イギリスの次代を担う名女流ヴァイオリニスト、タムシン・ウェーリー＝コーエンによる珠玉のエルガー、ドビュッシー、レスピーギ＆シベリウスの作品集

1997年に設立され、クラシックを中心に厳選された良質の音楽を提供し続けているイギリスのレーベル　「Signum Records」　より、新進気鋭のヴァイオリニスト、タムシン・ウェーリー＝コーエンによるエルガー、ドビュッシー、レスピーギ＆シベリウスの作品集がハイレゾで登場。

イギリスの女流ヴァイオリニスト、タムシン・ウェーリー＝コーエンは1986年に生まれ、英国王立音楽大学でイツァーク・ラシュコフスキーに師事し、ECHOライジング・スター・アーティストに選出されるなど、現在、ヒラリー・ハーンに次いで、次代を担うヴァイオリニストとして、大きな注目を集める逸材。

本作は、ほぼ同時代に活躍した4人の作曲家によるヴァイオリン・ソナタ集であるが、出生国が異なる作曲家を選び、タイトルに『1917』と第1次世界大戦の終わりに近い年号を用いたことから、タムシン・ウェーリー＝コーエンが世界の平和への想いを込めた作品であることは想像に難くない。ここには国境を越えた絶対音楽の世界がある。そして、4人の偉大な作曲家の音楽世界をコーエンが、ストラディバリウスを大いに歌わせ、見事に描写しきっている素晴らしい作品である。

タムシン・ウェーリー＝コーエンはストラディバリウスを自在に奏で、ピアニストのヒュー・ワトキンスと息を合わせ、絶妙なビブラートを効かせて、卓越したボウイング共々に、見事に4人の作曲家の意図を解釈し、リスナーをその4人の作曲家とコーエン自身の音楽世界へといざなう。このアルバムを聴けば、コーエンがヒラリー・ハーンに次ぐ逸材と話題を呼ぶのも納得がいくであろう。

オススメは全曲なのであるが、特に挙げるならば先ず、レスピーギ作の4曲目、「Violin Sonata in B minor , P . 110: Ⅰ Moderat」になるであろう。レスピーギの特徴として、現代音楽に通ずる部分とそれ以前の音楽のメロディックさを併せ持った、と言うものがあるが、演奏家には高度な技巧と表現力を要求する。しかし、タムシン・ウェーリー＝コーエンは圧巻と言える演奏で、その要求を満たしているから驚愕である。次にエルガー作の14曲目、「Violin Sonata in E minor , Op . 82: Ⅲ Allegro non troppo」になる。レスピーギの特徴と同様だが、エルガーのこの難曲をコーエンが見事に演奏する様は、まさに圧巻である。

次代を担う女流ヴァイオリニスト、タムシン・ウェーリー＝コーエンが奏でるストラディバリウスの音色で、偉大な4人の作曲家の世界を堪能できる珠玉の1枚！