ジョニー・キャッシュとの伝説のセッションをフィーチャーしたボブ・ディラン『Travellin' Thru, 1967 - 1969: The Bootleg Series, Vol. 15』 未発表曲47曲を収録
1991年『ブートレッグ・シリーズ第1~3集』の発売以来、四半世紀を超える長期シリーズとなったが、発表の度に高い評価を得ているシリーズの最新作『トラヴェリン・スルー(ブートレッグ・シリーズ第15集)』には、『ジョン・ウェズリー・ハーディング』、『ナッシュヴィル・スカイライン』、『セルフ・ポートレイト』のアウトテイクに加えて、初公開される1969年にナッシュヴィルのスタジオでおこなわれた伝説のボブ・ディラン/ジョニー・キャッシュ・セッションなど、これまで未発表だった47曲が収められている。ディスク1には、ディランがナッシュヴィルのコロンビア・スタジオAでおこなったジョン・ウェズリー・ハーディング・セッション(1967年10月17日、11月6日)とナッシュヴィル・スカイライン・セッション(1969年2月13ー14日)で録音された別ヴァージョンが収められている。ここには初めて発表される新曲「ウエスタン・ロード」(ナッシュヴィル・スカイラインのアウトテイク)が含まれている。ディスク2とディスク3には、ディランとアメリカ音楽の偉人ジョニー・キャッシュとの共同作業に焦点を当てる。みんながリリースされる日を待ちわびていたコロンビア・スタジオAのセッションと、第1回『ジョニー・キャッシュ・ショー』(1969年6月7日、ABCテレビで放送)の収録をおこなったライマン・オーディトリアムのライヴ・パフォーマンス(1969年5月1日)がここに収められている。ディスク3の最後には1970年5月17日、グラミー賞受賞のブルーグラス・バンジョーの伝説的名手アール・スクラッグスとおこなったPBSテレビの特別番組『アール・スクラッグス:ヒズ・ファミリー・アンド・フレンズ』(1971年1月放送)のためのレコーディングも収められている。
ボブ・ディランの音楽の進化を考えた時、1967年は大きな驚くべき変化を遂げた年だ。1965ー66年にディランは最先端を行く3部作『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』、『追憶のハイウェイ61』、『ブロンド・オン・ブロンド』を発表したが、1966年7月のバイク事故の後、大衆の前から姿を消してしまった。一方、当時のポップミュージックは、ディランの後を追いかけようと、長時間のスタジオ作業を費やし、より複雑で、シュールな、サイケデリックな方向に進んで行った。ディランは、1966年2月にナッシュヴィルでフルバンドをバックに『ブロンド・オン・ブロンド』を録音した。ところが1967年秋に同じナッシュヴィルでつぎのアルバムを録音する時は、ディラン(ギター、ヴォーカル、ハーモニカ)、チャーリー・マッコイ(ベース)、ケニー・バトレイ(ドラムス)の3人だけで、最小限のシンプルなサウンドをつくりだした。『トラヴェリン・スルー(ブートレッグ・シリーズ第15集)』のライナーノートでコリン・スコットは、つぎのように書いている。「ディランは『ジョン・ウェズリー・ハーディング』のサウンドについて、『ほかの人たちがどんなふうにレコーディングするのか知らなかったし、知りたいとも思わなかった……ほかの人たちがやっているようなスタジオで時間をかけた制作技術が必要とは思わなかった』と記者のマット・ダムスカーに話している。また簡潔な歌詞について『いまはたくさんのことばは使わないようにしている。盗用したくなるような名言はないし、空白を埋めるためだけのことばもない』とも言っている」
1969年2月、ディランは『ナッシュヴィル・スカイライン』をつくるためにコロンビア・スタジオAに戻ってきた。キャッシュはのちに「ボブがアルバムにゲスト参加してくれと言ってきて、スタジオに行ったら、彼らは2時間ほど録音機を回しただけだった」と語っている。コロンビア・スタジオAではディラン/キャッシュ・セッションが2回おこなわれた。1969年2月17日と18日で、バック・ミュージシャンのなかにはロックンロールの創始者のひとりであるカール・パーキンスがギターで6曲(パーキンスの作品「マッチボックス」も含まれている)に参加した。『トラヴェリン・スルー(ブートレッグ・シリーズ第15集)』でもっとも興味深い新発見は、類まれなふたりのシンガー/ソングライターが、たがいに敬意を表すために「くよくよするなよ/アンダースタンド・ユア・マン」を同時に歌っていることだ。1日を費やしておこなわれた2回目のディラン/キャッシュ・セッションには、初めて公表される「おたずね者」、しかもディラン自身が歌っている唯一のヴァージョンが含まれている。なお、このセッションの翌週、キャッシュはサンクェンティン刑務所でのコンサートのオープニング曲として「おたずね者」を歌った。ジミー・ロジャース・メドレーを含む、さまざまなカヴァー曲を歌うふたりのセッションを聞くと、ディランとキャッシュがどれほど尊敬し合っていたかを知ることができる。
『ジョニー・キャッシュ・ショー』が1969年6月に始まることが決まったとき、司会をつとめるキャッシュはボブ・ディランに第1回の番組ゲストとして出演を依頼した。『ジョニー・キャッシュ・ショー』の録画撮りの日をはさんで、ディランは1年後にリリースされることになるアルバム『セルフ・ポートレイト』の制作を始めていた。5月3日のセッションには、いつものナッシュヴィルのメンバーに加えて、フレッド・カーターがギターで参加した。その時録音した「フォルサム・プリゾン・ブルース」と「リング・オブ・ファイア」が初めてこの『トラヴェリン・スルー(ブートレッグ・シリーズ第15集)』に収められている。正式発売されたアルバム『ナッシュヴィル・スカイライン』にキャッシュとのデュエット曲は1曲(「北国の少女」)しか収められなかったが、キャッシュはこのアルバムのために、のちにグラミー賞を受賞したライナーノートを書いている。『ナッシュヴィル・スカイライン』がリリースされた2カ月後、ディランの5年ぶりのライヴ・パフォーマンス出演となる『ジョニー・キャッシュ・ショー』が放送された。そのパフォーマンスもここに収められている。
収録内容
*印以外は全曲未発表曲
Disc1
1. Drifter’s Escape - Take 1
2. I Dreamed I Saw St. Augustine - Take 2
3. All Along the Watchtower - Take 3
4. John Wesley Harding - Take 1
5. As I Went Out One Morning - Take 1
6. I Pity the Poor Immigrant - Take 4
7. I Am a Lonesome Hobo - Take 4
8. I Threw It All Away - Take 1*
9. To Be Alone with You - Take 1
10. Lay Lady Lay - Take 2*
11. One More Night - Take 2
12. Western Road - Take 1
13. Peggy Day - Take 1
14. Tell Me That It Isn’t True - Take 2
15. Country Pie - Take 2
Disc2
1. I Still Miss Someone - Take 5
2. Don’t Think Twice, It’s All Right/Understand Your Man - Rehearsal
3. One Too Many Mornings - Take 3
