2010年12月14日、小澤征爾の本格的な復帰を待ち望んだファンがニューヨークのカーネギー・ホールに集まった。プログラムの後半、小澤がステージに現れ、タクトを振り下ろす。ティンパニの連打とともにオーケストラの力強い合奏が聞こえた瞬間、「ああ、小澤が戻った」と、誰もが感じたに違いない。彼の十八番だけに何度も録音されているが、この演奏は特別だ。強弱の幅を大きくとって、音楽はうねるように流れていく。その表現は濃密だ。既発売のCDでは低域の量感が猛烈で、いくぶん解像度が甘いように感じたが、192kHz/24bitのハイレゾでは音の広がりがより自然になり、音の粒立ちが細かくなっている。やはりハイレゾで聴いてこそ、その真価が発揮されると言えそうだ。音楽は第4楽章のコーダへ向かって壮大なドラマを展開する……聴衆は手に汗握るような緊張感で聴き入っている。そして圧巻のクライマックス。会場はブラボーの嵐に包まれる。まさに“復活ライヴ”だった。”(text by 長谷川教通)提供:
CDジャーナル 長い療養生活から小澤征爾が本格復帰を果たした2010年12月ニューヨーク、カーネギー・ホールで行われた「JapanNYC」から、公演初日後半に演奏されたブラームスを収録。まわりの不安を払拭するような小澤征爾の力強い指揮に、オーケストラが見事に応えた演奏は、ニューヨークの聴衆を感動の渦に巻き込みました。厳粛な冒頭から、歓喜のコラールへ。世界のオザワ復活を強く印象づけた、記念碑的ライヴの記録です。
録音:2010年12月14日
録音場所:スターン・オーディトリアム・ペレルマン・ステージ、カーネギー・ホール、ニューヨーク(ライヴ録音)