私たちの心の中には赤おにと青おにが棲んでいるのかもしれない。 荒ぶる魂と慈愛に満ちた魂、光と影、湖面に映る稜線、鏡に映るもう一つの世界のように。 ふたつの魂は呼び合い、遠い木霊のように山野に響く、それは森が歌う子守唄。 オーケストレーションに彩られた序章は、眼前に里山風景を描いて見せる。 木霊を呼び起こすように、ギターとベースが弦を打ち鳴らし始める。もちろん打弦楽器ピアノもだ。 森の音が聞こえてきたら、中間部で沢口れいを加えた混声コーラスが沸き起こる。 ブルガリアンヴォイスに触発されたハーモニーは深遠な存在を予感させる。 やがて物語が終わり、夕暮れの中に青おにが去ってゆく。
【影の現象学 -ないた赤おに-/NewsGathering/ハイレゾ】