4. Mountain Dew - Take 1
5. Mountain Dew - Take 2
6. I Still Miss Someone - Take 2
7. Careless Love - Take 1
8. Matchbox - Take 1
9. That’s All Right, Mama - Take 1
10. Mystery Train/This Train Is Bound for Glory - Take 1
11. Big River - Take 1
12. Girl from the North Country - Rehearsal
13. Girl from the North Country - Take 1
14. I Walk the Line - Take 2
15. Guess Things Happen That Way - Rehearsal
16. Guess Things Happen That Way - Take 3
17. Five Feet High and Rising - Take 1
18. You Are My Sunshine - Take 1
19. Ring of Fire - Take 1
Disc3
1. Studio Chatter
2. Wanted Man - Take 1
3. Amen - Rehearsal
4. Just a Closer Walk with Thee - Take 1
5. Jimmie Rodgers Medley No. 1 - Take 1
6. Jimmie Rodgers Medley No. 2 - Take 2
7. I Threw It All Away
8. Living the Blues
9. Girl from the North Country (Duet with Johnny Cash)
10. Ring of Fire
11. Folsom Prison Blues
12. Earl Scruggs Interview
13. East Virginia Blues
14. To Be Alone with You
15. Honey, Just Allow Me One More Chance
16. Nashville Skyline Rag*
【ご注意】CDパッケージ用のコメントを利用していることがあるため、一部内容が当てはまらない場合があります。あらかじめご了承ください。
【Travelin' Thru, 1967 - 1969: The Bootleg Series, Vol. 15/Bob Dylan/ハイレゾ】
1 Bob Dylan[Guitar]
2 Bob Dylan[Guitar]
3 Bob Dylan[Guitar]
4 Bob Dylan[Guitar]
5 Bob Dylan[Guitar]
6 Bob Dylan[Guitar]
7 Bob Dylan[Guitar]
8 Bob Dylan[Guitar]
9 Bob Dylan[Guitar]
10 Bob Dylan[Guitar]
11 Bob Dylan[Guitar]
12 Bob Dylan[Guitar]
13 Bob Dylan[Guitar]
14 Bob Dylan[Guitar]
15 Bob Dylan[Guitar]
16 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
17 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
18 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
19 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
20 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
21 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
22 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
23 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
24 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
25 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
26 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
27 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
28 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
29 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
30 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
31 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
32 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
33 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
34 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
35 Bob Dylan[AssociatedPerformer], Bob Dylan[MainArtist], JOHNNY CASH[AssociatedPerformer], JOHNNY CASH[MainArtist]
36 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
37 Bob Dylan[Guitar]
38 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
39 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
40 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
41 Bob Dylan[Guitar]
42 Bob Dylan[Guitar]
43 Bob Dylan[Guitar], JOHNNY CASH[Guitar]
44 Bob Dylan[Guitar]
45 Bob Dylan[Guitar]
46 Bob Dylan[AssociatedPerformer], Bob Dylan[MainArtist], Earl Scruggs[with]
47 Bob Dylan[Guitar], Earl Scruggs[Banjo]
48 Bob Dylan[Guitar], Earl Scruggs[Banjo]
49 Bob Dylan[Guitar], Earl Scruggs[Banjo]
50 Earl Scruggs[Vocal], Bob Dylan[AssociatedPerformer], Bob Dylan[MainArtist], Bob Dylan[Composer], Bob Dylan[Lyricist]