2002年、小澤征爾はウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートを振り、ウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任するなど、名実ともに“世界のオザワ”へと駆け上がっていった。精神的にも体力的にもピークにあった時期と言えるかもしれない。サイトウ・キネン・オーケストラと進めてきたベートーヴェン全曲録音の締めくくり。松本文化会館でのライヴだ。小澤は何より音楽の流れを大切にする指揮者だと思う。第3楽章のテンポは落とすことなく、緊迫感を保ちながら、必要な箇所ではオーケストラを気持ちよく歌わせる。ピアニッシモが素晴らしい。ホールの空気感まで伝わってくるようでゾクッとする。この感触はハイレゾならではのものだ。そして第4楽章はものすごい覇気。オケと合唱が重なり合い、まるで渦を巻くかのように鳴り響く。しかし、さすが192kHz/24bit。大音量でもダイナミックレンジには余裕があるから、大切な声のニュアンスがきちんと再現される。音楽の推進力に圧倒される。”(text by 長谷川教通)提供:
CDジャーナルウィーンのニューイヤー・コンサートを振り、9月からウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任した2002年。乗りに乗っている時期の小澤征爾がライフ・ワークとして情熱を傾けているサイトウ・キネン・オーケストラとフェスティバルでライヴ録音した"歓喜の歌"!
録音:2002年9月5日、7日、9日
録音場所:松本、長野県松本文化会館
【ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱》/アンネ・シュヴァーネヴィルムス, バーバラ・ディヴァー, ポール・グローヴズ, フランツ・ハヴラタ, 東京オペラシンガーズ, サイトウ・キネン・オーケストラ, 小澤征爾/ハイレゾ】