《ゲルギエフ&ミュンヘン・フィルの、リンツ、聖フローリアン修道院でのブルックナー・ライヴ》
ミュンヘン・フィル自主制作録音盤、2015年9月より首席指揮者に就任したワレリー・ゲルギエフとミュンヘン・フィルならではの重厚なパワーときらめくような優雅さ、美感をも引き出す練達のゲルギエフの熱血指揮に応えるべく、弦も管も打楽器ももてる最高のものを出し尽くした集中力と緊迫感によって、深く熱く濃密となったこの新コンビの音楽は非常に高い評価を得ています。
今回の録音では、ブルックナーがオルガニストを務めた教会でもあり、豊かな残響をもつ、リンツの聖フローリアン修道院でのライヴ録音による「ブルックナー:交響曲第1&3番」。交響曲第1番は、シューベルト、シュポア、ウェーバーの音楽に影響されていますが、依然として独立した創造物とみなすことができます。典型的なブルックナー交響曲の特徴的な特徴のいくつかは、すでにこの交響曲で完全に形成されているといえましょう。波のような一連のエピソードをクライマックスで造り上げ、その結果として爆発的な描写されているように聞こえますが、オーケストラのゆっくりとした動きでメロディーラインには叙情的なものが多く取り入れています。
この公演は、2017年9月25日に「交響曲第3番」と一緒に演奏されたもので、ゲルギエフが要求する大柄な表現を、スケール感たっぷりに実現しつつ、要所では弦の響きに美しさを感じさせてくれます。会場の残響時間の長さ、スケールの大きさに寄与していて、オルガニストだったブルックナーの交響曲にふさわしい充実した演奏となっています。なお、ゲルギエフ&ミュンヘン・フィルは、この聖フローリアン修道院にて「ブルックナー:交響曲」の全曲を演奏し、録音していく予定です。
ワレリー・ゲルギエフは以下のように語っています。「ミュンヘン・フィルは信じられないほど才能に溢れた演奏家達がいます。彼らは、マーラーやブルックナーの作品において、その技術的な能力と経験を結びつけることに成功しました。私はこれらの音楽家たちと一緒に仕事をできる機会に恵まれたことを非常に幸運に感じています。世界中の方々に、この素晴らしい音楽をぜひ聴いていただきたいと思っております」
この録音では、CPO や BIS などのレーベルで高い評価を受けるエンジニアStephan Reh 氏が担当。マスタリングは、ECMの監修の下で新マスタリングを担当し、キース・ジャレットの諸作にかかわってきたエンジニア、クリストフ・スティッケル氏が担当しています。
【演奏】
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
【録音】2017年9月25日、リンツ、聖フローリアン修道院でのライヴ
【Bruckner: Symphony No. 1 (Live)/Valery Gergiev/ハイレゾ】