存在です。

Tr.2 “情熱の花”
この曲を書いた時の自分の力の源は正に情熱でした。そのパッションの色彩感は真紅のように赤く、目を閉じると瞼の裏にはまるで炎が燃え上がるようにパチパチと音を立てて交錯していました。揺れ動くテンポと共に躍り上がる炎、その炎が僕には花のように見えました。ダラブッカから生まれる東欧のリズムと同時にスペイン音楽の情熱的なサウンドを表現しました。

Tr.3 “ひまわりのテーマ”
映画「ひまわり」は、名優マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンが主演し、1970年にイタリアを含む3国によって合作され公開された名画。アカデミー賞にも輝いた「ティファニーで朝食を」の音楽を担当した作曲家、H.マンシーニが主題曲「ひまわりのテーマ」は世界中で大ヒットしました。エンディングで広大な真っ黄色のひまわり畑がこの切ない映画をより鮮やかに、悲しく彩っています。

Tr.4 “桜色舞うころ”
いつも素敵な楽曲を作曲されるシンガーソングライター川江美奈子氏の作品。中島美嘉さんの切ない歌声、そして独特の間合いのとり方から構成されるこの曲は多くのインスピレーションを与えてくれました。風によって舞い上がる花びらの数々をマリンバの多重録音によって表現しました。マリンバの鍵盤、ローズウッドと桜の親和性を大切に、2拍3連を使い花びらの描写が一定にならないよう、そして自然の空気の流れ、風景を描写出来るようにアレンジしました。

Tr.5 “蒼月花”
母からもらった「命」が成長し、いつか花開くことが出来るように自分という存在を「種」に見立て、そこから芽が出て、ゆっくり蕾となり、そして花として咲いていく様を表現しました。メッセージの一つ一つが、マリンバの音盤の一つ一つから湧き上っていくように、心を込めて一音一音叩きました。「情熱の花」と自分の中では連作的につながっている作品です。

Tr.6 “秋桜”
日本人なら誰もが一度は聴いたことのある作品。歌詞から生み出されるビジュアルイメージは僕にても大きなインスピレーションを与えてくれました。音楽ってここまで人に映像を与えてくれるんだなと感動させてくれた楽曲はそう沢山はありません。さだまさしさんの作品からはいつもマリンバの音が聴こえてきます。マリンバだけで、最高の音で表現してみたかった作品です。

Tr.7 “桜の幻想”
マリンバのマレットによってピアニッシモで叩かれる”E”(イタリア語では”ミ")の16分音符の連続から始まるこの曲。満開になった桜の花びらは春風と共に桜吹雪となって散り、その儚さから生まれる幻想的で幽玄な世界と静寂を表現している。マリンバをソロ楽器として、他の楽器と同じような位置に押し上げた日本を代表する世界的マリンバ奏者、安倍圭子氏の即興から生まれたこの作品は永遠にマリンバ界に残り続けるでしょう。


【VOICES Marimba ver. 〜featuring SINSKE】



【第2弾追加】 男性マリンバ奏者の第一人者 SINSKEのハイレゾ・シリーズ配信開始

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