ジャズ界屈指の名盤に同時期の名演を加えた、帝王マイルスの初期ベスト的作品

ジョージ・マーティンのレーベルやCBS等でプロデューサー、エンジニアとして腕を磨いたデイヴィッド・リチャードソンが名ロック・バンド“ジェスロ・タル”のメンバーと組んで設立し、40年以上に渡り数多くの名作品を送り出し現在も活躍中のイギリスの老舗スタジオ＆レーベル「SRT(Sound Recording Technology)」。その膨大なアーカイブの中から、ジャズ史における金字塔であるマイルス・デイヴィスによる”Kind Of Blue”に、同時期の録音作品を加えた特別編集盤が登場！

マイルス・デイヴィスは’26年イリノイ州生まれ。13歳で父親にプレゼントされたトランペットを吹き始め、地元のクラブ等で演奏を始める。18歳でニューヨークのジュリアード音楽院に進んだ後チャーリー・パーカーと活動を共にし名を上げる。独立後は自身のグループを結成し様々な名盤を生み出す等更なる名声を得た。またグループからは多くの有名ミュージシャンを輩出した事も功績のひとつ。クラシック、ロック、ファンク、ワールド、ヒップ・ホップ等様々な要素をジャズに反映させながら独自の世界観で長い年月の間ジャズ・シーンを牽引してきた巨匠である。’91年永眠。

アルバム”Kind Of Blue”は’59年に発売され、現在まで全世界でのセールスは1000万枚を超えるジャズ・アルバムとしては異例のロング・セラー・アルバムとなっている作品。参加メンバーはJ・コルトレーン（T. Sax）、C・アダレイ（A. Sax）、B・エヴァンス（P）、W・ケリー（P）、P・チェンバース（B）、ジミー・コブ（Dr）。従来のコード進行を遵守したアドリブに限界を感じたマイルスがメロディを基として作られた自然発生的な音列「モード」を取り入れ制作された革新的な作品であり、後のジャズ界に多大なる影響を与え高い評価を得たアルバムである。本作はその”Kind Of Blue”の5曲に加え、”Porgy And Bess”、”Seven Steps To Heaven”、”Relaxin’ with the Miles Davis Quintet”、”Milstones”の4枚のアルバムからピックアップした5曲を加えた、’50～’60年代前半のマイルスを総括するようなベスト盤的内容になっている。

全曲オススメであるが、特に1、3、4、7、10曲目あたりからぜひ聴いてもらいたい。ジャズの歴史を動かした充実期のマイルスをたっぷり堪能できる、クールな演奏が満載の作品！